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田村和也雑想

2017年8月アーカイブ

2017/08/21

神奈川県横浜市金沢文庫の家の大工工事が進行中です。

実は、お施主さんと初めてこの敷地を訪れたのは、一年半ほど前。
敷地を訪れてびっくり、敷地の南東二面は角度にして60度近くの崖になっています。
崖下に広がる住宅地との高低差は30M以上。
確かに、見晴らしは最高ですが、果たしてここに家を建てることができるのだろうか・・・
地震で転がって、30M下に家が落っこちるなんてことにならないだろうか・・・
そもそもこの崖、崩れたりしないのだろうか・・・
不安は募るばかりです。

地盤調査を行い、何度か、役所に出向いて話を聞き、
何だかんだ私の経験不足もあって、一年以上も設計期間をいただいてしまいました。

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(ダンプの先と写真右手が崖です。)

そもそも、この敷地、安全に家を建てられるのも、泥岩と言う泥が固まったような岩でできているからです。
硬い岩山だから崩れないでしょう、ということですが、
いざ基礎工事で土を掘ろうとすると本当にかっちかち。
掘るというよりは、少しずつ砕いていく、基礎業者もはじめての難敵に四苦八苦。

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ようやく上棟にこぎつけた次第です。
さて、当の設計はというと、この自然に負けないくらい力強い空間が作れないかと、ほとんどの柱や梁、屋根垂木が化粧で見えてきます。
計画自体はすごくシンプルなプランですが、これほど大工泣かせな構造はめったにありません。
だって、普段は隠れてしまう屋根の加工や柱・梁すべて見えてくるのですから。
どこも手を抜けません。
何十本とある大きな垂木もすべて手で刻んでゆきます。

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本来なら仕上げ工事で作成する本棚も、化粧の構造材と絡むため、外壁下地と一緒に作っています。
こちらも、縦地をたてないために、一本一本の間柱を彫り込んで、棚板を差し込んでいます。

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そのうえ、構造を見せるために、断熱はすべて外断熱です。

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大工さんの仕事ぶりには、本当に頭が上がりません。

そして、上棟式を開いていただいた際、お施主さんが、
家を建てはじめる前に一年を通してこの敷地の四季を感じ、設計に生かされたことが良かったと
思いもよらない言葉を。
本当にお待たせしてすみません・・・
と思いながらも、施工中から良い家になることがビンビン伝わってきます。

現在は、南東の崖に向かって連窓として大きく開かれたサッシを取り付けています。

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そう、すべてはこの景色を取り込むために。
この場所にしか、建てることのできない建築を作るために。

2017/08/19

お盆休みは、島根県の実家へ里帰り。
お墓まいりの帰り、

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住んでいた頃は(といっても高校を卒業するまでですが)、なんとも思わなかった風景が、
離れてみると、赤い瓦の街並み、緑の山、青い空、味わいのある風景だと気がつきます。

「民家はキノコである」

ある著名な建築家の言葉です。

すぐれた民家は豊かな風土の中に作られる
きびしい風土は住まいにきびしい表情をあたえる
だから民家は正確には建築ではなく
自然の一部だとおもう

とのことです。

独特な色をした赤褐色の瓦は、石州瓦といい、室町時代から江戸時代にかけて生産が始まったと言われる
伝統的な地産品。
高温で焼くために凍害に強い特徴を持ちます。

地元の土や釉薬を使って、工夫を重ね、当然の様に作られた民家と街並み。
まさにキノコのようなもの。

旧市街地では、まだ普通に残るこうした街並みですが、少し郊外に離れると、日本中どこに行ってもあるような、まるでマッチ箱を並べたような造成地がぽつぽつとみられるようになりました。
グローバルといえばそれまでですが。

住宅は、個人が資産を使って建てる建物です。
日本ではその土地も個人のものです。
法律はもちろんありますが、どんな建物を建てるかは、基本的には建てる人の自由です。
だからこそ、建て主や私たち設計者は、それが街や周りの人の資産でもあることを忘れてはいけないような気がします。
そうしないと日本には本当に街並みと呼ばれるものが消えてしまうかもしれません。

なんとなく、そんなことを考えさせられたお盆休みの一コマでした。

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