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top > 増井真也日記 > 2020/10/8

増井真也日記

2020/10/08

今日は一日中建築のスケッチをして過ごした。午前中は昨日と同じ埼玉県川口市にて進行中のKさんの家。昨日に引き続きリビング、キッチンにある窓枠の意匠、ペレットストーブの配置などについて検討をした。

午後は埼玉県上尾市にて設計中のHさんの家のスケッチである。玄関周りの框や窓、収納家具などについてのスタディーを終え、リビングに配置する大階段の窓や、薪ストーブの上に付ける予定の大きなFIX窓などについて検討をした。

スケッチは肉体労働か頭脳労働か?僕にとっては大した差異はない。建築の世界では設計者として偉そうにしている頭脳労働者が多くの肉体労働者を使っている(僕が最も嫌いな表現だがあえてここでは使ってみよう)のが普通だけれど、そもそも資本主義社会においては。肉体的であれ頭脳的であれ、すべての労働が貨幣価値に変換されてしまっているのだから、区別すること自体に意味がないのだ。あるとしたらどちらかの側に立った人が自分を認めるためのエゴでしかないのだと思う。

もう少し詳しく書くと、資本主義社会において賃金をもらって働いている以上、頭脳労働者としての設計者は決して本質的な指導者的立場にあるのではなく、ただ単に設計という労働をしている肉体労働者と変わりはないのだという事だ。もしかしたら一日中机の前に座っていなければいけない分だけ、体に悪い厳しい仕事ともいえるだろう。ではだれが支配的立場にいるのだろうか。ある一面では大手のディベロッパーであり、ある一面では行政や政治の世界の人たちかもしれない。

昨今の建築現場ではベトナム人の研修生の姿をよく見かける。彼らは一日1万円にも満たない給料で事実上の肉体労働者として働いているのだけれど、同じ労働をしている日本人がその倍以上の給料をもらっているという現実は、労働の種別ではなく、研修生という名のもとに支配されてしまうという新たな階級を生み出している。

世の中はずるいのである。そんなことはわかっているが、でも自由に造りたいものを造りたい。住宅は唯一それが許される世界なのだと僕は思う。そしてそれはクライアントにとっても同じことなのだ。

自分の家を自分で考える、つまりは設計行為を自分自身でも行った建築の現場作業を自分で行うという事は、肉体的でも頭脳的でもない新しい労働の質を生み出す。頭の中から生まれた形を、現実のものとすべく職人さんたちと協働しながら、そして自分の体も動かしながら造り上げる労働は、お金の為の労働ではなく、そしてただの遊びでもない、まさにウイリアムモリスが羨望した景色に描かれた新しいスタイルだ。こういう事を大切にしていくことが人間の尊厳を大切にする事なのだと思う。

202010

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