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ますいいでは、古くなった物件を壊すことなく次の世代に引き継ぐお手伝いをしております。

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ますいいリビングカンパニーは埼玉県川口市にある注文住宅を作るデザイン設計事務所です。
ローコスト・セルフビルドでよい素材を上手に使い家族が幸せになる、そんな建築を目指しています。

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増井真也日記

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2020/12/09

朝礼終了後、各プロジェクト打合せ。

11時ごろ、埼玉県川口市にて水害時の垂直避難設備を造ったIさんの家の現場確認。
埼玉県川口市というところは、荒川反乱時の想定水深が5m~4mと想定されている。水害時には近隣の公共建築や、車で20分くらいのところにある高台への非難を計画されているわけだが、高齢者の住人など避難しきれない人が発生することは容易に予想される。Iさんの家には、90歳を超える明日の不自由な女性と、70歳を超える息子さんが二人で住んでいる。いざという時お母さんをおんぶして避難ができるかどうかの不安は年々募るばかりである。

そこで、家に居ながらにして非難をすることが出来るための装置を開発することにした。この装置はあくまで非常時のみに使用するもので、普段は荷物の上げ下げの為に使用される予定だ。

上下階の移動の為の開口部は、押し入れの床に1m角ほどの穴をあけることで造られた。車いすのままで乗ることが出来るように木製の箱を取付て、いわゆる江戸時代のお屋敷に2階の座敷にお料理を運搬するために造られていた木製滑車の装置のごときものとなった。上下移動は停電時でも行えるように、貨物用のチェーンブロックを取り付けている。各所の段差は小さなスロープを付けることで解消した。箱がぶれることがないように、四方に木製のガイドレールを取付ている。2階に上がれば、地盤面からは3.5mほどは上がることが出来る。まだ最悪の事態の想定水深には届かないけれど、これでたいていの場合は助かることが出来ると考えている。

2020/12/06

日曜日。コストダウンについての方策を考えてみる。工事の請負金額を下げるにはいくつかの方法がある。最も簡単な方法は業者さんと値下げ交渉を行うことだけれど、長い付き合いの業者さんたちを相手にしているとなるとこの交渉もなかなか限界が来る。常に競争意識をもってもらうためには同業者間での合い見積もりを取るという方法もあるが、そもそも同じことを求めているという場面ではこの手法も度を超すことはできない。

そんな中で有効な方法の一つが中間業者を少なくするという方法である。これはどんな業界でも起きている物流改革だと思うけれど、建築業界でも同じように有効な手段だと思う。僕の感覚では一つの商社さんが絡むと2割から3割高くなる。二つ絡めば1.3×1.3の場合1.69となり、元の価格の69%増しになってしまう。こういうことを何とかしようとして、直接の取引を試みても多くの場合は妨害が入り実現しない。特に知名度のある大手メーカーなどの場合はまず無理である。でも産地直送というのはそうでもないようで、材木やら石やらといった自然の恵みの場合、ごくたまにではあるけれど取引が成立するから面白い。僕が産地から直接購入する場合、たいていは「1」の価格、つまりは産地の生産者さんが市場に卸している価格ではなく、それに1割程度のせた価格で売っていただくことが多い。こうすることで産地はいつもよりも高い金額で売ることができる。つまりは産地にとっても高収入モデルとなり、ますいいのクライアントにとっても低価格でよい商品を手に入れることとなる、まさに一石二鳥の手法となるのである。

良いものを造りたければ良い材料は不可欠である。良い材料は良い生産者の手によってしか得られることはないのに、その生産者はこれまで販売経路を持たないという理由で、商社に卸すことしかできなかった時代がある。でも今のネット社会では、農産物だって水産物だって、生産者が直接消費者に売るというスタイルは珍しいことではない。特にこだわって作っている無農薬の世界のようなものになればなるほどその傾向は大きく、欲しい人と作りたい人の直接的な取引が主流となっている。これは建築でも同じこと。この方法はさらに進めていきたいと考えている。

