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増井真也日記
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増井真也日記

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2017/05/14

日曜日。11時新宿パークタワーにあるオゾンにて東京都荒川区にて計画中のSさんの家のプレゼンテーション。スタッフの柳沢君と二人で会場に入るとすでにSさんご夫婦とオゾンの担当者さんがスタンバイされている。今日は初回のプレゼンということで、1/100の図面と模型を使用しながらのご提案をさせていただくこととなった。

今回の計画は狭小地に建つ木造3階建てである。クライアントの要求に従って道路からガレージと玄関の入り口を確保しようとするとおのずと壁量が少なくなるので、鉄骨造にしたり、門型フレーム構造にしたりの工夫をしたくなるプランであった。構造を変更すれば当然コストがかかる。どれくらい増額になってしまうかの予測も含めて、比較検討できる資料を提出させていただいた。

僕は特に構造的な必要がなければ、木造住宅が最も人の暮らしにあっているものだと思っている。コンクリートの塊の中に暮らしたりの行為は、なるべくならしたくない。木に囲まれていたほうが気持ちよいに決まっているのだ。でも構造的な要求、つまりは鉄骨造などを利用したほうが安心して暮らすことができるであろう建物を作らなければいけない場合は話は別だ。私の事務所のように鉄を主要構造部に利用して、間柱などは木を利用する方法などもあるので、構造家と相談をしながら。最適な構造を探していくこととしたほうが良い。果たしてどうなることか、この先の進行が楽しみである。

12時過ぎ終了。せっかくの日曜日ということで一緒に来ていた妻と娘と合流し、まずは昼食へ。知人の彫刻家、高野さんが台東区のギャラリーで展示をしているのでそちらへ向かうことにしていたのだけれど、途中ホテルニューオータニのビュッフェスタイルのハワイアンレストランにて食事を摂ることとした。別に決めていたわけではない。ただとても懐かしくって思わず入ってしまっただけである。実は僕と妻もそして僕の両親もこのホテルで結婚式を挙げた。だから何だといえば何もないのだけれど、この古いホテルが僕にとってはなんとなく特別な場所で、たまたま前を通りがかると、そして時間があるときには何となく入りたくなってしまうのである。

16時、上野のギャラリーにて久しぶりに高野さんと再会。もう10年ぶりくらいであろうか。変わらぬ笑顔を見ることができてよかった。

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2017/05/13

朝礼終了後、埼玉県川越市にて設計中のSさんの家の打ち合わせ。今日は工事請負契約前の最終確認のための打ち合わせということで、これまでの減額提案に基づく設計変更をすべて反映させた図面と、1/30の模型を作成し確認作業を行った。

この計画は築数十年は経っている、とても古い木造住宅のリフォーム計画である。普通ならば建て替えをしてもおかしくないところだけれど、その家に対する思いを大切にするためにリフォームを行うこととなった。今回の計画では当然ながら構造的な補強工事を中心に行い、それに加えて間取りの変更を伴うリフォーム工事を行うこととしている。この手の複雑な工事では、求められるコストとやりたい工事の量を調整する作業はとても難しい。打ち合わせの結果、一部の仕上げを漆喰にするかクロスにするかといった細部を除いては、すべての方針を決定することができた。いよいよ工事、出来上がりが楽しみである。

13時ごろ事務所に戻り、各プロジェクト打ち合わせ。温かくなるのと同時にプロジェクトも動き出している感がある。

2017/05/12

午前中は新たに家づくりを検討されているという方からの電話対応や面会を行う。一日に二人の新規お問い合わせというのも珍しく少々あたふたという感じであった。

板橋区で住宅の建て替えを検討されているSさんとは来週16日のご訪問をお約束した。Sさんのお嬢さんは障害を持っているそうで、階段ではなくスロープで上下移動できる建築をご希望されているということ。どのような住宅になるか、まずは来週お話を伺うことにした。

