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増井真也日記
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増井真也日記

2016年2月アーカイブ

2016/02/29

朝礼終了後、埼玉県東松山市にて新築住宅を検討中のKさんご夫妻打ち合わせ。現在土地の購入を検討しているということで、二つの候補地についてのご意見などをお話した。土地の購入に先立ってご相談に来ていただくことはとても多いのだけれど、やっぱり住宅というのはその土地の特性に合わせて作るものだからとても良いことであると思う。今回も傾斜を利用して、段々畑のような住宅を造れば、高い部分にすべてをそろえた時に必要になるような擁壁工事をなくすことができるという工夫などをご説明することができた。こういう発想が、なんとなくではあるけれど思いつくのは僕たち建築家の特性であると思うのであるから、やっぱり利用していただいたほうが良いと思うのである。

2016/02/28

日曜日ということで、朝9時ごろから上野の国立科学博物館へ出かけた。ここは長男が小さい時にもよく遊びに来た場所なのだけれど、今日は長女と次女を連れてきたわけである。長らく改修工事をしていたようであるが、いったいどこが変わったのかを正確に説明することはできない。今日は地球館の中にある展示を見て回ったのだけれど、江戸時代に作られたクジラのひげを使用したからくり人形や、和時計の技術に目を奪われた。こういうものは普段の生活で目にすることはないわけで、だからこそ足を運ぶ意味があると思う。子供と一緒にやってみた旧暦カレンダーの作成なども、やってみるとなかなか興味深いものがある。2時間ほどのお勉強ののち、疲れてきたので博物館を出る。

続いて、銀座三越へ。今日は東京マラソン、ちょうどこの交差点を左に曲がっていく選手たちを横目に、近くにあるお蕎麦屋さんで昼食をとる。それにしても30キロ地点を通過するマラソン選手たちを見ているとその元気さに感心するばかりである。僕ももう少し運動をしなければいけないななど反省・・・。

食事を済ませてしばしのお買いものである。東京というところ、その変化を見ていると実に面白い。つい先日訪日した観光客の数が2000万人近くになったというニュースがあったが、海外からの観光客を迎え入れるための街づくりがなんとなくではあるが進んでいるということなのであろう。

外国人観光客向けの開国的変化が進んでいるとはいえ、ここ銀座には古き良き日本のようなものも感じられる部分がまだ残っているような気がする。日本というところにはもともと大げさな文化が残りにくい。それはこの国の建築が木造で作られているからである。でも大げさではない文化、つまり人の仕草とか、風習とか、そういうものがなんとなく大切にされていて、それが総体となって文化と呼ばれる何かになっているような気もする。

観光産業の消費財としての文化資産、消費されることのない形での文化資産、この区別をすることはとても難しい。どちらが本質であるという問題でもないような気がする。でも木造文化の日本が急にローマになれるはずもないわけであるのだから、突然にローマ花を目指して都市全体が見世物小屋のごとくに飾られていくのは耐え難いような気もする。そこには日本らしさを感じさせる何かをちりばめていくことがとても大切なのではないかと思うのである。

2016/02/27

朝礼終了後、各プロジェクト打ち合わせ。

ますいいの作業場では、細木の格子による茶室の製作が進んでいる。4本の細木を束ねた柱に、格子状の横材を通し、2畳の空間を構成しているのだけれど、まあ茶室と言えば茶室だしという感じの、つまりは外と内を区切るための囲いなわけである。

茶室の内部空間は虚の空間である、ということを磯崎新先生の文章で読んだことがある。利休の最小茶室、2畳待庵は、戦時中の混沌とした現実社会から二人だけの特別な空間を切り取るための囲いであったということだ。現代の普通の茶室はいわゆる大寄せのためのセレモニーホール的空間であることが多いわけだけれど、そういう用途から外れて自由に囲いをつくるという機会はとても楽しいものである。この格子の中には折鶴を飛ばそうと思っている。それらはその茶会に応じて、たとえばその団体を構成する地域の数のごとき、何かを意味するものになるであろう。とにかく難しいことは抜きにして、こういう作業をしているときはとても楽しいものである。まるで学生時代に戻ったかのような生き生きとした表情をして作業をするスタッフたちを見ていると、思わず僕も気合が入るものなのだ。

