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増井真也日記
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増井真也日記

2018年7月アーカイブ

2018/07/30

11時、東京都杉並区にて住宅の建て替えを検討中のHさん打ち合わせ。今日は実際にお母さんが暮らしているご自宅にお邪魔して、お話を伺うこととした。今の家はお父さんがご存命だった時代に、実家の分家として建てた家だそうだ。広い敷地の一角に建つ住宅の前には、いわゆる日本庭園がある。石が並び通路が作られ、木がたくさん植えられている立派な庭だけれど、今ではもう手入れをされていない状態でなんとなく寂しい。今回の計画ではこの古くなった住宅を壊して、さらにはさっきの庭の部分も利用してHさんのご家族とお母さんが2世帯で暮らすことができる分離型の2世帯住宅を建てることとなったわけである。広い土地にお母さんが一人で暮らしている状態から、Hさんのご家族みんなが移住することで、きっとたくさんの会話や笑顔や物語がこの土地から生まれることとなるであろう。そして新しい活気がこの場所に宿ることになるのだと思う。家を作る仕事は家族の人生の分岐点となるような場の創造である。天国で見守ってくれているであろうお父さんも喜んでくれるような家ができればよいと思う。

夕方川口市立西中学校にて会議。そういえば先日川口市のとある小学校の教頭先生がひき逃げ死亡事件を起こしてしまった。地元でこういう痛ましい事件があるととても嫌な気分になる。全く関係ない中学校でも、会議の冒頭に校長先生が説明をしていたが、同じ地域に働く同じ教員として強い憤りを感じていることだと思う。こういう事件を見るとルールとマナーの差というものを感じる。お酒を飲んだら運転してはいけないというルールがあって、それを守っていれば何の問題もないのに、どうせばれないだろうからと運転してしまうことでこういう事件が発生する。ルールには処罰があるが、自分の行動の規範が処罰を受けるかどうかにあれば、夜中の飲酒運転などその可能性は低いからそのルールを破るという愚行に出てしまったのであろう。しかしながらそのルールの前にはマナーというものがある。マナーは自分の意志で行うものだ。酒を飲んだら危険だから運転はしない、という自分の意志がマナーである。それはルールによって縛られているのではなく、あくまで自分の意志によるものなのだ。今の世の中にはルールがどんどんできている。何でもかんでも法律になりそれに伴う罰ができる。でもルールが増えれば増えるほどに、マナーはどんどん減っているような気がするのである。

2018/07/28

10時、東京都荒川区にて鉄骨造の住宅リフォームを設計中のSさんの家、打ち合わせ。3階建ての2階と3階のどちらにリビングを配置するかについてこれまで悩んできたけれど、やっぱり2階に配置をすることに決定した。

新築住宅を初めから設計をする場合は3階にリビングを配置することはまずないけれど、すでにある建築を目にしてしまうとどうしても眺めの良い3階部分にリビングを持ってきたほうが良いのではないかの思いが浮かんでくる。生活導線などを考えると3階にリビングはなんだか疲れそうだ。毎日の食材の買い物を冷蔵庫まで運ぶのも大変だ。でも、スケルトン状態の3階に実際に立つことができると、3階からの眺めはやっぱり2階よりもいいし風も感じることができるのである。僕自身もこういう経験はあんまりないので今回はちょっと新鮮な感覚を覚えた。新築を設計するときは更地の敷地に身をおいて空想の建築を作ってみて、自分がその中に入り込んでみる。そこから見えるものを想像し、心地よいと感じるように窓を設けたりの配置を行う。でもそれはすべて空想の中でしか行うことはできない。これはリフォームならではの楽しみ方であるのだ。

嬉しい知らせが届いた。住まいの設計に掲載された道祖土の家が再掲載されることになった。クライアントのTさんに伝えたらこんな便りが返ってきた。

増井様

ご無沙汰しています。
今日の夕方はすごい雨でしたが、早めにおさまり良かったです。

ご連絡ありがとうございます。
再度、「住まいの設計」に掲載いただけるとのこと、嬉しいです。
掲載はもちろん問題ありません。
再構成とのことですが、特に追加の取材などは無いということでしょうか?
もし、取材があるようでしたら、早めにお知らせいただけますと幸いです。

