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増井真也日記

2020年7月アーカイブ

2020/07/28

大工さんを社員化して数年ほど経つ。今では4名の大工さんがますいいで木工事に腕を振るっていてくれる。その中の一人、本間さんは僕が最も信頼する大工さんの一人である。年は60歳ちょっと、人生のすべてを大工としてやってきたプロだ。無垢の板を加工する万能機の小型版を所有しているので、無垢の栗の板などを扉にするなどの仕事を現場でこなしてしまう。もともとは国産無垢材をこだわって使用する設計事務所の仕事をしていたということだが、数年前よりますいいに参加してくれている。つい最近では川口市にある氷川神社さんの「古神札納め所兼トイレ棟新築工事」の棟梁として腕を振るってくれた。この現場では北海道産のオニグルミ(ウェルナット)を使用して、建具を造ったりの造作までやってくれた。本間さんの名言、「僕は腕が良くなんかない。大工として当たり前のことをやっているだけだ。でも当たり前のことをできる大工が少なくなっているんだよね。」この言葉は、本間さんの言葉の中で僕が最も好きな言葉である。腕の良い本間さんが言うからこそ味わいのある言葉なのだ。

昨年より丸太で国産広葉樹を購入している。丸太で購入すると、自分の好きな寸法に製材できる。約1年乾燥させて建築に使用するのだが、自分で製材をした丸太材はいつどこで採れたかもわかるし、とにかく愛着がわく。写真はまさにこれから製材をしようとしているところだ。決められた角度と厚さで鋸が入れられ、板が挽かれるのにかかる時間はほんの数秒だ。すると丸太がまたもとの位置に戻って、そしてまた鋸が入る。この繰り返しである。こういう板を手に入れても、それを加工する人がいなければ意味がない。最近の家造りでは既製品の取り付け係のような大工さんが多くなっているけれど、やっぱり木を扱うことが好きな職人さんが良い。仕事とはいえ、楽しんでやってもらいたい。そのほうがお施主さんにも喜んでもらえるような気がする。一緒に家づくりをいているますいいの大工さんはみんな木を扱うのが好きな大工さんである。腕の良い職人さんと良い材料、僕たちはそういう環境を整えることをデザインすることからしっかりと手がけなければいけないのだと思う。

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2020/07/24

10時より、東京都新宿区にて設計中のHさんの家の打ち合わせ。今日は契約前の見積もり確認、最終的な図面確認などの打ち合わせを行った。今日の打ち合わせでは、床の仕上げ材として杉の厚さ30mmの床板をお勧めした。杉というのはとても柔らかい材料である。どこの地域でも植林されているので全国的に生息している素材ではあるものの、地域によって色合いだったり目の細やかさに特徴があり、特に秋田杉などは赤身の造作材として有名である。床材としても様々な商品が造られており、厚さ15㎜程度の薄板のようなフロアリングもあるのだけれど、その柔らかさゆえにやっぱり床に使用する場合には最低でも21mm以上は欲しいところだ。厚板の場合には、例えばロフトの床などの場合には合板下地や天井をなくして、床板の裏側をそのまま表しにするなどのデザインも可能である。

下の写真は杉の床板で仕上げをした浜田山の家のリビングである。キッチンは左官屋さんが仕上げたモルタルのキッチンだ。杉板の素朴な風合いとモルタルの色合いがとてもよくマッチしており、柔らかいリビングの雰囲気を造り上げている。

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2020/07/23

朝礼終了後各プロジェクト打ち合わせ。

10時過ぎ、東京都杉並区にて計画中のMさんの家のリフォーム打ち合わせ。前回ヒアリングした内容に基づき、カメラマンさんのご主人のスタジオとして週に数日使用する兼用リビングでの、フレキシブルな暮らし方のご提案をさせていただいた。今回のご提案では、面によって仕上げの素材や色を変化させた3種類の可動式家具をアレンジすることで、様々な暮らしのシーンを造ることができるように考えている。僕の知人が運営している撮影スタジオの家具を思い浮かべながら考えてみたのだけれど、職住が一体化したこれからの住まいでは、このような可変性を設計に取り入れることも大切な工夫だと思う。職のスペースとはいうものの常に一定の形を必要とするわけではないし、しかも毎日そこで仕事をするわけでもない。個人で営む職業の場合、Mさんのように月の半分以上は外で撮影を行っているというようなケースも多いということを考えると、一つのスペースの多様な使い方の提案はこれからの大切な要素のような気もするのである。

15時過ぎ、埼玉県川口市にて設計中のAさんの家の打ち合わせ。今日は実施設計の1回目ということで、1/50にスケールアップした平面図と立面図を用いての打ち合わせを行った。

