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増井真也日記
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増井真也日記

2017/02/03

朝礼終了後、埼玉県川越市にてリフォームの設計をしているSさんの家打ち合わせ。Sさんの家は築50年程度、先日一般的な耐震診断を行い耐震強度が0.19程度の結果が出た住宅である。2000万円ほどの予算をかけて構造補強も含めた全面的な改修工事を検討しているのだけれど、この耐震診断の結果では既存の住宅があまりに弱すぎる。ということで今日はプランの打ち合わせに加えて、詳細な建物調査を行うことにした次第である。

Sさんのお宅にお邪魔すると、設計担当の江崎がプラン打ち合わせを開始。その一方で僕と鈴木、そして橋本の3人で詳細の調査を開始した。

まずは2階の床の畳を上げてみた。畳を上げると古い住宅の場合はその下に写真のような板が現れる。この板は根太に釘で固定されているので、根太の上で切ると簡単に外すことができる。まずは一か所を外してみて中をのぞくと・・、1箇所目は何も探すことはできなかった。続いて隣の畳へ移動。すると外壁側に1階の筋交いを発見である。さらに移動するともう1本発見。2本の筋交いを目視できたことで思わず歓声を上げる。

耐震診断では見えないものはないことにする。でも本当はそこに筋交いがあったのである。これらの筋交いは建築当時の図面に点線で表記されているのだけれど、それがあったということはほかの数本もある可能性が高いと予想される。見えないものはない、という安全側の診断を行うことは当然正しい手順なのだけれど、その方針のおかげで実際よりも弱い数値を見せられて驚くクライアントが多いのも事実である。新築のごときのリフォームを行うことを売りにする会社など、サービスのような耐震診断を行い何も見ないで耐震壁がないことにして、結果とても弱い住宅であるという過剰な不安をあおるという営業手法が横行しているようでもある。

しかしこれではクライアントは何を信じてよいのかわからない。だからこそ、このように詳細な調査を行い、図面に記載されている筋交いの一部が目視できたことでほかの筋交いの存在を強く予想できるときは、筋交いが存在する場合の強度を解析して、リフォーム全体の設計や見積もりを進めるほうが、耐震工事に関するコストを大幅に抑えることができるわけなので、やはり見ることができる部分は多少の解体工事を行ってもしっかりと設計者自身の目で確認するべきなのである。

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畳を上げると外壁際にネズミの糞がある。なぜこんなところにあるのかと思ったら、その外壁部分の裏側は雨戸の戸袋になっていた。古い住宅の場合、雨戸の戸袋の中は仕上がっていないことが多い。クライアントに話を聞くと毎年この部分にはヒヨドリが巣を作るとのこと、そしてネズミさんもたまに来るというわけである。戸袋の中を覗き込んでみると・・・またもや筋交いを発見した。戸袋の筋交いは目視できるということだから、さっそく2階の戸袋をすべて点検すると、合計4本の筋交いを見ることができた。まずまずの成果である。耐震診断の数値もこれで倍増することであろう。

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続いて床下へ。床下に潜るとこれはこれでいろいろなことが見えてくる。土台の腐り具合を見るとそんなにひどくない。一部にカビなどが見えるけれどスカスカに腐っているところは無いようだ。数回のリフォームを経ているので、新しい部分の床はとてもしっかりしている。古い部分の床は根太から交換したほうがよさそうである。外壁周りの足元について基礎と土台、そして柱をつなぐ補強を行うこと、外壁側の足元を構造用合板で固めることが有効なように思えた。

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耐震補強を伴う設計に先立つ調査とは、まるで人間の健康診断のごときである。目視、予想、を繰り返し当時の大工と対話しながら建物を読み解く。調査の途中、おそらく新築当時の大工さんのものと思われるのみが天井の中から出てきた。腕の良い大工と評判の人だったらしい。なんだか本当に対話をしているような気持ちになった瞬間であった。約3時間、3人がかりでの作業を終えて4人で事務所に帰る。帰り際に遅めの昼食、美味なラーメンであった。

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