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増井真也日記

2019/12/18

午後、埼玉県桶川市にて造ったAさんの家の完成確認。夫婦二人で暮らすための茶室のある住宅である。茶室は8畳の広間で床の間と琵琶棚、縁側を持つ。床柱と落とし掛けには天然の北山杉の絞り丸太を使用している。落とし掛けなどのそのほかの部材は杉を使用した。この茶室の唐紙には、京都の唐長さんで造った唐紙を貼っている。ガラは「花兎」。淡いピンク色の唐紙が、茶室に何となく淡い彩を与えてくれるようだ。今日はAさんにお願いされた電気の炉壇と新塗りの炉縁を納めた。新しい畳に炉を入れる、何とも言えない瞬間である。

僕は暮らしの中の茶室を安く作ることを大切にしている。こんなことを言うと怒られてしまうが、京都の茶室用の竹材や杉材などは、1枚10万円以上するような棚板などなどが当たり前で、見積もりをすると材料代だけでもすぐに100万円を超えてしまう。つまり高すぎるのである。確かに今の時代には希少かもしれないし、確かにとっても綺麗なのだけれど、でもこんなに高すぎたら誰も造ることができないでしょ、と思うのだ。だから僕は(もちろんあんまり目立たないように気を使いながら)集成材の安い板を使用するときもある。高い無垢板と安い集成板をうまく組み合わせることで比較的安価で茶室を手に入れることができるようになるのなら、そのほうが良いに決まっているのだ。

炉壇だって同じである。炉を切るとものすごく高いんでしょ、と言わることがあるけれど、金属製の炉壇は20万円もしないで売っている。確かに左官屋さんに手作りをしてもらったら高いけれど、銅製の金属炉壇でも十分に茶は点てられる。守るべきものとそうでなくてもよいものをよく考えないと、茶道も衰退して存在を認識することが難しくなってしまったほかの伝統のようになってしまう。また一つ文化の伝承の場所を造ることができたことに心より感謝したいと思う。

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