この家で暮らして2年強が過ぎましたが、お陰さまで楽しく暮らしております。
今の時期、草取りは大変ですが、緑を近くに感じられる家にして良かったとつくづく思います。

増井様のブログに出ていた「北の常緑ハウス」の方が作られたセルフビルドの駐輪場を拝見しましたが、
我が家もダイニング部分の掃き出し窓部分に軒があると使い勝手が良いなと思っており、
いずれセルフで作りたいと考えているところです。
常緑ハウスの方には全く及びませんが、私も家づくりに参加して以降、DIYは続けています。
先日は、家を建てた時に分けていただいた端材を使ってアウトドア用のローテーブルを作りました。
家族でこういう物を楽しんで作れるのはDIYの醍醐味ですね。

まだまだ暑さが続くと思いますが、皆様くれぐれもご自愛ください。

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最後についてきた写真はとてもほのぼのとした暮らしぶりを伝えてくれた。なんだか本当にいい家を作ったなあと思える、そんなひと時であった。

15時、埼玉県坂戸市にて土地の下見に立ち会い。1年程前だろうか、東松山の土地を下見して以来の再開である。今回の土地は平たんで、広々としていて、なんだかとてもいい暮らしがイメージできた。早速プランを一つ考えてみようと思う。

2018/07/24

夕方、東京都新宿区にあるリビングデザインセンターオゾンにて9月に開催予定のセミナーに関する打ち合わせ。今回は町田分室の田村君と一緒に行うということで、それぞれのパートについての内容確認などを行った。

終了後久しぶりに二人で食事をしようということになり焼肉屋さんへ入る。僕も田村君もよく食べてよく飲む、そんなタイプだからだんだんと話は建築の話から様々なところへと吹っ飛んでいく。ビールに飽きてマッコリを飲みだしたくらいからは、少々ろれつが回らなくなる。でもそんなひと時が何よりもの幸せと感じてしまうのである。

2018/07/23

建築のデザインを考えるとき、様々な形態や色彩、素材の中から何を選択するか。好みといってしまえばそれまでだけれど、これまで生きてきた中で見てきたものとか感じたこと、そういう積み重ねの中から自然と生まれてきた方針のようなものがあって、そういうものの中から様々な選択を繰り返して答えを見つけているのだと思う。僕は中学高校と山岳部にいた。愛車はランドクルーザーの70である。趣味は畑と茶道。好きなブランドはパタゴニア。アウトドアが好きで、自然が好きで、逆に都会の喧騒が苦手で、きらびやかなモダンな空間もあんまり好きではない。真っ白いギャラリーのような家などは見ている分には良いけれど自分が住むのは多分無理だと思う。

例えば床板で僕が好きだと思うものを挙げてみると、例えば杉とか唐松とかの針葉樹の床板がある。唐松は杉よりも固い。杉はとても柔らかい素材で、例えばはだしで歩いてもとても気持ちが良い素材であるが、その代わりに傷がつきやすいという欠点もある。堅木の床板が良いと思う場合は、やっぱり楢が好きだ。アメリカンブラックチェリーもよいと思うが僕は楢のほうが合っていると思う。

薪ストーブとかペレットストーブなどもとても良いと思う。こういうものは暮らしにどうしても必要というわけではないけれど、普段の暮らしの中で火を見ながら暮らすことができる事とか、家の中心的な場を示すイコンがテレビではなくってストーブであることは僕の心をとても豊かにしてくれるような気がする。実際にストーブを用いた暮らしをしたことはないがいつかは実現したい要素だ。今の世の中はいろいろな情報があふれている。あふれている情報を次から次と取り入れすぎると本当に大切なものが何かを見失ってしまう。だからなるべく素朴でありたいと思うのである。

