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増井真也日記

2019年9月アーカイブ

2019/09/30

朝礼終了後各プロジェクト打ち合わせ。

15時より埼玉県川口市にて検討中のHさんの集合住宅に関する打ち合わせ。今日は構造設計家の佐藤さんと一緒にHさんのもとをご訪問である。築50年ほどの古い鉄筋コンクリート造の賃貸マンションを耐震診断して補強工事を施し、リノベーションして利用しようという計画である。佐藤先生には果たして耐震補強工事が可能なのかどうかについての見解をご説明していただいた。鉄筋コンクリート造の古い建築は耐震強度IS値というものが0.6に満たない場合が多くある。公共の建築物であれば、取り壊すか補強をするかの検討の後に工事が行われるが、民間建築となるとなかなかそうはならないのが実情である。知らないから使い続けている・・・、そういうものが多いということだ。本計画では0.6という一つの強度基準を目指すことを第一の目標とするが、そのまま何もしないよりはたとえ0.5であっても補強祖したほうが良いであろうという考えに基づいて計画を進めるつもりだ。絶対的に0.6を守らなければ耐震補強をやらないという0か100かのごとき方針では、なかなか民間の補強工事をうまく導けないような気がするからである。16時過ぎ終了の後、帰事務所。

2019/09/28

10時、東京都墨田区にて新築工事を検討しているSさん打ち合わせ。荒川にほど近い小さな土地に計画している3階建ての住宅のご提案ということで、今回は二つのプランをお見せした。どちらのプランも吹き抜けのあるプランで、1階にLDKが配置されている。一つは南側の外壁沿いに細長い吹き抜けを設けその部分に階段も配置したもの。もう一つは中央部分に建物を貫通するような吹き抜けを設けその両側に居室を配置したものである。どちらも吹き抜けのあるプランとしたのは、周辺を新しい建物で囲まれることが分かり切っている中で1階に配置したLDKに対する採光をどのように実現したらよいかを考えた結果である。吹き抜けというのは温熱環境のことを考えるとどうしても弱点のような気もしてしまうのだけれど、光を取り込む装置としての効果や煙突効果を利用した風の流れの実現に対しては非常に有効な装置ともいえるのである。

約2時間ほどのプラン打ち合わせの後終了。次回に向けて修正案を考えていきたいと思う。

下の写真は伊奈の家の吹き抜けの様子である。2階の上の棟屋まで突き抜けている吹き抜けが1階の居間まで光が降り注ぐ装置として効果的に作用している。

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2019/09/26

午前中、川口市本町で進行中のシェアハウスの現場にて大工さんと打ち合わせ。すでに解体工事を終えているところに大工さんが今日から乗り込んで工事をスタートさせるという流れである。築50年の古い住宅ということで、土台の一部は写真のごとく腐ってしまっていたり、柱は目を疑うほどに細かったり・・・各所の欠き込みで断面欠損があったり、なんとも先が思いやられる工事であるけれどまあ50年前の木造住宅というとこんな感じなのだ。基本的には現在使用されている構造用金物をアレンジしながら各所の固定に利用したり、外壁周りの怪しい耐力を構造用合板で固めることで補強したり、瓦の屋根を下ろしてガルバリウムの軽い屋根にしたりという過程を経て、安心できる構造補強を行いながら、シェアハウスとして魅力的なデザインにしていこうという計画である。計画があって無いような典型的なリフォームの現場だが、最後まで楽しみながら進めて是非魅力的な建築を造りたいと思うところだ。

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2019/09/25

朝礼終了後各プロジェクト打ち合わせ。

16時、チャネルオリジナルさんという材料屋さんがプレゼンに来てくれた。このメーカーさんはもともとはウエスタンレッドシダーという材木をカナダから仕入れたのがスタートだったと思うのだけれど、ちょうどますいいがスタートした2000年くらいに会社の営業を始めたのでよく覚えている。最近では屋久島で採れる杉材をデッキ材に転用したり、楢やオークという床板を販売したりの戦略をとっているらしいが、なんといっても魅力的な商品はやっぱりレッドシダーを使用した外壁材だと思う。米杉を外壁に使用した建築はとても魅力的なのだ。