16時30分、スタッフとのバーベキュー。新入社員の歓迎会もままならなかった2020年度のスタートであるが、コロナのことを考えて屋外でのバーベキューを行うことにした。久しぶりの会食であるが、たまには外でもよいものである。早くコロナの影響が収まってくれることを祈りつつ、ようやく新人の歓迎会を開催できたことをまずは良しとしよう。

2020/07/21

朝礼終了後各プロジェクト打ち合わせ。

午後1時より茶道稽古。今日はあんまり時間が無かったので、茶通箱のお点前を1回だけさせていただいた。茶通箱というのは白木の小さな薬箱の中に茶入れと棗の両方が入っていて、お客様から頂いた濃茶を棗の中に入れて持ち出し、濃茶を2服点てるというものである。茶事などに招かれた際に、濃茶を持参・・・、こういうシチュエーションに出会ったことが無いのであくまで空想の世界でしかないのだけれど、きっと格別の濃茶などが手に入ったときなどに持っていくのかなあなどと想像しながらのお稽古を行った。普段の僕にとってみれば、そもそも茶事に招かれることが少ないわけだし、さらに縁のある方から濃茶を手に入れることなど皆無に等しいわけで空想の世界なのは仕方がないのだけれど、でもそういう空想に身を置きながら、現代社会の中で伝統の作法を習得することはなかなか良いものなのだ。

16時、東京都北区にて設計中の木造3階建て耐火建築物共同住宅の打ち合わせ。木をふんだんに使用した共同住宅ということで設計を進めている。いよいよ9月からの工事に向けて進めていきたいと思う。

今日は川口裏路地計画の3つ目の掲示板の取り付け工事を行った。工事場所は本町1丁目商店街の浜田さんの家の前である。浜田さんはこの場所で代々商店を営んでいる方で、ご自身は数年前まで整骨院をやっていた。今ではお店を締めてしまったけれど、アートに精通し趣味の多彩な方なので、町への発信の掲示板を是非取り付けたいということになった次第である。今回の掲示板の素材は山桜。昨年丸太で購入し乾燥させておいた材料で作り上げた。デザインは佐藤研吾氏である。大工はますいいの棟梁・本間さんだ。山桜は栗とはまた一味違う質感で、落ち着いたしっとりとした感じがとても良い風合いである。近所の子供たちがすごいね!!の誉め言葉。早速通学路の子供たちの目に留まったようで何よりの出来事だ。街づくりはこういう一つ一つの積み重ねで進んでいくものだと思う。次は・・・もうすでにほかのプロジェクトもスタートしている。どんどん魅力的な街に変化していくことを期待しつつ、楽しみながら取り組んでいきたいと思う。

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2020/07/20

朝9時過ぎ、埼玉県川口市にて進行中の氷川神社「古神札納め所兼WC棟新築工事」の現場確認へ。今日は左官屋さんが塗り壁の仕上げを始めるにあたって、塗りパターンや珪砂、藁の混ぜ具合についての現地確認を行った。粒の大きな珪砂を混ぜると塗り厚さが増してごてごてとした質感になる。粒の小さな珪砂を混ぜると塗り厚さが薄くなり、金鏝抑えのようなフラットな感じになる。藁は小さく切ったものを使用しているので、粒の大きな珪砂のパターンではそれほど目立たなくなるのだが、それでもなんとなく質感は出てくる。この建築は大地の中から湧き出してきたボリュームの上に大きな屋根がかかっているというイメージでデザインをしているので、壁の仕上げとしては少々ごつごつとした大粒の珪砂の方を選択することにした。工事の方は順調に進み、8月には完成となる予定である。町の人々にお披露目できる日が来るのがとても楽しみだなあと思う。

夕方、群馬県前橋市にて設計中のMさんの家の打ち合わせ。大学時代の親友のご実家ということでしっかりと完成まで進めていきたいと思う。

2020/07/18

今日は妻と妹の真理子が7年ほど前に造った道祖土の家の撮影に出かけた。僕は打ち合わせがあって参加することができなかったのが、とても良い雰囲気の暮らしぶりだったというのでご紹介しよう。住宅自体もだいぶ味が出てきたようである。当時まだ小さかったお子様もだいぶ大きくなった。二人兄弟のお兄ちゃんはクィーンのフレディー・マーキュリーのファンだから髪を伸ばしていてピアノもとても上手に弾くそうだ。(写真の髪の長いお子様がお兄ちゃんである。)日々の暮らしをとても大切にしているTさんご夫妻だからこそ、こうしてのびのびとしたお子様が育つのであろうが、本当にうらやましくなるようなご家族であったという。家は家族が暮らすためのものだ。家族が幸せ肉r差うことができてこその住宅である。造ったときにはわからない未来の幸せをこうして伝えることができる住宅こそ本当に成功した建築作品と言えるような気がする。