続いて埼玉県さいたま市にて土地の購入を検討しているSさんご夫妻来社。なんだかごつい人だなと思っていたら警視庁のお巡りさんであった。ごついはずである。購入を検討している土地は擁壁のあるがけ地、購入後に多額の費用を要することが予想される。設計者判断が許される2m未満の崖なのだけれど、その高さが1.6mということだから何もしなでよいのかどうかが悩ましい。感覚的に安全といえる高さを超えている場合は、その安全性を確かめたくなるのが技術者というもので、そうすると間違いなくコストがかさんでしまうのである。アドバイスの結果、土地購入は見送ることになり、今後の土地探しのお手伝いをさせていただくこととなった。背中を押してあげることができなかったのは残念だけれど、やはりここは冷静にとどまることも必要である。

昼過ぎ、模型室では埼玉県伊奈町にて工事進行中のWさんの家の模型作成が進んでいる。大工工事も佳境になり、現場の細かい造作の形状確認などを模型で行っている。写真は模型製作中の林君。なんだかとても楽しそうである。

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2017/05/08

休み明けの再スタート。仕事モードに切り替わっていく自分がなんとなく楽しく感じる。やっぱり5日も休んでいると仕事が恋しいのはみんな同じであろう。誰かの役にたつことを行うことが仕事であると僕は考えているのだけれど、誰かの役にたつ時間を過ごすことは自分自身にとっても最高の時間であるのだと思う。

午前中は各プロジェクト打ち合わせ。まずは、埼玉県東松山市にて設計中のKさんの家の減額案作成作業について渡邊君と一緒に打ち合わせを行う。続いて、知人が川口市内の土地を購入したいという連絡をくれたのでその土地についての調査を行う。どれくらいのボリュームの住宅を作ることができるかの検討なども行ったが、希望する面積の住宅を作ることができそうであることが分かった。

埼玉県の古河市にて設計中のTさんの家の敷地である。奥行きが50mもある細長い土地、昔ながらの商店街の一角ということでとても特徴的だ。こうして敷地模型を作ってみるとその形状に改めて驚く。日本の住宅地の形状は面白い。それぞれの地域にそれぞれの歴史があり、その歴史の中で作られてきた自然発生的な形状なのだ。

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15時、川口グリーンセンターにあるシャトー赤柴の現地調査。川口市が所有する古い公共建築の中の一部の部屋を、展示室として利用する計画に対するプロポーザルコンペ提案を行うための調査である。この部屋は50年ほど前の国体の時に現在の天皇陛下がお泊りになった経緯がある。このことを記念して、広く市民に開放される展示室とする計画というわけだ。部屋一つの小さなリノベーション計画であるけれど、初めての公共建築ということで楽しんで取り組みたいと思う。

2017/05/06

昨日の山行の疲れで足がひどい筋肉痛だ。階段の上り下りもまともにできない程である。ここまでなるのは何年ぶりだろうか。たかだか5時間弱の工程でここまでなるのはあまりよくないから、もうしばらくトレーニングを続けることにしよう。半年も続けることができればだいぶましになるだろう。

連休も終わりに近づいてきてだいぶ頭の中に仕事のことが浮かび上がるようになってきた。建築を作るという行為は仕事のモードの時だけに何かをすればよいというものでもなく、例えば山を歩いている時にふと思いついたことが設計に生きてきたりする類のものだから当然といえば当然である。自然の中に身を置いていると、建築の初元のようなものを思う。ヘンリー・D・ソローの森の生活の中という本がある。この人物は1800年代の半ばのアメリカにおいて、ウォールデン池のほとりに自ら建てた小屋で2年3か月の間、施策と労働と自然観察の日々を過ごした人である。今の日本社会の中でいうと、山小屋の管理をしている人の生活に似ているかもしれない。あこがれるけれど、そうそうできるものでもない。僕の知る限り、燃えてなくなってしまった長野県の入笠山荘がこのソローのイメージに合っていた。詩人の尾崎喜八氏から小屋を買い取り、山小屋を経営していた小間井さんのイメージである。

森の生活の中の一説にこんな文章がある。

「暖房について
いよいよ煙突を作ることになって私は煉瓦工事の勉強をした。私の使用する煉瓦は使い古しのものだから鏝できれいに磨き立てねばならず、そのため煉瓦と鏝の性質を人並み以上に学ぶことができた。・・・実際はかなり慎重に仕事をしたので、朝地面から積み上げたのに、夜になっても床から数インチの高さまでしか積めなかったので、寝るときに枕代わりになるというありさまだった。」