もう一つの手法は大手メーカーによる低価格製品の商流をつかむことである。通常の量産メーカー品の場合、定価の30%~40%くらいの仕入れ価格というのが多いと思う。僕がこの会社を始めたころはそれこそ60%くらいの価格が普通だと思っていたが、初めて10年もするとそれがいかに高いものだったかがわかってきた。同じものの値段が、数%ずつ安くなる。なんだか変な話だけれど、でもこういう風に物流と価格というのは決められているのだ。そしてさらに言うと、大手メーカーには特別価格の製品というものが存在していて、ある一定量を購入することでさらなる値引きをしてくれる場合がある。通常はこういう製品は隠されているので知る由もないのだが、ひょんなことから出会ってみるとこれまでとおんなじ製品の品番だけが変わって安い!!!なんていう仕組みだとわかる。この手法を確立するとその製品だけは25%くらいの価格で買うことができるなんて言う場合もあるので驚く限りである。建築界の値段に関するブラックボックスというのはこうして出来上がっているのだから、ハウスメーカーなどの場合はどうなっているのか、恐ろしい限りである。

僕はその時に手に入る最も質と効率の良い製品を、ご提案することを旨としている。これからも少しでも質を高め価格を下げるべく努力していきたいと思う。

2020/12/05

今日は所要のために京都に出向いた。茶道の関係で日本で一番よく来る街のような気もするが、伝統的な社寺建築が多く保存されている地域であるのに、一方で変わるべくところに関しては本当に変化が早く、いつも新しい出会いがあるのが面白い。今回は空いている時間を利用して3つの建築を見てきた。

まず一つ目が隈研吾氏がかかわっているエースホテルである。シアトル発のホテルが2020年6月京都にオープンすると聞いて見てきたけれど、隈研吾さんらしい木製の表現が取り付けられている点以外は、少々雑なリノベーションホテルの印象があった。何でもかんでも木製の木組みとルーバーさえつけておけばよいというような浅はかさを感じてしまうような感じもして、少々残念な建築のような気もした。

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続いてゲートホテルである。このホテルも今年の7月のオープンしたばかりで、なんと3条と4条の間の高瀬川沿い、誰もが行ったことがある繁華街のど真ん中に位置するもともと小学校だった建築を一部リノベーション、さらに新築等を付け加える形で作られたホテルである。竹中工務店の設計施工だけあって、安定感のある出来栄えだ。校庭をイメージした広場では朝から親子連れがバレーボールで遊んでいる。繁華街のど真ん中でこんな光景が見られるのも、この建築ができたおかげであろう。猥雑な繁華街のイメージに規律や歴史が付け加えられたような気がしたが、日本の街づくりのスキルもここまで向上したのかの感があった。

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最後に今年オープンした京セラ美術館。こちらは築80年くらいの古い建物を青木淳氏がリノベーションしたものである。

「美術館はもうホワイトキューブではないな」という青木氏による設計だが、

・・・・・・・・・
もともとあったものを否定するんじゃなくて、あったものに新しいものが重なるようにつくっていくことができないかなと、努めて優しい方法のリノベーションを目指しました。優しいリノベーションは地味だからあんまり評価されないけど、これからは目立つことをやるよりも、いつの間にか変わっちゃってたっていうほうが面白いと思うんですよね。この美術館では、美術館という制度のための空間がどうあればいいのかなっていうことを考えたんです。
・・・・・・・・・(美術手帳 HPより)

上記は青木氏自身の言葉である。実際には写真にあるように地面を地下1階まで掘り下げてしまって地下からアプローチを設けるという荒業をしている。こういう操作を加えることで、既存の既成概念を変更してしまう操作を行っている点が新しいリノベーションの可能性を感じさせてくれた。以上今年オープンの京都特集、皆さんもぜひ足を運んでいただきたいと思う。

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2020/12/03

午後、東京都千代田区永田町にて「日本の森林を守るため共に行動する企業認定証授与式」に参加した。会場には、
7団体
(一社) 日本林業協会         
(一社) 全国木材組合連合会    
全国森林組合連合会     
(一社) 日本林業経営者協会    
(一社) 全日本木材市場連盟会長    
(一社)林業機械化協会        
(一社)木になる紙ネットワーク
といった林業に関する各団体さんがいて、そこに認定された工務店が認定証を受け取るという構図である。僕はこれまでの日記などにも書いている通り、国産材で家づくりをおこうなうことをとても大切にしている。こういう認定があることで何かが変わるわけではないけれど、でもこれまで以上に産地である山とのお付き合いを大切にしようという心構えにつながることは確かであると思う。これからも少しでもこの国の山、自然に貢献できる活動をしていきたいものである。