この仕上げを採用した建築で僕たちの世代が誰でも思い出すことができる作品といえば、シーランチコンドミニアムだろう。この建築群は週末用のコンドミニアムとして造られたものだが、設計者のチャールズ・ムーアは、自然と共生する建築群を作るために地元の米杉を利用し、極力自然に溶け込む建築を設計したという。レッドシダーが銀色に色あせた様子は海景色にもとてもよく似合う。下の写真は僕が所有する本の一ページ。日本の都市建築の意匠としてもとても魅力的なような気がするし、メンテナンスをしっかりとすれば十分に対候性もあるとのことなので是非使用してみたいと思う。

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2019/09/23

今日は東京都豊島区にある本納寺さんのお彼岸法要に参加した。というのも10月から本格的にスタートする屋根の吹き替え工事の安全祈願祭を同時開催するからである。日蓮宗の寺院では日蓮上人の生誕800年を記念してこのような事業を多く手掛けることとなる年回りなのだが、この本納寺さんにおいてはご住職さんを中心にとても良い雰囲気の中で事業の準備を進めてくることができた。宗教施設というのはそこに集う檀家さんたちのお心によって支えられるものであるし、そうしたお心が集まるように心のこもった運営をすることがご住職の役割なのだと思う。僕が近くで拝見していて肌で感じることは、この役割をこれほど熱心に体現されているご住職のお姿は本当に素晴らしいと思うし、まねのできるものではない熱心さであると思うのである。今日もとても多くの檀家さんたちが足を運んでくれていた。大勢の方々の思いを受けて安全祈願ができたことは本当に良かったと思う。

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2019/09/21

朝10時、東京都文京区にて新築住宅の計画を始めたKさん打ち合わせ。今日は初めての顔合わせということで、ますいいの家造りについてのご説明をさせていただいた。この敷地は2mの幅しかない道路に面していて、4m幅の道路までは20mほどの距離がある。隣地は貸し駐車場で、工事中にそのコインパーキングを利用すれば敷地まで容易にたどり着くことができるけれど、もしも既に満車になっていしまっていたりすると、例えばせっかくミキサー車とポンプ車とコンクリート打設を行う基礎やさんが二人来ているのに、車を停められないからという理由でコンクリートの打設などの作業を行うことができなかったりする可能性がある。まずは隣地の駐車場の使用可能性を探ろうということで、打ち合わせを終了した。それにしても東京都内にはこのような土地がまだまだいっぱいあるのだなあの感がある。もしも火災などの際には当然消火活動が遅れてしまうだろうし、救急車だって入ることができないわけだ。駐車場になっている土地などある程度強制的にセットバックして道路にしてしまってもよいと思うのだが、頑固にブロック塀が立ちはだかっているのを見ると少々疑問を感じたりもするのである。

さんかくの家の話になった。この住宅は三角形の敷地に三角形の住宅を造ったものだが、この住宅を造るときにもクライアントのTさんは何度か車の入れない敷地を購入しようかと相談に来た。確か一つはがけ地だった。たどり着くだけでも大変そうな土地だった記憶がある。何度目かの相談がこの三角形の土地であった。三角形の土地に四角い建売のような住宅が建っていたのだが、もしそれを壊してしまえば、私道の一番奥が裏側にある緑豊かな緑道とつながり、抜け感が生まれるであろうということで計画をスタートした。三角形の頂点には写真のようなお風呂を造ったりもした。コンクリートで造って防水を施し、仕上げにモルタルとガラス塗装を塗って仕上げている。試しに使用させていただいた時には、自分で作っておきながらなんとなく変な感じがしたものだ。土地の条件は建築計画に大きな影響を与える場合もある。今回がどのようになるか、隣地との相談などによっても変わってくるであろう。

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2019/09/20

朝から少々体がだるく、しかもなんだか風邪気味である。何でこんな時期に風邪をひくのかと思ったが、なんと川口市ではインフルエンザが流行っていて学級閉鎖まで出ているというではないか。季節の変わり目とはいうものの、大した自覚もなく何らかの細菌に感染してしまったのかもしれない。かかりつけの病院で診てもらうと、抗生物質と咳止めを処方してくれた。これで少しは楽になると良いのだが、・・・。