暖房を手に入れるための煙突工事に関する記載である。この感覚は僕たちの生活の中にはすでにない。復活させようと思ってもなかなかできるものでもない。時間がそれほどゆっくりと流れていないのである。亡くなった小間井さんの小屋には手作りの暖炉があった。渡り廊下を登っていくと天空につながりそうな露天風呂があった。どれも手作りだから今にも壊れそうだった。亡くなる数年前にすべて燃えてなくなってしまったからもう見ることはできない。家は何のために造るのか。自分のための時間が流れる場所、自分のペースの時間が流れる場所、自分のペースで時間の流れをコントロールできる場所・・・、現代社会における自分自身のための住宅の意味、そんなことをふと考えてしまったお休みであった。

2017/05/05

連休3日目。部活や塾で忙しそうな子供たちをほったらかして海外旅行に行けるわけもなく、かといって何もしないのも嫌なので、今日はたまたま休みのとれた二人の娘と妻と一緒に奥多摩の三頭山に上ることにした。中3の長女は本当は部活に行きたそうだったけれど、半ば無理やり連れていくことに。こうして一緒に過ごせる時間は短いのだ。それくらいのわがままは許されるだろう。

この三頭山という山は4時間30分ほどの短いコースタイムだけれど、都民の森から入って奥多摩湖側に下ると最後には浮橋で湖を渡ることができるというなかなかのコースである。この山は日本の山にありがちな杉林ではなく、ブナの森が残っていることでも知られている。緑が濃くなりきる前の新緑の薄緑の葉が、太陽の日に照らされている様子はとてもきれいだ。幸いとてもお天気が良いので空の青ともマッチしている。それにしても久しぶりの運動は足に来る。下り道で震える足を笑いながら、再挑戦を誓う。また山を趣味にしてみよう。中学高校の山岳部のころのようにはいかないけれど、それなりには楽しめる事だろう。

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2017/05/01

朝礼終了後、事務所にて雑務。3日から7日まで5連休とあって、スタッフの表情もいつもより穏やかである。休み前の期待感というのは何歳になっても心地よい感覚である。10時ごろ事務所を出発して、埼玉県伊奈町にて進行中のWさんの家の現場確認へ。今日は大工さんが2階の天井下地の工事を行っている。屋根勾配に合わせた勾配天井の工事ということで、足場を使っての高所作業だ。足場の固定がされていない状況だったので、急遽ゴムバンドを購入し現場に届けた。大工さんには安全に作業をしてもらわなければいけない。そういう状況にするように指導することも現場での大切な仕事である。

1階のリビングには化粧の梁が見えている。米松の梁が並んでいる姿はとてもきれいだ。この後の進行が楽しみである。

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14時ごろ事務所に戻り、東京都荒川区にて計画中のSさんの家の敷地確認へ。柳沢君と二人で20分ほどの敷地見学である。敷地を見ているとなんとなく建物のボリュームが浮かび上がってくるもので、どこにどんな窓があったらよいだとかの基本構図が頭の中で立体化する感覚を持ち帰るように心がけている。いくら平面的な敷地図面を見ていても、やっぱり現地での感覚にはかなわないのだ。

夜、ダニエルキイス「アルジャーノンに花束を」読了。利己的だったり、自己中心的だったり、そういうことが人間を孤立させていく様子などを否定的に描き、障害を持つことで逆に周りとの調和を図りながら仲間を増やす主人公の様子は、いろいろと考えさせられるものであった。自分と重ね合わせることができる存在であるネズミのアルジャーノンに花束を捧げてほしいという気持ちこそが、なんとなく僕たちが普段生きていて忘れがちな感情のようにも思える。この本は読んでみないとどうにも伝えようがない、そんな感覚を含んでいるような気がした。