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2020/12/01

今日から専任の現場監督の松永さんが出社している。松永さんは68歳、現場監督一筋に経験を積まれてきた本当のプロである。ますいいではこれまで設計担当者が現場管理も一貫して行うことを旨として会社の運営をしてきたのだが、現場の管理精度を向上させるとともに、作り上げる住宅の意匠や納まりのレべりの向上を図るために指導的役割もかねて参加していただくこととなった。一緒に事務所で過ごしていると年齢は一番高いけれど、誰よりも声が大きく、そして誰よりも建築に対して愛情を抱き、そして自身の仕事に誇りを抱いている方であることが分かった。大工の本間さんや川浦さんがまさにそういう方であるのだが、またもう一人本当に力強い頼れる仲間が増えたと思っている。家づくりは良い設計者に良い職人、そして良い材料という風に書いてきたが、これからはそこに良い監督という言葉を付け加えたいと思う。この良き出会いに心より感謝したいと思う。

13時、川口市の避難設備兼天体観測所の工事現場にて打ち合わせ。想定浸水高さの5mまで避難することができる鉄骨造の棟を設置する場所や、母屋から塔への乗り移りのための開口部などについて打ち合わせを行った。

2020/11/29

今日は地元の方々と一緒に千葉県旭市にある「才兵衛」さんという料理屋さんに鴨を食べに行った。旭市というのは銚子の少々手前にある街である。のどかな田園風景が広がる街だが、こんなところに名店があるのが面白い。鴨は鴨の形をしたお皿に盛りつけられており、豚の油をたっぷりと敷いた鉄板の上で焼くとなんとも甘く食べやすいうまみがある。野菜と一緒に食べるとなお良いのである。食後近所の沼にいる鴨と白鳥を見学に行った。僕たちに驚いた白鳥が飛び立つと、その優雅な姿に目を奪われる。昼間は田んぼの草を食べているそうだが、夕刻になると羽を休めに沼に戻ってくるそうだ。自然の営みというのは本当に見ていて飽きない。僕たちも本来はそんな姿が自然なんだよなあ、などと感じつつひと時を過ごした。

心無き身にも哀れは知られけり 鴫立澤の秋の夕暮れ
鴫ではなくって白鳥だったが、鎌倉時代の僧、西行の詠んだ歌の心境なのであった。

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2020/11/27

11時、埼玉県川口市にて土地の購入を検討しているWさんご夫妻打合せ。先日ご紹介させていただいた土地の購入を検討するために、ショールームとして活用している僕の自宅を見て頂き、土地に建てられるであろう住宅の簡単なプランと、銀行ローンの申し込みに必要な書類などに関する打ち合わせを行った。土地との出会いというのは運命的なもので、なかなか気に入った土地に出会うことが出来ないこともあれば、このようにとても良い条件の土地に偶然出会うこともある。何となくだけれど結婚のようなものかなあという気もする。今回は今作っている現場のすぐ近くという事もあって、僕たちの側の地の利がとても良い。そうでなければもしかしたら探し出すことが出来なかったかもしれないという事を考えると、これもまた運命的なのである。

16時、少し前に引き渡しを行った草加の家のクライアントのYさんが、わざわざ家づくりのお礼をと言う事で会社まで足を運んでくれた。Yさんはたまたま僕が良く知っている方が経営する地元の企業にお勤めの方なので、何となく普通のクライアントよりも近いような感じがする。自分の家を設計するにあたり、プランの大部分を自分自身で設計し、CGを自分で描いてきてしまったりの積極派なので、当然ながらセルフビルドもたくさん取り入れて家づくりを行った。機械設計という仕事をしているので、そもそもモノ作りが好きな種族の方である。そういう方が楽しく家づくりを終えたと言ってくれることは何よりもうれしい限りである。お礼にと頂いた能作のぐい飲みは錫100%でできでいる、なんとも手のおさまりの良い品ものである。錫のヒヤッとした手触りが心地よく、きりっとした冷の酒をおいしく頂けそうだ。また一つ良い思い出を重ねることが出来た。

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夜、両親や妹家族も集っての親戚一同誕生日会を開催。11月周辺の誕生日をまとめたお祝いである。コロナで出歩くことはめっきり減ったが、やはり家族の集いは良いものだ。甥っ子がそのまま僕の家に泊まりに来たが、自分が小さかった頃にやっぱり同じように従弟の家に泊まったりしていたことを思い出した。

