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増井真也日記
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増井真也日記

2017年7月アーカイブ

2017/07/30

日曜日。今日は新潟県十日町市までの小旅行。最近は建築見学を含めた小旅行によく出かける。まずは、越後松之山森の学校「キョロロ」なる施設を訪問した。この施設は2003年に手塚貴晴氏によって設計されたもので、コールテン鋼の外壁に、もともとそこにあった棚田に沿ったラインを移したという蛇型の平面形態を持つとても印象的な建物である。くねくねとした長い通路のような屋内を移動していると、大きく切り取られたシーンに出会うことができる。全体の形状がまるで一つのアート作品のような一種異様な建築である。

こうした建築が作られて十数年後、どのように地域になじみ、どのように利用されているのかを見る事はとても面白い。全く利用されなくなってしまっているような頭でっかちなものもあれば、上手に使われ続けている施設もある。そこには建築のデザインだけではない何かが作用していて、その何かがうまくかみ合った時に上手に利用される建築となる。僕の地元にも、市民にすごく愛されている図書館があったり、あんまり利用されていないメディアセンターがあったり、その違いは決して建築のデザインなんかではなくって、プログラムとか立地条件とか、つまり建築という行為に入る前の段階で決まるものもあるのではないかと思う。でも、少なくとも僕はこの建築を見るためにわざわざ200キロも移動してきたわけであるから、やっぱりそこには建築の力というものも侮れない存在としてあるわけだ。

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こちらは巨匠、原先生の作品である。キナーレなる現代美術館の四角形の真ん中にある水盤では、あろうことか水と戯れるイベントが開催されている。設計の趣旨とはちょっと違うかもしれないけれど、建築ってこんなものだよねの笑みが漏れる、そんな光景であった。

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2017/07/28

朝10時、東京都豊島区にて計画中の本納寺屋根葺き替え工事についての現地調査。お寺の本堂の屋根は約100年周期で吹き替えなどのメンテナンスを行うらしい。このお寺は築年数が90年ほど、そろそろ屋根の吹き替えの時期である。数年後に日蓮上人の生誕800年を迎えるということで、それまでには完成をさせなければならないプロジェクトである。

今日は耐震計画を含めた下見を行った。寺院などの伝統建築に対して行う耐震診断は限界耐力計算といって通常の木造住宅などに適用している手法とは異なる。この限界耐力計算という手法では、木造の仕口の強度なども計算に入れるため筋交いの無い既存の寺院などでも、ある程度の強度を認めてくれる。ゆえに改修計画をしたら全方位壁だらけという風な結果になることが無い。つまりは寺院としてふさわしい意匠も保つことが出来る手法なのである。

この手法、当然ながら関西のほうが普及している。京都、奈良といった伝統建築をそのまま保存したいという願望の強い地域ほど普及している手法なのだ。というわけで今回もそれを行う構造設計士さんも関東の人ではなく関西から招くことになった。建築の種別は千差万別、僕はふさわしい治療法を考えることができる町医者のような存在でありたいと普段から思っている。驚くことに関西から招く構造設計士さんの費用は関東の構造事務所に依頼するよりも安い。宿泊費なども含めてもそのほうが安いのである。コストは普段どれだけ類似した仕事を経験しているかの慣れにも左右されるものだけれど、関東よりも関西のほうが安いという事実もまた適材適所の妙なのである。

14時、埼玉県川口市にてリフォームの計画をしているYさんご家族打ちあわせ。古い木造住宅をリノベーションして、フランス人のご主人が営むフランス語教室を含んだ若い夫婦のための新居に作り替える計画である。今日はパースなどを使用して内装のイメージについての確認作業を行った。

Yさんの古いご自宅、実は純和風のしつらえをしている。この純和風のしつらえを北フランス風、つまりは漆喰の壁やグレーの石屋根、窓には木製のガラリ戸がついているようなイメージに変換するというのが強いご希望である。一部増築を行うことで既存にはそれほど手を付けずにイメージの変換を行う計画である。これからしばらくはこの作業が続くことになるであろう。

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2017/07/26

朝7時過ぎ事務所にて、埼玉県富士見市にて設計中のMさんの家について和順君とミーティング。見積もり作業についての確認を行ったのであるけれど、これがなかなか大変な作業である。コストを抑える見積もりというのは、どこの部分をどういう風に作るからこれだけ安くなるという風に作り方までイメージをしないと前に進まないわけで、どうしても経験による部分が必要となるのである。いくらでもお金を使えるのであればよいのだけれど、Mさんの家は1700万円を目標として設計を進めてきたのだ。ローコストで、しかも自然素材などを生かしながら、こだわりのこもった良い家を作ろうというプロジェクトである。少しでも目標金額に近づくように継続して作業を進めていきたい。

10時、埼玉県川口市にて新築住宅を検討中のIさんご夫妻打ち合わせ。現在お父さんが一人で暮らしている住宅を取り壊し、新しい家を作ろうという計画である。敷地はとても小さな狭小地、いわゆる狭小住宅である。1階にガレージが欲しいということで、おそらく3階建てになることが予想される。まずは敷地を拝見し、プランニングを進めていきたいと思う。