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僕はといえば10時より埼玉県川口市にて設計中のKさんの家の最終打ち合わせ。現在は見積もりの最終段階であるが、いよいよ解体工事や水道の引き込み工事といった建築の準備段階に入るところだ。図面習性や確認申請の準備なども同時並行で進行予定。9月の着工を目指して頑張っていきたい。

14時、7年前に1000万円プロジェクトで家を造ったSさん来社。Sさんは都庁に勤める方なので当然もっと予算をかけることはできるのだけれど、家を造って余裕がなくなる現代の家造りに巻き込まれるのではなく、自分らしく楽しめる暮らしに適した家を造りたいということで、数百万円の土地に1000万円の家を造るという計画を立ち上げた。当時の僕もこの計画には大賛成で、実際には1100万円で家を造ることができた。この度増築計画のために隣の土地を購入したということでご相談に来ていただいたのだが、今日は増築計画についての全体的な話し合いを行ったところである。1000万円住宅プロジェクトの第2弾は800万円プロジェクトになった。さてさて次はどんな家が広がることやら‥楽しみなところだ。

2020/07/16

今日は雑誌「チルチン人」の編集長山下さんと、チルチン人工務店の響屋さんの渡辺社長さんが、ますいいリビングカンパニーのチルチン工務店会員入会の審査のために来社してくれた。チルチン人という雑誌は僕が好きなジャンルのことが掲載されていることが多いので、これまでも毎号とまではいかないけれど、大体は目を通したことがある。

昔は山本夏彦さんの工作舎が出版していた雑誌「室内」という有名な雑誌があって、大量生産大量消費社会の流れに反して、こだわりの家具を中心としたモノづくりに焦点を当てた記事を掲載していた。僕は石山修武先生の御縁で山本夏彦さんに一度ご紹介していただいたことがあるので、それ以来愛読書として毎号取り寄せていた。そういえば駆け出しのころに手に職というコーナーで取り上げて頂いたこともあった。

今回御縁をいただいたチルチン人も同様の現代社会に対する根本的な批判の上に成り立っている雑誌のように思えるからこそ、なんとなく僕にとってはあこがれの世界の一つである。

社会というのは現実的な運営をされなければすぐに壊れてしまうことは歴史の中で証明されているわけだけれど、でも目を覆いたくなるような現実の中で理想を追い求める活動をする人というのが一定数いることで、現実が理想に近づくということも確かであると思う。建築家というのは理想と現実のはざまでいったり来たりの存在であるわけだが、やっぱり理想を忘れた建築家に魅力はない。山岡荘八の家康の中に出てくるシーンで、小田原攻めの際に同行した本阿弥光悦が千利休に秀吉や家康の非情なまでの欺瞞に満ち溢れる現実主義に対する批判を問いただしたときに、政治家は明日の理想を追い求めるが、私たちは未来の理想つまり真理を追求する人種であるから相容れるわけがないのだ・・・、というような説明をしていたことを記憶している。チルチン人のような雑誌はまさに真理を追究するために存在しているもののような気がするが、そういう雑誌の持つ理念に少しでも近づくことができることは、より本質的な建築を造ることに必ずやつながると考えている。全国に58社のチルチン工務店との交流の中でさらなる成長を目指していきたいと思う。(審査には無事合格しました。)

2020/07/13

午後より埼玉県上尾市にて設計中のHさんの家の現地確認立ち合いへ。今日は土地家屋調査士さんが入るということで、開発許可申請に必要な情報の打ち合わせを行うために出かけたのだけれど、調査士さんは昔なじみの方のようですでに測量の作業に入っていた。20分くらいの立ち話で説明は終了。来週くらいには測量の結果を頂けるだろうとのことで帰路についた。

帰りがけに昨年作った桶川の家に立ち寄るも不在、そうそう偶然に会えるものでもないのだが、車で10分もかからないような距離なので立ち寄ってみた。この桶川の家には茶室を設えさせていただいたのだが、どんなふうに使ってくれているのだろう。お忙しい方だからなかなか茶会とまではいかないかもしれないけれど、趣味の茶道をやっていてくれればいいなあと思う次第である。