下の写真は埼玉県さいたま市で造ったTさんの家。このリビングには中心的な存在としてペレットストーブが置かれている。両側のスリット窓の向こうには庭があって、常にその庭のほうに意識が集中するようなプランとなっている。階段板は米松の厚板を利用した。窓の下枠にも、反対側の棚板にも米松の厚板を利用している。厚さ5センチの厚板、普通に購入したらとても高価な材料だけれどふつうは構造の梁に使う材料を半分に割いて、プレーナーをかけて、多少は反ることを考慮に入れて使うことでそれほど高くはないお値段でこういう存在感のある武骨だけれど温かみのあるものを作ることができたわけである。素朴だけれど温かみがあるもの、そんな家を作り続けていきたいと思う。

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2018/07/22

朝5時過ぎ起床。京都駅前のホテルに宿泊しているが、滞在時間は正味5時間ほどであった。10分ほどで身支度を整え、5時30分には駅の切符売り場についたが、なんと駅が営業を開始するのは5時45分からであるらしい。僕はあんまりこういうことを入念に調べるタイプではなく、いけば何とかなるだろううの感があるのでいつもこんな感じである。なんとなく時間を持て余してしまい、駅の周りをプラプラと歩く。周りを見ると時間つぶしをしている外国人観光客がたくさんいるが、皆朝早くから東京方面に移動するのであろう。世の中が動き出す前の朝の時間はなんとなく空気が違う。まだ止まっている空気とでも言おうか、温度も上がっていなくてすがすがしさを感じるような清涼感がある、そんな感じがする空気だ。普段の生活のリズムの中ではあんまり味わうことが無い早朝の感覚はとても気持ちが良いなあなどと考えながら、少々すると、時間が来たので自動券売機で切符を購入してホームに向かう。東京方面のぞみの始発は6時14分発である。

お茶を1本購入し、宮尾登美子の「松風の家」を読みながら、たまにうとうとの繰り返しをしているといつの間にやら東京についた。
ちなみにこの松風の家という小説は、明治期の落ちぶれた裏千家の様子を綴ったもので、裏千家の方にはあまり評判がよろしくないと聞くがその詳細は定かではない。もしも自分のことと想像すれば、家の事情をあることないこと勝手に小説化され、大衆の前にさらされれば気分が良くないことは明白であるが、僕たち普通の人が千家の歴史を知る手段としては有効な手段であろう。あえて僕が読んだ感想を書けば、今は栄華を誇る裏千家にも困窮の時代があったことを知り、それでもなお茶家としての誇りを持ち続け今の時代にその文化を継承してくれたことに対し敬意を払う感覚を得ることができた、つまりは良い本であると思ったというところである。さらに言えば決して知ることができないような人間模様を知ることで、千家に対しさらなる親しみを感じたということも付け加えたい。

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9時30分、事務所に向かう。10時、東京都国分寺市にて設計中のJさんの家の打ち合わせ。今日は2回目の見積もり調整打ち合わせということで、約150万円ほどの減額案についてのご説明をさせて頂いた。まだ若干の予算オーバーはあるものの、この方針で進行して良いとの判断をいただき今後の確認申請業務に移行することをご確認いただいた。結果、大変有意義な打ち合わせとなった次第である。

世の中では猛暑、京都も当然熱い。盆地は暑いと聞くが、ここまでムッとする感覚はこれまであまり味わったことが無いものだった。関東に帰り、十分暑いはずの東京がどことなく涼しく感じられた一日だった。

2018/07/21

朝礼終了後各プロジェクト打ち合わせ。

10時より、埼玉県桶川市にて設計中のAさんの家の打ち合わせ。理想的な住宅を制限なく考えてほしいという依頼を受けて僕が考えた住宅は65坪ほどの木造2階建て住宅である。こんな依頼の仕方ができるのは、敷地に余裕があるからで、やはり埼玉県という比較的土地代が安価なお土地柄であろう。東京都や埼玉県でも川口市に様に土地代が高い地域では、なかなかこういう設計はできないものだ。

