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ますいいリビングカンパニーは埼玉県川口市にある注文住宅を作るデザイン設計事務所です。
ローコスト・セルフビルドでよい素材を上手に使い家族が幸せになる、そんな建築を目指しています。

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増井真也日記

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2017/06/15

朝一番で、埼玉県川越市にて進行中のSさんの家の現場確認。現場は全面リフォームのための解体工事が終了した状態である。ほぼスケルトン状態の木造住宅というのはなかなか見ていて面白いもので、写真のごとき荒々しい魅力がある。あちらこちらの隙間からは光が差し込み、床をはがしたところには地面の土がむき出しとなる。昔の家は今のようにコンクリートのべた基礎などないので、この土の上にコンクリートの基礎のようなものを置き、その上に束立てをしている。一見いい加減な施工に見えるけれど、数十年たった今でもしっかり固定されているのは見事なものだ。

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今日は大工さんも現場に来てもらい、今後の工事の進め方についての相談を行った。壊してみないと何とも言えないのがリフォーム工事の面白いところでもあり、怖いところでもある。僕が昔経験した現場では、あまりにも多くの構造材が腐ってしまっていて、リフォームのつもりで始めた工事が結局は新築になってしまったというような事例もあった。今回も2階の床を支える梁のレベルが4センチほどたわんでしまっているなどの現象はあるけれど、この時代の建物にしてはとても良い状態を保っていると思う。いよいよ来週からの本格的な工事が始まる予定である。

2017/06/13

午前中は、埼玉県川口市にて新築住宅を検討中のSさん打ち合わせ。奥様と息子さんとの3人暮らしのSさん、40年ほど暮らした家を壊して新しく建て替えることを検討している。今回は1回目のプレゼンテーションということで、二つのプランをご提案させていただいた。

夕方、埼玉県加須市にて新築住宅を検討中のNさんご夫妻打ち合わせ。2回目のプラン提案である。3500万円ほどの総予算をどのようにコスト配分するかの想定と、その際の各種仕様の想定を含めてのご説明をさせていただいた。

最近またテロ事件が増えているような気がする。ロンドンでの事件のせいであろうか。知らない都市で何回か起きた事件よりも、よく知る街で起きた1回の事件のほうが受け取る側のインパクトは大きい。そして、日本でもこのテロを防止するための法律が成立しようとしている。そもそもなんでこんなにあちらこちらでテロが起きるのか。そもそもは、アメリカへの反発、宗教や思想といたところに端を発しているのかもしれないけれど、今あちらこちらで起きているテロ事件はグローバリズムを通じて自由主義、利益追求主義が拡大し、世界的に格差が広がった結果であるような気がする。つまりすでにイスラムの問題だけではないと思う。

一方そうした時代に呼応するかのように、ナショナリズム的・保護主義的な政策が強くなっている。そうした声を強く大きく上げる政治が力を持つ時代へと向かい過ぎれば、最悪は過去の過ちを繰り返してしまうという結果に陥るかもしれない。イギリスでメイ首相が選挙に敗北したことも、その前にキャメロン首相が国民投票で予想外の敗北をしたことも、現状に対する不満の声の結果でしかないような気がする。どちらにすべきかの冷静な判断をしているのではなく、大勢にあらがうことで不満をぶつける結果が選挙結果として現れる流れが定着すれば、そもそも民主主義の根底すら危うくなってしまうのではないかとも思う。トランプのごときポピュリズムに傾倒した政治家ばかりが台頭する時代にはやはり恐怖を感じる。

自分自身に目を向ければどうか。日本人に何ができるのか。戦争に負け、原爆を落とされた国民は日本人だけである。ポピュリズムでもなく、軍事行為でもなく、つらい思いをした国民だけができる何かがあるような気がするのである。

