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増井真也日記
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増井真也日記

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2017/08/03

朝礼終了後事務所にて雑務。

10時ごろ、埼玉県川口市にて進行中のIさんの家の改修工事現場にて作業立ち合い。今日の作業は鉄骨造の床に新たな開口をあける工事である。狭い現場の中で溶接やらの作業を行うとあって十分な注意が必要だ。16時ごろ、無事に開口部を作る作業を終えて帰事務所。

2017/08/01

今年も早くも8月に入った。真夏の現場は暑くて大変だけれど、これを過ぎると秋が来るわけで日本の四季の移ろいを強く感じるところでもある。日本という国はこの四季があることが何よりもの魅力ではないかと思う。季節ごとに気温が変わり、梅雨や台風などのうっとおしい時期をそう感じながらも、それが過ぎるすがすがしさを感じ、時とともに変化する花や木々の色彩や香りを楽しむことができる。もしも同じ季節がずーっとつずくような国だったら、それはどんなに味気ないことか。毎年なんとなく桜の開花を待ちわびるような気分が、日本的な感情を育んできたのだと思う。

夜、建築士事務所協会暑気払い。地元の設計事務所さんが一堂に集まりよもやま話である。今日はあんまり遅くならないうちに帰ることにする。

2017/07/30

日曜日。今日は新潟県十日町市までの小旅行。最近は建築見学を含めた小旅行によく出かける。まずは、越後松之山森の学校「キョロロ」なる施設を訪問した。この施設は2003年に手塚貴晴氏によって設計されたもので、コールテン鋼の外壁に、もともとそこにあった棚田に沿ったラインを移したという蛇型の平面形態を持つとても印象的な建物である。くねくねとした長い通路のような屋内を移動していると、大きく切り取られたシーンに出会うことができる。全体の形状がまるで一つのアート作品のような一種異様な建築である。

こうした建築が作られて十数年後、どのように地域になじみ、どのように利用されているのかを見る事はとても面白い。全く利用されなくなってしまっているような頭でっかちなものもあれば、上手に使われ続けている施設もある。そこには建築のデザインだけではない何かが作用していて、その何かがうまくかみ合った時に上手に利用される建築となる。僕の地元にも、市民にすごく愛されている図書館があったり、あんまり利用されていないメディアセンターがあったり、その違いは決して建築のデザインなんかではなくって、プログラムとか立地条件とか、つまり建築という行為に入る前の段階で決まるものもあるのではないかと思う。でも、少なくとも僕はこの建築を見るためにわざわざ200キロも移動してきたわけであるから、やっぱりそこには建築の力というものも侮れない存在としてあるわけだ。

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こちらは巨匠、原先生の作品である。キナーレなる現代美術館の四角形の真ん中にある水盤では、あろうことか水と戯れるイベントが開催されている。設計の趣旨とはちょっと違うかもしれないけれど、建築ってこんなものだよねの笑みが漏れる、そんな光景であった。

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2017/07/28

朝10時、東京都豊島区にて計画中の本納寺屋根葺き替え工事についての現地調査。お寺の本堂の屋根は約100年周期で吹き替えなどのメンテナンスを行うらしい。このお寺は築年数が90年ほど、そろそろ屋根の吹き替えの時期である。数年後に日蓮上人の生誕800年を迎えるということで、それまでには完成をさせなければならないプロジェクトである。

今日は耐震計画を含めた下見を行った。寺院などの伝統建築に対して行う耐震診断は限界耐力計算といって通常の木造住宅などに適用している手法とは異なる。この限界耐力計算という手法では、木造の仕口の強度なども計算に入れるため筋交いの無い既存の寺院などでも、ある程度の強度を認めてくれる。ゆえに改修計画をしたら全方位壁だらけという風な結果になることが無い。つまりは寺院としてふさわしい意匠も保つことが出来る手法なのである。

