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ますいいリビングカンパニーは埼玉県川口市にある注文住宅を作るデザイン設計事務所です。
ローコスト・セルフビルドでよい素材を上手に使い家族が幸せになる、そんな建築を目指しています。

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増井真也日記

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2017/08/10

午前中は埼玉県川口市にて設計中のIさんの家の打ち合わせ。今日は1回目のプレゼンテーションということで、3階建ての木造住宅のプランのご説明をさせていただいた。Iさんの家は僕の会社のすぐ近く、川口駅から10分ほどのところに建つ予定だ。現在はお父様がおひとりで暮らしているところに、息子さんご夫妻が同居して3人で集まって暮らすこととなる。1階にはガレージと弟さんが泊まりに来た時の部屋、2階にはお風呂などの水回りと個室が二つ、3階にはリビングと息子さんが寝ることができるスペースを配置していて、延べ床面積34坪ほどの総3階建ての建築を想定している。プランの説明後、皆で敷地に向かう。お隣の敷地との境界確認や現在のお住まいを拝見させていただき打ち合わせを終了した。次回に向けて第2案を考えていきたいと思う。

明日から1週間の夏季休暇である。一部の現場は作業を行うところもあるが、大体の現場ではお休みとなる。私はというと妻の実家の滋賀県に帰省予定で、今年は京都や奈良を闊歩してこようと考えている。日本建築の原点ともいえる寺院に足を運んでみようと思う。

2017/08/07

朝礼終了後、各プロジェクト打ち合わせ。台風の影響で今日予定していた工事が明日に伸びたなどの報告を受ける。今回の台風も全国各地で大きな被害を出しているようだ。特に滋賀県などでは姉川が氾濫し、これまで経験したことが無いような・・・という本当に最近よく耳にする言葉とともにその洪水の状況が報道されていた。たまたま関東地方には大きな被害が出ていないようだけれど、これはあくまでたまたまである。気まぐれな台風がどこに行くかなど誰にもコントロールできないのだ。

僕が会社に着くころにはすでに雨もやんでいた。台風一過のすがすがしさというよりはあまりの暑さに心が折れる。

夕方は、埼玉県川口市にて設計中のHさんの家の打ち合わせを行った。全部で6区画の土地の一番奥に建つ住宅である。今日で2回目の打ち合わせ。プランを若干変更してのプレゼンテーションを行った。この住宅は司法書士事務所を1階に配置し、2階と3階に住宅を配置している。3階建ての住宅はどことなく縦方向に間延びする傾向があるけれど、今回はこのような倉庫のごときビル型建築とならぬよう、プロポーションを整えつつ住宅らしい優しい設えとすることを心掛けて設計を進めていきたいと考えている。

2017/08/06

今日は朝から成田山にて裏千家の行事に参加した。成田山は初めての訪問である。なんとなく大きなお寺なのだろうくらいの印象しかなかったのだけれど、行ってみると本当に大きなお寺である。歴史を聞いてみると、平安時代の平将門の乱を納めるために開かれたお寺だそうだ。想像をはるかに超える歴史に心から驚いた。そういえば僕の周りの会社経営者の方々の中にも毎年成田山にお参りをしているという話をよく聞く。関東地方を納めるために造られたとても古くからある霊場ということで、足を運ぶ人が多いのであろう。

行事は、子供たちに茶道を伝えるためのものである。茶会の体験をしてもらったり、菓子器を作る体験をしたりの行事を行う中で、参加している大人たちにとってもなかなかの学びの場であることがわかる。茶道なるものが何なのかは僕にもよくわからない。ただ茶を飲むだけの行為をそこまで仰々しくアレンジし、道と名付けて伝えていくに至った本当の理由もわからない。

僕が感じるところでは、日本文化の集大成であるし、ある決まったマナーを身に着ける機会でもある。これまでの人生で着ることが無かった着物とも出会ったし、行ったことが無い成田山に行く機会も与えてくれた。なんとなく京都や鎌倉などの歴史の深い都市との距離が近くなったし、唐津焼や楽焼、萩焼といった伝統工芸にも詳しくなった。花の名前だけはいまだにあんまり覚えることができないのは単純に興味の方向性の問題であるが、四季の移ろいを感じる喜びはこれまで以上に強く感じる。