2017/04/28

今日は10月からますいいの仲間になる予定のIさん来社。Iさんは現在木の家に関する団体の理事をされているかたで、その方面でとても深い見識がある。しかも偶然ながら僕が大学時代に所属していた早稲田大学理工ラグビー部の先輩だ。(というよりは、この関係があるからこそますいいに参加すると決意してくれたような気もする。)現在のところは入社前の体験段階。そこで今日は現在ますいいで興味を持って取り組もうとしている「CLT」に関するアドバイスをいただいた。

CLTというのは木材を直行方向にクロスさせた集成材で、3m×12mというとてつもない大きさまで製作できる。この材料はすでに海外では中層建築物の構造体として利用されており、なんと9階建てのマンションなどでも利用されている。木でできるプレキャストコンクリート構造のようなものであるから、普及が進めばこうした建築物のコストが下がる。そしてさらには日本の林業の再生にも貢献できるかもしれない。今まさに国が力を入れて取り組もうとしている構造体なのである。

この材料、実は耐力壁が取れない木造住宅の構造体として利用ができる。いわゆる木質ラーメン構造の薄肉版である。しかしながら現段階ではコストが高すぎるということでなかなか普通の住宅に利用できる段階ではないし、このコストの問題がどこまで解決できるかの道筋も見えてはいないようだ。どれくらい高いかというと、普通の30坪程度の在来木造住宅と比較した場合、800万円ほどは高くなってしまうようである。これでは普及は無理である。

ではどうやってコストを下げるか、これは林業家と製造工場の問題となる。林業家の販売価格を下げることは林業への圧迫につながる。ここにジレンマが生じる。林業再生の起爆剤となるはずのものが、林業家を圧迫する。つまりは林業そのものの産業構造を変革するなどの工夫と合わせていかなければ、実現させることができない理想であるというのが現実なのである。

いろいろ問題はある。でも普及する気配もある。現段階では助成金を利用した計画だけが先行しているけれど、いずれは自己資金による計画も走り出すであろう。10年ほど前にプレカットが爆発的に普及したように、新しい木造の形となるかもしれない夢を感じるのである。

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(CLT協会HPより)

夕方、渡邊君と一緒に埼玉県東松山市にて設計中のKさんの家の減額案スタディーを2時間ほど行う。こちらはまだまだ長い道のりである。引き続き作業を進めていきたいと考えている。

2017/04/27

朝礼終了後、埼玉県川越市にて設計中のSさんの家、打ち合わせ。今日は見積もり調整最終打ち合わせである。予算オーバーをどこまで縮小するかの検討を続けてきたけれど、ようやく工事に進むことができるラインまで持ってくることができた感である。こういうものはどこまで減額をしたら終わりということが決まっているわけでもなく、建築の計画と価格を吟味し、これだけのお金をここに支払うことに対する納得をできるかどうかの検討を繰り返し、最終的に納得ができたときが終わりの時となる。細かい部分では、既存の下駄箱を再利用するから家具工事代が数万円安くなるとか、既存のふすまを利用するから建具工事代が数万円安くなるとか・・・一つ一つは細かいことだけれど積もり積もって数百万円の減額を検討した結果の工事スタートとなるのだ。

価格調整をスタートした時はたいていのクライアントはわけがわからない状態となる。しかしながら僕が作った減額案を説明すると、「あっ、こういう風に金額が決まっていて、こういう風に安くなる可能性があるんだ・・・」ということに気が付く。そして次にはクライアントの側からの減額案までもが出てきたりもする。今回もそれで収納が二つ減ったりもしたけれど、もしもどうしても必要だと思ったらまた戻せばよい。大切なことは、クライアントの立場に立ってお金の使い方をクライアントと一緒に真剣に考えること、そして少しでも無駄をなくすことなのである。

帰り際、たまたま僕が今読んでいる本と同じ本が棚の上に置いてあることに気が付いた。ダニエル・キイス「アルジャーノンに花束を」。表紙に描かれている花束の絵が印象的な本である。Sさんも好きな本だとのこと。それにしても珍しい偶然である。なんだかちょっとうれしい出来事であった。