狭小地といって思い出すのが東京都板橋区に造った4コハウスだ。この住宅では20坪の土地に1フロアが8坪の木造2階建てを作り、その下に鉄筋コンクリートの地下室を作っている。地下室は条件を満たせば容積率には算入されないという緩和規定があるのだけれど、それを利用して建蔽率と容積率が40%-80%という厳しい土地で、豊かな生活空間を確保することに成功している。今回の狭小住宅ではどのようなプランを作ろうか、この先がとても楽しみなところだ。

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15時、埼玉県さいたま市にて進行中のYさんの家の現場管理など。

2017/07/25

夕方、東京都豊島区にてご両親の暮らす住宅の2階に子供世帯のための2世帯住宅を作りたいというSさんご家族打ちあわせ。なんだか先日伺った話とまったく同じような話である。こういう仕事の依頼はなぜか同種のものが続く傾向があるので面白い。きっと同じ時代に暮らす同じ世代に、同じような発想が生まれる傾向があるのだろうと思う。Sさんの家では2階部分に直接上がることができるような玄関を増築することを計画している。この増築が既存部分にどのような影響を及ぼすのかが焦点に当たる。構造の縁を切り既存部分を現行法に合わせることを求められないようなストーリーで進めることができれば計画が進行していく可能性があると思うのでまずはこの点から確認していきたいと思う。

2017/07/24

10時、埼玉県川口市にて既存住宅のリフォームを検討中のTさんご家族打ちあわせ。ご実家にお子様世帯が移り住み、2世帯住宅にしたいというご相談である。2階に暮らす予定のお子様世帯のために新しいキッチンやお風呂などの水回りを整備する。集まって住む、これまで核家族化でバラバラになっている家族が再び一つの場所に集まるというケースが震災以降はとても増えている。親子同居の程よい距離感と安心感を得ることができるような家づくりを考えていきたいと思う。

17時、埼玉県川口市にて家づくりを計画中のHさんご夫妻打ち合わせ。今回は2回目の基本設計打ち合わせである。事務所兼住宅ということで面積配分などをアレンジしながらプランの検討を進めている。次回で実施設計に移れるであろう。

2017/07/23

今日は妻と次女を連れての小旅行。水戸から福島県楢葉町の見分ツアーに出かけた。水戸を訪れるのは初めてである。今日の目当ては水戸偕楽園と水戸芸術館だ。 偕楽園は、水戸藩第九代藩主徳川斉昭によって造園された庭園である。今でいう市民公園のようなものだけれどそのスケールには驚かされる。園内には好文亭なるコミュニティー施設がある。斉昭自身が設計をした木造3階建ての建築で、詩歌などを楽しむ場であった。

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邸内に入ると日本建築独特の暗さがある。谷崎潤一郎の陰翳礼賛にあるようななまめかしい暗さが心地よい。思わず廊下に正座をして庭を眺めたくなる。庇や渡り廊下を通り過ぎて入り込むわずかな光が、素朴な砂漆喰や和紙の壁を照らし、ふすまに描かれた絵を照らす。ほのかに浮かび上がる絵は、美術館で見るそれとはまったく違うのである。

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下の写真の部屋は板張りの広間である。天候の関係であいにく雨戸が取り付けられていたけれど、この扉がもしなかったら床と天井に切り取られ、柱で区画されたこの景色は均斉の取れた素晴らしいものであっただろう。床板が黒光りする様子、これこそ無垢材の経年美化である。

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歩みを進めると、面白い仕掛けがあった。これは昔のリフトである。ここに酒などを入れて3階にいる客や主人に届けたそうだ。天井には滑車、下の階には白い箱があり、床に開けられた穴を通して上下階の運搬を行ったという。自由な発想を建築に取り入れる様子が何ともほほえましい。

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偕楽園はあいにく梅の季節ではない。青々とした竹があったが、それを楽しむ風流はまだ備わっていない。というわけで次の目的地、水戸芸術館へ移動した。この建物は水戸市制100周年を記念して作られたもので、100mの塔を持つ施設である。あいにく現代アートギャラリーは改修工事中で見ることができなかったが、塔のほうには上ることができた。エレベーターでゆっくりと上昇していくと地上86mの展望台につく。じっとしているとゆったりと揺れるのがわかり、改めて高さを感じる。1990年台に完成したこの建物は、建築家 磯崎新が80年代に設計した。当時の文章に80年代の磯崎氏の設計に対するスタンスが書かれている。
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幾何学的なベースは変わらないけれども、そこに建築の歴史を参照することによって建築的なふくらみを与えたいということがあって、建築的なディテールや部分的な装飾であったり、また材料の扱いや建築の形式そのものでもあったりしますが、つまり、抽象形態と歴史的な建築の参照とを組み合わせた性格をもっていて、それが私の80年代の仕事だろうと思うんです。それが水戸の芸術館の設計にかなり明瞭に現われているというふうに思います。
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今日の水戸芸術館では地元の団体によるミニサッカー大会が開催されていた。なんだかよくわからない仮装の道具などもあったし、微妙な格好をしたチアガールのごときご婦人もいた。周辺を歩いてみると決して成長する都市には見えないけれど、東京から程よく離れる地方都市の文化的拠点としての役割を確実に果たしているように思えた。