そして僕にとって何よりもうれしいのは、なかなか体験することができない茶室を直に体感できることである。写真集ではなかなかわからない日本建築の持つ光と影、特に暗い部分の魅力というのは体感したものにしかわからないだろう。光が少しだけ入り込む状態のうす暗い茶室の床に、一輪の椿がおかれている様子などは、明るい光の中で見る椿よりも数倍の生命力を感じる。黒楽のつややかな肌の色も光の中で見るよりもうす暗い中で見るためにあるような気もする。深い軒、縁側、そういう設えの奥にある茶室だからこその陰翳がいかに大切かの気づきは茶室に入ったものにしかわからないのである。

日本を知らない日本人が子供を育てている現代社会である。日本を知ること、つまりは日本人であるというアイデンティティーを感じることが難しい世の中である。観光客向けに無理やりに作られたJAPANではなく、本当の日本の魅力とは何かを知ることは、これからの世界を生きていく何かを身に着ける事でもあると思う。子供たちにそんな機会を提供する事業の意義深さを感じる一日を有意義に過ごすことができた。

2017/08/05

午前中、埼玉県川口市にて新築住宅を検討中のKさんご夫妻打ち合わせ。今日が初めての顔合わせである。なんでも購入した土地が用水路をカバーした遊歩道に面しているところで、その遊歩道を利用して工事をしたり、確認申請を行ったりの変わった土地であるとのこと。しかも他の住宅会社さんがそれらの手続きが困難な状況であるとの説明をしていたりの中で、ますいいならばなんとかなるのではないかということでご相談いただいたわけである。

よろず相談やのごときますいいでは、このようにちょっと困った状況でのご相談が来ることが多い。そういえば埼玉県の川島町に造ったアスタリスクカフェのクライアントが初めてますいいを訪れたときも、1200万円でカフェ兼住宅を作りたいというご要望を様々な住宅会社に相談したけれど、ことごとく断られて、最後の最後にますいいに来てくれたという事であった。このアスタリスクカフェのクライアントのHさんご夫妻は、僕たちが設計を始める前からこういう建築にしたいという理想を描いていた。その理想をスケッチにもしていた。でもその金額でその理想を実現してくれる会社が存在しなかったのである。

僕はそんな相談に弱い。ここで僕が断ったら誰がやるの?誰もやらなければ目の前にいる人たちはどうなるの?そんな状況を目にすると何とか解決策を探して、建築を作ってあげたい、そしてその歩みを前に進めてあげたいと思ってしまう癖がある。そしてアスタリスクカフェも「何とかする」、つまりはセルフビルドを取り入れてコストを調整しながら理想のカフェづくりに協力することになったのである。

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さてさて、川口市のKさんご夫妻の家づくり、まずは土地の状況の調査からスタートである。地元川口で僕ができなければ誰も出来ないと思いつつ、しっかりと調査していきたいと思う。

夜、スタッフの田部井君、和順君、吉村さんの3名を連れて川口グリンセンタービアガーデンへ。ここは、現在工事をさせていただいているシャトー赤柴という施設がある川口市の公園である。シャトー赤柴では、50年ほど前に現在の天皇陛下ご夫妻がお泊りになった部屋を、公開展示できる状態にリニューアルするための工事を行っている。基本的には現状維持、美化という内容の小さな工事だけれど、ますいいが行う初めての設計施工プロポーザルコンペの成果ということでしっかりと進めていきたいと考えている次第である。

建築家の仕事の一つには、「街を作る」という大切な一面がある。「街」とは、単なる構造物のことだけではなく、コミュニティー等も含めた大きな意味での街を示す。だからますいいでは商店街の活性化プロジェクトにも参加し続けている。ますいいで運営しているRDRギャラリーも、そこを拠点に魅力的な街づくりの一端を担いたいという思いでスタートした活動だ。そんな仕事の意義など語りながら、ワインを飲みすすめるうちにみな上機嫌で酩酊である。21時過ぎ自宅に戻る。

2017/08/03

朝礼終了後事務所にて雑務。

10時ごろ、埼玉県川口市にて進行中のIさんの家の改修工事現場にて作業立ち合い。今日の作業は鉄骨造の床に新たな開口をあける工事である。狭い現場の中で溶接やらの作業を行うとあって十分な注意が必要だ。16時ごろ、無事に開口部を作る作業を終えて帰事務所。

2017/08/01

今年も早くも8月に入った。真夏の現場は暑くて大変だけれど、これを過ぎると秋が来るわけで日本の四季の移ろいを強く感じるところでもある。日本という国はこの四季があることが何よりもの魅力ではないかと思う。季節ごとに気温が変わり、梅雨や台風などのうっとおしい時期をそう感じながらも、それが過ぎるすがすがしさを感じ、時とともに変化する花や木々の色彩や香りを楽しむことができる。もしも同じ季節がずーっとつずくような国だったら、それはどんなに味気ないことか。毎年なんとなく桜の開花を待ちわびるような気分が、日本的な感情を育んできたのだと思う。