夕方、埼玉県加須市にて新築住宅を検討中のNさんご夫婦来社。土地の購入し、これから新たな家を作ろうという新婚さんである。今日が初回の面談ということで、まずは家づくりの流れをご説明させていただいた。

2017/04/26

この仕事をしていて本当に良かったと思うことがある。それはクライアントに心から喜んでもらうことができたと感じるときだ。先日弊社のスタッフを卒業した中村君に対して、こんなメールが送られてきた。彼は結婚を機に実家のある京都に帰っていった。そしてこのメールの送り主は、彼が最後に担当した現場のクライアントである。

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昨日の写真をお送りします。忙しい中お運びいただきありがとうございました。

まだ片付けきらず即席のおもてなしではありましたが、この家の居心地のよさを一緒に味わっていただけたとしたら嬉しいです。

理想以上の素敵な住まいを実現して下さってありがとうございました。どう言葉を尽くしても感謝を伝えきれないのがもどかしいですが、田村さんと中村さんと一緒に家づくりが出来てほんとうによかったです。

中村さんのこれからのご活躍や楽しい家庭生活を、家族一同心から応援しています。

この家は東京の我が家だと思って、ご家族と一緒にいつでも遊びに来てくださいね^^
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5年間ほどの在籍であったが、このような実績を残すことができてきっと中村君も満足であったと思う。京都に行ってさらなる修行を積むといっていたけれど、その先の人生がとても楽しみだ。取り合えずは次に京都に行く8月にでも会ってみるとしよう。

2017/04/25

朝礼終了後、埼玉県東松山市にて設計中のKさんの家の打ち合わせ。今日は第1回目の見積もり調整である。前回よりもコストを下げた項目を説明する増減比較表を見ながらのご説明である。2時間ほどの時間をかけてコストダウンのご提案を行った。

帰りがけの車の中で、昔造らせていただいた船橋の家について話をした。この家は住まいの設計のライターをしている方の住宅である。この住宅についての記事をますいい本の中で書いたので下に記す。

「僕は建築の仕事をしている人から家づくりを頼まれることが多いのだけれど、それにはある共通した理由がある。大手のゼネコンマンもいれば、ハウスメーカーの営業さんもいて、はたまた設計事務所に勤務している人もいるのだけれど、とにかくみんな同じ理由で僕に依頼してくれている。それは「クライアントの希望するデザインとはなんであるのかをクライアントと共に考え、そのデザインを実現させるために設計を行い、作る段階においてはクライアントの特性に合わせて、セルフビルドや施主支給などのさまざまな条件を取り込んだ自由な家づくりをさせてくれるであろう」という理由である。

Wさんも、同じ理由で僕に依頼してくれた。仕事柄、たくさんの建築を、しかも著名な建築家からハウスメーカーまで、とにかく飽きるほど見てきている人である。そんなWさんが希望したのは、Wさんにとって、ちょうど良い家、程よい住宅であった。僕も元来、住宅は住みやすいことが一番であると考えている。ギャラリーのごとき空間では、毎日の生活で息が詰まってしまう。買ってきた雑誌や読みかけの本、子供の学校のものがリビングに転がっているのは当たり前。もちろんたまにはすべて片づけるのだけれど、すぐにまた散らかり始める。多少の雑多な光景、混沌とした様相があっての住宅である。だからこそ住宅はそれを許容するものでなければならない。

この住宅には僕の大好きなリビングがある。このリビングには大きなから傘のような屋根がかかっていて、それを太い柱が支えてくれている。台所との境目にある段差を利用して、ダイニングテーブルは台所側から椅子で、リビング側からは座布団で利用するようになっている。だからこのから傘の下の空間は座布団で利用する。この空間の利用の仕方に特段のルールはない。どうにでも利用できる場である。庭と柔らかくつながりを持って、食事の場ともつながっていて、家の動線の中央に位置していて、みんなが通り抜けて、とどまる場である。そんな場所を象徴的な場とすることで、家族を柔らかく包み込んでくれるような住宅を作りたかったのである。