Aさんご夫妻は、茶道をたしなむ。僕も茶道をたしなむので、自然と設計は茶室の部分に力が入る。茶室の使い勝手、水屋の位置や広さ、客の動線や亭主の動線、こういうことはいくら考えても尽きないくらいにアイデアが出てくる。その代わりといっては何だけれど、生活部分のほうに意識が回りにくい状況があったような気がするのだけれど、それもそれで住宅づくりには問題なわけで、前回と今回の打ち合わせでは生活部分に焦点を当ててプランニングを進めることにした。さらに、今回のプランでは60坪程度に減築の提案をした。5坪、つまり10畳の面積を削減するのはなかなかの大変更だけれど、もともとの面積が広いのでそれほど大きく雰囲気を変えることなくアレンジすることができたと思う。この初期段階での減築は、もちろんコストをコントロールするためである。坪単価という考え方は好きではないが、5坪減れば確実に300万円は減額できる。つきやすいぜい肉を落としながら計画を進めることも大切な調整なのである。

終了後、一路京都へ。今日は裏千家の関係の会合に参加するために京都へ来た。全国から集まる懐かしい顔ぶれにお会いする。皆、茶道を大事に生きているメンバーたちである。0時、明日の始発で帰らなければいけないので一足先にホテルに戻る。

2018/07/19

10時、新入スタッフ面接。Y君は武蔵野美術大学出身の青年で、今時にしては珍しく手書きのドロ-イングを持参して現れた。大体はCADンの図面やCGによるプレゼンをまとめた形で持参してくる人が多いのだけれど、やはり美大の出身ということで、手書きのこだわりがあるのだろう。作品は石山修武先生のドローイングのごとき有機的な形態で、今にも動き出しそうな建築である。これまた今時にしては珍しい、本当に建築が好きな気持ちが伝わってくる作品である。1時間ほどお話をして終了した。縁があれば一緒に仕事ができるであろう。

2018/07/18

朝礼終了後各プロジェクト打ち合わせ。

中庭型の住宅についてスタディー。これまでもいくつもの中庭を作ってきた。中庭の魅力というのは外部空間が生活の中により多く取り込めるということ、つまり外部と内部の中間領域のような部分ができること。外を歩く人の視線にさらされることもないので、カーテンを閉める必要もないし、まるでリビングの一部のように使用することができる。完全に家の中に入り込んでいるものもあれば、コの字型で一部は外部に面しているものもあるが考え方は同じだ。

下の写真は埼玉県越谷市に造ったコの字型の中庭の事例である。リビングと高さをそろえた中庭を囲むように和室や玄関が配置され、フルオープンのサッシでリビングと連続するように設えている。大きなウッドデッキの一部には地面を残し、そこに緑を設えた。どの部屋からも中庭の向こう側の家の様子が見えるのもよい。家族の様子がなんとなく感じられる、家族が気配でつながる場としても魅力的なのである。

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2018/07/16

10時30分より、東京都杉並区にて計画中のUさんの家の打ち合わせ。今日は実施設計に入って初めての打ち合わせである。プランが大方決まり、展開図などを用いての詳細打ち合わせとなった。Uさんの家は都会の狭小地に建つ小さな住宅であるが、角地ということもあり、開放的な空間の構成がうまく整っている。リビングは2階に配置し、そのさらに上にロフトを設けて吹き抜けを介して連続した空間とし上下方向に開放することを目指すとともに、南側の外部につながるウッドデッキと内部のリビングとを視線でつなげることで水平方向の解放感も大切にしながら設計を進めている。収納などの部分はなるべく2階からは外し、1階とロフトに配置することで、リビング空間を広くとれるようにプランを組み立てた。この住宅、なんとペレットストーブも設置される予定である。本物の火を見ながら、その横でワイン片手に読書・・・・そんな夢のような暮らしができるリビング空間となる予定だ。

下の写真は伊奈の家のペレットストーブである。吹き抜けのあるワンボックス型の住宅なので、このストーブを使用すると家全体が温まる。さんかくの家で初めて薪ストーブを設置したけれど、それ以来結構多くのストーブがある家を作ってきた。火が燃える姿を見ているとなんとなく心が落ち着くからストーブの周りには家族が集まるようになる。それはキャンプで焚火などをしていると自然とその周りに人が集まるのと同じような感覚だと思う。家の中心、そんな言葉を使うと適切なような気がするけれどとても大切な場所になると思うのである。