夜、建築士事務所協会暑気払い。地元の設計事務所さんが一堂に集まりよもやま話である。今日はあんまり遅くならないうちに帰ることにする。

2017/07/30

日曜日。今日は新潟県十日町市までの小旅行。最近は建築見学を含めた小旅行によく出かける。まずは、越後松之山森の学校「キョロロ」なる施設を訪問した。この施設は2003年に手塚貴晴氏によって設計されたもので、コールテン鋼の外壁に、もともとそこにあった棚田に沿ったラインを移したという蛇型の平面形態を持つとても印象的な建物である。くねくねとした長い通路のような屋内を移動していると、大きく切り取られたシーンに出会うことができる。全体の形状がまるで一つのアート作品のような一種異様な建築である。

こうした建築が作られて十数年後、どのように地域になじみ、どのように利用されているのかを見る事はとても面白い。全く利用されなくなってしまっているような頭でっかちなものもあれば、上手に使われ続けている施設もある。そこには建築のデザインだけではない何かが作用していて、その何かがうまくかみ合った時に上手に利用される建築となる。僕の地元にも、市民にすごく愛されている図書館があったり、あんまり利用されていないメディアセンターがあったり、その違いは決して建築のデザインなんかではなくって、プログラムとか立地条件とか、つまり建築という行為に入る前の段階で決まるものもあるのではないかと思う。でも、少なくとも僕はこの建築を見るためにわざわざ200キロも移動してきたわけであるから、やっぱりそこには建築の力というものも侮れない存在としてあるわけだ。

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こちらは巨匠、原先生の作品である。キナーレなる現代美術館の四角形の真ん中にある水盤では、あろうことか水と戯れるイベントが開催されている。設計の趣旨とはちょっと違うかもしれないけれど、建築ってこんなものだよねの笑みが漏れる、そんな光景であった。

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2017/07/28

朝10時、東京都豊島区にて計画中の本納寺屋根葺き替え工事についての現地調査。お寺の本堂の屋根は約100年周期で吹き替えなどのメンテナンスを行うらしい。このお寺は築年数が90年ほど、そろそろ屋根の吹き替えの時期である。数年後に日蓮上人の生誕800年を迎えるということで、それまでには完成をさせなければならないプロジェクトである。

今日は耐震計画を含めた下見を行った。寺院などの伝統建築に対して行う耐震診断は限界耐力計算といって通常の木造住宅などに適用している手法とは異なる。この限界耐力計算という手法では、木造の仕口の強度なども計算に入れるため筋交いの無い既存の寺院などでも、ある程度の強度を認めてくれる。ゆえに改修計画をしたら全方位壁だらけという風な結果になることが無い。つまりは寺院としてふさわしい意匠も保つことが出来る手法なのである。

この手法、当然ながら関西のほうが普及している。京都、奈良といった伝統建築をそのまま保存したいという願望の強い地域ほど普及している手法なのだ。というわけで今回もそれを行う構造設計士さんも関東の人ではなく関西から招くことになった。建築の種別は千差万別、僕はふさわしい治療法を考えることができる町医者のような存在でありたいと普段から思っている。驚くことに関西から招く構造設計士さんの費用は関東の構造事務所に依頼するよりも安い。宿泊費なども含めてもそのほうが安いのである。コストは普段どれだけ類似した仕事を経験しているかの慣れにも左右されるものだけれど、関東よりも関西のほうが安いという事実もまた適材適所の妙なのである。

14時、埼玉県川口市にてリフォームの計画をしているYさんご家族打ちあわせ。古い木造住宅をリノベーションして、フランス人のご主人が営むフランス語教室を含んだ若い夫婦のための新居に作り替える計画である。今日はパースなどを使用して内装のイメージについての確認作業を行った。

Yさんの古いご自宅、実は純和風のしつらえをしている。この純和風のしつらえを北フランス風、つまりは漆喰の壁やグレーの石屋根、窓には木製のガラリ戸がついているようなイメージに変換するというのが強いご希望である。一部増築を行うことで既存にはそれほど手を付けずにイメージの変換を行う計画である。これからしばらくはこの作業が続くことになるであろう。