続いて楢葉町へ向かう。いわきまでは高速道路で移動して、そこからは海沿いの道を走った。2012年に来たときはJビレッジのある広野町までしか来ることはできなかったが、平成27年9月5日午前0時に、楢葉町に出されていた避難指示が解除されたことで出入りが自由となった。避難指示が解除されて約2年、町がどのように復興し変化しているのかを見たくて訪れたところである。道路を走っていて初めに驚いたのは海が見えないことである。本来は海が見えるはずのところに高くそびえたつ防潮堤の姿は、ベルリンの壁やイスラエルの壁を思わせる無機質な気持ち悪さを感じた。この壁が海岸線に住む人の命を守るのは理解できるけれど、それでもこれでよいのかの疑問を感じざるを得ない。まだ行ったことはないけれど、ほかの地域でも同じような工作物が作られているのであろうと思う。古くから歌に詠まれてきたような日本の海岸線の豊かな風景はいったいどこに行ってしまうのか。それをなくしてもまだ日本といえるのだろうかの複雑な心境である。

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道路沿いには多くの宿舎や事務所が立ち並んでいる。そのほとんどは建設会社のものなのだけれど、これほどまでに多くの職人さんや建設機械などが集まっている様子を見たことはない。きっと戦後の高度成長の時代などがこんな状況だったのだろうななどと思いつつ、建設労働者向けの民宿などが妙ににぎわっている様子に何となく違和感を感じた。

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いたるところに黒い幕、これはきっと除染作業の結果生まれた放射能の混じる土を集めているのだと思うけれど、本来であれば日本らしい田園風景が見られるはずのところに黒光りする幕が張られている様子はまだまだ復興が進まない様子、というよりはいったいこれをどこに運ぶというのかという不安を思わせる光景であった。誰だってほかの街で出た放射能を自分の街に持ってこられたくはないだろう。どこか一部の区域を決して人が戻ることのない場所と定めて集積するのであろうかとも思うけれど、それを言い出す政治家は相当の勇気がいるであろう。保障の問題もある。この先どうなるのか、見守っていきたいと思う。

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突然現れた新しい街並み。平屋の住宅が立ち並び、診療所や保育園などが整備されている。敷地の中に車が止まっているので、すでに住んでいる人もいるようだ。昨年末に売り出しが開始されたコンパクトタウンとのことだけれどどこまで機能しているのだろうか。

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町の中には放射能値を示す看板がある。埼玉県と比べると格段に高い数値である。何をもって安全なのか、あとは個人個人の判断に任されるのだろう。古い住宅街に行くと、住民がいなくなり放置された住宅が目に付く。いまだに多くの方がいわき市などに避難している状況というが、果たしてどれだけの人がこの場所に戻ってくるのだろうか。5年ぶりに来た原発の被災地だけれど、現地でしか感じることができない感覚がある。犬の散歩をしている年配の男性には何人か遭遇したが、日曜日ということもあってか女性や子供の姿は一人もみることはなかった。丘の上にある運動公園は広大な敷地に造られた立派な野球場とサッカー場であろうか、そこにはひとりの人間もいなかった。過疎化が進む農村でもこれほどまでに人の気配がない場所は少ないだろう。放射能という見えない恐怖の力を感じざるを得ない一日であった。

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2017/07/22

午前中は事務所にて各プロジェクト打ち合わせ。来週打ち合わせ予定の埼玉県川口市にて設計中のHさんの家のスタディーなど。Hさんの家は土地の購入を終えて、いよいよ設計に入ろうという段階である。僕の会社から歩いて3分ほど、つまりは本当に目と鼻の先での新築工事ということで、やはり良い家を作りたいと思う気持ちが大きくなるものだ。工務店というのはやはり地元で仕事を頼まれなければならないものである。なぜなら地域に信用されてこその仕事だからだ。Hさんの家、来春には竣工するであろうこの家が良い家になるよう設計を進めている。

夕方、ますいい農園にて畑作業。夏になると雑草との戦いが始まる。どれだけ抜いても生えてくる生命力にはほとほとあきれてしまうけれど、この生命力があるからこその地球、生命が生きられる状態が作られたのだなあなどと考えればそれもまた仕方がないのかもしれない。

畑には写真のごときトマトやらの野菜ができている。家の冷蔵庫にはトマトがたくさん、もはや食べきれる状態ではない。今年はマリーゴールドも植えてみた。こうして花を育てるなど生まれて初めての経験だけれど、なかなか良いものである。

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2017/07/21

朝礼終了後、埼玉県東松山市にて設計中のKさんの家の打ち合わせへ。今日は現場に行く用事があったので、Kさんのご自宅での打ち合わせである。ますいいリビングカンパニー初のZEH、つまりゼロエネルギーハウスである。このゼロエネルギーハウスというのは、あらかじめ定められた基準値以上(Ua値 0.6以下)に断熱性能を高めた住宅で、消費エネルギー量とソーラーパネルによる発電などにより生み出されるエネルギー量を比較した時に、消費エネルギーのほうが少ない状態になっている住宅である。制度普及の段階なので助成金ももうしばらくは続くことが予想される。こういう新しいことへの挑戦はクライアントの意志があってこそできるものなので、Kさんにはいつもながらに感謝感謝である。

