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増井真也日記

2019/04/04

朝礼終了後各プロジェクト打ち合わせ。

広島大学の大学院生から、調査に協力したお礼としてセルフビルドについての研究報告書が送られてきた。約100社ほどのセルフビルドを積極的に受け入れている会社を調査した結果が来たのだけれど、これだけの会社がこういう活動に興味をもって取り組んでいるという状況を見ると、時代は変わったなあの感である。僕が会社をスタートした当時はまだまだこういうことを積極的にやろうという人は少なかった。わずかな設計事務所が施主による分離発注形式に取り組み、その中での施主によるセルフビルドの事例があったようだが実質的な現場の管理者が不在ということでのトラブルが絶えない様子で、あまり普及はしなかったように思う。

家づくりはロマンと制度のはざまで揺れ動いている。普段日本で生活しているとそんな風に感じることは難しいけれど、もともとは人間が生活するために必要な最低限の箱、小屋、穴倉のようなものが家の始まりなのだ。だとするならば「家とは」もっと自由に、安く手に入れられるはずのものだと思うのである。

そういう思いに反して、家の値段はどんどん高くなっている。例えば耐震等級という言葉が生まれるとともに、耐震のための要素となる壁や柱や筋交いの量が増え高くなるということがある。例えば、断熱等級を良くしようとすれば、断熱材の厚さや密度が高くなるとともに値段も高くなってしまう。しかしこうした製品の値段設定を見ると本当に製造コストが上がっているのか、それとも性能が高い分に合わせた価格設定をしているだけなのかよくわからないものもあるような気がする。サッシなども同じようなことが言える。ガラスもしかりである。LOWEガラスなどはだいぶ価格が落ちたようだが、防火サッシなどはなかなか価格が落ちてこない状態が続いている。なぜ落ちないのか、それがスタンダードとなり製造ラインが整ったのであれば落ちてもよさそうなのに落ちてこない、の不思議なのである。結果として法律が変わったり、新しい制度ができたり、何かあるたびに値段が上がることが繰り返されているという現状なのだ。

何とかしてもっと安く家を造れないかと思う。

ネパールの建売などを見るとその部材の安さに本当に驚かされる。例えばTOTOが20年以上前にタイに造ったコットという陶器の会社の便器などは、日本でTOTOを購入することと比較すると半分以下の値段だ。中国製のサッシは日本製のサッシの1/10の価格であるという。日本の製造コストが異常に高くなってしまう理由は製品に求める異常な精度だ。サッシなど1㎜大きさがくるっていても大した問題ではないのだが、そうした精度を生み出すことに神経をとがらせ、コストをかけてしまうという人種なのであろうと思う。大手メーカーの売っているものの値段を僕の思いで落とすことは不可能だ。でも、こうした傾向は家づくりの職人さんによる作業においても同じことである。例えば左官職人に対して精度の高い壁仕上がりを期待すれば、同じ部位の作業に下塗り・中塗り・仕上げ塗りと多くの手間を割くこととなり、結果的にコストがアップしてしまう。セルフビルドはこの部分を削減する最もダイレクトな手法である。だって自分の家の仕上がり具合を自分の手で決められるのだ。わかりやすく言うと、職人さんにきちんと縫ってもらおうとしたら高い見積もりが出てきたのでビニルクロスでいいやってあきらめてしまうところを、セルフビルドだったらビニルクロスと同じくらいの値段で漆喰を塗ることができるようになるといった具合である。

セルフビルドをやりたい人がみんなできるような世の中に近づいていけばよいと思う。こういう研究をする学生がいるということは少しずつそういう世の中に近づいているのだろう。

201904

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