この手法、当然ながら関西のほうが普及している。京都、奈良といった伝統建築をそのまま保存したいという願望の強い地域ほど普及している手法なのだ。というわけで今回もそれを行う構造設計士さんも関東の人ではなく関西から招くことになった。建築の種別は千差万別、僕はふさわしい治療法を考えることができる町医者のような存在でありたいと普段から思っている。驚くことに関西から招く構造設計士さんの費用は関東の構造事務所に依頼するよりも安い。宿泊費なども含めてもそのほうが安いのである。コストは普段どれだけ類似した仕事を経験しているかの慣れにも左右されるものだけれど、関東よりも関西のほうが安いという事実もまた適材適所の妙なのである。

14時、埼玉県川口市にてリフォームの計画をしているYさんご家族打ちあわせ。古い木造住宅をリノベーションして、フランス人のご主人が営むフランス語教室を含んだ若い夫婦のための新居に作り替える計画である。今日はパースなどを使用して内装のイメージについての確認作業を行った。

Yさんの古いご自宅、実は純和風のしつらえをしている。この純和風のしつらえを北フランス風、つまりは漆喰の壁やグレーの石屋根、窓には木製のガラリ戸がついているようなイメージに変換するというのが強いご希望である。一部増築を行うことで既存にはそれほど手を付けずにイメージの変換を行う計画である。これからしばらくはこの作業が続くことになるであろう。

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2017/07/26

朝7時過ぎ事務所にて、埼玉県富士見市にて設計中のMさんの家について和順君とミーティング。見積もり作業についての確認を行ったのであるけれど、これがなかなか大変な作業である。コストを抑える見積もりというのは、どこの部分をどういう風に作るからこれだけ安くなるという風に作り方までイメージをしないと前に進まないわけで、どうしても経験による部分が必要となるのである。いくらでもお金を使えるのであればよいのだけれど、Mさんの家は1700万円を目標として設計を進めてきたのだ。ローコストで、しかも自然素材などを生かしながら、こだわりのこもった良い家を作ろうというプロジェクトである。少しでも目標金額に近づくように継続して作業を進めていきたい。

10時、埼玉県川口市にて新築住宅を検討中のIさんご夫妻打ち合わせ。現在お父さんが一人で暮らしている住宅を取り壊し、新しい家を作ろうという計画である。敷地はとても小さな狭小地、いわゆる狭小住宅である。1階にガレージが欲しいということで、おそらく3階建てになることが予想される。まずは敷地を拝見し、プランニングを進めていきたいと思う。

狭小地といって思い出すのが東京都板橋区に造った4コハウスだ。この住宅では20坪の土地に1フロアが8坪の木造2階建てを作り、その下に鉄筋コンクリートの地下室を作っている。地下室は条件を満たせば容積率には算入されないという緩和規定があるのだけれど、それを利用して建蔽率と容積率が40%-80%という厳しい土地で、豊かな生活空間を確保することに成功している。今回の狭小住宅ではどのようなプランを作ろうか、この先がとても楽しみなところだ。

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15時、埼玉県さいたま市にて進行中のYさんの家の現場管理など。

2017/07/25

夕方、東京都豊島区にてご両親の暮らす住宅の2階に子供世帯のための2世帯住宅を作りたいというSさんご家族打ちあわせ。なんだか先日伺った話とまったく同じような話である。こういう仕事の依頼はなぜか同種のものが続く傾向があるので面白い。きっと同じ時代に暮らす同じ世代に、同じような発想が生まれる傾向があるのだろうと思う。Sさんの家では2階部分に直接上がることができるような玄関を増築することを計画している。この増築が既存部分にどのような影響を及ぼすのかが焦点に当たる。構造の縁を切り既存部分を現行法に合わせることを求められないようなストーリーで進めることができれば計画が進行していく可能性があると思うのでまずはこの点から確認していきたいと思う。