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2018/07/13

朝礼終了後各プロジェクト打ち合わせ。

12時、東京都小金井市にあるヤジマキッチンのショ-ルームを訪問。このキッチンメーカーは完全フルオーダーとセミオーダーのキッチンの二本立てで、こだわりのキッチンを製作販売しているメーカーである。この手法はますいいの家づくりとちょっと似ている。自分が欲しいキッチンのパーツを上手に組み合わせて、オーダーキッチンだけれど比較的安価な状態になるようにいろいろな工夫をしてくれる点が、まるで普段の僕達の仕事の様である。レンジフードはそちらで購入されてもよいですよ・・・のごとき手法もますいいで定番となっている施主支給と似ていて面白い。

グローエの水栓金具はすべてステンレスだけれど、国産の安価なものはプラスチックにステンレスメッキが施されているというような差異もわかりやすく説明してくれるのが良い。ミーレやAEGの食洗器等も実際に見てみたが、内部の広さやその頑丈そうな造り、そして洗浄力の差異などを聞いてしまうとやはり国産よりも良いような気がする。キッチンだけでもまるで自動車ほどのお値段がするわけだけれど、やはり奥が深い領域なのである。

2018/07/12

11時、裏千家の東京道場で開催される茶会「好日会」に参加。この茶会にはこれまでも数回参加したことがあるけれど、とても由緒ある茶会で、毎回楽しませていただいている。今日は茶道具やさんのやましたの若旦那さんである山下さんが、薄茶の席を持つということでご招待いただいたというわけだ。会場に行ってみると、いつもの通り先輩の女性群の中に男性は僕たちだけ・・・。だいぶ慣れてはきたけれど、それでも着物姿の女性群の中につかつかと入っていくにはそれなりの勇気を要する。僕なんか決して注目されるような存在ではないけれど男というだけで目立つのである。みんなからジーとみられているような・・・、少々汗をかく場面なのである。

アイスをいただいたり、煎茶をいただいたりしながら1時間ほど待っていると、ようやく茶席に案内される。男性陣がいないのでなんとなく嫌な予感がしていたら、案の定正客を任されることになってしまった。先輩の先生方に囲まれながら、茶席の正客を務めるのは、なかなか大変なことである。先ほどの汗の量の倍はあろうかという緊張感の中、茶席がスタートした。スタートすると、濃茶席の席主は東京半徳会の方であった。道具の説明は役割分担で岩崎和尚さんが行うとのことである。席主と一通りの御挨拶を終え、岩崎和尚さんの道具の説明などを聞きながらとても楽しいひと時を過ごさせていただいた。

薄茶席もまたまた正客である。こちらは山下さんが席主ということで、リラックスした雰囲気の中で楽しむことができたような気がする。僕が茶道を初めて、8年ほどが経とうとしている。この世界には、本当に日本文化を担っているような人がたくさんいて、道具の作家さんだったり、和尚さんだったり、着物関係の方だったり、庭園を造る人だったり、専門分野は人それぞれだけれど何か一つ日本文化の一端を担っている、そんな人と出会うことができる機会があふれている。そもそも僕なんか、着物も着たことが無かったし、焼き物の種別も知らなかったし、萩とか唐津などの産地も知らなければ、日本庭園の趣向なども全く分からなかった。唯一茶室だけは建築を専攻している関係で見たことはあったけれど、でもそれをどのように使用するのかまでは想像の範囲を超えていた。でもそれは現代に生きる男性として特別なことではなくって、むしろ当たり前のことであると思う。知らないことが当たり前、日本文化とはすでにそういうものになってしまっているのだ。

以前早稲田大学の建築学科の同級生と話しているときに、「僕たちの子供たちって畳を知らないよね。縁側の意味も分からない。だってマンションにはそういうものはないから。」というようなことを言っていたことを思い出す。あらためて考えてみると、僕たちの親世代は花嫁修業の一環でお茶とお花を最低限は学んだ世代だからなんとなく僕たちまでも伝わってきている文化というものがあるのだと思う。でも花嫁修業などという言葉が死語となった現代に生きる僕達が、子供世代に対して伝えてあげられることの中には、畳や縁側といったものまでもがすでに無くなりつつある。そして、こういうことはなかなか止めることができない流れかもしれないと思うのだ。