2020/07/12

今日は朝から先生を自宅にお招きしての茶会準備。朝10時にはスタートするということで、5時には起きて掃除をスタートである。

続いて花を生ける。前日に送られてきた花の種類は「桔梗・虎の尾・キリンソウ・針玉アザミ・撫子・半夏生・甘茶・縞トクサ」である。茶室には桔梗・虎の尾・縞とくさを青交趾の鶴首花入れに飾り、それ以外は待合の花器に生けることにした。明智光秀の旗印でもある桔梗の青い花は、その造形がとても美しい。僕はこれまで花を真剣に眺めたことなどほとんどない。だから今朝も恥ずかしながら桔梗ってこんなにきれいな花だったんだ・・・、のすごく初心者的反応なのだけれど、こういう反応を真剣にできるにはやっぱり自分で花を買って自分で生けるという経験をするしかないのだろうとも思うのである。なんでもやってみるに限るのだ。

軸は「流泉為琴」を飾った。濃茶・点心・薄茶のスタイルなので、初めは軸のみ、薄茶の時に床飾りを変えて花と香合を飾ることにした。やっぱり総飾りよりも転換があった方がドラマチックでよい。

お菓子は東松山の清晨庵さんで「浪の花」。お菓子をいただくといよいよ濃茶のスタートだ。

釜の湯はよく沸いている。釜鳴の静寂の中で、僕なりに精一杯お点前をする。濃茶は上々である。だまができないように練ることができると何とも言えない良い気分である。二文字の灰がたは80点というところだろうか。ふじばいと白檀のお香が無かったことは反省である。初めてですべてを準備するのはやっぱり難しかった。棚は日月棚を使用した。太陽と月、そして大地、この組み合わせがなんとなく建築に通じる意思を感じた。茶入れは瀬戸の肩衝、茶は嘉辰の昔、釜は鶴首である。茶杓の銘は「主人公」、自分自身を見つめようというこの言葉は大切にしたい。

濃茶が終わると先生と妻と3人で食事をし、続いて薄茶席に移る。移るといっても同じ部屋、この部屋一つしかないので先ほどの転換である。先生が食事をしている間にこっそりと部屋を抜け出し、茶室に行って準備をする。転換を見て頂いた時の驚く顔を見るのが楽しみだ。このいたずら心は建築の設計と通じるものがある。菓子は朝顔せんべいに波。薄器は吹雪。茶は松柏である。

楽しい時間はあっという間に終わり13時お開きとなった。初めての茶会、しかも一客一亭、そのお客様は先生と決めていた。2010年の秋にたまたま聞いた鵬雲斎大宗匠の講演会で興味を持ち裏千家に入門したから、かれこれもうじき10年が経つ。大震災の前年に入門し、10年後はコロナ騒動の渦中である。人の世にはいろいろとあるものだ。そもそも侘び寂びの茶道が起こった利休のころは戦国の世、それに比べれば現代は平和である。

茶会が終わり少々やすんで、軽いジョギングを行う。お菓子の後には運動をしないとやっぱり体によくないのである。

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2020/07/11

10時、東京都新宿区にて設計中のHさんの家の打ち合わせ。現在実施設計の終盤戦ということで、第2回目の見積もり提示を含めての打ち合わせとなった。仕上げの種類も大方決定したのだけれど、1階の土間仕上げの部分には大谷石を貼ることとなった。大谷石というのは古い塀などに利用されることが多い材料で、栃木県の大谷という町で産出される比較的柔らかい石である。表情が豊かで、とても良い雰囲気になるになるので僕も好きな素材の一つである。ちなみに僕の家のテレビボードは大谷石の上に板を敷いただけの簡単なものなのだけれど、それでも十分雰囲気を出してくれる素材の持つ力には感心させられる。石というのは長い年月をかけて地中で固まってできたもの。だからこそ持っている本物の素材ならではの力なのだろう。

2020/07/10

埼玉県川口市にて進行中の川口裏路地計画にまた新たな依頼が舞い込んできた。川口市の本町1丁目というところにあるとても古い古民家がある。この家はすでにとても丁寧にリフォームをされて、所有者のご家族が暮らしているのだけれど、その隣にこれまた古い離れがあって、同じ敷地には門と倉庫もあり、それらをまとめて登録文化財に指定してもらい、さらには古い離れを利用して魅力的な裏路地づくりにつながる利用を考えてほしいというご相談を受けた。まさに川口裏路地計画にふさわしいプロジェクトになりそうな予感がするのだけれど、果たしてどうなる事やらである。まずは現地の調査などから進めていきたいと考えている。