2017/07/24

10時、埼玉県川口市にて既存住宅のリフォームを検討中のTさんご家族打ちあわせ。ご実家にお子様世帯が移り住み、2世帯住宅にしたいというご相談である。2階に暮らす予定のお子様世帯のために新しいキッチンやお風呂などの水回りを整備する。集まって住む、これまで核家族化でバラバラになっている家族が再び一つの場所に集まるというケースが震災以降はとても増えている。親子同居の程よい距離感と安心感を得ることができるような家づくりを考えていきたいと思う。

17時、埼玉県川口市にて家づくりを計画中のHさんご夫妻打ち合わせ。今回は2回目の基本設計打ち合わせである。事務所兼住宅ということで面積配分などをアレンジしながらプランの検討を進めている。次回で実施設計に移れるであろう。

2017/07/23

今日は妻と次女を連れての小旅行。水戸から福島県楢葉町の見分ツアーに出かけた。水戸を訪れるのは初めてである。今日の目当ては水戸偕楽園と水戸芸術館だ。 偕楽園は、水戸藩第九代藩主徳川斉昭によって造園された庭園である。今でいう市民公園のようなものだけれどそのスケールには驚かされる。園内には好文亭なるコミュニティー施設がある。斉昭自身が設計をした木造3階建ての建築で、詩歌などを楽しむ場であった。

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邸内に入ると日本建築独特の暗さがある。谷崎潤一郎の陰翳礼賛にあるようななまめかしい暗さが心地よい。思わず廊下に正座をして庭を眺めたくなる。庇や渡り廊下を通り過ぎて入り込むわずかな光が、素朴な砂漆喰や和紙の壁を照らし、ふすまに描かれた絵を照らす。ほのかに浮かび上がる絵は、美術館で見るそれとはまったく違うのである。

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下の写真の部屋は板張りの広間である。天候の関係であいにく雨戸が取り付けられていたけれど、この扉がもしなかったら床と天井に切り取られ、柱で区画されたこの景色は均斉の取れた素晴らしいものであっただろう。床板が黒光りする様子、これこそ無垢材の経年美化である。

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歩みを進めると、面白い仕掛けがあった。これは昔のリフトである。ここに酒などを入れて3階にいる客や主人に届けたそうだ。天井には滑車、下の階には白い箱があり、床に開けられた穴を通して上下階の運搬を行ったという。自由な発想を建築に取り入れる様子が何ともほほえましい。

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偕楽園はあいにく梅の季節ではない。青々とした竹があったが、それを楽しむ風流はまだ備わっていない。というわけで次の目的地、水戸芸術館へ移動した。この建物は水戸市制100周年を記念して作られたもので、100mの塔を持つ施設である。あいにく現代アートギャラリーは改修工事中で見ることができなかったが、塔のほうには上ることができた。エレベーターでゆっくりと上昇していくと地上86mの展望台につく。じっとしているとゆったりと揺れるのがわかり、改めて高さを感じる。1990年台に完成したこの建物は、建築家 磯崎新が80年代に設計した。当時の文章に80年代の磯崎氏の設計に対するスタンスが書かれている。
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幾何学的なベースは変わらないけれども、そこに建築の歴史を参照することによって建築的なふくらみを与えたいということがあって、建築的なディテールや部分的な装飾であったり、また材料の扱いや建築の形式そのものでもあったりしますが、つまり、抽象形態と歴史的な建築の参照とを組み合わせた性格をもっていて、それが私の80年代の仕事だろうと思うんです。それが水戸の芸術館の設計にかなり明瞭に現われているというふうに思います。
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今日の水戸芸術館では地元の団体によるミニサッカー大会が開催されていた。なんだかよくわからない仮装の道具などもあったし、微妙な格好をしたチアガールのごときご婦人もいた。周辺を歩いてみると決して成長する都市には見えないけれど、東京から程よく離れる地方都市の文化的拠点としての役割を確実に果たしているように思えた。

