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増井真也日記

2020年5月アーカイブ

2020/05/31

朝5時頃目が覚める。天気の良い早朝の空気は何よりも僕の心をすっきりとさせてくれる大好物だ。都会の喧騒はまだやってこない。鳥の声が聞こえ、光はまだ柔らかく、空気もなんとなくひんやりとして新鮮だ。こういう時が最も頭のさえる時間だから、読みかけだったフランク・ゲーリーの本の残りを読み進めることにした。7時、ちょっとおなかがすいたので卵焼きとサラダをつくり、パンを焼いて朝食の準備をする。ちょうどよい時間となり、おいしそうな香りが漂いだすと家族が起きだしてくる。

食事を済ませて息子と娘を連れて畑に行く。畑ではかぶと大根がなかなか良い感じに育ってきている。葉ものの野菜はだいぶ虫に食われてしまっているけれど、夏場の葉ものはまあ仕方がない。だってモンシロチョウが数匹、数秒に一回の割合で卵を産み落としていくのである。それがふかして青虫となり、はっぱを美味しそうにむしゃむしゃ食べる。結果的には穴だらけの小松菜ができるわけだが、殺虫剤を使わずに虫を取り除くには根気のいる作業が必要だから、やっぱりあきらめるしかないのである。ジャガイモの収穫時期もだいぶ近づいている。ちょっと土の中を見てみたら握りこぶし位になっていた。来週は少し収穫してみよう。

午後、久しぶりに本屋さんに行って建築の本を購入した。これもまた朝の楽しみのネタなのだ。

2020/05/28

埼玉県幸手市にて数年前に造ったバレエスタジオの敷地の道路を挟んで向かい側の土地に、スタジオの主催者のMさんのガレージが完成した。約30㎡ほどの木造ガレージは、車を一台とめても十分に余裕のある広さとなっている。外壁にはガルバリウムの波板と杉の羽目板を使用し、屋根にはガルバリウム鋼板を葺き、内壁には石膏ボードをそのまま表しで使用している。小さな建築物だけれど、確認申請は必要だから、当然ガレージに適用される内装制限をクリアし、外壁も防火構造の認定のあるものを使用した。この辺は規模の小ささを考えるともう少し自由に造ることができてもよいのではないかと思うのだけれど、建築基準法という細かい法律で規制されているので仕方がないところであった。内装は今後Mさん自身がセルフビルドで仕上げをする予定だ。土地の広さは約50坪ほど、明日深ると舗装は予算オーバーだったので、防草シートを敷いた後に砕石敷きで舗装を施したのだがこれがなかなか良い。

ガレージというのは、男のあこがれの遊び場である。こだわりの車をいじったり、所ジョージさんのようにガレージ自体が巨大な趣味の場所となったり、可能性は無限大だ。さらにこれだけ広い土地もついていたらなんでもできてしまうであろう。実際に僕が訪問した時は、Mさんのご自宅のウッドデッキを解体して再塗装を施すセルフビルドを行っていたのだが、アメリカ帰りのMさんにとってみればこれくらいの作業は当たり前にできてしまうのかもしれない。数年後に遊びに行くのがとても楽しみなところがまた一つ増えたのである。

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夕方より東京都新宿区にて設計中のHさんの家の打ち合わせ。今日は実施設計段階の打ち合わせということで、外観のイメージについてのスタディーに関する報告をさせて頂いた。防火地域の木造2階建てということで、シャッターを利用して防火区画を成立させて、出入り口には木製建具を使用することを提案している。庇や外壁のラインをデザインすることで、壁面に独特の表情を生み出した。今後はこの方向での内装設計を進めていく予定である。

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2020/05/27

10時、埼玉県川口市にて洪水時垂直避難用の設備を計画中のIさんの家にて打ち合わせ。2階にある押入れの一角の床をぶち抜き、1階の居間から2階の押し入れの中に垂直移動、まるで忍者屋敷のような避難方法だが、いざという時には足の不自由なお母さんが最も簡単に2階に上がることができる動線となる。2階の天井にはチェーンブロックが取り付けられて、そこには布製のもっこが設置される。ギリシャの崖の上にあるメテオラの修道院の写真を見ていてふと思いついた垂直避難の方法であるが、押入れの中の移動という何ともロマンチックな手法となった。出来上がりの第一号はまず僕が宙づりになるとしよう。