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2017/07/26

朝7時過ぎ事務所にて、埼玉県富士見市にて設計中のMさんの家について和順君とミーティング。見積もり作業についての確認を行ったのであるけれど、これがなかなか大変な作業である。コストを抑える見積もりというのは、どこの部分をどういう風に作るからこれだけ安くなるという風に作り方までイメージをしないと前に進まないわけで、どうしても経験による部分が必要となるのである。いくらでもお金を使えるのであればよいのだけれど、Mさんの家は1700万円を目標として設計を進めてきたのだ。ローコストで、しかも自然素材などを生かしながら、こだわりのこもった良い家を作ろうというプロジェクトである。少しでも目標金額に近づくように継続して作業を進めていきたい。

10時、埼玉県川口市にて新築住宅を検討中のIさんご夫妻打ち合わせ。現在お父さんが一人で暮らしている住宅を取り壊し、新しい家を作ろうという計画である。敷地はとても小さな狭小地、いわゆる狭小住宅である。1階にガレージが欲しいということで、おそらく3階建てになることが予想される。まずは敷地を拝見し、プランニングを進めていきたいと思う。

狭小地といって思い出すのが東京都板橋区に造った4コハウスだ。この住宅では20坪の土地に1フロアが8坪の木造2階建てを作り、その下に鉄筋コンクリートの地下室を作っている。地下室は条件を満たせば容積率には算入されないという緩和規定があるのだけれど、それを利用して建蔽率と容積率が40%-80%という厳しい土地で、豊かな生活空間を確保することに成功している。今回の狭小住宅ではどのようなプランを作ろうか、この先がとても楽しみなところだ。

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15時、埼玉県さいたま市にて進行中のYさんの家の現場管理など。

2017/07/25

夕方、東京都豊島区にてご両親の暮らす住宅の2階に子供世帯のための2世帯住宅を作りたいというSさんご家族打ちあわせ。なんだか先日伺った話とまったく同じような話である。こういう仕事の依頼はなぜか同種のものが続く傾向があるので面白い。きっと同じ時代に暮らす同じ世代に、同じような発想が生まれる傾向があるのだろうと思う。Sさんの家では2階部分に直接上がることができるような玄関を増築することを計画している。この増築が既存部分にどのような影響を及ぼすのかが焦点に当たる。構造の縁を切り既存部分を現行法に合わせることを求められないようなストーリーで進めることができれば計画が進行していく可能性があると思うのでまずはこの点から確認していきたいと思う。

2017/07/24

10時、埼玉県川口市にて既存住宅のリフォームを検討中のTさんご家族打ちあわせ。ご実家にお子様世帯が移り住み、2世帯住宅にしたいというご相談である。2階に暮らす予定のお子様世帯のために新しいキッチンやお風呂などの水回りを整備する。集まって住む、これまで核家族化でバラバラになっている家族が再び一つの場所に集まるというケースが震災以降はとても増えている。親子同居の程よい距離感と安心感を得ることができるような家づくりを考えていきたいと思う。

17時、埼玉県川口市にて家づくりを計画中のHさんご夫妻打ち合わせ。今回は2回目の基本設計打ち合わせである。事務所兼住宅ということで面積配分などをアレンジしながらプランの検討を進めている。次回で実施設計に移れるであろう。

2017/07/23

今日は妻と次女を連れての小旅行。水戸から福島県楢葉町の見分ツアーに出かけた。水戸を訪れるのは初めてである。今日の目当ては水戸偕楽園と水戸芸術館だ。 偕楽園は、水戸藩第九代藩主徳川斉昭によって造園された庭園である。今でいう市民公園のようなものだけれどそのスケールには驚かされる。園内には好文亭なるコミュニティー施設がある。斉昭自身が設計をした木造3階建ての建築で、詩歌などを楽しむ場であった。

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邸内に入ると日本建築独特の暗さがある。谷崎潤一郎の陰翳礼賛にあるようななまめかしい暗さが心地よい。思わず廊下に正座をして庭を眺めたくなる。庇や渡り廊下を通り過ぎて入り込むわずかな光が、素朴な砂漆喰や和紙の壁を照らし、ふすまに描かれた絵を照らす。ほのかに浮かび上がる絵は、美術館で見るそれとはまったく違うのである。

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下の写真の部屋は板張りの広間である。天候の関係であいにく雨戸が取り付けられていたけれど、この扉がもしなかったら床と天井に切り取られ、柱で区画されたこの景色は均斉の取れた素晴らしいものであっただろう。床板が黒光りする様子、これこそ無垢材の経年美化である。