終了後、現場にて縄張り作業をおこなう。炎天下、汗をかきながらも1時間ほどで終了した。

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2017/07/20

朝礼終了後、事務所にて各プロジェクト打ち合わせ。12時、裏千家東京道場にて好日会に参加。好日会というのはいわゆる茶会のことである。少人数、といっても200人ほどであろうか、こじんまりと開催される茶会なので一席当たり20人ほどの客しか入ることが無い、いわゆるプライベートな茶会に近い雰囲気のとても良い会である。もちろん僕は、こんな由緒正しき会合に参加する会に正式に加入している会員ではないのだけれど、今回は筑波大学の石塚修先生からのご招待を受けてお邪魔させていただいた次第である。石塚先生は、日本文学や日本語を専門としている方で、僕の日記に記載される茶道関係の記事で誤った記載があると、その誤りを指摘してくれるとても頼りになる先生である。今日はその石塚先生が濃茶席で席主を務めるということである。楽しみに席入りすると、ご本人が濃茶のお点前をしてくれた。やはり本人が点ててくれるお茶はなんとなく気持ちがこもっているようでありがたい。もちろん僕は正客ではないので、水屋から持ち出された濃茶をいただくわけだけれど、それでも目の前で席主が茶を点ててくれたということになんとなくありがたさを感じるのである。

男性で茶道に携わる人には大概何らかの思いがある。僕の場合は自分自身が作り上げる建築を通して日本の文化を次の世代に伝えていきたいという思いを茶道に関連させているけれど、石塚先生は国語とか歴史とかを学生たちに教えているわけだから、自分自身が教える教科書の中のことと、現実の生々しい身体の動きや客との関係がある茶道を関連させているのであろうと思う。頭の中で考える世界を習得するだけでなく、いわゆる文化的な営みに中に自分自身の体を実際に埋めてみて動いてみて感じることでしか理解ができないこともあろうという感覚なのである。

夕方18時ごろ事務所に戻る。しばしの雑務の後帰宅した。

2017/07/19

午前中、東京都東村山市付近での新築住宅を検討中のIさんご家族打ちあわせ。Iさんは大学で社会科学を教えている方で、僕の日記をだいぶ前から見ていただいていたということである。つたない文章を書き続けてきたけれど、本当に感謝感謝、うれしい限りである。まだ土地の購入前ということなので、今日は土地の購入に際しての考え方や注意点、進行方法などについてのお話をさせていただいた。

Iさんが作りたい住宅は1700万円ほどの小さなローコスト住宅である。1700万円での家づくり、こういう感覚はとても良いと思う。日本の住宅は高すぎる。土地も高い。この高すぎる住宅を手に入れることで、長期的なローンに縛られ、生活の自由を奪われる理不尽に誰もが目をつぶってしまっている。家づくりは巨大なマーケットだから、多くの企業が多くの広告を行う。大手のハウスメーカなどは震度7の地震を何十回も起こし続けてそれでも倒れない家ですというけれど、何十回も震度7の地震が起きていたらすでに日本がどうにかなってしまっているであろう。火災が起きれば火災報知器が義務付けられ、地震が起きれば過剰な構造となり、窓や断熱の性能も上がり続けて、とにかくローコストの思考とはかけ離れた方向に向かわされてしまっているのが現状だ。

家づくりとはもっと自由でよいと思う。誰かに押し付けられた価値によって振り回されるのではなく、本当に自分にとって大切なものは何かを考え、その部分に限って予算を投じる。そういう風に慎重に事を進めていけばもっと安く抑えることができるはずなのだ。僕の会社には確認申請を自分で出すというクライアントまで現れた。確認申請のセルフビルドである。これは初めての経験だけれど、実はこのクライアントは市役所の建築課に勤めている。つまりは確認申請のプロなのである。「自分で出せばその分安くなるでしょ・・・。」初めて聞いた時は「う・・・・」と言葉に詰まったけれど、今考えると本当にますいいらしいクライアントなのである。僕はこういうクライアントとの家づくりを大切にしていきたいと思っている。この縛られた時代に、自由に生きようとする人たち、そんな自由を家づくりのなかで提供するすばらしさなのである。

2017/07/18

朝一番で、埼玉県川口市にて進行中のIさんの家の改修工事現場へ。今日は鉄骨屋さんの白井さんとの現場打ち合わせである。この現場では鉄骨造の階段を撤去して、位置を変更するというなかなかアクロバティックな工事を進行している。階段の周りを解体していると、突然ALCの壁が現れたりのハプニングを乗り越えながら、ようやく鉄骨の製作のための採寸を行うことができる段階までたどり着いたところである。鉄骨造は木造と違って古い建物でもその構造体がしっかりとしていることが多い。内部結露で錆が発生している軽量鉄骨造の古いハウスメーカーの現場を体験したことはあるけれど、今回のような築年数が数十年程度の重量鉄骨の建物ではさすがにさび程度で構造体が痛むことはない。こういう風にリフォームの仕事をしていると、鉄骨造の強さや信頼性というのにはやっぱり心強さを感じるのである。