昨日に引き続き、今日は解体屋さんMさんの家の屋根工事の現調に来てもらった。最近は屋根屋さんが忙しすぎて、解体工事や下地の補強などはすべて分業制にしなければならない状況である。当然足場も必要となるので、大したことのない工事のはずなのに何故か4業種もコントロールしなければならない。それにしてもこんな台風がまだまだ来そうな気配なので、ほんとに恐ろしい限りだ。これ以上屋根の仕事が増えてしまっても対応することは不可能だろう。そうすればどうすることも出来ずに順番待ちという状態になるしかない。千葉県の被災地では素人が自分で対応しようとして事故が多発しているという。屋根の上の作業はかなり危険だということは明白だが、自宅がびしょびしょになるのを放っておけないという中で無理をしてしまうのであろう。

夕方、業者さんとの打ち合わせを1時間ほど。

夜は予定をキャンセルしてゆっくりと寝ることにした。

2019/09/18

朝一番で日頃お世話になっているMさんより、ご自宅の屋根が飛んでしまったとの連絡を受ける。なぜ今頃?と思ったものの、忙しくて先週の台風からこれまでほったらかしにしてしまったとのことであった。ほったらかしにしてしまったものの、今日の夕方から雨が降るかもしれないということで急遽何とかしてほしいの連絡である。うーん、これはどうにもならないかもの感があったが、まずは下見をして状況を確認してみてから考えることにした。敷地の周辺から屋根の状態が確認できるところはない。たまたま在宅していらっしゃったお隣の奥様にお願いしてみると、旧知の仲らしく快く応じてくれた。3階のベランダまで登って屋根を見てみると、なんと目を疑うような光景が・・・。まずはじからはじまですべての棟がなくなってしまっている。(棟というのは切妻の屋根の頂点の雨よけの板金のこと)しかも7m×7mほどの切妻型の屋根の片面が、全体的に50センチメートル程ずれてしまっているではないか。これではもし雨が降れば、というよりすでに降ってしまっているのだけれど、住宅の2階がびしょびしょになってしまう。これは何とかしなければいけないなということで、早速ますいいの屋根屋さん山内さんに連絡をしてみることとした。連絡がつくとなんと、1時間ほどで緊急の対応をしてくれた。これは本当に感謝である。少々の雨漏りはあったものの、そこまでひどいことにならずに済んだので何よりであった。

2019/09/16

今日は朝10時よりセルフビルド体験会を開催した。今日の作業はタナクリーム塗りである。タナクリームというのは高知県にある土佐漆喰を扱う田中石灰工業さんで造っている左官材料で、基本的には一発仕上げのセルフビルド推奨材だ。下地は石膏ボード、あらかじめジョイントテープとパテ処理を施し、シーラーの塗装を済ませておいた。まずは簡単に内容説明を行い作業スタート。指導者はいつもますいいの左官仕事を請け負ってくれている左官職人の塙さん親子。参加者はほとんどみな初めて体験するということで、まずは塙さんのお手本を見るところからのスタートである。続いて鏝板の上に材料をのせ、それを鏝の裏側のにのせるコツを教えてもらう。そしていよいよ実際の左官塗作業の体験である。壁に材料をつけることができれば、後は伸ばして均一の厚さに均すだけなのだけれど、それが慣れるまでは難しいところ。約2時間の作業が終了するころには皆なんとなく慣れてきたようなご様子であった。

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14時、東京都台東区にて設計中のYさんの家の打ち合わせ。16時ごろまで。

2019/09/14

午前中は埼玉県桶川市にて進行中のAさんの家の打ち合わせ。ちょうど現場では茶室の内装工事に入ったところで、先日は大工さんが水屋の棚を造作していた段階である。ほとんどの部屋の内装工事は終わっているけれど、やっぱり難しい茶室がらみは後回しとなるわけだ。この和室のふすまには京都の唐長さんで購入した唐紙を貼る。唐長さんというのは江戸時代から続く唐紙屋さんの老舗で、代々受け継いできた版木に水性の絵の具を用いて色をのせ、それを和紙に写すという昔ながらの手法で唐紙を作っている。一枚一枚手作りなので微妙に違いがあって、だから世界に一つだけしかない唐紙となるわけである。今回使用する文様は花兎という。ウサギは前にしか進まないというので縁起が良いモチーフだそうだ。若干ピンクが勝った地の色に合うよう、壁の色も聚楽とした。聚楽色は少し赤みがかかっているからきっと髪の色とも合うであろう。外構などを含めて12時頃まで打ち合わせ。