Wさんはこんなことも言っていた。建築家が建てる家は建築家の思いが一貫されているので無駄が無いし、統率されている。しかし、工務店さんが造る家には、施主のやりたいことと工務店のやりたいことが家の隅々に散りばめられている。どこか統一感が無いし、綺麗に納まっていないところも出てくる。私はこの部分こそが魅力であり、面白く感じる。

僕も、建築家がこの家はこうあるべきと考えてクライアントの要望は二の次になっている家は好きではない。そこには住む人がいてそこを訪れる人や周り住んでいる人もいるこれらの人々のことを考え、相談し、考えを伝え合って家という建築は造り上げられるものだと思うのである。そう考えるとクライアントとの相性というのは本当に大事なものだと感じる。この家では、クライアントの望むものと僕が必要だと思うものがそれぞれ混在しつつも共存していると思った。この一つ一つの要素が過ごしていく中でこれから一層溶け合っていくのが楽しみである。」

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見積もり作業や設計作業を通して、一つの住宅を完成させていくわけだけれど、忘れてはいけないのはクライアントにとって何が良い住宅かを熟考することだと思う。そしてそれがうまく言った感覚をこういう風に思い出すことはとても大切なことだと思うのである。東松山の家もクライアントの満足へ向けてさらなるスタディーをしていきたいと思う。

2017/04/24

朝礼終了後、埼玉県富士見市にて設計中のMさんの家の打ち合わせ。今日はMさんのご自宅での打ち合わせである。現在のお住まいを拝見することで、どんなものがあるか、どれくらいの収納量が必要であるかという情報を得ることができる。そして何よりもどんな雰囲気が好きなのかという感覚的なものを直に体感することができる。住宅設計というのはとかく個人のプライバシーに踏み込むもので、そうでないと本当の意味で相手のことを思う設計などできるはずもないのである。12時ごろ帰宅。

2017/04/22

午前中は東京都豊島区にてマンションのリフォームを検討中のWさん打ち合わせ。山手線の大塚駅にほど近い築15年ほどのマンソンで新しい生活のイメージを膨らませる。あらかじめご希望のリフォーム案のごときものはいただいていたので、まずはそのご希望を伺う。お話を一通り伺った後は、マンションのリフォームの事例をまとめた事例集を見ながらの事例紹介である。限られたスペースの中で何ができるかの工夫は、多くの建築家によって試行錯誤が繰り返され、その作品事例は多岐にわたっている。ますいいではその事例をスタディーし、クライアントが自分のマンションのリフォームの手法を自ら選択できるカタログのごときものを作成しているので、まずはそれをご覧いただきながらご詩人の家のリフォームについて夢を膨らませていただくことにした。

終了後、スタッフの柳沢君の結婚式に参列するために群馬県高崎市へ。高崎というのはなんとなくご縁がある場所で、裏千家の関係の知人も多くいる町である。この町はレーモンドの建築群があることでも知られており、その中でも僕は旧井上房一郎邸が特に好きな建築であり、これまでも住宅の設計で悩んだ時などには何度か足を運んだことがあるのである。

式は夕方4時よりスムーズに進行。多くの仲間と大切なご家族に囲まれながら幸せそうな二人を見ることができた。

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2017/04/21

朝礼終了後、各プロジェクト打ち合わせ。まずは、茨城県古河市にて計画中のTさんの家のスタディー。Tさんの家は、商店街の中にある道路に面する敷地で、間口が狭くて奥行きがとても長い土地に計画している住宅である。とても長い奥行きをどのように扱うかのイメージを膨らませることがまず初めの段階だ。こういう敷地は建築家にとってなかなかの好材料である。普通ではないという条件が、建築にどのような魅力となって返ってくるかがとても楽しみなところだ。

続いて、埼玉県東松山市にて計画中のKさんの家の見積もり調整作業。渡邊君との二人三脚の作業である。こういう作業は毎日少しづつ進めていくとよい。新しい項目を発見しては、減額の計算をしたり価格の調査をしたりの雑作業が必要となる。そしてまた明日・・・、なかなか終わりの見えない作業なのだ。

夕方より、懐石料理のいただき方講座を主催。地元の若手経営者さんたちで構成している茶道の会のイベントとして講座を開講した次第である。先生には普段からお世話になっている松田先生をお招きし、総勢14名で新宿柿傳の元料理長さんのお料理を堪能した。