2020/05/26

朝礼終了後、丸太の搬入作業立ち合い。1年程前に製材した栗・オニグルミ・山桜の板材が、約1年間の乾燥の後に、人工乾燥を経て、プレーナーの仕上げの加工をした状態で搬入されてきた。枚数にして50枚ほどだろうか。まずは値段をチョークで書き込んで、通し番号を振り、在庫の管理ができる状態にする。その後に事前に造っておいた倉庫に運び込んだ。これらの材料は家づくりの中で、キッチンカウンターや階段板、手摺の笠木等に使用される予定である。無垢材ならではの何とも言えない味わいを気軽に家づくりに取り込むことを目的として、丸太から購入したわけだけれど、こうすることで通常の材木屋さん価格よりもかなりローコストで仕入れることができている。来週には来年使用する予定の丸太を8本ほど製材する予定だから、まずはこの丸太をどんどん使用しようと思う。皆さん楽しみにしていてください。

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2020/05/25

午後、埼玉県坂戸市にて進行中だったYさんの家の引き渡しに立ち会い。途中、東松山の清晨庵あんさんに立ち寄り、お菓子を購入。ここは埼玉県で一番おいしいお菓子屋さんである。茶席で使用するお菓子だけでなく、わらび餅などのほかのお菓子もとてもおいしい。遠方なのでそうそう来ることはできないのだが、近くに来た時には必ず立ち寄る、そんなお店である。

Yさんと初めて会った日から考えると2年くらいは経っているのだろうか。東松山に打ち合わせに行ったときに、擁壁の上にある土地の下見を奥様と一緒に行ったり、今の土地の購入の際に住宅ローンで苦労したり、なんだかすごく思い出のあるYさんとの家づくりが今日でひとまず終了した。この家は僕がここ数年来取り組んでいる「小屋のような家」の作品である。リビングにはもちろん薪ストーヴが配置さる予定だ。ストーヴは家の重心となり、家族の意識をいつも一つにしてくれる存在となるだろう。土地の中心には畑ゾーンを設け、建物の形をL字型にして、すべての居場所から畑ゾーンに向かうプランとなっている。平屋部分の屋根の上にはウッドデッキが造られていて、屋根の上で寝転がったりの遊び場となる。家造りにはモルタルやタイルの内装仕上げなどのセルフビルドもふんだんに取り入れた。キッチンの天板には昨年からますいいで行っている無垢材の丸太買いで購入した栗材を使用している。やっぱり国産の広葉樹の無垢材は何とも言えない味がある。今週末からここでの新しい暮らしがスタートするというが、今後の変化がとても楽しみなのである。

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2020/05/22

午前中は東京都新宿にある幸国寺さんにてリフォームの打ち合わせ。このお寺さんは僕の母校の早稲田高校から坂を上っていった先、牛込柳町という駅のすぐ裏側にある。牛込柳町は裏千家の東京道場がある町であもあるので、なんとなく僕にとってはなじみのある場所だ。そんな由緒ある場所にある江戸時代の始まりから続く長い歴史あるお寺さんの敷地には、なんとカエルさんがたくさん生息している。都会の真ん中にあって季節のお花が咲く、まるで時が泊まったような場所なのである。約1時間ほどの打ち合わせの後、実際に工事をしている円通寺さんに立ち寄り事務所に戻る。

2020/05/21

10時より埼玉県上尾市にて設計中のHさんの家のZOOM打ち合わせ。ZOOMでの打ち合わせも慣れてくるとあまり不自由を感じなくなるが、やっぱりたまには顔を合わせてお話ししたくもなるもので、早くコロナが収束してくれないかと願うばかりである。今回は基本設計の数回目である。幅が2730mmもある大きな階段を住宅の中心に配置し、リビングに置かれたソファのような居場所となるような階段を考えている。まずはその第1段、まだ完成形とは言えないけれどなんとなく階段の魅力をつかみ始めているような気がする。次回に向けてさらに良くしていきたいと思う。

15時、埼玉県川口市の本町というところにあるHさんの家にお邪魔する。Hさんはちょっと前まで整骨院を営んでいたかたで、自宅は立派な蔵のある大きなお屋敷だ。その家の前に川口裏路地計画で普及を進めている栗材の掲示板を造ろうということで、今回はその打ち合わせに訪れた。この計画は再開発事業のせいでどこもかしこも同じような街並みになってしまう川口市に、個人の力がみなぎるような裏路地を造っていこうという思いのある有志で集いスタートした。現在は二つの掲示板があるのだけれど、今回はその3つ目の製作となる。デザインを担当してくれているのは建築家の佐藤研吾氏である。今月末くらいにはデザイン案が決まるというので、6月ごろお目見えの予定である。