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構造体について

住宅には木造が最も適している。コスト、性能、快適さ、何をとっても一番良い。だから僕はいつも木造住宅をお勧めすることにしている。でも、木造が適していない場合もある。例えばすごく細長い土地でしかも間口にガレージや玄関を作る場合がそうだ。こういうバランスの悪い形状の木造住宅では、いくら耐力壁を増やしても本当に信頼できる構造にすることは難しい。玄関の前に筋交いのための壁を配置し、しかもその部分の壁を二重にするために分厚くするなどの事例を見かけるけれど、そのように一箇所に集中的に力がかかる構造では、大きな揺れに遭遇した時に何が起こるかわからない。このような場合は、1階のみを鉄筋コンクリート造にするとか、もしくは鉄骨造を採用するなどが望ましいと考える。下の写真の例では1階のみをコンクリートで作ることで、地震に対する安心感を得ている。この場所は荒川のほとりにあるのだけれど、鉄筋コンクリート造とすることでもしもの洪水時にも家が流されないようにする効果も期待している。つまりは水門の家でもあるのだ。毎週のように自然災害が報じられるが、家は家族の安全を守るためのシェルターでなければならないわけで、だからこそ臨機応変な構造の採用が大切であると思うのである。

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2017/07/15

朝礼終了後、各プロジェクト打ち合わせ。15時より東京都練馬区にて設計中のKさんの家の打ち合わせ。今日は1回目の見積もり調整作業ということで、前回からの減額案をご説明させていただいた。

夕方からの打ち合わせがキャンセルとなり早めに家に帰ることにした。駅前のそごうにある紀伊国屋書店で本を見ること1時間ほど。リアルな本屋さんは僕にとって一番の居場所だ。ネットでは出会うことができない本と出合えた時は何とも言えないうれしさを感じる。受験の赤本を見ていたら、早稲田大学の創造理工学部建築学科の定員が80名になっていたことに驚く。僕のころは250人いたので1/4だ。偏差値も70以上あったのが65になっている。時代が変われば学校の人気も変わるという事なのだろう。建築を作る担い手が減っていく状況はどうにもならないのかもしれない。

夜、思うこと。
少子高齢化の影響だろうか、最近はゴーストタウン化してしまった集合住宅の成れの果てを問題視する声をよく聞く。管理人がいなくなってしまい、浮浪者が住み着きごみが散乱しているような状況で、いつ倒壊するかわからないような危険な物件も多いようだ。すでに所有者が誰なのかさえ分からなくなってしまったりの状況では、住民の3/4の建て替え決議などできるはずもなく、そのまま放置され問題となるのである。

おそらく社会問題化しているという時点でそれを解決しようという研究はすでにされているだろうから、近いうちに不明となってしまった所有者の決議が不要になるなどの法律変更が想定される。そうすればまた同じような再開発が行われ、同じかもしくは規模大きくした集合住宅が作られるのかもしれないけれど、その際にはより慎重な道を選ぶことが求められるような気がする。

最近建築の仕事をしていると、土地の中に埋まっている杭や地下室の壁を壊さないまま販売しているケースを見かける。ここに新たに建築を作る場合にはそうした障害物をよけるように基礎を作るので、技術的には何の問題もないのだけれど、これまた何か心に違和感を感じる事象である。

人口が減少しているということは、土地の使い方を含めて日本人全体の建築に関する考え方を変えなければならないということだ。郊外には郊外としてのわかりやすい余白を残し、自然と人が触れえる場を復活させることも出来るであろう。都市型の農業を行うための小さな農地を増やし、都市生活者でも小さな農家を行うことができるようになるかもしれない。都市や国土をどのように利用するかを考えるときに、少しずつではあるけれど密度を薄めていく方向を向く必要があるような気がするのである。

2017/07/14

朝礼終了後各プロジェクト打ち合わせ。

14時、埼玉県川口市にてリフォームを検討中のYさん打ち合わせ。Yさんは僕と同じ社中でお茶を習っているお仲間で、今回はそのYさんのお嬢様ご夫婦と赤ちゃんが暮らすための家を造ろうというものである。もともとの家は大手ハウスメーカーが作った木造住宅で、Yさんのご両親が暮らしていた純和風住宅である。今回はそこにご主人が営むフランス語教室を増築し、純和風の母屋を北フランスの家のごとき風合いにお色直ししようという計画だ。今日の打ち合わせでも北フランスの風合いとはの議論が飛び交う何とも風変わりな打ち合わせとなったのだけれど、それもご主人がフランス人という条件ならではなのかもしれない。

建築の面白いところは、そのデザインの質によりその場の空気が変わったり、そこにいる人の気持ちが変わったりするところではないかと思う。冷たさを感じるような真っ白なモダンな空間と、緑に囲まれた心なごむ暖かな空間では全く違う気持ちになる。そして、どのようなデザインに対して自分自身が最もくつろぐことができるかの度合いというのは人それぞれ多様であるけれど、それでも人間が心を落ち着けることができる空間というものには何らかの共通点があるような気もするのである。

今から8年程前だろうか、雑誌住まいの設計のライターさんをしている方の家を造らせていただいた時のことを思い出した。多くの建築家や工務店を取材しつくしているいわば住宅鑑賞のプロの方が家づくりを依頼してくれたことはとても印象深かった。30坪弱で2000万円少々の住宅であるが、太い大黒柱を使ったり、檜の階段板を使ったりの素材にこだわった家づくりをしている。そして何よりもこだわったのが、くつろぎの空間をどのように作るかということであった。障子を通してふり注ぐ柔らかい光、空から包まれているような化粧垂木の大きな屋根もそのために造られている。人がくつろぐことができる空間を作る、僕たちにとって永遠のテーマなのかもしれない。