懐石料理は、普通の料理屋さんなどで食す会席とは少々違う。まず初めに、向付と飯椀、そして汁椀が載せられたお盆が運ばれてきて、そこにいる人が一斉に箸を取り、ご飯と味噌汁だけを食べるところからスタートする。二つの椀の蓋は両方の手で同時にとり、重ねてわきに置く。ここまでを聞いても知らない人には少々異様な作法である。この料理、じつは茶を飲む前の腹ごしらえである。料理が主役なのではなく、あくまで濃茶といただくための準備であり、豪華すぎる食事は逆に茶の邪魔となってしまう。今日は一汁五采の豪華バージョンであったが、いただき方講座ということで濃茶のほうを省略したので問題はなかった。こういうものも現代の社会の中で自然と失われていく文化の一つであるが、細々とでもよいので受け継いでいきたいものだと切に願う。

2017/04/20

セルフビルドについて考えるときには、必ず石山修武氏の開放系技術を思い出す。石山氏は川合健二という人物を師と仰ぎ、自らの建築を作っている。その石山氏が川合健二の何にそこまでほれ込んだのか。その点についてはこんな風に書かれたことがある。

「どうしても継承できぬことがある。下がりっぱなしの頭が上がらぬことがある。孤立して、しかもあれほど自由に生き抜いた生き方のスタイル、そのものである。川合の生き方の全体は一つの巨大な劇場として表現されていた。管理された組織社会に対して構えられた知覚の劇場である。これは同時にある種の理想的な単独者の尊厳を指示していた。・・・・川合の生き方の全うの仕方、その一部始終を眺め終えて、私が再び学ばねばならぬと考えたのは、単純な一つのことである。川合は、まことに川合らしく、その資質を損なうことなく生き抜いたという事実なのだ。一般論、普遍解の俗論を超えて、川合は川合の私性の尊厳を生き抜いた。

別の言い方に直すと、我々のごとき凡才やら、誰の役にも立つことになる。

建築は、あるいは建築家とはという俗論を超えて、それぞれの人間に固有な私性の具体の中に問題を見続けることの可能性。そのことを彼は示唆し続けてくれていたのではないか。それぞれの人間が、それぞれの私性の中の最大の可能性を発見しようとする努力。それもまた、社会組織の中に合理的に過不足なく生きようとすることと同じに、大事な意味を持ちうるのだということの再認識とでもいおうか。

内的な自由の中にこそ生きよ、と川合は言い残している。生きることの全体こそが最大の表現で、それはほかの何物もはるかに超えて大きいのだと川合は教えた。」


 


さらにこんな記述。
「良き時代のアメリカを代表している思想家に、ヘンリー・ディヴィッド・ソローがいます。森の中に一人で入って、小屋を自分で建てる。さらに、これを建てるのに何円何十銭かかったというような記録を残しながら、2年2か月間をそこで暮らす。その記録からアメリカでよく読まれている「ウォールデン 森の生活」を書いた人です。アメリカの良き時代の精神、開拓者の精神、自立の精神、そういうものを表現しています。」

ますいいリビングカンパニーでセルフビルドをやりたい人たちは少なからず、ソローや川合健二のような自立の精神の持ち主であると思う。決まり切ったハウスメーカーの提供する住宅を買い、一生を縛られる人生なんてまっぴらだという考え、そういうものを持っている人々である。

16年前、この事務所を作るときに資金が底をつき、作り上げた枕木階段。このアイデアはますいい本社を設計してくれた石山先生の事務所の担当者である土谷氏によって生み出された。当時JRに勤めていた土谷氏のお父さんからいただいた枕木を26歳のころの僕と1歳違いの僕とで積み上げ、どうしたら階段になるかの検討を重ねたことを覚えている。

セルフビルド・・・この可能性は追及することをやめてしまえば広がりようのないものだと思う。ますいいで家づくりをする人々が自分自身と向き合うことができるような場面を、私性の尊厳を生き抜けるような場面をもっと考えていきたいと思う。

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