2020/11/24

午後、茶道稽古。今日は四カ伝の和巾の御稽古である。塗蓋の瀬戸一重口の水指の前に古帛紗を広げて置き、桑生地、内部は金箔張りの仕覆に入れた中次という茶入を使う。和巾点の経緯は、裏千家11世の玄々斎が孝明天皇にお茶を献上した時に、そのお返しとして立派な切地を拝領した際に、その切地を使って、古帛紗などを作り、それを使用したお点前として考案されたのが「和巾点」だという。僕たちにはあり得ないシチュエーションのお点前だけに、何とも言えない気分になってしまうのだけれど、古帛紗の左角に指を入れ、すーと右側に指を寄せたら、両手の指を真ん中に持って行って中次を持ち上げるしぐさなどはなかなかに奥ゆかしくて素晴らしいと感じた。師匠に稽古をつけていただく幸福な時間を過ごしていると、僕もそろそ誰かに教えるという事をやってみようかなあなどと思いつつ、そんな時間はまだまだ取れそうもないのである。

2020/11/23

10時、埼玉県川口市にて進行中のkさんの家の現場確認。今日は工事着工以来、Kさんご家族を招いて始めての現場打ち合わせである。現場の方は大工工事がだいぶ進行していて、現在は電気の配線などが行われ、天井の野縁が組まれているような状況だ。この段階での施主確認はいろいろ多岐にわたる内容がある。スイッチやコンセントなど電気関係の確認、各所壁仕上げなどの最終決定、などなど一つ一つ丁寧に確認していく。特にKさんの家では天井に杉の無垢板を貼ったり、階段板も45ミリ厚の杉板で製作するなど無垢材にこだわった設計としているので、それらの素材の表情なども合わせて確認していただいた。

これらの杉材は栃木県の杉を使用しているのだが、以前から日記で書いているようにこの栃木県産の杉材が何とも良い。良い材料は当然高価だと思われがちだが、実は節はほとんどないにもかかわらず、山で購入しているので節有の安価な素材と同等の価格で手に入る。産地直送だから安い!!まるで漁港に魚を買いに行くお寿司屋さんのように材木を求めて山に行く、これは何とも言えない喜びなのである。仕事は楽しんでやらないといけないのであるが、素材との出会いを求めて山に行くことは僕にとって何よりも楽しいひと時である。良い素材に良い職人、そして良い設計があってこそ始めて良い家が出来るのだと思う。

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午後、土地探しをしているWさんご家族に、Kさんの家の現場から歩いて1分ほどの土地のご案内のために再び川口市の桜町を訪れた。現場管理をしている敷地のすぐ近所の土地を紹介するなどなかなかない偶然だが、とても良い土地が見つかったのでご案内させていただいた。この界隈はハザードマップからも外れていて、駅にも近く、そしてとても住みやすそうな優しい雰囲気の土地なのだ。案内終了後、近所にある千木屋さんというカフェに立ち寄る。Wさんも気に入ってくれたようで、お食事をしていきたいというリクエストがあったのだがあいにく今日の食事は売り切れだった。ここはカフェや車屋さん、レコード屋さんなどが集う川口の農業地域とは思えないアーティストビレッジのような場所で、カフェを経営している地元の青年が運営している場所である。とてもに魅力的なスペースなので是非お勧めする。

2020/11/22

朝起きるとなんとなくお茶を点てたくなったので炉に炭をおこし、釜で湯を沸かしてみた。炉というのは畳の床に穴をあけ、そこに灰を入れて炭をおこすことができるように作られた茶道用の湯沸かし設備である。茶道では11月からこの炉を使用することが決められていて、この月のことを「炉開きを行い新茶が出る」ことから茶道の正月などと呼ぶことがある。11月1日は僕の誕生日でもあるのだけれど、茶道の世界でもこの日はなんとなく新しい年が始まるような日なのだ。

炉の中に炭を入れるとほのかに部屋が暖かくなってくる。当たり前のことだが暖房効果もある。梅のお香を焚いているのでその香りも充満する。炭の上に釜をかけてしばらくすると次第に湯が沸き、シューという音が聞こえ始める。この音を茶道では松風と呼ぶが、この音が良く鳴る釜は大変重宝がられるほどに茶人にとって大切な楽しみの一つである。花は山野草を用いるのだが、そんな用意があるはずもなく近所の公園に咲く名も無き花を一輪さす。黒漆喰の床の間を背景に花を飾ってみると意外と良いことに驚いたが、利休の茶も本来そういうものだったのかもしれない。

床に飾る軸は日日是好日。樹木希林さん主演の映画のタイトルになった禅語であるが、僕が最も好きな言葉の一つである。先行き不透明なコロナ中ではあるものの、それでも一日一日を大切にしっかりと生きていこう、そんな思いにさせてくれる言葉なのだ。