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2017/07/13

ますいいリビングカンパニーは「自分の家は自分で作る」人を応援している。だからセルフビルドを取り入れたり、時には確認申請作業を自分で行いますなどというケースもあったりする。設備器具などを自分自身で発注する、要するに施主支給だって当たり前に受け入れている。家づくりというのは、数千万円を要する大きな買い物だけれど、細かくひも解いてしまえばそれぞれの金額は驚くほど安いものの積み重ねである。

例えば柱、家の構造で最も大切なこの柱だって一本3000円程で買うことができるのである。この柱を檜にしたとする。檜にしたとしてもその価格は5000円少々だ。とてつもなく高くなるような檜もあるけれど、銘木のような檜を指定しなければこの程度の差額しか発生しない。

次の例としては今はやりの制震装置。これだって2階建ての家一軒分の制振装置は広さにもよるけれど大体30万円ほどである。それくらいの金額を支払うことでいざという時に揺れの幅が少なくなるという実験に基づく製品の性能に期待して投資するかの判断なのだ。

例えば床暖房は?食洗器は?ソーラーパネルは?壁は漆喰にするか?
一つ一つのセレクトを、効果と費用を考えながら行うことは、十分自分に家を自分で造ることに値することだと思う。それはハウスメーカーのパッケージ化された家づくりでは行うことのできない大切な作業であるのだ。

この判断の中にセルフビルドは存在する。前にも書いたが人件費は一番高い要素である。ウッドデッキの塗装という誰でもできるようなことでも、職人さんを呼べばコストがかかる。でも自分でやれば材料費しかかからない。どう頑張っても自分でできないようなことは無理だけれど、たいていのことならばホームセンターで売っている道具があればなんとかなる。特に仕上げに関すること、つまり漆喰とかタイルとか塗装などの分野はセルフビルドに向いているのでお勧めだ。職人さんを呼ぶには一人一日で2.5~3万円必要となる。この分がタダになるのだから、例えば50㎡の工事で3人工削減できたとすると、㎡あたり1500円のコストダウンということになるわけで、その分でクロスが漆喰になるなどの仕様変更だって可能となるのだ。

2017/07/11

朝礼終了後、各プロジェクト打ち合わせ。10時より、埼玉県川口市にて新築住宅を検討中のSさん打ち合わせ。今日で3回目となる打ち合わせであったけれど、今日のプランはSさんご自身が考えたアイデアをまとめたものである。以前の日記にも書いたが「自分の家を自分で考える」タイプの人である。家づくりは2回目だという。2回目の家づくりとなればやはり思うところもいろいろあるのだ。

プランを見ていると、今現在ご自身が住んでいる家の形に近いことがわかる。永くその土地に暮らしていると、その土地のどの部分がどうあるべきだとか、どこからどの方向に進んでいって何をするかなどという、つまりは土地の記憶のようなものが染みついてくる。例えば、この部分には一番日が当たるから木を植えたいとか、そこに緑があるからその緑に向かって一番お気に入りのリビングの開口部を開きたいとか、玄関はこちら側の道路から奥に入っていってこの部分にあるべきだという具合である。こういう風にして作られるプランは本当に暮らしやすい家につながるであろう。だって何十年間もの習慣の積み重ねに裏付けられているのだ。

夕方、住宅のコストについて考える。日本の家づくりは高い。これはどうしようもない事実である。僕はローコスト住宅が好きだから少しでも施工費を下げることはできないかの検討を重ねているのだけれど、結局のことろ細かい人件費を積算すればするほどに家の値段が高くなる、つまりは人が動く値段が最も高いということに気が付くのである。職人さんたちだって生活がある。そんなに安く一日の労働を売ってはくれない。しかも建設業界の専門業者さんたちは、それぞれの職種に社長さんがいる。それぞれの会社に経費が必要である。20職種あれば20人の社長さんがいるのだから、自然とコストが上がってしまうはずである。

だから僕は職人さんの社長さんを大切にしている。職人さんの社長さんは自分でも現場作業を行うので、その分会社経費は安くなる。働かない社長さんがいる会社は、その人の給料分がすべて経費になってしまうので高くなる。こういうことに気を付けるだけで、専門業者さんの金額が簡単に2割くらい変わるものなのだ。それに社長さんが直接現場で施工してくれる会社のほうが腕が良い場合が多いのも大切な要素となる。建設現場は同じお金を払っても、現場で施工する職人さんの腕によっていかようにも変わる。大手ハウスメーカーだから安心・・・そんなまやかしに騙されてはいけないと思う。大手だって結局は現場の職人さんが作っているのである。

2017/07/09

日曜日。午前中は畑作業。夏真っ盛りの畑では、しし唐やらピーマン、ナスやトマトがどんどんできる。どんどんできる野菜たちはちょうどよいころに収穫しないとお化けみたいに大きくなってしまう。特にキュウリなどは、ちょっと油断しているとあっという間にまるでゴーヤみたいな大きさになってしまうし、そうなると皮が硬くてサラダなどには向かなくなってしまうので大変だ。それにしてもこういう風景に触れていると、「旬」という言葉を思い出す。旬というのは10日間の期間を現すそうだ。一か月を上旬、中旬・・・と呼ぶのは10日間刻みで表しているからである。僕の畑で最も「旬」な野菜は、しし唐だろうか。もう1週間ほどすると、ゴーヤが旬になるはずだ。まだ親指ほどの小さなゴーヤがあちらこちらで大きくなるのを待ちわびている様子を見れば、それらがもうすぐ一斉に大きく成長する様子が目に浮かぶ。妻のつくるゴーヤチャンプルは格別にうまいので今年も楽しみである。