続いて楢葉町へ向かう。いわきまでは高速道路で移動して、そこからは海沿いの道を走った。2012年に来たときはJビレッジのある広野町までしか来ることはできなかったが、平成27年9月5日午前0時に、楢葉町に出されていた避難指示が解除されたことで出入りが自由となった。避難指示が解除されて約2年、町がどのように復興し変化しているのかを見たくて訪れたところである。道路を走っていて初めに驚いたのは海が見えないことである。本来は海が見えるはずのところに高くそびえたつ防潮堤の姿は、ベルリンの壁やイスラエルの壁を思わせる無機質な気持ち悪さを感じた。この壁が海岸線に住む人の命を守るのは理解できるけれど、それでもこれでよいのかの疑問を感じざるを得ない。まだ行ったことはないけれど、ほかの地域でも同じような工作物が作られているのであろうと思う。古くから歌に詠まれてきたような日本の海岸線の豊かな風景はいったいどこに行ってしまうのか。それをなくしてもまだ日本といえるのだろうかの複雑な心境である。

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道路沿いには多くの宿舎や事務所が立ち並んでいる。そのほとんどは建設会社のものなのだけれど、これほどまでに多くの職人さんや建設機械などが集まっている様子を見たことはない。きっと戦後の高度成長の時代などがこんな状況だったのだろうななどと思いつつ、建設労働者向けの民宿などが妙ににぎわっている様子に何となく違和感を感じた。

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いたるところに黒い幕、これはきっと除染作業の結果生まれた放射能の混じる土を集めているのだと思うけれど、本来であれば日本らしい田園風景が見られるはずのところに黒光りする幕が張られている様子はまだまだ復興が進まない様子、というよりはいったいこれをどこに運ぶというのかという不安を思わせる光景であった。誰だってほかの街で出た放射能を自分の街に持ってこられたくはないだろう。どこか一部の区域を決して人が戻ることのない場所と定めて集積するのであろうかとも思うけれど、それを言い出す政治家は相当の勇気がいるであろう。保障の問題もある。この先どうなるのか、見守っていきたいと思う。

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突然現れた新しい街並み。平屋の住宅が立ち並び、診療所や保育園などが整備されている。敷地の中に車が止まっているので、すでに住んでいる人もいるようだ。昨年末に売り出しが開始されたコンパクトタウンとのことだけれどどこまで機能しているのだろうか。

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町の中には放射能値を示す看板がある。埼玉県と比べると格段に高い数値である。何をもって安全なのか、あとは個人個人の判断に任されるのだろう。古い住宅街に行くと、住民がいなくなり放置された住宅が目に付く。いまだに多くの方がいわき市などに避難している状況というが、果たしてどれだけの人がこの場所に戻ってくるのだろうか。5年ぶりに来た原発の被災地だけれど、現地でしか感じることができない感覚がある。犬の散歩をしている年配の男性には何人か遭遇したが、日曜日ということもあってか女性や子供の姿は一人もみることはなかった。丘の上にある運動公園は広大な敷地に造られた立派な野球場とサッカー場であろうか、そこにはひとりの人間もいなかった。過疎化が進む農村でもこれほどまでに人の気配がない場所は少ないだろう。放射能という見えない恐怖の力を感じざるを得ない一日であった。

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2017/07/22

午前中は事務所にて各プロジェクト打ち合わせ。来週打ち合わせ予定の埼玉県川口市にて設計中のHさんの家のスタディーなど。Hさんの家は土地の購入を終えて、いよいよ設計に入ろうという段階である。僕の会社から歩いて3分ほど、つまりは本当に目と鼻の先での新築工事ということで、やはり良い家を作りたいと思う気持ちが大きくなるものだ。工務店というのはやはり地元で仕事を頼まれなければならないものである。なぜなら地域に信用されてこその仕事だからだ。Hさんの家、来春には竣工するであろうこの家が良い家になるよう設計を進めている。

夕方、ますいい農園にて畑作業。夏になると雑草との戦いが始まる。どれだけ抜いても生えてくる生命力にはほとほとあきれてしまうけれど、この生命力があるからこその地球、生命が生きられる状態が作られたのだなあなどと考えればそれもまた仕方がないのかもしれない。