2017/06/12

午前中は、明日打ち合わせ予定の埼玉県加須市にて計画中のNさんの家のプランに関する最終スタディー、予算構成書の作成などを行う。

夕方、30分程度の畑作業。今の時期の畑は玉ねぎとジャガイモの収穫作業がメインである。今年の玉ねぎはなぜだか一部にネギボウズができてしまって、そのネギぼうずができてしまったものは、実の一部が硬くて食べられないような状態になってしまっている。じゃがいものほうは問題なくすくすくと育ち、とてもおいしく出来上がった。突然家に数百個のジャガイモの収穫が運び込まれると、我が家の食事には急にじゃがいものメニューが多くなる。ポテトサラダ、ポテトフライ・・・どれも子供たちの好物である。30分ではとても終わらない作業、また水曜日に行くことにしよう。


2017/06/11

家づくりで最も大切なことは、その人のライフスタイルに合った設えを作ってあげることだと思う。自然素材を使った木の空間が好きな人には無垢の床材をふんだんに使った家を作ったり、なるべく人工的な着色を行わなかったりの意匠的な工夫をすることで、とても温かみのある空間が出来上がる。

写真の住宅は数年前に造ったTさんの家。この家のクライアントは、自然素材の色以外はあまり見えてこない、つまり時間とともに変化するような自然の色だけに囲まれて暮らしたいというような考えを持っていた。そういう嗜好に基づいて選定したのは、杉の床材である。杉というのはとても柔らかい素材なので、床に貼ると傷がつきやすいという欠点がある。でも、逆に言うとはだしで歩きたくなるような優しさがある素材といえる。日本の山には杉の木がたくさん生えているから、比較的安く購入することも出来るのである。

キッチンにはモルタルを使用している。モルタルはセメントが固まった状態のことを言うのだけれど、この表面に撥水材を塗装するとキッチンの天板に使用することができる。無垢の木の面材と合わせるととても味わい深い造作となる。

天井や床の支えには、普段梁で使用する米松材を使用した。梁のサイズは105mmか120mmなので、それを半分にスライスするとちょうどよい幅になる。455mm間隔で頭の上を軽やかに流れる垂木や根太は空間にリズムを生み出す。

こういう造形は数値では測れない。断熱等級や耐震等級というような断熱材をたくさん入れたり、筋交いをたくさん入れたりの結果ではない。そんなに簡単に作れるものではないのだ。どうやって作り出すかって・・・、それは一つ一つの家を丁寧に建築家が設計するしかない。夜遅くまで模型や図面と向き合いながら、こんな空間を作りたいという強い思いをもってデザインした結果しかないのである。

僕たちがやっているような家づくりはたくさんはできない。一人が一年に2軒・・・そんなものだろう。ますいいのスタッフはみなが建築家としてその設計をやっている。一年に2軒程度の作品しか作れないからこそ、信頼してくれて任せてくれたクライアントには誠実に答えたいと思うのである。

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2017/06/08

ますいいにアルバイトに来ている大学生4年生のT君が卒業論文のテーマにセルフビルドを取り上げてる。セルフビルドの可能性、経済的効果、広がりなどなどについて調査研究し、卒論としてまとめ上げたいということである。セルフビルドを分類すると、
・施主が作業を行うこと
・施主が設計にかかわること
・施主が部材の調達にかかわること
に分けられる。

それをどの程度まで行うかについては、
・すべての作業を自分でやってしまうユートピア的な種族
・基本的にはプロに任せながら、社会生活を送りながら無理のない範囲でかかわる人々
に分けられる。

ユートピア的な種族については、建設期間無制限で仕事もしないで自分の家を建設するような人々なので、議論する対象からは外したほうが良い。社会生活を送りながら無理のない範囲で建設にかかわる人のセルフビルドこそが、ますいいで取り組む対象である。

まずは上記の分類に従って、これまでのますいいの実績データをまとめることがスタートである。すでにますいい本の中にも、簡単な経済効果の紹介をしているけれど、さらなる広がりが発見できれば良いと思う。