午後、銀座に散歩に出かける。中央通りの歩行者天国の様子を初めて見た末っ子の真子はあんなに大きな道路に車が走っていない様子に驚いていた。そういえば歩行者天国など川口市にはない。都内でも新宿や原宿など限られた場所でしか行っていないのではないだろうか。道路の真ん中にパラソルを出して、ティータイムを楽しんでいる人たちの様子は初めて見たら驚くものであろう。松屋や三越を通り過ぎると、銀座シックスが見えてきた。谷口吉生氏が全体的な計画を行ったという施設らしく、とても均整の取れた建築である。オフィスが入る上層部は各層ごとに水平に広がる庇が取り付けられ、商業施設が入る下層部は逆に縦方向のデザインがのれんとして付加されている。

設計者の谷口氏は、
「建築は、当然その価値は永続的であった方がいい。一方でGINZA SIXのように商業建築の場合は、時代の変化や流行に従って、店舗の外観やサインにしても、すぐ付け替えられるのが理想的です。特に商業建築では、このような変わる部分と変わらない部分の共存が求められます。建築全体を統一する「ひさし」は変わらない部分であり、それに取り付けられる「のれん」は変わる部分です。何十年後も、GINZA SIXの建築の幹であるステンレス製の「ひさし」は、永久に今のままに街の姿を映し続け、ブランドによって自由にデザインされる「のれん」は、時代とともに変わり続けていく風景が理想です」と言っている。町は変化する。その変化は今回のオリンピックのように大きな波とともに起こることが多いけれど、そうでもない小さな変化が積み重なって印象が変わるような街の変化につながることもある。間違いなく日本の中心的な商業地である銀座がどのようにかわって行くのか。この先もとても楽しみなところである。

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2017/07/08

10時、埼玉県川口市にて新築住宅を検討中のHさん打ち合わせ。今回は2回目のプラン打ち合わせということで前回よりも少々小さくアレンジしたプランをご提案させていただいた。司法書士を営むHさんの新しい家は、司法書士事務所を兼ね備えた住宅となる。事務所の広さはそれほど広くはないものの、でもトイレやミニキッチンなどの設備も必要なので、住宅部分の面積との調整が難しいところだ。ますいいではこれまでこうした〇〇併用住宅というのを多く作ってきた。バレエ教室、美容室、絵画教室、アトリエ、ダンススクールなどなど、用途はさまざまである。下の写真は埼玉県で作ったダンススクールの教室である。その下は埼玉県草加市にある美容室だ。どちらもそれほど大きな住宅ではないけれど、小さい中に未来への希望と新しい生活の両方を内包できる空間を含んでいるのである。

こういう仕事をしていると、建築の力を感じることがある。やりたいこと、つまり事業の内容と建築がうまく呼応する時に、そこには何か強い力が生まれるのだ。そしてその力は多くの顧客を集めてくれる可能性を持ち、また事業者の事業運営の羅針盤にもなりうるものだとも思うのである。

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11時、埼玉県川口市にて進行中の鉄骨造のリフォームの現場へ。僕の娘の中学校の後輩の自宅である。こういう身内のような仕事が多いのだけれど、こういう仕事は何とも言えない緊張感がある。今日は内装の解体を終えた現場にて、鉄骨の階段の一部変更工事に伴う状況説明を行った。最近は建築の寿命が伸びているのでリフォームの仕事が多い。スクラップアンドビルドの時代は終わったのかもしれないなあ、と思うほどにリフォームをする機会が増えている。リフォームされる建築達は、昔のものと比べるとしっかりとした造りになっているのである。この現場もしかり。構造体はいたって健全である。この次の世代までつなげることができるようなしっかりとしたリフォームを行っていきたい。

14時、東京都板橋区にて新築住宅お検討中のSさん打ち合わせ。体に障害のあるお子様のために、スロープだけで上り下りができる住宅を作ろうという計画である。スロープの勾配は1/8、そのスロープを家の外周部にぐるぐる回し、1周半すると次の階に上がることができる。エレベーターでよいのではと思うかもしれないが、東日本大震災の時にエレベーターに閉じ込められてしまった経験がそれを許さないのだ。この感覚は僕にも共感ができる。僕自身も普段の生活であまりエレベーターを利用しないようにしているのだけれど、それはもしも閉じ込められたらの感がそうさせるからである。建築は人が生活をするために必要な箱である。そしてその人がこうした形を望んでいるのであれば、ぜひともその形に建築が寄り添って作られるべきだと思うのだ。建築の形がパターン化し、建築の形が優先する社会は本末転倒である。スロープの建築・・・、是非手掛けてみたい仕事なのだ。

17時、埼玉県伊奈町にて進行中のWさんの家の現場にて現場確認。現場につくとクライアントのご夫妻がセルフビルドのウッドデッキの塗装を行っている。今日はとても暑かったので、大変だったことが一目でわかる。でもこういう経験をしておくとこれから先もこの家で暮らしていく中で、割と自然な形でメンテナンスなどの作業を行うことができるようになるし、何よりも塗装屋さんを呼ぶ費用を節約することも出来たわけなのでやった甲斐はあるわけである。一日お手伝いをしたスタッフの林君も、なんだか少し瘦せたような。こうして現場を経験することで鍛えられるのである。現場では、ロフトの梁の高さについての協議を行い、Wさんには無事ご納得いただくことができた。