2020/05/20

10時より、埼玉県川口市にて設計中のAさんの家の打ち合わせ。今日は第1回目のプレゼンテーションである。

Aさんの家では数年前より取り組んでいる「小屋のような家」を設計している。住宅の中心には火があると良い。だからこの住宅でもリビングにはストーヴが設置される予定だ。今回のご提案ではへの字型のプランの中心に庭を配置し、すべての部屋が庭の中心を意識するように配置されている。庭では今現在ほかの土地で取り組んでいる畑作業などが行われる予定だから庭と家とのアクセスはとても重要な要素となる。「小屋のような家」では、農家のようにとまではいわないけれど、畑仕事をした後にそのままキッチンまで直行できるようなプランが良いと思っている。水回りには少々広めのインナーバルコニーと収納スペースを設えることで、家事導線に配慮した設計とした。

2020/05/19

午前中、チェーンブロックを用いて人がぶら下がることができるかの実験を行うためにサトー精工さんを訪問した。この会社は僕の父が代表を務める製作工場なのだけれど、たまたま持っているチェーンブロックを使ってもよいということなのでそれを使用して実験をすることにしたわけである。もちろんチェーンブロックは人を吊り上げるためのものではないのはわかっているし、そういう用途のものを造るつもりはないのだけれど、水害などでどうしようもない時に足の悪いおばあさんをどうしても2階に上げる、つまりは宅内避難をしなければならない時に使用する、本当にどうしようもない時のための設備を造ろうというものである。

先日の事前打ち合わせでは、押入れの床に穴をあけることで縦方向の移動ができるスペースがあることは分かった。2階の天井レベルには梁があるのでそこからチェーンブロックを吊り下げることができる。そして緊急事態にはもっこにのせたお母さんを上の階に避難できるわけである。

昨年の台風では避難をさせることができない体の不自由な方の最後を悲しみの中で向かえなければならなかった事例があったというのはまだ鮮明な記憶である。そしてこういう事例は今後どんどん増えていくことが予想される。エレベーターは作れない、というか非常事態には停電している可能性だってある。それでも誰かを守らなければならない時に自分の力で人を救えるかもしれない道具、そんなものを備えておくべき時代の工事に備えて検討を進めている。

2020/05/18

事務所に見てみたら嬉しいメールが送られてきた。数年前に造った道祖土の家のTさんからのメールである。この家は僕が小屋の家を造り始めるきっかけとなった住宅で、今でもこのシリーズを造り続けているのだけれど、自分の作風と呼べるような建築の姿がなんとなく現れたきっかけとなる住宅であった。いただいた写真の一部を掲載するので是非ご覧いただきたい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・以下はいただいたメールです。
増井様、和順様

大変ご無沙汰しております。
皆様、お変わりないでしょうか?

ここ2〜3ヶ月で世の中がすっかり変わってしまいました。
私の勤め先も小売業ですので影響は大きく、本当にやらなければならないことが多く、慌ただしい中を過ごしています。

ただ、テレワークの導入などもあり、家で過ごす時間は長くなりました。
外に出ることがままならない状況ですが、住み心地が良く、緑に囲まれて過ごすことができるこの家に住んでいて、心から良かったと思う日々です。
ますいいさんに私たちの様々なわがままを聞いていただき、この家を作り上げていただいたお陰です。ありがとうございます。

久しぶりに家の中の写真なども撮ってみましたので、良かったらご覧ください。
4年が経ち、少しずつ整えてきた庭も手前味噌ながら良い雰囲気になってきたなと思っています。

まだ、掃き出し窓のところの屋根や、ミシン横の棚など、作りたいと思いつつ出来ていないところも多々ありますが、
じっくりと計画して少しずつやっていきたいと思います。

おそらく、世の中全体でコロナ後は家に対する考え方も大きく変わると感じています。
自分が住みたいと思う家について、今まで以上に深く考え、こだわりを持って家を建てたり選んだりする人は間違いなく増えると思いますので、
今は色々な面で大変だと思いますが、ぜひ素敵な家を作り続けてください。