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2020/11/21

10時、東京都中野区にて設計中のSさんの家の打ち合わせ。今日は見積もり調整の打ち合わせということで、前回提示金額よりも数百万円の減額案をご説明させていただいた。減額案とはいうものの、それほど材質などを下げたというわけでもなくって、工事の手法の変更や業者さんとの値引き交渉などを行ったことによる減額が多かった。だからこそ、クライアントのSさんにはご満足いただけたのではないかと思っている。

家造りという一つの仕事のなかで、一番難しいことは何かと聞かれればこの減額調整である。ただ単に業者さんに値段を下げてほしいと言い続けたところで挙句の果てにはほかの業者に行ってくれと言われてしまうのが落ち、であるならばどうすればよいかといえば、こういう風に造ればコストを抑えることができるかもしれないの仮説を立てて、その仮説をわかりやすく説明して減額に繋げるの工夫をしたり、材料の産地と直接交渉して購入のルートを造ったり・・・とにかく価格のブラックボックスを包むベールを少しづつ剥がしていくかのような地道な作業が必要なのだ。

13時、東京都太田区の土地の購入を検討しているというご夫妻の打ち合わせ。一つは長い旗竿地、一つはがけの上の中古住宅というどちらも癖のある物件だったのだけれど、僕は旗竿地の方に興味を惹かれた。旗竿地というのは土地が道路と接道している入り口部分が竿のように細長く、奥に四角い旗のような土地があるものを言うのだけれど、こういう土地は通常の料金よりも安い場合が多い。特に都内の土地は非常に高くなってしまっているので、こうした一見悪い条件の土地を選定することで安くなったお金を建築費用に回すことで魅力的な住宅を造ることができることも多いのである。

下の写真は東京都杉並区にて造ったYさんの家である。敷地全体を見れば旗竿地というわけではないが、入り口付近にご両親の家が建っているので事実上の旗竿地であるが非常に豊かな住宅を造ることができた事例である。

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2020/11/17

午前中埼玉県上尾市にて設計中のHさんの家打ち合わせ。いよいよ構造計算の打ち合わせなどを始める段階である。今日は構造的な変更点や電気設備などについての打ち合わせを行った。

午後、茶道稽古。昼間のこの時間に稽古に来るのはなかなか難しいのだけれど、今日はゆったりと稽古に参加することができた。11月となり風炉が炉に変わる、茶道にとってはここからが新年の始まりである。宗家では10月29日に炉開きを済ませ、19日の宗旦忌には宇治の上林茶舗より今年の新茶が届けられるそうだ。こういうことを毎年変わらず行っていることがいずれ伝統と呼ばれるようになる。伝統とは突然作られるものではなく、こうして守られた結果にじみ出てくるものなんだと思う。日本の家づくりの中にも守るべき伝統がある。木を使うこと、つまりはその土地の素材を大切にすること。職人の技を大切に生かすこと。こういうことは経済至上主義の効率社会の中でどうしても切り捨てられがちなんだけれど、でも誰かが大切に思わなければ本当に消失してしまうからこそ、ますいいではしっかりと守っていきたいと思うのである。

2020/11/16

午後、東京都豊島区にて本堂の改修工事を行った本納寺にて庫裏のキッチン工事についての打ち合わせを行った。すでに何十年も使用したキッチンである。表面の面材もはがれ、愛用の食洗器も壊れてしまった。お寺さんという場所は人が集まることが多いので、台所が使用される頻度も普通より多いのだろう。今回はキッチンメーカーのヤジマさんに制作を依頼することになった。ヤジマさんはオリジナルのキッチンを洗練されたデザインで製作してくれるとても良いメーカーさんである。大手の商品とは違い、ミーレの食洗器を導入したりグロエの水栓金具を選んだりのカスタマイズができるのがよい。日本製のメッキ製品とは異なり、本物の質感が空間を引き締めてくれるのだ。

本納寺さんの出入りとしてお仕事を始めて10年くらいは立つのだろうか。確か初めの仕事は庭の藤棚が傷んでしまったからステンレスで作り直してほしいという依頼であった。お墓とお墓の隙間を縫って、藤棚を作り直したのは今でも鮮明に記憶している。そんなご縁で昨年から今年にかけての本堂瓦吹替工事をというとても大きな事業にも関わらせていただいた。社寺の工事にかかわるということは建築に携わる者にとって本当に誇らしいことだ。これからも長いおつきあいを大切にしていきたいと思う。