2017/07/05

午前中は事務所にて雑務。本来であれば埼玉県川越市にて進行中のSさんの家の現場確認に行く予定だったのだけれど天候不順のために延期することにした。なんだか今年の夏が始まっ高と思ったら、早速の台風である。そして今年もすでに九州地方では大雨による被害が出始めている。毎年の恒例となってしまった洪水被害、皆が自分の街に来なければよいと願っているが、その結果がどうなるのかなど誰にもわからないし、どうすることも出来ない。自分の街のハザードマップを眺めつつも、それでもどうしようもないわけで、あきらめるしかないというような感覚もある。だってあなたの家の周りでは3mの水害が発生する可能性がありますよと指摘されたところで何ができるというのか・・・である。九州地方の水害は今週いっぱい続くそうだ。被害が大きくならないことを祈るばかりである。

Sさんの家の担当スタッフの橋本君と天井のおさまり変更に関する打ち合わせを行う。リフォームの場合は解体してからやっぱりこの天井の懐を利用して天井の高さを高くしたいなどの変更が起きることがある。家の中の見えない空間は、見えてみると意外と大きかったりする。それに気が付いてしまうと、やっぱり何とか利用したくなってしまうものなのである。

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15時過ぎ、川口グリンセンターにてシャトー赤柴貴賓室改修工事打ち合わせ。この施設は川口市内にあるグリンセンターという公園の建物で、50年ほど前に国体の観戦のために当時の皇太子妃殿下が川口にお泊りになった施設である。今回はその建物の中のお泊りになった部屋の改修工事を行い、貴賓室として展示公開するための設計デザインと工事を依頼された。一つの部屋の工事ということでとても小さな工事だけれど、ますいいリビングカンパニーにとっては初めての公共工事ということになるわけで、関われることを幸せに感じながら進めていきたいと考えている。この先が楽しみなところである。

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2017/07/04

朝礼終了後各プロジェクト打ち合わせ。

13時過ぎ、茶道稽古。今日は久しぶりにゆっくりと稽古をする時間が取れたので、名水を使った濃茶のお点前と葉蓋の薄茶点前を行った。名水のお点前というのはつるべの水差しに、しめ縄のようなものをまいて、どこどこの御神水です・・・というような仮想のストーリーのもとで進めるのだけれど、ミネラルウォーターを使用すればお手軽に富士山の・・・というようなストーリーを作れるので、実際にやってみるのも面白いような気がした。とはいえ稽古の中では、あくまで想定した世界に合わせて作法や振る舞いを学ぶだけである。もしも機会があったらリアルな名水を使用してみたいものだと思ったところである。

こういう稽古事というのは、多くの場合は想定の世界から抜け出ることが無く、つまりは稽古の世界だけで終わってしまう、稽古のための稽古になることが多い。でも、茶道なるものはやはり実社会の中での実践があるべきだと思うし、その実践というのはできれば茶道にかかわる人たちの間だけで行うのではなく、そうでない人たちもなんとなくまじりあって体感できるような類のものであるほうが望ましい。現代における名水点てとは、どのような形があるのだろうか。少なくともただ単にコンビニで買ってきたミネラルウォーターを使えばよいというのではないような気がする。水が貴重な現代社会だからこそ、なんとなく変なことを考えてしまったのであろう。

2017/07/01

今日は家づくりを検討しているNさんご夫妻を連れて、過去の作品を訪問した。訪問先は埼玉県さいたま市のTさんの家と東京都町田市のNさんの家である。まず初めにTさんの家、現地に着くとTさんご夫妻とお子様がみんなで出迎えてくれた。Tさんの家には写真のような洗面室がある。この洗面室は奥様のリクエストによって実現していったのだけれど、大きな鏡や洗面器がとても使いやすく出来上がっている。正面にはモザイクタイルを張り、こげ茶色に塗装された木部と合わさって魅力的なアクセントになっていると思う。完成作品見学に訪れたNさんご夫妻もとても喜んでくれた様子であった。

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続いてNさんの家。町田に向かう途中に首都高速道路を間違えて、なぜか目黒通りを通って東名自動車道に向かった。東京というところはちょっと目を離すと大きく変化することがあるので難しい。特に今はオリンピックに向けてあちらこちらで整備を進めている状況だから、前の記憶に基づいて行動するとついつい間違えてしまうことがある。首都というのはその国家の中でも特別の場所、埼玉県という近くに住んでいてもそこだけにあるうねりのようなものを感じるものなのだなあと思う。Nさんの家にはとても魅力的なガレージがある。ご主人の趣味で作られた部屋、まるで所さんの世田谷ベースのようなこだわりの空間である。オーバースライダーシャッターを付けた内側に、構造用合板の内装仕上げ、いかにもこだっわりのガレージにちょっとうらやましさを感じてしまった。2軒の住宅を見学して、赤羽駅でNさんご夫妻と別れる。10時から16時までの長い旅であった。でも久しぶりにクライアントに合うことができた有意義な時間でもあった。

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18時、埼玉県川口市にて新築住宅を検討しているAさんご夫妻打ち合わせ。土地探しからのご依頼ということで、家づくりの流れなどについての説明をさせていただいた。20時ごろまで。

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