2018/07/09

朝礼終了後各プロジェクト打ち合わせ。

昼過ぎ、川口市役所にて会合に参加。

17時、川口市にある新郷工業団に内のモリチュウさんにて川口市立青木町公園の外柵工事に関するモックアップ検査に立ち合いを行った。モックアップというのは現物モデルのことで、実際に大量生産に入る前に製作した試作品のことを言う。写真に写っているのは二つのパターンのモックアップである。片方はアルミ鋳物の人型の文様の部分を平面に仕上げシルバーの磨き仕上げとしたものである。奥のほうは、その部分に段差を設け手足のパーツが立体的に重なり合うように表現し、さらに鏡面仕上げになるように磨き仕上げをしたものである。下地の表現も左右で変えており、奥のほうの鎌倉彫調の荒っぽい下地のほうが味があってよさそうな感覚がした。下の写真は試作品を作ってくれている職人さんの作業台である。鋳物のもととなる木型は意外にもシナベニヤで作られていた。この段差を微妙に調整して形や高さを変えている、なかなかの職人芸であるのだ。

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2018/07/07

10時、東京都荒川区にて中古住宅のリフォームを設計中のSさんの家の打ち合わせ。今日は現地に出向いて実際に建物を見ながらの打ち合わせを行った。この建物は鉄骨造にALCの外壁が貼ってある構造で、現状は80%くらいのスケルトン状態となっている。一部はまだ石膏ボードが張られていたりしており、設備の配管や電気の配線なども中途半端な状態でぶら下がっている。売主さんもきっとどこまで壊してよいものかを悩んだ末の判断なのであろう。

今日のテーマはリビングを3階に配置するか、はたまた2階に配置するかであった。すでに建物があるので、実際にその場に足を運び、窓から周りの風景を眺めてどちらが良いのかを悩むことができるというのは、リフォームならではの面白さである。窓を開けると風が吹き込んでくる。その風の吹きこむ強さやリズムもなんとなく2階よりも3階のほうが開放的な感じがする。視界の抜けだけでなく、風もまた抜けている感じがするのだ。3階の魅力、でも毎日の動線がちょっと大変そう・・・これは悩むところである。これが新築だったら、あくまで地面の上から想像する以外に方法はないし、そこまでリアルに想像するのは難しいものだから、やっぱりリフォームならではの贅沢な手法だなのかもしれない。

14時、東京都国分寺市にて設計中のJさんの家の打ち合わせ。今日は見積もりの調整を行いながら、実施設計の詰めを行うという段階である。これもしたいなあの思いと、コストを削減したいの思い・・・これを調整するのが最後の大切な仕上げである。さらに言えば僕たちの努力による値下げ交渉なども大切な作業の一つ。協力業者さんたちには申し訳ないけれど、やっぱり少しでも安くしてほしいのクライアントの思いはなるべく実現してあげたいと思うのである。

2018/07/06

午前中、北の常緑ハウスに取材訪問。クライアントのKさんが出迎えてくれて、セルフビルドに関する体験談をお話しいただいた。北の常緑ハウスは2011年、ちょうど東日本大震災のあった年に出来上がった住宅である。クライアントのKさんはこの家づくりを通してセルフビルドに出会い、それ以来木工の趣味を磨き続けている。今回は、ますいい通信に掲載する予定のますいいの家の暮らし方に関する取材を行ったところである。

初めの写真はセルフビルドの駐輪場だ。構造材はレッドシダーの2*4材を利用して、基礎には束石を埋め込む形で施工している。屋根はアクリルツインカーボの板であろうか。提灯型のLEDがぶら下がっていて何ともかわいらしい作品である。

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こちらの写真はセルフビルドに使用する予定の材料たちだ。お気に入りの材木やさんで購入しストックするうちに、こんなにもたまってしまったとのこと。このスペースはいずれ子供室になる予定の場所なので、そろそろ片付けないといけないらしいけれど、そのためには庭に小屋を作らないといけないなあ・・・のご様子であった。