夕方、埼玉県坂戸市にて設計中のYさんの家の打ち合わせ。今日は実施設計がほぼ終了という段階なので、主に展開図などを用いた説明をさせて頂いた。18時ごろ終了。


2019/09/12

朝一番で家を出て、裏千家東京道場にて開催される好日会という茶会に参加。今日は裏千家の今の家元のお父様である大宗匠が席主をされるということで、着物を着ての参加となった。8時過ぎに会場につくと、まだ誰も来ていない一番乗りの状態である。指定された席に入れていただくと、早速伊住宗陽氏によるお点前が始まった。なんと本物の中興名物の茶碗とか、利休さんの在判のある長次郎の黒などが使用されている。実際に手に取って拝見させていただくと、何とも言えない気分になった。

さてさて、高価な茶碗はもともとはそうではなかった。長次郎は瓦職人であり、利休がそのわびた世界観の茶碗を焼かせたときには、全く価値など定まっていないかったと思われる。高麗茶碗とて同じことで、もともとは庶民が使用する飯碗だったというお話もある。つまりは僕が普段使用しているご飯茶碗と同じようなものが、たまたま茶道に使用され、様々な人の手を経て伝わった結果、今では美術館の中に飾られているという何とも不思議な顛末なのだ。茶室という建築も同じようなことが言える。床柱に使用する赤松の丸太など、本来であればどこにでも生えていて簡単に手に入るものであるわけで、高価な銘木屋さんで購入するような代物ではないはずだけれど、でも時代の中でそういう風に扱われるようになってしまうと、いつの間にやら高価な銘木として扱われるほうが当たり前になってしまったりもするのである。竹の下地がそのまま見えている下地窓、これだってやりかけの状態を見せているはずなのに、今ではアルミサッシよりも高価な仕上げとなってしまった。

物の価値は人為的に造られるものだ。茶道具の価値は利休によって高められ、その時代では一国の領地に値する茶入れなども存在した。そういうものが名家の手を経て現代に伝えられているからこそ、名物と呼ばれる道具には価値があるのだ。しかし現代における茶道具の価値は確実に落ちている。給料の代わりに茶道具・・・はあり得ないし、戦争などの命を賭した行為の褒美に茶道具・・・これもあり得ないだろう。資本主義社会の中の商品としては需要と供給のバランス、そもそもほしいと思う人、つまりは茶人の人口が減少しているのだから値が下がるのは当たり前である。純粋な美術というよりも茶道の中で使用される道具というあり方なので、茶道自体に関心がない人にとっては美術品としても価値がないのかもしれない。そもそも技巧を凝らしたエミール・ガレやドームの美術品のような作品とも性質が異なる。つまり侘び寂びの世界観はその精神的価値の共有のもとにしか理解できないものだとも思うのである。

現代社会における茶道とは何かを考えると、日本らしさ・アイデンティティーの確立要素のような役割と、マインドフルネスのごとき現代人の心の安らぎを生み出す行為の二つがあげられるであろう。そしてその行為に必要な道具が茶道具なのであって、これはやはり美術品ではないのだと思う。利休の在判のある黒に触ったときの心の動き、それは決して高価なものに触れた歓びではなく、茶道の発祥に近い何かに触れることができた心のざわつきのようなものであると思うし、そうであったと願いたい。大宗匠のお姿を見ていて心落ち着く時間を得ようと心がけたが、なんとなく感慨深いものを感じて涙があふれる時間となってしまった。未熟な僕には、ゆったりとした時間ではなく心ざわざわの時間となってしまったわけだけれど、そんなことを考えながら過ごすざわざわは僕にとってとても良い経験をさせて頂いたと感じられるし、とにもかくにもこのような機会をいただき感謝であった。