畑には写真のごときトマトやらの野菜ができている。家の冷蔵庫にはトマトがたくさん、もはや食べきれる状態ではない。今年はマリーゴールドも植えてみた。こうして花を育てるなど生まれて初めての経験だけれど、なかなか良いものである。

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2017/07/21

朝礼終了後、埼玉県東松山市にて設計中のKさんの家の打ち合わせへ。今日は現場に行く用事があったので、Kさんのご自宅での打ち合わせである。ますいいリビングカンパニー初のZEH、つまりゼロエネルギーハウスである。このゼロエネルギーハウスというのは、あらかじめ定められた基準値以上(Ua値 0.6以下)に断熱性能を高めた住宅で、消費エネルギー量とソーラーパネルによる発電などにより生み出されるエネルギー量を比較した時に、消費エネルギーのほうが少ない状態になっている住宅である。制度普及の段階なので助成金ももうしばらくは続くことが予想される。こういう新しいことへの挑戦はクライアントの意志があってこそできるものなので、Kさんにはいつもながらに感謝感謝である。

終了後、現場にて縄張り作業をおこなう。炎天下、汗をかきながらも1時間ほどで終了した。

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2017/07/20

朝礼終了後、事務所にて各プロジェクト打ち合わせ。12時、裏千家東京道場にて好日会に参加。好日会というのはいわゆる茶会のことである。少人数、といっても200人ほどであろうか、こじんまりと開催される茶会なので一席当たり20人ほどの客しか入ることが無い、いわゆるプライベートな茶会に近い雰囲気のとても良い会である。もちろん僕は、こんな由緒正しき会合に参加する会に正式に加入している会員ではないのだけれど、今回は筑波大学の石塚修先生からのご招待を受けてお邪魔させていただいた次第である。石塚先生は、日本文学や日本語を専門としている方で、僕の日記に記載される茶道関係の記事で誤った記載があると、その誤りを指摘してくれるとても頼りになる先生である。今日はその石塚先生が濃茶席で席主を務めるということである。楽しみに席入りすると、ご本人が濃茶のお点前をしてくれた。やはり本人が点ててくれるお茶はなんとなく気持ちがこもっているようでありがたい。もちろん僕は正客ではないので、水屋から持ち出された濃茶をいただくわけだけれど、それでも目の前で席主が茶を点ててくれたということになんとなくありがたさを感じるのである。

男性で茶道に携わる人には大概何らかの思いがある。僕の場合は自分自身が作り上げる建築を通して日本の文化を次の世代に伝えていきたいという思いを茶道に関連させているけれど、石塚先生は国語とか歴史とかを学生たちに教えているわけだから、自分自身が教える教科書の中のことと、現実の生々しい身体の動きや客との関係がある茶道を関連させているのであろうと思う。頭の中で考える世界を習得するだけでなく、いわゆる文化的な営みに中に自分自身の体を実際に埋めてみて動いてみて感じることでしか理解ができないこともあろうという感覚なのである。

夕方18時ごろ事務所に戻る。しばしの雑務の後帰宅した。

2017/07/19

午前中、東京都東村山市付近での新築住宅を検討中のIさんご家族打ちあわせ。Iさんは大学で社会科学を教えている方で、僕の日記をだいぶ前から見ていただいていたということである。つたない文章を書き続けてきたけれど、本当に感謝感謝、うれしい限りである。まだ土地の購入前ということなので、今日は土地の購入に際しての考え方や注意点、進行方法などについてのお話をさせていただいた。

Iさんが作りたい住宅は1700万円ほどの小さなローコスト住宅である。1700万円での家づくり、こういう感覚はとても良いと思う。日本の住宅は高すぎる。土地も高い。この高すぎる住宅を手に入れることで、長期的なローンに縛られ、生活の自由を奪われる理不尽に誰もが目をつぶってしまっている。家づくりは巨大なマーケットだから、多くの企業が多くの広告を行う。大手のハウスメーカなどは震度7の地震を何十回も起こし続けてそれでも倒れない家ですというけれど、何十回も震度7の地震が起きていたらすでに日本がどうにかなってしまっているであろう。火災が起きれば火災報知器が義務付けられ、地震が起きれば過剰な構造となり、窓や断熱の性能も上がり続けて、とにかくローコストの思考とはかけ離れた方向に向かわされてしまっているのが現状だ。