下の写真は以前作ったさんかくの家の工事中の様子である。親子で漆喰を塗っているこの日は、実はお友達も大勢参加していた。もちろん僕もである。

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これは左官屋さんに造ってもらったキッチンだ。モルタルの天板に穴をあけて、蓋を取ると収納になっている。セルフビルドではないけれど、モルタルの作業を簡略化して格安で仕上げることができた。

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これは鋼製の筋交いである。構造計算の結果に基づき、地元の鉄工場で作ってもらった格安品である。もちろん取り付けは大工さんにお願いしている。

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こういう事例を考えていくと、セルフビルドに限らずに「素人でも扱うことができる工作技術を取り入れること」、つまりますいいの生みの親でもある石山氏が言う「開放系技術」にまで目を向けたほうが広がりがあることがわかる。参考資料にジャン・プルーヴェの資料を渡した。よい卒論を作ってくれることを祈る。

2017/06/07

朝礼終了後、各プロジェクト打ち合わせ。埼玉県加須市にて設計中のNさんの家については、平屋の案と2階建ての案の二つの案をスタディーしている。埼玉県北部の建設地では、都心と比べると非常に恵まれた敷地であることが多く、その開放感を生かしての平屋、もしくは平屋のような1階部分の大きな建築を設計することが増えてくるのである。

続いて、埼玉県川口市にて設計中のYさんの家のリフォームについて。Yさんは僕が茶道を習っている社中の先輩である。今回はお嬢様の結婚、出産に伴い、昔御両親が住んでいた旧家をリフォームしたいという計画だ。小さな家が建つくらいのご予算でのリフォームだけに慎重に設計を進めていきたいと思う。

午後、宮大工の鈴木さん来社。東京都豊島区にて計画中の本納寺本堂屋根工事についてのご相談である。屋根の葺き替えといっても数千万円の大工事である。お寺をすっぽりと覆う素屋根足場が500万円・・・・、とにかく価格の感覚が住宅と異なるのである。宮大工の世界、と許されていた時代はそれでよい。そういう時代は寺に布施がたくさんあったのだろう。しかし今はそうではない。無駄なお金は使わずに、次の時代に引き継ぐものを作らなければいけない。さてさてどうするか。まずは足場と解体くらいは住宅の価格で行なわなければいけないだろう。大工さんはやっぱり宮大工が良い。これを妥協したらもう寺ではなくなってしまうような気がする。屋根工事、増築した新しい部分はそのままにしようか。ジャンルは変われど、僕はいつもコストダウンの工夫をしているのである。

2017/06/05

朝礼終了後、埼玉県東松山市にて設計中のKさんの家のスタディー。減額案の提案内容の精査や、耐震等級3を満たすための壁の配置計画についての考察等を担当の渡辺君と一緒に進める。結果はおおむね良好である。地震が多い日本という国での家づくりは、当然ながらそれに立ち向かうことを前提とした強さを兼ね備えなければならないのだけれど、法律で定められている耐震等級1を満たせばよいという認識は終わり、それ以上の強度を求めるほうが増えてきているような時代である。今回もしかり。あらかじめ多めの壁を配置していたので、等級をクリアすることはできそうである。

最近はなんとなく住宅の依頼が増えているような気がする。土地の価格も上がっているので、低金利の時代に住宅の取得を考えている人が増えているのだと思う。人口が減り、空き家がこれほどまでに問題となっているのに、それでも家を建てる人がいる。僕たちにとってはとてもありがたい話なのだけれど、でもあんまり土地の価格が上がったりの現象は好ましくないような気がする。そしてこの住宅ブームが去った時の静けさもまた好ましくない。景気に波があるのは当然のことだけれど、なるべくなら平準化すればよいのになと思うのである。