T
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2020/05/17

日曜日。今日は昼頃から畑作業に出かけた。まるで夏のように暑くなってきたが、日差しさえ遮ればまだ何とか過ごすことができる。これが真夏になったらと思うとぞっとするのだが、昨今の高温化の中での夏の畑作業は早朝か夕方しか行うことができなくなってきているように思う。今日は夏野菜の準備も進んでいるのでそれほどの作業はないのだけれど、雑草の手入れをしたり、肥料をまいたりの基本的なお手入れを行った。
昨年から育ててきたニンニクが大きく育ったので収穫をした。全部で40個ほどだろうか。我が家は年に1回の収穫で一年分のニンニクを賄うようにしているが、そのままではもたないのでしょうゆ漬けにして冷蔵庫で保管するようにしている。もしもそのまま保管すると、いずれ芽が出てきて食べることができなくなってしまうのだ。一緒に畑をやっている安江さんからソラマメをたくさんいただいたので今日はこれをつまみにビールでも飲むとしよう。

2020/05/16

朝一番で東京都新宿区にあるお寺さん「円通寺」のリフォーム工事に伺う。今回の工事はご住職として移り住むYさんご家族が暮らす場所を整えるための小規模工事である。今日の作業は大工さんによる床貼工事だ。床材には無垢材の信州カラマツを使用することとしたので、既存のフロアリングの上に一枚一枚丁寧に貼り上げることとなる。1週間ほどの作業の後にはクロスなどの仕上げ工事を行う予定だ。6月中頃の完成を目指していきたいと思う。

Yさんの奥様は八百屋さんを営んでいた経験がある。これがとても素敵な八百屋さんで、様々な雑誌で取り上げられたりの野菜のセレクトショップのようなお店だ。円通寺さんの駐車場の店先で野菜を販売出来たらよいなあ、の思いを実現すべく八百屋さんの設計をすることにした。というわけで今日はお寺さんの机に製図版を持参しての設計作業である。現地での設計作業はとても楽しいものだ。既存建築の寸法を測り、効率的なつくり方を考えながら、店先のイメージを膨らませる。以前営んでいた八百屋さんは有名な建築家の中村好文さんがデザインしてくれたというから、僕もしっかり作り上げていきたいと思う。

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2020/05/14

埼玉県川口市にて進行中の川口氷川神社「古神札納め所及び厠」の新築工事がいよいよスタートしている。神社の境内の中で建築の仕事をさせて頂けるということ自体に、すごく誇りを感じるし、神聖な場所をけがしてはいけないという気持ちにもなる。そしてこういう場所にふさわしい建築の姿とはどういうものかというスタディーを繰り返し、これであれば間違いないだろうという設計をして造り始めた。

神社というのは屋根の建築である。神社ではギリシヤの神殿のごとく、大きな屋根をドーンとかけることで神殿を構築するという、建築として非常に初元的な行為をする。この建築も神社の境内で造るということで、大きな屋根を支えるどっしりとした木造の構造を考えた。今日はその屋根下地の強姦を貼る工事をした。緩い勾配の大きな屋根がもうじき出来上がるところである。

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2020/05/11

朝礼終了後各プロジェクト打ち合わせ。

連休が終わりコロナ対策のステイホームも少々緩み気味になってきたような気がする。非常事態宣言も一部では解除されるようだが、ウィルス対策にも気を付けながら経済活動も徐々に再開していかないと、国家の体制自体の維持ができなくなってしまうということなのかもしれない。そもそもこの国は資源を持たない。食糧の自給率だって非常に低い。そんな国が豊かに暮らしていくためにはやはり仕事をしなければならないということは明白のような気もするのである。

東京都北区にて設計中の木造3階建てアパートについてのスタディー。今は1/50の模型を作成中である。一部に木を使用し温かみのある集合住宅にすることを目指しているものの、メンテナンスのことを考えるとそのバランスに配慮が必要だ。金曜日のプレゼンに向けて作業を進めていこうと思う。

2020/05/09

10時より、埼玉県川口市にて設計中のKさんの家の打ち合わせ。Kさんご夫妻は、川口市にてとある場所にある坂の上の土地を購入した。その土地は隣の土地とは約1mほどの段差があって、2階の床のレベルからはちょうど隣の家の屋根の上の方が見えるような高さ関係となっている。今回はその隣の家の屋根が見えるリビングの中央部分に段差を設けて、長い階段を設置するプランを作成してみた。階段の一部分は座ることができるような設えとしたり、一部分は本棚のように使用できることも考えている。階段に腰かけて南側の屋根の上のそのまた更に向こう側の方まで見渡すことができるような眺めの良い住宅となるように造っていきたいと思う。

2020/05/06

連休最終日。5連休もあっという間に終わりを告げた。名残惜しいと思っていると過ぎ去るのは早いものである。いつもなら家族で出かけたり、もしくは建築の仕事の関係で海外に足を運んだりの予定が入るものだが、今年は本当にずーっと家にいた。世界中でステイホーム、経済的な損失は計り知れないだろう。