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午後、埼玉県富士見市にて設計中のTさんの家打ち合わせ。今日の打ち合わせでは、展開図等の確認をしながら仕上げ材などの検討を行った。

この住宅は擁壁工事を行わなければいけない敷地に建てる。つまりは崖地にあるわけである。こういう工事が最近増えているということを以前書いたけれど、なぜならば一世代前に作られた多くの宅地造成のための工作物が寿命を迎えようとしているからである。これはつまりは首都高速の工作物の寿命と同じことであって、コンクリート工作物の限界を示しているようにも感じる。このプロジェクトのような個人住宅のごとき規模であればそれほど問題はない。でも今東北で行われている巨大な防波堤のような工作物はいかがなものであろうか。千年に一度の津波に対抗するために、百年しか持たない工作物を作っても一体何回作り直さなければならないのであろうの疑問が残る。自然を制するかのような思考から、自然に寄り添うような思考への変換も必要な気がするのである。

2016/02/24

午後より、埼玉県寄居町にて設計中のMさんの家の打ち合わせ。いよいよ実施設計の終盤ということで、今回の打ち合わせでは各部屋の展開図を見ながら、仕上げ材の選定や収納の形状など細かい部分についての確認作業を行った。

僕は仕上げ材の選定の時に、人工的なものはあまり使わないようにしている。特にこれだけは絶対ダメという決まりがあるわけではないのだけれど、住宅という人が暮らすための建築では、安らぎとか温かさとか、そういうキーワードで説明できるようなものが適していると思うからである。

たとえば、床のフロアリング材などは前にも紹介させていただいたような唐松やヒノキ、杉、楢のような素材が好きだ。こういう無垢の木は長い時間がたって、傷がついたりしてもそれが味と感じられるような状態になるもので、人工的なものにはない深みがある。玄関などの床には予算がなければモルタル、少々予算があるようであれば石やタイルをお勧めしている。

タイルが床に敷かれている建築と言えば、東京都町田市にある白洲次郎の自邸が思いつく。昔は農家の牛小屋だった部屋を改装して、戦時中の疎開のための自邸を建てたということであるが、そのまさに牛小屋があった部分の床に白いタイルを張り、そこをリビングとしていた様子がとても印象的であった。

天井にはラワン合板やしな合板に柿渋を塗ったものをよく使用する。これは厳密には人工的なものなのだけれど、天井は目が遠いからそんなに気にならない。もちろん予算がある場合には杉の羽目板などを利用するけれど、それは絶対的なものではないような気がする。それに柿渋という塗料が自然素材で、紫外線による深みを増す経年変化が見ていて心地よいのである。

2016/02/22

朝礼終了後、群馬県の製材所から頂いた床材で、クライアントにご覧いただくための見本を作成した。先日の日記でもご紹介させていただいたのだけれど、この製材所に行くといつも良い材料をご紹介してもらうことができる。写真は左から順番に、
・吉野桧の上小節 15000円
 (やっぱり桧の上小は上品だ。これだけで和の雰囲気が漂いだす。着物を着た女性のごとく、きめの細かい肌としっとりとした柔らかさ  を感じる。)
・群馬県産桧の節有 10000円 
 (節がある桧もなかなか良い。上品さには欠けるけれど、桧の香りや肌触りは上小と何も変わらない。)
・気仙沼産杉の上小節 10000円
 (上小の杉は桧よりも少々あらっぽさがある。まあフロアリングにされてしまう杉だからであろうが、肌の艶が少ないように思える。)
・群馬県産唐松の節有 8000円(価格は変更の可能性あり)
 (唐松は程よい硬さといい、荒っぽさといい、とても男性的な強さを感じる。しかも安い。僕はこの材料が一番好きだ。実はこの製材所  の社長さんの家にもこの唐松が貼られている。)

である。
このフロアリングたち、とにかく安い。でも品質はとても良い。なんといっても手作り、とても丁寧に作られているものたちである。なんで安いかと言えば、材木市場も材木屋さんもスルーして、製材所から直接購入しているからなのであるけれど、こうしたお付き合いは、まるでお寿司屋さんが漁師さんに会いに行くかの如く、僕としてもとても楽しいものなのである。