以前屋久島に建てた住宅のことを思い出した。通り土間が真ん中にあって、両側にLDKと寝室を配置した。海に面した土地で、山側にはモッチョム岳という山が見えた。当時世田谷に住んでいたMさんご夫妻が移住を決意し、その設計を僕に依頼してくれたのである。内外装には杉の羽目板を貼っている。構造材には無垢の杉材を使用し、大工さんの手刻みによる構造を意匠としてふんだんに表現した。決して豪華ではないけれど、素朴な自然の仕上げをご夫婦ともにとても喜んでくれた。奥様はもういない。数年前にお亡くなりになった。建築したのが2006年だったから10年くらいはこの家に住んだことになる。決して長くはないこの時間を、でもきっと満足して過ごしてくれたと思う。家とは、必要な時に必要なもの、ついつい将来とか老後とかって考えてしまうけれど、まずは今を最高に心地よく過ごすことができる場所でなければいけないのだと思う。

最近の家づくりでは様々な制度が僕たちを惑わせる。クライアントも惑わせる。何が本当に必要で何が心地よいと感じる源なのか・・・。答えが簡単にわかるものではないからこそよく考えたいと思う。

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2017/06/03

今日は一番下の娘の運動会である。子供の運動会を見るなど何年振りかと思うのだけれど、たまたま午前中だけ時間が空いたので足を運んでみた。会場にはたくさんの親御さんがいる。大きなカメラを持った人もいれば、テントの中で本を読んでいる人もいる。最近は運動会の会場にテントを建てるのが流行っているようだ。僕の奥さんも自転車で簡易テントを運んでいた。お弁当屋さんで出前をとって、何人前もの食事を運んでいる人もいた。親戚一同のパーティーでもやるのであろうか。僕はといえば堤防の中断、つまりグランドからは50mほど離れた場所から全体の様子を見渡していた。荒川の河川敷のグランドで、それぞれ思い思いの観戦をしている様子を客観的に眺めていると、いろいろな人のいろいろな思いが見て取れてなかなか楽しいものである。12時ごろまで会場にいて、家に戻った。

午後は東京都町田市にて会合に参加。21時ごろ帰宅。

2017/06/01

今日は思わぬお通夜があった。古くからの地元の知人のお母さんが68歳という若さでお亡くなりになったのである。人の人生というのはわからないものだし、僕だっていつ何があるかわからない。「人生というのは、たまたま今の仕事とか地位とかにいるだけで、それはあくまで仮の居場所であって、いずれは誰かにバトンタッチをしなければいけないのだよ」と教えられたことがある。こういう話を聞くと少しだけ気持ちが楽になる。誰だって将来の不安を拭い去ることなどはできるはずもなく、結局は今を懸命に生きるための教えなのだと思う。

風のうわさでその知人が、お母さまの亡くなる1週間ほど前に、やるつもりのなかった結婚式を家族だけで執り行ったという話を聞いた。もしもそれが本当の話ならとても良かったと思う。そういう気持ちを受けて最期を迎えることができるのとそうでないとでは全く違うだろう。

一期一会という言葉がある。この出会いが、この人生の中でただ一度だけの機会であるかのごとく感じ、ともにいる時間を大切にせよという教えでもあり、今この時を懸命に生きよという教えでもある。僕はこの言葉を幼いころから教えられて育った。共通の知人が多いので、通夜の場でもいろいろな人に出会ったけれど、今日はとても親しい昔なじみの仲間と時を過ごすこととした。もちろんみな共通の知人である。決して届かない思いだけれど、それでも故人を思って一夜を過ごした。

2017/05/31

午前中川口市のグリーンセンター内にあるシャトー赤柴という施設にある、50年ほど前に天皇陛下がお泊りになったという部屋の改修工事に関するプロポーザルコンペのプレゼンテーションに参加。この計画は、50年前に天皇陛下がお泊りになった部屋を展示用に整備するというものである。つまりは小さな部屋の小さなリフォーム、とはいえ展示に耐えうるデザイン性が必要なプロジェクトだ。約20分ほどのプレゼンを終えて終了した。