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歩みを進めると、面白い仕掛けがあった。これは昔のリフトである。ここに酒などを入れて3階にいる客や主人に届けたそうだ。天井には滑車、下の階には白い箱があり、床に開けられた穴を通して上下階の運搬を行ったという。自由な発想を建築に取り入れる様子が何ともほほえましい。

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偕楽園はあいにく梅の季節ではない。青々とした竹があったが、それを楽しむ風流はまだ備わっていない。というわけで次の目的地、水戸芸術館へ移動した。この建物は水戸市制100周年を記念して作られたもので、100mの塔を持つ施設である。あいにく現代アートギャラリーは改修工事中で見ることができなかったが、塔のほうには上ることができた。エレベーターでゆっくりと上昇していくと地上86mの展望台につく。じっとしているとゆったりと揺れるのがわかり、改めて高さを感じる。1990年台に完成したこの建物は、建築家 磯崎新が80年代に設計した。当時の文章に80年代の磯崎氏の設計に対するスタンスが書かれている。
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幾何学的なベースは変わらないけれども、そこに建築の歴史を参照することによって建築的なふくらみを与えたいということがあって、建築的なディテールや部分的な装飾であったり、また材料の扱いや建築の形式そのものでもあったりしますが、つまり、抽象形態と歴史的な建築の参照とを組み合わせた性格をもっていて、それが私の80年代の仕事だろうと思うんです。それが水戸の芸術館の設計にかなり明瞭に現われているというふうに思います。
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今日の水戸芸術館では地元の団体によるミニサッカー大会が開催されていた。なんだかよくわからない仮装の道具などもあったし、微妙な格好をしたチアガールのごときご婦人もいた。周辺を歩いてみると決して成長する都市には見えないけれど、東京から程よく離れる地方都市の文化的拠点としての役割を確実に果たしているように思えた。

続いて楢葉町へ向かう。いわきまでは高速道路で移動して、そこからは海沿いの道を走った。2012年に来たときはJビレッジのある広野町までしか来ることはできなかったが、平成27年9月5日午前0時に、楢葉町に出されていた避難指示が解除されたことで出入りが自由となった。避難指示が解除されて約2年、町がどのように復興し変化しているのかを見たくて訪れたところである。道路を走っていて初めに驚いたのは海が見えないことである。本来は海が見えるはずのところに高くそびえたつ防潮堤の姿は、ベルリンの壁やイスラエルの壁を思わせる無機質な気持ち悪さを感じた。この壁が海岸線に住む人の命を守るのは理解できるけれど、それでもこれでよいのかの疑問を感じざるを得ない。まだ行ったことはないけれど、ほかの地域でも同じような工作物が作られているのであろうと思う。古くから歌に詠まれてきたような日本の海岸線の豊かな風景はいったいどこに行ってしまうのか。それをなくしてもまだ日本といえるのだろうかの複雑な心境である。

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道路沿いには多くの宿舎や事務所が立ち並んでいる。そのほとんどは建設会社のものなのだけれど、これほどまでに多くの職人さんや建設機械などが集まっている様子を見たことはない。きっと戦後の高度成長の時代などがこんな状況だったのだろうななどと思いつつ、建設労働者向けの民宿などが妙ににぎわっている様子に何となく違和感を感じた。

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いたるところに黒い幕、これはきっと除染作業の結果生まれた放射能の混じる土を集めているのだと思うけれど、本来であれば日本らしい田園風景が見られるはずのところに黒光りする幕が張られている様子はまだまだ復興が進まない様子、というよりはいったいこれをどこに運ぶというのかという不安を思わせる光景であった。誰だってほかの街で出た放射能を自分の街に持ってこられたくはないだろう。どこか一部の区域を決して人が戻ることのない場所と定めて集積するのであろうかとも思うけれど、それを言い出す政治家は相当の勇気がいるであろう。保障の問題もある。この先どうなるのか、見守っていきたいと思う。

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突然現れた新しい街並み。平屋の住宅が立ち並び、診療所や保育園などが整備されている。敷地の中に車が止まっているので、すでに住んでいる人もいるようだ。昨年末に売り出しが開始されたコンパクトタウンとのことだけれどどこまで機能しているのだろうか。