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午後より所要で京都へ。一泊だけの小旅行である。京都駅で偶然、石山修武先生にお会いする。先生は安藤忠雄先生に合いに行っていたらしい。改札を出た瞬間の運命的な出来事、なんとなく気分がよい。夜は会合で、裏千家お家元をはじめとして旧知の諸先輩や仲間たちとお会いできた。とても有意義なひと時を過ごす。

2016/02/21

午前中、千葉県流山市にて計画中のSさんの家の打ち合わせ。今回は2回目のプレゼンテーションということで、前回からの変更案をご提示した。ミーティングは2時間ほどで終了。趣味が登山ということで、中学高校時代から山岳部であった僕としては何となく趣味が合うというか、嗜好が同じ方向を向いているような気がするわけであるけれど、こういう感覚になれるクライアントの場合にはなんとなく設計をするのもうまく進められる時が多いのである。果たして今回はどうなるか、結果が楽しみなところだ。

日曜日ということで、打ち合わせが終わったあとは家でゆっくりと過ごす。夕方、家族を連れて近所にあるボウリング場へ行った。ボウリングなど別に好きでもなんでもないのだけれど、早稲田大学の地元の会合でひょんなことから月に1回義務的にやらなければいけない状況になってしまったので、やっているうちに、なんとなく家族にもやらせてあげようかなの気持ちになったわけである。

社会とどのように付き合うか?これって地元で会社を経営している人にとっては結構なテーマだと思う。自営業者など大体が零細企業だから、会社の中だけでは自分の世界が広がっていかないし、自分自身の成長もあまり望めないのだけれど、何から何までかかわっていると自分自身というものを見失いそうになる時もあるから、要するにバランスがとても大切なわけだ。僕はどちらかというと好きなことしかやらないし、好きな人しかお付き合いもしないタイプだから、それほど地元の名声を獲得するための奉仕活動のようなものには興味がない。そんな僕でもそれなりにはいろいろな役を受けているし、受けた以上はしっかりとにやることは僕の信条でもある。

でも本心は、できれば休みの日などは家族だけでゆったりと過ごしたいし、そこには木とか風とか、星とか、そういう普段触れることのできないものたちがあればよいと思う。気軽に行ける小さな小屋でもあればよい。入笠小屋は火事で亡くなってしまったけれど、僕が大好きな山荘であった。そういえば最近は風を感じることが少ない気がする。風を感じる、そんな気分の時はまず仕事やお付き合いのことなど頭から消え去っている時である。

トルーマン・カポーティーの「最後の扉を閉めろ」の最後の一説である
think of nothing things,think of wind.
という言葉を村上春樹さんが
「なんでもないことだけを考えよう。風の事を考えよう」
と訳していた。最近の僕は筆で字を書くことが多いのだけれど、筆で字を書いていると自然と何も考えない状態になれることがわかってきて、つまりは字をかくことに集中してしまうので何も考えられないだけなのだけれど、結構好きな時間になってきている。山に行く感覚にも近いのかなと思うのである。

2016/02/19

y今日は午後から埼玉県にあるものつくり大学が主催している講演会に参加した。講師はデイビッド・アトキンソンさん、小西美術工藝社の社長である。英国の出身でなんで日光東照宮の漆を380年間も維持し続けてきた日本の伝統産業の会社の社長を務めているかと言えば、この理由はたまたまとのこと。もともとオックスフォード大学で日本について学んでいたアトキンソンさんは、日本が好きでよく来日していたらしい。日本の歴史、文学に精通し、茶の湯もたしなむ、まさに日本人顔負けの英国人である。それでいて経済の知はさすが英国人という、つまりはもともとゴールドマンサックスの取締役を経験していたという、バリバリの経営感覚を持ち合わせているという点がとても興味深いものであった。

話の内容は、端的に言えば
・日本経済の再建には観光産業の成長が不可欠である。
・日本の観光産業は今後3倍程度に成長する見込みがある。
・観光産業の成長のためには日本の文化資源をさらに磨かなければいけない。
ということである。こう書いてしまうと何ともつまらないお話なのであるが、これを伝えるための数々の事例を含む非常に奥深いお話は、とてもまねのできないものであった。