家づくりとはもっと自由でよいと思う。誰かに押し付けられた価値によって振り回されるのではなく、本当に自分にとって大切なものは何かを考え、その部分に限って予算を投じる。そういう風に慎重に事を進めていけばもっと安く抑えることができるはずなのだ。僕の会社には確認申請を自分で出すというクライアントまで現れた。確認申請のセルフビルドである。これは初めての経験だけれど、実はこのクライアントは市役所の建築課に勤めている。つまりは確認申請のプロなのである。「自分で出せばその分安くなるでしょ・・・。」初めて聞いた時は「う・・・・」と言葉に詰まったけれど、今考えると本当にますいいらしいクライアントなのである。僕はこういうクライアントとの家づくりを大切にしていきたいと思っている。この縛られた時代に、自由に生きようとする人たち、そんな自由を家づくりのなかで提供するすばらしさなのである。

2017/07/18

朝一番で、埼玉県川口市にて進行中のIさんの家の改修工事現場へ。今日は鉄骨屋さんの白井さんとの現場打ち合わせである。この現場では鉄骨造の階段を撤去して、位置を変更するというなかなかアクロバティックな工事を進行している。階段の周りを解体していると、突然ALCの壁が現れたりのハプニングを乗り越えながら、ようやく鉄骨の製作のための採寸を行うことができる段階までたどり着いたところである。鉄骨造は木造と違って古い建物でもその構造体がしっかりとしていることが多い。内部結露で錆が発生している軽量鉄骨造の古いハウスメーカーの現場を体験したことはあるけれど、今回のような築年数が数十年程度の重量鉄骨の建物ではさすがにさび程度で構造体が痛むことはない。こういう風にリフォームの仕事をしていると、鉄骨造の強さや信頼性というのにはやっぱり心強さを感じるのである。

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構造体について

住宅には木造が最も適している。コスト、性能、快適さ、何をとっても一番良い。だから僕はいつも木造住宅をお勧めすることにしている。でも、木造が適していない場合もある。例えばすごく細長い土地でしかも間口にガレージや玄関を作る場合がそうだ。こういうバランスの悪い形状の木造住宅では、いくら耐力壁を増やしても本当に信頼できる構造にすることは難しい。玄関の前に筋交いのための壁を配置し、しかもその部分の壁を二重にするために分厚くするなどの事例を見かけるけれど、そのように一箇所に集中的に力がかかる構造では、大きな揺れに遭遇した時に何が起こるかわからない。このような場合は、1階のみを鉄筋コンクリート造にするとか、もしくは鉄骨造を採用するなどが望ましいと考える。下の写真の例では1階のみをコンクリートで作ることで、地震に対する安心感を得ている。この場所は荒川のほとりにあるのだけれど、鉄筋コンクリート造とすることでもしもの洪水時にも家が流されないようにする効果も期待している。つまりは水門の家でもあるのだ。毎週のように自然災害が報じられるが、家は家族の安全を守るためのシェルターでなければならないわけで、だからこそ臨機応変な構造の採用が大切であると思うのである。

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2017/07/15

朝礼終了後、各プロジェクト打ち合わせ。15時より東京都練馬区にて設計中のKさんの家の打ち合わせ。今日は1回目の見積もり調整作業ということで、前回からの減額案をご説明させていただいた。