2019/09/11

10時、川口氷川神社にて新しく計画中のトイレ・倉庫棟についての打ち合わせ。今日は平面図・断面図・構造図などを用いてのご説明をさせて頂いた。神社というのは、鳥居の内側を神霊が鎮まる神域としており、僕たちはそこに入るときには手・口を清めることが習慣になっている。普段の生活の中ではなかなか足を運ぶ場所ではないけれど、お宮参り・七五三・地鎮祭・初詣などなど、年に数回は必ず参拝する場所でもある。宗教建築ということで有名な建築も多くあり、僕たち建築に携わる者にとってみれば伊勢神宮などの建築を見る事もまた一つの学びの対象ともなる。拝殿や本殿といった本格的な神社建築を造るわけではないけれど、でも同じ敷地の中に立ち並ぶ建築群を作るということでそのたたずまいには気を遣う。和の雰囲気を壊さぬように、しかも神社建築の持つ伝統の力とは別の魅力を持つ建築の形を探っていかなければならないと思う。

2019/09/10

昨日の台風では千葉県の方で大きな被害が出てしまったようだ。僕の家もの影響でよく揺れたし、川口市内でも屋根の部材が飛んでしまったなどの被害があったようだけれど、屋根そのものが飛ばされてしまったというような被害は見当たらない。しかし千葉県では停電などの被害もひどいようで、この猛暑の中でエアコンが使用できないという状況もあるようだ。またもや観測史上初、想定外・・・最近本当にこういう現象が増えているように思える。

日本のインフラが想定している風の強さとか、建物の強度とかを上回るような自然現象が起きるとき、いつも思うことがどこまで強度を強くすればよいのかの問題である。例えば今回の台風で横浜の港の壁が崩れてしまった被害があったが、あの一つの被害の状況を受けてすべての防波堤の壁の厚さを倍にするなどの行動に移ることが正しいのかはよくわからない。もしもそういう発想になるのだとしたら、国家要塞化計画のごとき方向に進んでしまうであろうが、そんなことを実行する予算もないし、そんなことをすれば美しい景観といった魅力はすべてなくなってしまうであろう。

そうではない一つの手法としては、人が暮らすエリアや地域の考え方を再構築するという方法がある。すでにこうした研究は進められているようで、僕には想像することしかできないけれど、例えば首都を移転して災害が少ない地方で皆が暮らすとか、例えば津波の被害にあった東北のように高台に人が暮らす制度を整備するとか、がちがちに固めるのではなく人のほうが移動して被害から逃げるという発想のほうが長い人類の歴史から発送するに自然な行動のようにも思えるのである。

今日は東京大学の某研究室にて会議に参加。中国の内装業界についてのお話ということで、端的に言うと中国国内の大量のマンションストックをリフォームしていくための事業展開を、日本の住宅産業をモデルに構築したいという内容であった。僕に関係があるのかないのか・・・、あんまりないような気がするものであったけれど、縁あってお話を伺ったのでお役に立てることであれば協力させていただきたいと思っている。が、しかし今の日本が抱える先の都市問題を解決する話とあまりにもかけ離れるバブル的なお話に当惑する一日であった。

2019/09/07

今日は裏千家の行事にてサンライズ九十九里というホテルに向かう。今日から二日間の研修会、初日は茶道家であるランディーチャネル先生による講演会などが執り行われ、二日目は茶会という日程である。カナダから来た壮健な初老の講師に日本文化についてのレクチャーを受けるというなんとも不思議な出来事なのだが、話を聞いてみると改めて日本人の失われているものについて考えさせられるような機会になったような気がする。

ランディー氏はもともと武道を行うために来日したという。剣道、弓道、合気道などの様々な武道を習得しているうちに、心のうちの何かも鍛えたくなったという。そこで出会ったのが茶道ということであった。今ではたまたま性に合った茶道を自分の主な道として取り組んでおり、武道はたまにしかやらなくなったという。でも主軸の道があることがいかに素晴らしいことか。日本人はどうしても仕事中心の人生を送りがちだし、仕事こそが人生の主軸のごとき錯覚を抱きがちでもある。少なうとも今どきの日本人がオリンピック選手のごとき人々は別として、武道を人生の道として仕事を二の次にするような人はあまりいないであろう。Tシャツに短パンの荷と目を気にしない格好で現れたランディー氏の様子が、なんとなく輝いて見えたのであった。

2019/09/04

朝7時過ぎに事務所を出発して埼玉県草加市にて進行中のYさんの家の現場管理へ。Yさんの家では上棟後の大工さんの工事をしている。現在のところは間柱を取り付けたり、金物を締めたりの作業である。現場には木の香りが漂っているのだが、木造住宅の現場の最も良いところはこの匂いだと思う。RCのマンションの改修工事などをしていても、こういう感覚を味わうことはできないもので、やはりある程度のボリュームがある柱や梁といった構造材の存在が木の空気感を作り出すのだろう。