・日本の経済が1990年代から失われた20年と表現され、あたかもモノづくりの能力が低下したり、勤勉さが失われたことがその原因の様に言われているが、この経済の低迷現象は生産人口の減少によるものである。その証拠に、中国やブラジルなどの新興国を除く世界のGDP比較をしてみると、米・日本・独・英・仏・伊の順であるが、この6各国の人口を比較すると同じ順番となっている。
・イギリスやドイツは1950年代に労働移民政策を行い失敗している。日本はこの事実を基に労働移民の大幅な受け入れは行わない。人口を急激に増やすことは不可能であるから、観光産業を成長させ、短期移民を増やさない限り日本経済の成長は見込めない。
・二条城という大政奉還の舞台となった歴史的な場所で、入場料が600円というのは安すぎる。ちなみに三の間は外国人向けに「SAN-NO-MA」と表現されている。これではだれも意味が分からない。何十万円もの渡航費用をかけてきた外国人は知的欲求の塊である。もしもっと丁寧に説明をすれば、入場料を倍払ってくれる。
・桂離宮は日本国内からしか予約ができない。予約をしないできた場合は、直接現地に行ってみて、もし空いていれば入れるかもしれないという表記がされているが、欧米の観光施設はネットで世界中から予約ができるようになっている。ちなみに僕がイタリアに行ったときはガウディ―に関するすべての施設にネット予約の機能があった。
・日本人は観光施設にお金を払わない、と決めつける人がいるがそんなはずはない。ディズニーランドに6000円以上も払うのがその証拠である。
・日本の観光産業が成長したかのように言われているが、まだエチオピアと同額である。
以上が数々のお話の一部である。目からうろこ、僕ももっともっと学ばなければの感である。

2016/02/18

朝礼終了後各プロジェクト打ち合わせ。

平屋の魅力について。住宅というもの、できれば平屋がよい。これはきっと誰もが思っていることであろう。でも現実的には高い土地の値段によって実現することはとても難しい。平屋を建てようと思ったら最低でも50坪ほどの土地が必要である。50坪の土地で、建蔽率・容積率が60-200%だとすると、30坪の平屋の住宅を作ることができ、最低限の庭もとることができる。

平屋の魅力とはなんだろうか。やっぱり庭に対して連続する感覚、つまりは地面と一体になって暮らしている感覚であると思う。僕は今3階建ての住宅に住んでいて、リビングは2階に配置しているのだけれど、このプランの場合は一度家に入ったら家の中から出ることはめったにない。つまり外とのつながりというのは全くないのである。高層のマンションの感覚に近いのかもしれない。

でももし広い土地が手に入ったら、次は平屋の住宅を作りたいと思う。以前造った中庭のある家では、二つの大きな中庭を平屋の住宅の中に取り込んである。この住宅は女性の一人暮らしということで、外に対して連続されるプランを作るのではなく、内に含む外部=中庭に対して開放的なプランとした。外とのつながりを自然に感じながら、しかも安心して暮らすことができるよう配慮したわけである。この住宅には同居人の猫がいる。この猫だけが中庭を通り抜けて外と内を行ったり来たりできるのである。

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2016/02/16

朝礼終了後各プロジェクト打ち合わせ。

10時、RDRギャラリーにて雑務。

その後、千葉県流山市にて設計中のSさんの家のスタディー。担当の柳沢君が描くやさしい雰囲気のスケッチを見ながら、プランの検討を行う。今回は2回目のプレゼンテーションということで、前回の提案に対するご意による改訂版となる。日曜日の打ち合わせに向けて準備を進める。

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午後、茶道稽古。今日は棚を使った薄茶と濃茶の点前である。最近先生の指導がとても厳しくなった。手の姿やタイミングなど、美しい所作に対するこだわりが以前にもまして指導される。こういうことをしていると歌舞伎やら、能やらの、つまり演じることが宿命である人々のもつ、こうした所作に対する技量の高さというものを身に染みて感じる。趣味のレベルでは到達できない世界があるような気もするのである。