夕方からの打ち合わせがキャンセルとなり早めに家に帰ることにした。駅前のそごうにある紀伊国屋書店で本を見ること1時間ほど。リアルな本屋さんは僕にとって一番の居場所だ。ネットでは出会うことができない本と出合えた時は何とも言えないうれしさを感じる。受験の赤本を見ていたら、早稲田大学の創造理工学部建築学科の定員が80名になっていたことに驚く。僕のころは250人いたので1/4だ。偏差値も70以上あったのが65になっている。時代が変われば学校の人気も変わるという事なのだろう。建築を作る担い手が減っていく状況はどうにもならないのかもしれない。

夜、思うこと。
少子高齢化の影響だろうか、最近はゴーストタウン化してしまった集合住宅の成れの果てを問題視する声をよく聞く。管理人がいなくなってしまい、浮浪者が住み着きごみが散乱しているような状況で、いつ倒壊するかわからないような危険な物件も多いようだ。すでに所有者が誰なのかさえ分からなくなってしまったりの状況では、住民の3/4の建て替え決議などできるはずもなく、そのまま放置され問題となるのである。

おそらく社会問題化しているという時点でそれを解決しようという研究はすでにされているだろうから、近いうちに不明となってしまった所有者の決議が不要になるなどの法律変更が想定される。そうすればまた同じような再開発が行われ、同じかもしくは規模大きくした集合住宅が作られるのかもしれないけれど、その際にはより慎重な道を選ぶことが求められるような気がする。

最近建築の仕事をしていると、土地の中に埋まっている杭や地下室の壁を壊さないまま販売しているケースを見かける。ここに新たに建築を作る場合にはそうした障害物をよけるように基礎を作るので、技術的には何の問題もないのだけれど、これまた何か心に違和感を感じる事象である。

人口が減少しているということは、土地の使い方を含めて日本人全体の建築に関する考え方を変えなければならないということだ。郊外には郊外としてのわかりやすい余白を残し、自然と人が触れえる場を復活させることも出来るであろう。都市型の農業を行うための小さな農地を増やし、都市生活者でも小さな農家を行うことができるようになるかもしれない。都市や国土をどのように利用するかを考えるときに、少しずつではあるけれど密度を薄めていく方向を向く必要があるような気がするのである。

2017/07/14

朝礼終了後各プロジェクト打ち合わせ。

14時、埼玉県川口市にてリフォームを検討中のYさん打ち合わせ。Yさんは僕と同じ社中でお茶を習っているお仲間で、今回はそのYさんのお嬢様ご夫婦と赤ちゃんが暮らすための家を造ろうというものである。もともとの家は大手ハウスメーカーが作った木造住宅で、Yさんのご両親が暮らしていた純和風住宅である。今回はそこにご主人が営むフランス語教室を増築し、純和風の母屋を北フランスの家のごとき風合いにお色直ししようという計画だ。今日の打ち合わせでも北フランスの風合いとはの議論が飛び交う何とも風変わりな打ち合わせとなったのだけれど、それもご主人がフランス人という条件ならではなのかもしれない。

建築の面白いところは、そのデザインの質によりその場の空気が変わったり、そこにいる人の気持ちが変わったりするところではないかと思う。冷たさを感じるような真っ白なモダンな空間と、緑に囲まれた心なごむ暖かな空間では全く違う気持ちになる。そして、どのようなデザインに対して自分自身が最もくつろぐことができるかの度合いというのは人それぞれ多様であるけれど、それでも人間が心を落ち着けることができる空間というものには何らかの共通点があるような気もするのである。

今から8年程前だろうか、雑誌住まいの設計のライターさんをしている方の家を造らせていただいた時のことを思い出した。多くの建築家や工務店を取材しつくしているいわば住宅鑑賞のプロの方が家づくりを依頼してくれたことはとても印象深かった。30坪弱で2000万円少々の住宅であるが、太い大黒柱を使ったり、檜の階段板を使ったりの素材にこだわった家づくりをしている。そして何よりもこだわったのが、くつろぎの空間をどのように作るかということであった。障子を通してふり注ぐ柔らかい光、空から包まれているような化粧垂木の大きな屋根もそのために造られている。人がくつろぐことができる空間を作る、僕たちにとって永遠のテーマなのかもしれない。

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