だがその一方で大気汚染が改善された等のニュースも耳に聞こえてくるようになった。インドでヒマラヤが見えるようになったのニュースは代表的だけれど、なんでも大気汚染が改善されてしまうと、二酸化炭素による温暖化が大気汚染による冷却効果を超えてしまうために地球温暖化を進めてしまう結果となるというような意見もあるので、これに関しては何が良いのかよくわからないような状況だ。

でも、コロナ対策を経験しているおかげで、僕たちがなかなか行うことができなかった環境対策のうちのいくつかの行動はできるということが明確になったのも事実である。特にテレワークなどは、物理的な人の移動距離を短くしてくれる可能性が高く効果が大きいのではないだろうかと感じる。

僕たちの世代はバブルの崩壊を中学生のころに経験し、社会人になるころには就職氷河期と呼ばれる冬の時代だったし、それ以降目立った経済成長を経験したことはないままに大人になった。安倍政権のアベノミクスなどは特段その効果に実感がなく、一部の人の一部の人種への経済成長なのだろうという程度の関心しかなかった。僕より若い世代は、バブル崩壊による冬の時代ではなく、生まれてきたときから冬の時代の感覚で生きてきている。でも日本という国はそれでも特段困ることなく人が生きていくことができる国、だからそういう環境下でも皆普通に生活してきたわけである。

特に浮き沈みの無い状態、良いのか悪いのかわからないけれど国民が安定して暮らすには困らない状態、こんな時代だからこそ、人々は様々な新しい意識を生み出した。所有しない意識もその一つだ。家を持たない、車を持たない、食料の備蓄なども行わない、結婚もしない、貯蓄もしないし、子どももつくらない、そんな考え方である。例えば住まいに関していうと、住まい自体がふわふわとした意識の上に建ち、人々は都市空間を浮遊するように暮らすことができる・・・、そんな意識的なものへの変化ともいえる。

そういう様々なことがこのコロナで一変している。普通であるということが普通ではなく、業種によっては本当に死活問題にまで追い込まれている状態。いつもの居場所がなくなてしまった状態。いつも普通に手に入るものが手に入らない状態。これまでなかったこの状態にひとたびなってみると、しかも長期的な現象としてこういう状態を受け入れざるを得ないとなってみると、これまでふわふわとさまようように成立していたいろいろなもの・人・コトの関係性が、突然かみ合わなくなってしまう現象が起きているのである。

また家の話に戻る。人と人とが接触することができなくなれば、都市空間を自由に浮遊するような暮らし方は難しくなる。突然その場を失った人々は、いっぺん路上生活を行うしかなくなる。安定した経済、都市の成長、なんとなく緩慢とした世界が作り出したゲームの中のような暮らしは、あっという間に崩れてしまう。結果として、見直しが必要なこともあるのではないかということに人々が気が付きだしているのだ。コロナによって進化する様々なリアルとリアルをつなぐネットワーク技術と、コロナによって再度必要とされた古典的なリアルなものたちを整理する一年間になるだろう。ますいいのような小さな会社でもそれを行っているけれど、きっと社会全体がそれを行う一年間になりそうな気がする。

2020/05/05

連休も明日で終わりだ。今年はステイホームの連休だったので、結局どこへも行かずに読書三昧である。

現在東京都新宿区にて設計中のFさんの家のことを考える。中井駅のすぐ近くの小さな川のほとりに造る小さな住宅は、どこか懐かしい和の雰囲気を持つ木造2階建てだ。今はその外観のデザインを行っているところなのだが、和風と感じる素材とはのスタディーをしてみた。時の流れや積み上げられた様子、悠久の時に身を任せるような感覚を時層と呼ぶことにする。そんな時層をデザインするというのは、つまりはそこに流れる時間の存在をいつくしみ、それを表現することである。素材に時間を織り込むといってもよい。時間を感じる素材とは、例えば「石・経年変化している木材・錆びた鉄=コルテン鋼板」などが挙げられるだろう。このような素材を使用することで、時の流れを表現したいと考えている。

敷地の目の前には川が流れている。
「ゆく川の流れは絶えずしてしかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかとまたかくのごとし。」とは鴨長明の方上記である。川の流れのようにゆらゆらと流れる時間を、そっと織り込んだような建築ができたらいいなあと思うのだ。