続いて14時より埼玉県桶川市にて進行中のAさんの家の現場管理へ。現在床を貼ったりの作業を行っているところである。いよいよ茶室の内装工事に移ろうということで大工さんもピリピリ感が漂っている。この茶室の床柱には北山杉の天然絞りの丸太を使用することとした。床框も同様に北山杉の天然絞りである。落とし掛けは杉の赤。1000×900もある大きな琵琶棚の天板には同じく杉の無垢材を使用している。普通の仕事と異なり和室の造作に使用する銘木というのは材料費が異常に高い。そういう材料を扱って作業をするということはそれなりの緊張感を伴うものであって、自然と現場はピリピリムードになってしまうのである。

2019/09/03

今日は朝からテレビ撮影の立ち合いである。埼玉県の蕨市という小さな町で一昨年行ったリノベーションの仕事で造ったカフェ兼住宅を、辰巳拓郎の家物語という番組が取材に来てくれた。雑誌に掲載されていたものを見て取材の申し込みがあったのだけれど、クライアントのAさんのご都合と辰巳拓郎さんのご都合が奇跡的に調整できたので今日の撮影となったというわけだ。

午前中は台本の読み合わせをしたり、テレビの中で使用する建物のシーンの撮影をしたりの準備である。そして午後からはいよいよ辰巳拓郎さんが参加しての撮影が始まる。ちょうど現場の近所にある、日頃よりお世話になっている栗田商店の栗田社長にご協力いただき、会社の一角を辰巳拓郎さんの控室に使用させてもらうことができたので、なんだかとってもアットホームな撮影現場とすることができた。テレビ撮影などめったにあるものではないから、やっぱり日ごろからお世話になっている方々にも喜んでいただきたいと思うわけだし、それでまたますいいの家造りが好きになってくれたら何よりもうれしいことだとも思うのだ。テレビには担当の和順君とクライアントのAさんが出演することにした。和順君はものすごい緊張感だったけれど、でも良い経験になったのではないかと思う。よい仕事をしてそれを多くの人に知っていただくことは僕たちにとってとてもうれしいことなのだ。10月の放送・・・、楽しみに待つこととしよう。

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Aさんの家のリノベーションでは、古い部分をすべて新しくしてしまうのではなく、構造補強や間取りの変更などを行いながら古いものの良さを生かすようなデザインを心掛けている。写真に写る欄間ももともとあったものだし、右端の障子ももともとは和室の間仕切りをしていたものを窓際に移植して利用した。こういう古いものというのは何とも言えない味がある。こういう味は塗装で再現しようとしてもできるものではない。時間をかけたものだけが得ることができる特別なものなのだ。

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2019/09/02

午前中は事務所にて雑務。

10時より、田部井君と吉村さんと一緒に現在埼玉県川口市にて設計中のMさんの家の見積もり作業を行う。約70坪ほどの住宅の見積もりとなると、約30ページくらいの結構なボリュームとなる。柱1本1本を拾い出し、そこに金額を入れて、合計金額を算出していく作業はなかなか大変なのだ。

12時、川口市にてお世話になっている建設会社の社長さんと一緒にとある農地を見学に行く。共通の知人が空き地を購入し、そこの一部を農地として利用しているのだが、いよいよ全面的に造成工事を行い利用するにあたってのアドバイスを求められた次第である。僕が妻と二人で畑作業を始めたのは今から6年位前だろうか。初めは35㎡しかない貸農園で始めたのだけれど、今では600坪の農地をお借りしてその半分くらいを使って畑作業を行っている。基本的には普通の路地農園と同じだから季節ごとに一家で食べるための野菜を作っている。今の時期はゴーヤなどの夏野菜が終わりを告げて、サツマイモなどが収穫を持っているところに、じゃがいもの植え付けなどがちょうど終了した段階なのだけれど、いつもいつもくるくる回っている感覚で、その動きとともに季節感を味わうことができるのが楽しみだ。今年のように天候不順で夏野菜がだめだった年は以前にもあるのだけれど、でもそれはそれで全く採れないわけではなくって我が家の分くらいは何とかなる程度には採れるのである。

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