提案の中で、一部に川口市の鋳物製品を使うことを考えた。川口市というのは昔から鋳物の街で有名なところで、吉永小百合さんの出演したキューポラのある街という映画は知っている人も多いと思う。ちなみに僕の父はその鋳物製品を加工する機械加工業者の息子として生まれ、僕の母は鋳物を作るための木型屋さんの娘として生まれた。僕が小さいころ木型屋さんのおじいちゃんから小学校で使う道具箱を作ってもらった。みんながプラスチックの箱を使っているのに僕だけは無垢材でできた特製の箱を使っているのはとてもうれしかった思い出がある。4年生の時に亡くなってしまったおじいちゃんの思い出は今でもしっかりと僕の中に残っている。

昔はこんな風に鋳物の業界のどこかにかかわっている人が圧倒的に多い町だったのだけれど、時代が変わり工場が海外や地方に移転した結果、関連する零細企業の多くは業態を変えていった。結果、僕は建築をやっている。僕の従妹は、木型屋さんの加工技術を利用して無垢材のおもちゃ屋さんをやっている。ちなみに彼はNHKの番組で手作りおもちゃの指導をするほどの人気者だ。モノづくりの精神はいろんな形に変化して、でもこの町に確実に残っている。こういうものは町のアイデンティティーと言える。とても大切なものである。だから何らかの形で残さなければいけないと思うのである。いろんなものがあふれる世の中である。でもそのほとんどはなくてもよいものに思える。せっかく作るのだから、・・・よく考えて作らなければいけないのだ。

2017/05/30

朝礼終了後、埼玉県東松山市にて設計中のKさんの家の打ち合わせ。今日は3回目の減額調整打ち合わせである。Kさん曰く、まるでダイエットのごとき減額調整、初めは余分な汗がたくさん出てくるけれどだんだんと一滴一滴を絞り出すかのような苦労が伴う。とはいうものの今回も100万円ほどの減額項目を提示することができた。あと一息というところである。次回に向けてまた考えを進めていこうと思う。

午後、設計中の住宅の外壁についてのスタディー。メンテナンスがなるべく必要のない外壁が良いといわれた場合、まず候補に挙がるのがガルバリウムである。この素材はアルミと亜鉛、シリコンからなるアルミ亜鉛合金をメッキした鋼板のことで、錆に強い。耐用年数は30年ほどといわれている素材である。薄い鉄板なので加工性が良く、既製品のスパンドレルのような製品を外壁に貼ることも出来るけれど、板金屋さんに加工してもらって平葺きのような貼り方をすることも出来る。写真はその平葺きの様子である。コーナーのおさまりなどを工夫することでシャープに見せる工夫などができるのが良い。デザイン、性能、コストに優れた素材といえると思う。

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2017/05/28

今日は裏千家の関係で山梨県甲府市に訪れた。甲府に来たのはこれで2回目、どちらも裏千家の、つまりは茶道の関係の行事である。今日の行事は、淡交会という裏千家の人々が作っている団体の50周年事業だ。よくわからないかもしれないけれど、会社の周年事業とか、学校の周年事業とかを思い出してもらえば想像はつくだろう。要するに50年前に、甲府の地で茶道に関係する人々が集まり、ある団体を作った。そしてその団体の活動がこれまで継続していて、その活動の節目を記念してお祝いをしたわけだ。何でお前が呼ばれるのかっていうと、それは僕が同じ団体の埼玉県版の代表者だからである。

今回のお祝いに花を添えたのは、ご宗家の千万紀子様、つまりお家元のお嬢様のご講演であった。すでに結婚を予定しているので、今回が最後のご公務となるとのこと。これまでのこと、そしてこれからの裏千家茶道への思いを語られる中には、思わず涙する場面もあった。伝統の中に生きる方が、一番言いたかったことは「変わるものと、変えてはいけないものをしっかりと見定めてほしい」ということであった。これ、社会の実情と同じである。