2016/02/15

月曜日。今週もまた一週間が始まる。

朝礼終了後、家具についてのスタディー。建築の中にある家具には、工事中に作りつけられるものと、住まい手によって購入されたものがあるわけだけれど、僕はこの購入された家具がとてもよく調和している様子が好きだ。こうした置き家具は、住まい手の好みがそのまま表れるもので、アンティーク調のものがあったり、ナチュラルなものがあったり、有名な家具作家のものがあったり、住まい手の多様な嗜好の様子を見るのはとても楽しいものである。

それに対して建築についている家具というのは、置き家具にはできないメリットがある。たとえば天井までぎりぎりに本棚を作ったり、斜めになっている壁に合わせて台形の収納を作ったりの工夫は、造作家具ならではのものである。それに高級な素材を使わなければ、大型の家具を購入するよりも安価に製作できることもメリットであろう。こういう二つのメリットを理解したうえで、実際にどの部分を建築で作り、どの部分は住まい手のために残しておくかの調整がとても大切であるように思うのである。

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2016/02/13

朝礼終了後プロジェクト打ち合わせ。

内装仕上げについての話をしていると、呼吸する仕上げというのはどんな種類があるのかの議論となる。パッと思いつくものとしては、紙や布、木、漆喰などが考えられる。布というのは少々高級になってしまうから僕はあまり使うことはできないのだけれど、それ以外の材料はよく利用している。こうした材料を使った部屋と、ビニルクロスの部屋を比べると、明らかに部屋の中の湿度の感覚が快適であることに気が付く。少々わかりにくい言い方になってしまうのだけれど、湿度の感覚、つまりなんとなく感じる部屋の空気の重さのようなものが快適であるのだ。それにそうした材料は古くなった時によかったと思う。ビニルクロスはメンテナンスが楽?と思いきや実はそうでもない。広い面積のクロスを張り替えるなんてなかなか素人にできるものではない。それに比べて漆喰の壁などは部分的に補修することもでき、意外と簡単にメンテナンスができるのである。

2016/02/12

午前中、埼玉県川口市にて新築住宅を検討中のKさんご夫妻打ち合わせ。僕が今住んでいる家のすぐ近所でのご依頼である。歩いて3分ほど、これまでで新記録となるくらいのご近所さん、こういうご依頼は何となく嬉しいものだ。近所で評判が良いという単純で当たり前と思われるような事実、でもこういう状態こそが意外と難しい理想的状態であると思うのである。

僕は今年で42歳になる予定だ。予定というのは、11月まで健康で過ごすことができればということで、まあほぼ確実に42歳になる。そういえば村上春樹さんが30歳で群像の新人文学賞の受賞をしたときにこんなエッセイを書いた。
「学校を出て以来ほとんどペンを取ったこともなかったので、初めのうち文章を書くのにひどく手間取った。フィッツジェラルドの(他人と違う何かを語りたければ、他人と違った言葉で語れ。)という文句だけが僕の便りだったけれど、そんなことが簡単にできるわけがない。40歳になれば少しはましなものが書けるさ、と思いながら書いた。今でもそう思っている。受賞したことは非常にうれしいけれど、形のあるものだけにこだわりたくはないし、またもうそういった歳でもないと思う。」
そして38歳の時にノルウェイの森を発表したわけで、村上さんにとっての40歳の成果は名作となって表れたわけだ。

なんとなく40歳を過ぎてから、自分の設計が好きになったような気がする。若いころの功名心のようなものは姿を消して、自分の暮らしの中で感じる価値観のようなものを大切にしながら、図面を書くことができるようになったような、なんとなくそんな気がするのである。

「吾十有五にして学に志す、三十にして立つ、四十にして惑わず、五十にして天命を知る、六十にして耳順う、七十にして心の欲する所に従えども、矩を踰えず」
さてさて、50歳で知る天命とは一体どんなものなのだろうか?これは本当に楽しみなことであり、今はそのために生きている気もするのである。

2016/02/11

朝礼終了後、埼玉県伊奈町にて新築住宅を検討中のWさんご家族打ち合わせ。今回は1回目の基本設計プレゼンテーションということで、3案をご提示し、それぞれについてのご意見をうかがって終了した。