2020/05/03

連休二日目。今日は畑で作業をした。夏に向けて野菜の苗を植える作業は毎年やっているけれど、今年は少々量を多めにしてみた。通常だと日曜日も月に二日ほどしか休めないのだが、今年はほとんどすべての行事が中止になってしまっている状態なので、畑の作業がはかどりそうだというのが理由である。今までいろいろなお役を担って生きてきたものの、本業の家造りに集中し、スタッフとの交流に集中し、さらに質の良い家を造る活動に集中し、余暇は自分の好きなことを楽しく行う、そんな生活をしているとなんだか若い頃に戻ったような懐かしい気分になったりもする。そしてちょっと違った時間の流れを感じたりもする。

畑にいる時間が長くなると、小さな虫にまで目が届くようになる。グロテスクなムカデがいたり、モンシロチョウが一生懸命に卵を産み付けていたり、ダンゴムシがいつの間にか膝の上を歩いていたり、なんだかわからないけれどでっかい幼虫がいたりという具合に、普段見えないものにまで目が届くようになってくる。そんな虫たちの姿を見ていると、人間界はコロナウイルスとの戦いに奔走しているものの、それとは全く変わらない時間が流れていることに気が付く。

仕事にかかわっているときの時間の流れ、子どもたちと一緒の時、一人でカフェにいるとき、畑にいるとき、本質的な時間の流れるスピードが変化するはずはないけれど、でもその人にとっての時間の流れる速度は確実に違っている。

最近はテレワークをする人が増えているけれど、家の中で仕事をするということは、同じ空間の中で様々な時間の流れが発生することになるわけだ。夫も妻もはたまた子供たちまで、WEBを介した仕事や授業を受けていると、家という同一の空間に様々な人にとっての様々な時間軸が生まれることとなる。そうした時間軸の交差がうまくいくときは良いけれど、そうでない場合は衝突も起きてしまうかもしれない。時間の流れをうまくコントロールすることができるプランができないかなあと、なんとなく考え始めてみた。漠然としているけれど面白い考えだと思う。そしてこの騒動の後の世界でもきっと必要とされることのような気がするのである。

2020/05/02

連休一日目。今日は基礎屋さんの石塚さんと一緒に東京都新宿区にて設計中のFさんの家の現場確認に出かけた。この現場は前面が川に面しており、敷地の前面道路はインターロッキングで舗装された幅2.5mほどの細い道である。車は軽トラック限定ということなので、大型車が入れない前提で設計段階から工事を想定した打ち合わせをしておかなければいけないわけだ。近所のおやじさんからは2トン車入れても大丈夫だよの勇気づけられるお言葉を頂戴したのだけれど、役所からは軽トラック以上を入れるとインターロッキングの舗装が崩れちゃうよのお言葉もいただいている。こうした予言を無視して工事をしてもしものことがあれば、当然補修工事をしなければいけないわけなので、やっぱりここは素直に軽トラックでの工事をするべきということになるのだ。お休みということもあって、なんとなくのんびりと打ち合わせをして昼過ぎに自宅に戻った。

午後はゆっくりと読書をして過ごす。今日からステーホームの連休である。家族と一緒にゆっくりと過ごすとしよう。

2020/05/01

午前中は埼玉県上尾市にて設計中のHさんの家の打ち合わせ。今日は前回に引き続きZOOMを利用したWEBミーティングとなった。初めはなんとなくたどたどしかったのだけれど、これはこれで慣れてくると会話タイミングもつかめるようになってきてなかなか良いものである。こんなことでもない限りきっと一生使うことはなかったと思うのだが、僕も少しはIT技術を利用できる人間の仲間入りを果たすきっかけとなったようだ。今日は3回目の基本設計である。正方形のボリュームが組み合わさった形状のプランをご説明して終了。次回は大きな階段のあるプランを考えてみることとなった。なんだかおもしろい展開になってきたのである。

15時より津京都新宿区にて設計中のFさんの家の打ち合わせ。今回は実施設計に入って1回目の打ち合わせ、詳細部分まで書き込まれた平面図や展開図を用いて全体的なプレゼンを行った。小さな川に面するこの敷地は周りに和風の建築が建てられたり、染め物のイベントが行われたりするちょっと面白い場所に位置している。この住宅も民泊のように宿泊することができたりの開放的な利用法を考えており、デザインのイメージも周辺環境とマッチする和風の要素を持つものとする予定だ。次回はそこに向けたデザインのプレゼンを行うこととなった。

明日から6日までは連休となる。この騒ぎの中でどこにも旅行などに行く予定はないが、読書三昧の数日間を過ごしてみようと思う。

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