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増井真也日記

2019/06/14

朝礼終了後各プロジェクト打ち合わせ。

12時、東京駅八重洲口にて石山修武先生と待ち合わせ。待ち合わせの時間を10分ほど過ぎたところで、なんとなく心配になりご自宅にお電話するが、奥様とお話しするも予定に変更はない旨を伝えられる。高齢といえば高齢、若いといえば若い70代半ばの先生が、しかも時間に遅れたことなどない先生が来ないというので心配してしまったけれど、しばらくしていらっしゃった。何事もなく無事で何よりであった。

そのまま二人で上野まで移動し常磐線に乗り、一路我孫子市の天王台へ向かう。ここには真栄寺という浄土真宗のお寺があって、今日はその寺の和尚、馬場昭道さんを訪ねることが目的だ。馬場昭道住職は、檀家さんがいない全くのゼロ状態からこのお寺を造ったという、今の時代にはとても珍しい住職さんである。本堂には碁を楽しむ老人たちがいる。僕たちを見た瞬間、碁をやりに来たのかと思ったようで、なんだあ違うのかの声が聞こえた。奥にある住まいの方へ移動すると、2階の和室に通された。和室には4枚のふすまに金子兜太さんの俳句が大きな字で書いてある。昨年お亡くなりになった現代俳人の代表者である。その部屋で住職は何するでもなく座っている。石山先生もドカッと腰を下ろした。これから禅問答でも始まるのかなあと感じるような二人の素振りの中で、僕は神妙に正座をしていた。

「なんだかなあ、今日は何ですかああ?」住職の空気が抜けるような声が響く。

石山先生が一生懸命に話をしている様子も、普段ではあまり見ることができない珍しい様相だ。僕は聞かれたことだけ短く答えていたが、次第に住職の底なしの懐に吸い込まれるような気分になり、いろいろなことを思いつくがままにお話しさせていただいた。こういう僧侶にお会いするのは初めての経験である。僧侶とはこのようなものなのか、僕にとっては何とも言えない驚きを感じた。宗教、悟り、・・・言葉の意味は分かるけれど、いったい何のことだかわからないことだらけのなかで、もしかしたらこんな風に心を落ち着け、まるでそよ風のような言葉を、でもまっすぐな言葉を発することで人の心の何かを変えてしまうような・・・そういうことができることが宗教なのか、僧侶というものなのか・・・そんな感覚を短い時間の中で感じることができたのである。住職は世界100か国以上を旅したそうだ。その若い頃の記録を一冊の本にまとめてあるというのでいただいてきた。宛名に増井真成???せっかくの名前が間違ってはいたけれど、大切に拝読したいと思う。

201906

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