僕は基本設計の打ち合わせの時に、なるべくプランについてのご意見という直接的なお話ではなくて、普段の暮らしを世間話するような形で進めるように心がけている。例えば食事をするときはテーブルですか?それとも座布団に座って食事をしたいですか?という質問に対して、もしも普段座布団に座って食事をしているという回答が返ってきたら、その事象はプランに大きな影響を与える。何も考えずにダイニングテーブルとソファーの絵を描いていても、実際にそこにおかれるのが卓袱台だったらリビングの使い勝手は大変使いにくいものになるし、そもそも窓の高さや収納の扉の位置なども大きく変わることになる。

例えばベッドで寝るのか、布団で寝るのか? 例えば共働きで洗濯物は家の中に干したいのかどうか? リビングで休みの日を過ごすとしたら何をしていることが多いのか? リビングではごろごろしていることが多いか? テレビを見るのが好きか? 子供の自立を優先するのか、それとも一緒に過ごすことを優先するのか?・・・・こういうこと一つ一つこそが設計を進めるうえでの条件であり、詳しいヒアリングの結果からしかこれらの条件は聞き出すことはできないような気がするのである。

午後、埼玉県富士見市にて設計中のTさんの家の打ち合わせ。若干のプラン変更に伴い、2階に多目的ホールのような部屋が出来上がった。今回はその部屋の使い方について詳細なイメージをご説明することにした。ここまで打ち合わせを進めてくると、どのような使い方をクライアントがイメージしているかの想像をすることはそう難しいことではない。だから打ち合わせもとてもスムーズに進む。1時間ほどで終了した。

2016/02/08

朝礼終了後各プロジェクト打ち合わせ。

埼玉県寄居町で進行中の茶室の設計では、白い和紙に囲まれた空間をイメージしてスタディーを進めている。平屋の天井高さ3mの大きな空間の一部に、比較的天井の低い和紙の箱が置かれているかのようなイメージの部屋に、玄関土間を介して部屋に入ると、内部には同じように和紙が貼られた和室がある。床の間は基本的な和室のつくりとして、茶道の掛け軸や花を飾る時に不便の無きように設計されている。この正方形のグリッドは、京間の畳の4分の1、その大きさを基準として作られている部屋にマッチする意匠とした。イメージをいかに現実に置き換えるかの素材選びや設計作業を進めているところである。慎重に進めていきたいところだ。

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終了後、埼玉県伊那町にて設計中のWさんの家のスタディー。今回は一回目の基本設計ということであえて全く違うパターンのプランを三つ作成。11日の打ち合わせに向けて準備を進める。

2016/02/07

日曜日。午前中は事務所にて雑務。昨日の台湾の地震はだいぶひどい被害が出ているようである。3月末に台湾人の留学生が我が家に来る予定なので、なんとなく余計に気になる。それにしても、桜島の噴火、台湾の地震、・・・防災への準備をもう一度確認したほうがよいなの感である。

14時帰宅。時間も時間なので子供達と一緒にゆっくりと過ごしたり、5キロほどのジョギングをしたり、日曜日らしいひと時を過ごした。

夜、映画「風に立つライオン」鑑賞。以前、一番下の娘が、「小学校の校長先生がこの映画にとても感動して、給食の時間にこの映画の曲を流したんだよ」と言っていたのを覚えていたので、見てみようと思った次第である。舞台はケニアの病院、主人公はそこで働く日本人の医師、現地の子供たちの命を救い、さらには魂まで救おうという賢明な姿を描き、その医師の死後、彼が救ったケニアで子供の戦闘員をしていた青年が、戦闘員という状態から抜け出し医師となり、日本の津波の後の街中で、一人呆然とする子供に声をかけるシーンで終わるという、「連鎖」を示して終わるというものである。