2020/11/14

午前中は埼玉県上尾市にて家を建てたいというWさんご夫妻打ち合わせ。現在はまだ土地探し中とのこと、まずは家づくりの流れなどについてのお話をさせて頂いた。土地探しの段階からのご相談というのは家を上手に造るためにはとても良い手法だ。建築はその土地に根付くものである。土地の形、法律の規制などなどの影響を受けて設計をするわけだが、同じような地型で同じような広さの土地でも、法規制によっては造ることができる建築の形は大きく異なるのが現実だ。だからこそ、土地購入の前にご相談していただけることが良い住宅を造るうえでとても大切なのである。

北の常緑ハウスでは東京都の足立区内で江戸川などの川沿いの土地を探すクライアントが目星をつけた土地を、その都度一緒に見に行くなどのお付き合いを約1年間ほどした後にようやく見つかった北側に川が流れる土地に造った住宅である。この住宅は北側の河川敷にある緑を存分に取り込むことを設計の命題として取り組んだ。吹き抜けのある壁面に設けられた大きな窓からは、まるで別荘地のような緑を眺めることができる。少し濃いめに塗装された木材が外部の緑と調和してとても心地よい空間を生みだした。Wさんもまずは良い土地をお探しするお手伝いをしたいと思う。

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15時、埼玉県和光市にて小屋の新築を検討しているIさん打ち合わせ。ログハウスの母屋の隣の敷地を購入し、お子様の部屋とガレージを兼ね備える小屋を造ろうという何とも楽しいプロジェクトである。今回はいくつかの屋根の形をスタディーして、さまざまなバリエーションを試してみた。広さは約8坪ほどにする予定である。屋根は少し高めのほうが内部空間が大きくなって良いかもしれないと考えている。構造はもちろん木造で、できれば一部の構造は現しにする予定だ。もしかしたら建築学科に進むお子様が暮らしながらカスタマイズすることができるような遊びも楽しいだろう。今後の展開を期待したい。

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2020/11/12

午後、川口市のとある住宅にて登録文化財の申請に関する打ち合わせを行う。登録有形文化財というのは、平成8年10月1日に施行された法律によって,保存及び活用についての措置が特に必要とされる文化財建造物を,文部科学大臣が文化財登録原簿に登録する「文化財登録制度」である。この登録制度は,近年の国土開発や都市計画の進展,生活様式の変化等により,社会的評価を受けるまもなく消滅の危機に晒されている多種多様かつ大量の近代等の文化財建造物を後世に幅広く継承していくために作られたもので、届出制と指導・助言等を基本とする緩やかな保護措置を講じるという特徴がある。今回の計画では、申請した建物をカフェなどの形で利用することで、歴史観のある街並みの魅力の醸成を目指したいと考えている。

建築はもうあまり造らないほうが良い、というのは誰でもわかっていることである。でもなぜか日本という国はいまだにスクラップアンドビルドを繰り返す志向が強く、歴史や文化がいかにその国の発展のために大切なのかをわかっていながらも、ついつい経済効果優先で壊してしまうという選択をしがちなのが実情だ。この傾向は国という大きな単位でも、民間所有の小さな住宅でも同じことである。とにかくついつい壊してしまうのだ。壊した後にできる建物はたいてい薄っぺらいものになる。誰の目にも同じように映り、決して不便でもないのだけれど、特に印象にも残らない、そんな建築がそんな街並みを作り出す。だからあんまり造らないで何とかできないかを考えるようにした。壊さない、そして造らない建築家、それもとても大切な姿だと思うのだ。

文化財の登録にあたって芸大の小林先生と協働している。小林先生と話しているととても楽しい気分になる。屋根の上のたんぽぽを見て、「あれってなんかいいよね。雨漏りしていないならあのままでもいいんじゃない」。壁の板が腐ってはがれて中の土壁が少し見えちゃっている姿を見ても、「この土壁が少し見えているところがいいんだよね。こういうところはなるべくそのままにしよう。」とにかく普通のメンテナンスとは違うのだ。僕たちが普段何気なく街を歩いているときに魅力と感じるものは、決してきれいに塗りなおされたペンキではない。道端に生えるたんぽぽが屋根の上に生えている様子、そこにいる猫、そんなものについつい目を奪われるのだ。魅力的な街を造りたいと思う。そしてそういう街を子供たちに残してあげたいと思う。僕たちはそういうことができる数少ない人種なのだ。

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