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町の中には放射能値を示す看板がある。埼玉県と比べると格段に高い数値である。何をもって安全なのか、あとは個人個人の判断に任されるのだろう。古い住宅街に行くと、住民がいなくなり放置された住宅が目に付く。いまだに多くの方がいわき市などに避難している状況というが、果たしてどれだけの人がこの場所に戻ってくるのだろうか。5年ぶりに来た原発の被災地だけれど、現地でしか感じることができない感覚がある。犬の散歩をしている年配の男性には何人か遭遇したが、日曜日ということもあってか女性や子供の姿は一人もみることはなかった。丘の上にある運動公園は広大な敷地に造られた立派な野球場とサッカー場であろうか、そこにはひとりの人間もいなかった。過疎化が進む農村でもこれほどまでに人の気配がない場所は少ないだろう。放射能という見えない恐怖の力を感じざるを得ない一日であった。

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2017/07/22

午前中は事務所にて各プロジェクト打ち合わせ。来週打ち合わせ予定の埼玉県川口市にて設計中のHさんの家のスタディーなど。Hさんの家は土地の購入を終えて、いよいよ設計に入ろうという段階である。僕の会社から歩いて3分ほど、つまりは本当に目と鼻の先での新築工事ということで、やはり良い家を作りたいと思う気持ちが大きくなるものだ。工務店というのはやはり地元で仕事を頼まれなければならないものである。なぜなら地域に信用されてこその仕事だからだ。Hさんの家、来春には竣工するであろうこの家が良い家になるよう設計を進めている。

夕方、ますいい農園にて畑作業。夏になると雑草との戦いが始まる。どれだけ抜いても生えてくる生命力にはほとほとあきれてしまうけれど、この生命力があるからこその地球、生命が生きられる状態が作られたのだなあなどと考えればそれもまた仕方がないのかもしれない。

畑には写真のごときトマトやらの野菜ができている。家の冷蔵庫にはトマトがたくさん、もはや食べきれる状態ではない。今年はマリーゴールドも植えてみた。こうして花を育てるなど生まれて初めての経験だけれど、なかなか良いものである。

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2017/07/21

朝礼終了後、埼玉県東松山市にて設計中のKさんの家の打ち合わせへ。今日は現場に行く用事があったので、Kさんのご自宅での打ち合わせである。ますいいリビングカンパニー初のZEH、つまりゼロエネルギーハウスである。このゼロエネルギーハウスというのは、あらかじめ定められた基準値以上(Ua値 0.6以下)に断熱性能を高めた住宅で、消費エネルギー量とソーラーパネルによる発電などにより生み出されるエネルギー量を比較した時に、消費エネルギーのほうが少ない状態になっている住宅である。制度普及の段階なので助成金ももうしばらくは続くことが予想される。こういう新しいことへの挑戦はクライアントの意志があってこそできるものなので、Kさんにはいつもながらに感謝感謝である。

終了後、現場にて縄張り作業をおこなう。炎天下、汗をかきながらも1時間ほどで終了した。

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2017/07/20

朝礼終了後、事務所にて各プロジェクト打ち合わせ。12時、裏千家東京道場にて好日会に参加。好日会というのはいわゆる茶会のことである。少人数、といっても200人ほどであろうか、こじんまりと開催される茶会なので一席当たり20人ほどの客しか入ることが無い、いわゆるプライベートな茶会に近い雰囲気のとても良い会である。もちろん僕は、こんな由緒正しき会合に参加する会に正式に加入している会員ではないのだけれど、今回は筑波大学の石塚修先生からのご招待を受けてお邪魔させていただいた次第である。石塚先生は、日本文学や日本語を専門としている方で、僕の日記に記載される茶道関係の記事で誤った記載があると、その誤りを指摘してくれるとても頼りになる先生である。今日はその石塚先生が濃茶席で席主を務めるということである。楽しみに席入りすると、ご本人が濃茶のお点前をしてくれた。やはり本人が点ててくれるお茶はなんとなく気持ちがこもっているようでありがたい。もちろん僕は正客ではないので、水屋から持ち出された濃茶をいただくわけだけれど、それでも目の前で席主が茶を点ててくれたということになんとなくありがたさを感じるのである。

男性で茶道に携わる人には大概何らかの思いがある。僕の場合は自分自身が作り上げる建築を通して日本の文化を次の世代に伝えていきたいという思いを茶道に関連させているけれど、石塚先生は国語とか歴史とかを学生たちに教えているわけだから、自分自身が教える教科書の中のことと、現実の生々しい身体の動きや客との関係がある茶道を関連させているのであろうと思う。頭の中で考える世界を習得するだけでなく、いわゆる文化的な営みに中に自分自身の体を実際に埋めてみて動いてみて感じることでしか理解ができないこともあろうという感覚なのである。

夕方18時ごろ事務所に戻る。しばしの雑務の後帰宅した。

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