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こちらのテーブルは初期のころに造ったダイニングテーブルで、作ってもらった足にウォールナットの天板を乗せている。その上に置いてあるのは子供の宝箱。何度もいろいろなものを作っているうちにだんだんと精度が上がってきたそうである。

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2018/07/05

朝礼終了後、東京都杉並区にて住宅の建て替えを検討されているFさんご家族来社。Fさんとそのお母さまのお二人での来社である。既存の実家を解体して、Fさんのご主人とお子様の3人家族が、お母さんと同居するという「集まって住む」スタイルである。今日は初めての顔合わせということで、ますいいの家造りの流れについてご説明させていただいた。

4時過ぎ、新宿のリビングデザインセンターオゾンにて、東京都杉並区で新築住宅を設計中のUさん打ち合わせ。今日は実施設計の始まりの打ち合わせである。ようやくプランが決まり、構造などの検討に入ることができそうな段階になってきた。2階リビングの狭小住宅ということで、キッチンのレイアウトなどがなかなか難しいのだけれど、結果的には一番シンプルな形に落ち着きそうだ。やっぱりシンプルが一番。あんまり複雑な形は意外と使いにくいものである。

2018/07/04

10時、埼玉県川口市にて設計中のSさんの事務所打ち合わせ。今日は基本設計を終えて実施設計に移行してから初めての打ち合わせである。事務所全体の展開図を用いての詳細の説明をしたり、設計の過程で増えた3本の柱についてのお話をしたりの2時間であった。真四角の事務所建築である。こういう建物を作るときはある程度合理性を重んじて進めることになる。柱の本数は、4本は不安なので6本が一般的だけれど、それを3本増やしてスパンを短くすることで、柱一か所当たりの負担重量が軽くなり、鉄骨造でもべた基礎で作ることができるようになるというコスト的なメリットが見込まれるということで変更した次第である。来週は地盤の調査や構造の計算へと進んでいく予定である。慎重に作業を進めていきたいと思っている。

14時、川口市役所にて青木町公園外柵工事についてのミーティング。入札の結果、工事業者さんが決まったようで、今回工事を請け負ってくれることとなった中原建設さんの担当者を交えての打ち合わせとなった。
このプロジェクトは、何といってもこの公園がオリンピックの練習会場に使用されるかもしれないというくらいの事情もあって、川口市を代表する公園の外柵を、川口市を象徴する鋳物という素材を用いて表現するためのデザインしたところである。設計は終了したものの、工事の段階でさらに素晴らしい作品へと昇華させていかなければならないと考えている。今後は試作品のチェックや色きめなどの作業へと進んでいくことになるが、とても楽しみなところである。

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2018/07/02

朝礼終了後各プロジェクト打ち合わせ。

夕方、数年前に造った二つの中庭のある家をご訪問。今日は新築工事の時に造った家具をアレンジしたりの相談を受けて訪問した。ますいいでは新築工事の時に大工さんの造作家具を作ることが多い。素材はシナやラワンの合板を利用したり、無垢材の板を利用したりするのだけれど、大型の製品が比較的安価で提供できるというメリットがあるので好評である。

Mさんはこの家に住み始めてから、古材をアレンジした家具を集めている。家具を購入すると、新築時に作成した家具がなんとなく邪魔になってみたり、はたまた雰囲気を変えてみたくなったりの気持ちの変化も生じたりする。そしてもう少し使いやすい形にアレンジしてみたいなどの考えも沸いてくる。というわけで、今回のご相談になったわけだ。

Mさんの家に行くと、いつも当時のプレゼン図面を出してくれる。今日も図面を見ながら、一回目のプレゼンではこんな家を提案していたんだね~のような思い出話に花を咲かせた。そして必ず話題になるのが玄関ドアの製作にまつわるエピソードである。僕がデザインした玄関ドアを造るために8万円の予算が30万ほどになってしまったのだけれど、Mさんはその時とても快く玄関ドアを作らせてくれたのである。当時建設の時にいた猫はもうすでに亡くなってしまったけれど、今は野良猫が毎日来てくれるという。今日もちょうどその猫がえさを食べにやってきた。目が合ったので写真を撮ってみた。

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