昨今、皇室の生前退位の問題が話題になっている。真子様の婚約もしかり。ここまで政治と皇室の見解がかい離し、社会問題となったことは記憶にない。こういう難しい問題に簡単に意見をするつもりはないけれど、でも一つ思ううことは、日本人とは一体何なのだろうかの感覚的な根拠になっている存在のなかで、最も重い存在が皇室であるということ、そしてその皇室も象徴というあいまいな存在のように言われているけれど僕たちの同じ感情を持つ人間であるということである。人間である以上、世の中の様々なことに共感もするし、反発もするし、年齢によってはいろんなことをしたくなったり、したくなくなったり、とにかく感情があるわけなのだ。今の時代の皇室、今の時代の茶道、・・・ともに日本人のアイデンティティーを認識するうえでとても重要なものだと思う。葬式がセレモニーホールでの儀式に代わり、お墓がボタンを押すと回ってくる霊園に代わり、先に言う「変わってよいものと、変えてはいけないもの。」の区別がつきにくくなった現代社会だからこそ、変わってはいけないものの継続のための変化を勇気を持って受け入れるべきなのではないかと思うのである。

変わってはいけないものの継続のために身をささげる人々のことを僕は本当にすごいと思う。そういう人は少ないけれど、でも僕の周りには結構いるのだ。今日もそんな人々に出会うことができた一日だった。そして、とても幸せな気分になることができた一日であった。

2017/05/27

午前中、埼玉県古河市にて計画中のTさんの家、第1回プレゼンテーション。今回は1回目のご提案ということで、二つのパターンのプランを提案させていただいた。初期段階の設計を基本設計というけれど、ますいいリビングカンパニーの場合クライアントからのご要望である程度プランが決まっている場合を除いては、この段階で一つのプランに決めることはなく、ほとんどの場合いくつかのプランを提案することにしている。特に敷地が大きな場合などは、土地に対してどのように建築を配置するかの検討は様々な可能性の中から選択するのであって、まずはフレキシブルに多くのパターンを作り上げてみて、その中から本当に気にいったプランはどれなのかを検討したほうが良いと思う。今回計画地の古河の家は、奥行きが50mもある、とても細長い敷地に計画されている。長さを生かした面白いプランを二つ考えてみた。プレゼンに対するご返答をいただいたら次回の計画につなげる予定である。次のプランが楽しみである。

午後、埼玉県富士見市にて計画中のMさんの家の打ち合わせ。実施設計に移り、プランをどうするかの検討がほぼ終わりつつある。この敷地は公園に面するとても良い景色を持つ。当然その公園側に庭を作るわけだけれど、そちらに向かってキッチンを配置するか、はたまたリビングを配置するかは結構悩むところだ。外部の庭とつながるところにあるキッチンは、まるで農家の台所のごとき趣を持つ。庭で育てたハーブを摘んで、それを台所で洗って・・・のような家事動線にはとても適したプランとなろう。逆にキッチンは奥に配置し、庭に面したところにリビングを配置すれば、普段家族が団欒をするスペースが眺めの良い開放的なスペースとなる。

下の写真では、奥にキッチン点前にリビングの配置をした。リビングは、木製建具を介して庭と連続している。雑誌「住まいの設計」のライターさんであるWさんのご自宅であるこの家は、庭とリビングの程良いつながりが心地よい。どちらが正解ということはない。結局はクライアントの好みに合った暮らし方を探していけばよいと思うのである。

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2017/05/26

朝10時、埼玉県川越市にて計画を進めてきたSさんの家改修工事の契約のために、担当者のテル君と一緒にご訪問。すでに細かい内容について打ち合わせを重ねてきたので今日は契約書の読み合わせから押印までの作業だけを行った。Sさんの家はとても古い木造住宅をほぼ全面的に改修工事をする計画である。本来であればお子様も巣立った後なので、減築をして、ローコストの小さな住宅を作るという選択でもよいのかもしれないし、当然ながらそういうご提案をさせていただいた時もあったのだけれど、結果的には改修工事で進めようという方針に決定したわけである。