2020/07/07

朝礼終了後アックプロジェクト打ち合わせ。

13時過ぎ茶道稽古。七夕の今日は洗い茶巾・葉蓋のお点前を行った。洗い茶巾というのはあらかじめ水を張った平茶碗の中に茶巾を入れておき、点前の途中で茶巾を絞るという。暑い夏にふさわしい何とも涼し気なお点前である。葉蓋というのは、水に示した葉を水指の蓋の代わりに利用して、点前の途中でふたを開けるときにその葉を折りたたんで建水に捨てるというものだ。どちらも夏のお点前だから一年に1度しかお稽古をしないけれど、なんとなくこのお点前をやる時期が来たんだなあという自分自身の体に染みついたリズムになっているようだから面白いものである。今の時期は花がないねえ、なんて会話をまさかするとは思っていなかったが、こうして染みついていく季節感こそが、四季の移ろいを大切にする茶道の良さなのかもしれない。

今日は七夕である。いつも商店街で行われる祭りは中止になってしまったけれど、こういう時だからこそ余計に季節感を大切にしていきたいと思うのである。

2020/07/06

埼玉県川口市にある青木の氷川神社さんにて進行中の「古神札納所兼トイレ棟新築工事」の現場が、大工工事を終えて仕上げ工事の段階に入った。

神社の境内に造る建築ということで、地面から湧き出てきたような大らかな大地をイメージさせる平屋の古神札納所兼トイレ棟のボリュームに、大きくて平らな屋根をダイナミックにかける建築とした。約20mの左右に大きく広がる軒裏には杉板を貼り、傾斜を与えた外壁には土壁をイメージした左官仕上げを施している。トイレ棟の内装にはシナ合板にオスモウッドワックス白染という仕上げを採用し、優しいイメージの仕上げとした。屋根の浮遊感を醸し出すために、外壁上部には全周にわたってハイサイドライトを設えている。木製建具やカウンターなどの造作木部には国産材のオニグルミ(ウォルナット)に大工職人の手による丁寧な加工を施し、神社の境内にある付属建築として地域のシンボルとなる建築としてふさわしい意匠を目指している。

竣工まであと2か月ほど、最後までしっかりと進めていきたいと思う。

2020/07/04

ご前中、埼玉県川口市にて設計中のKさんの家の打ち合わせ。実施設計の終盤戦ということで、各所の仕上げに関する仕様の確認や、電気設備図などのご説明をさせていただいた。

午後、埼玉県川口市にて設計中のAさんの家の打ち合わせ。基本設計を終えて、1/50模型を作成したところである。この字型の平面の中心に中庭を設え、すべての部屋から中庭に対して開くことができるプランとなっている。中庭は防犯に配慮し外部からは入ることができないように設えているので、小さなお子様が遊んでいても安心だ。リビングには薪ストーブを設置し、中庭を含むこの住宅の重心のような場所を作り出した。薪を燃やした時に現れる炎を見ながら過ごす時間は、子供たちが成長する中で、とても良い思い出の一ページになるんだろうなと思っている。

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2020/07/02

午前中、僕がまだ30歳のころ、つまり15年ほど前に造った「さんかくの家」の、新しい住まい手となったTさんご夫妻の依頼での、リフォーム工事の現地調査に立ち会った。もともとこの家に住んでいたTさんは(偶然どちらもTさんなのでY・Tさんと書くことにしよう)、めでたくご結婚されて横浜に移住した。せっかく作った家を取り壊すことなく別の住まい手に引き継ぐことができないかというご相談を受けて、募集したところ、一番最初に現地に身に来ていただいたTさんご夫妻が、購入することを決めてくれたのだ。Y・Tさんもこのことにはとても喜んでくれた。すごくこだわって作った薪ストーブも、この先大切に使用してくれる方が見つかったのは本当にうれしいことだと思う。建築とは本来こんな風に住み継がれていくものなのだ。日本の住宅はどうしても短時間で壊されがちであるけれど、これからの住宅はきっとこういう風に受け継がれることのほうがスタンダードになっていくような気がする。こういうことは多分、僕たち日本国民の民度のようなものにもよるのだと思う。ますいいのクライアントには、真新しいものはあまり好きではない、という方が多いが、そういう感覚もまた国民性が洗練されるにつれて醸成される価値観なのだろう。

12時、新しく竣工した川口市役所・市長室を訪問。山下設計が設計を行い、地元のゼネコンが造った作品である。1階は駐車場、2階を主なエントランス階として、洪水時にも機能不全に陥ることが無いように備えている、免震構造を採用した最新式の建築である。なんとなくまだ使いこなせていないような感じだけれど、耐震性が全くないと評価された庁舎から移動した職員さんたちはやっと一安心というところであろう。

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