そこに至るには様々な理由があろう。すべての心情を理解することはできないけれど、僕が一番強く感じた感情は亡くなられたお父様に対する強い気持であった。そこには、お父様がどれだけ素晴らしい人だったのかが他人の僕にまで伝わってくるような感覚があったような気がした。数十年前に造り、何回かのリフォームを重ね、記憶や物がぎっしりと詰まった家を取り壊すことはできないという奥様やお子様たちの思いを感じるごとに、リフォームを成功させてあげたいという感覚が強くなっていった。

そういえば最近はリフォームの仕事が増えているように思う。別に最近の家づくりが丈夫な建築を供給している結果の変化ではない。だって地築年数が40年とかのとても古い木造建築の話なのである。だから社会の変化とかの大きな話ではなく、ますいいにそういう依頼が増えているという話なのである。

東京都の両国で行ったリフォームの事例を示す。この事例では、ご兄弟で暮らす古い木造住宅を写真のごとくよみがえらせた。住宅はお二人のお父様が、まるで僕のような工務店を営まれていた時代に造ったものだ。天井の高い洋間があったりのこだわりが随所にみられる住宅であった。工事中はいろいろな問題が生じる。柱が腐っている・・・なんていうのは当たり前である。現場の進行に合わせて監督と大工さんが協議を重ね進めていくしかない。ある意味でなるようにしかならない、リフォームの良さでもある現場合わせを繰り返していきながらの結果であるのだ。

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2017/05/25

朝礼終了後、埼玉県川口市にて新築住宅を検討中のSさん来社。これまで何十年も住み続けてきた古家を取り壊して新たな住宅を作ろうという計画である。Sさん自身は仕事を退職してお孫さんの面倒を見たりのゆとりある暮らしをされているとのことである。同居している息子さんとの暮らしがこの先もこれまでと同じように継続することを想定し、より暮らしやすくしたいという思いで考えを進めているということである。

東日本大震災以降、家族が集まって住むという形がとても増えた。それ以前は都内の狭小地に核家族化を象徴するかのような小さな住宅を建築家が作るというようなケースが一つのモデルスタイルのようになっていたが、最近ではそのような事例よりも実家を建て替えたり、実家の一部を取り壊して新しい住宅を造ったり、はたまた実家の敷地の一部に離れを作ったりの計画が目立つようになっている。

Sさん、実はご自身でご希望のプランを書いてきてくれた。少々敷地に収まっていないいわゆる素人プランであるけれど、でもこういうご希望は持っていてしかるべきものだと思う。昔の家づくりでは、素人といってもこうして間取りを書くのが当然で、その間取りを大工さんが住宅にしてくれた。デザインなどというものは介在しなくとも、その地方に伝わる伝統的な工法で作り上げられた。つまりは伝統に裏打ちされた寸法があったのである。

さて、Sさんの図面には寸法がない。ここに寸法を入れること、そしてプロポーションを整えることが設計のスタートである。文字に表すことができなようなクライアントの思いを何らかの形に置き換え、素材を与え、寸法を与えたときに設計が始まるわけだが、Sさんの思いをくみ取ることから始めようと思う。

午後、東京都板橋区にて住宅の建て替えを検討中のSさん打ち合わせ。お嬢さんが重い障害を持っているSさん、今回はそのお嬢さんが一生安心して暮らすことができる住宅を作りたいとの思いで建て替えを検討されている。約2時間ほどであろうか、様々なお話を伺っているうちに求める住宅のイメージが浮かびあがってきたような気がした。帰り際、外出先から戻ってきたお嬢さんにお会いした時、この人のために建築を作ってあげたいという強い思いに駆られた。こういう気持ちを感じさせていただきとても感謝している。

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