映画の最後に、この物語のもととなったさだまさしの「風に立つライオン」が流れる。何度も聞いたことのある曲だけれど、こういう風に映画とセットで見るとその情景がリアルに思い描ける。この曲の中にある一説に、
「僕は現在を生きることに思い上がりたくないのです。
空を切り裂いて落下する滝のように、僕はよどみない生命を生きたい。」
と歌われている。
政治と経済がうまくいっている国家では、日々の生命の確保に苦労するようなことはまずない。そんなに深く考えなくとも、それほど必死で頑張らなくとも、生きていくことができる。でもそういう状況で人が心までをも健康に保つことができるのかと言えば、そうでもない場合がある。それは日本の自殺者が世界でもきわめて多いことからも示されている。

平和で恵まれた状況が極めて貴重な状況であるという認識と、日々の変わらぬ日常に対する感謝の感覚はいったいどのような行為から生まれるのだろうかの疑問に対して、僕自身明確な答えは思いつかない。特に若いころには僕自身もつまらない日常から逃げるように、山に登ったり、海外に行ったりの行為をしたりもした。だから年を取ることが条件なのかと言えばそうでもない場合もあるし、子育てをすることが条件かと言えばそうでもない場合もある。

でもなんとなく感じることは、世界の状況がわかってくる、つまり「良い状況も最悪の状況もどちらもあるのだということを認識すること」と、「ある理想的な状況を作ることに対して何らかの責任を感じているということ」、この二つの条件がある限り、決してあきらめるようなことも無いような気がするのである。

さだまさしの歌の歌詞はとてもよく僕の心に響いてきた。そしてこの映画を見るきっかけを与えてくれた娘と、校長先生にも感謝を感じた。とても小さいけれど、ここでも「連鎖」が起きているような気がしたのである。連鎖は必ずしも年長者から年下へ、社会立場が上の人から下の人へ、と決まっているわけではないものだ。ふとした時に誰でもどこからでも受け取ることができて、そしてそれをまた誰かに渡すことができるものであるのだろう。

2016/02/06

午前中、埼玉県上尾市にて土地の購入を検討しているSさんご夫妻打ち合わせ。初めてお会いする機会ということで、ますいいの家づくりの流れをご説明させていただく。続いて候補となる二つの土地についてのアドバイス。どちらも面積の小さな土地であったのだけれど、建蔽率と容積率の違いがあるので、実際の建物の面積はこれだけ違うんですよと言うようなお話である。こういうことはなかなか素人にはわからないことで、でも建築の設計に携わっているものにとっては常識的なことであるのだから、やっぱり土地の購入の前にご相談をしていただくというのはとても有効なことであると思う。

2016/02/04

朝礼終了後、各プロジェクト打ち合わせ。埼玉県富士見市にて設計中のTさんの家については、若干のプラン変更に基づく図面訂正の検討を行う。

続いて、川口本社の隣にある青木町ハイツのリノベーション計画について。前回の日記に、クライアント自身が書いてくれたご希望のプランを掲載したが、下の写真はそのプランに基づく1/30模型である。こうして模型化してみるとよりリアルにリノベーション後の様子を感じることができるもので、次回の打ち合わせではこの模型と、カタログ的な見積書に基づいて、「どこの部分をやるといくらだから、この部分は採用して、結果的に合計いくらでこんな工事をしてもらうことができる」という風に、作業範囲の決定をもクライアントご自身でできるような仕組みをご提示できればと考えている。

この作業が完成したら、一連のプレゼンをカタログとしてウェブサイト上で提示させていただく。青木町ハイツには400戸の住戸がある。このくらいの規模のハイツは、都市近郊でそれなりの建築年数がたったものとしてはとても一般的なものであるけれど、今回の最終目標は、あるパターンを持ったこうしたハイツにお住まいの方々に対して、一戸単位ではなく、ある共通したリノベーションの手法とそれの伴うコストを表示したカタログを示すことである。最終的には、このカタログを見れば誰でも自分の家のリノベーションの設計ができ、しかもいくらでできるかということまでわかるものにしていきたい。

この計画は、一方でますいいが現在計画しているホームレシピに連動する。ホームレシピはますいいがかかわる建築を、関わり方の程度に応じて購入することができる場である。たとえば小さなリフォームの場合にはここで材料を買って、自分で職人さんを頼んで工事ができちゃうというような場にしたいと思っている。そういうことができないような規模になった場合にはますいいがそのできない部分をやってあげることになる。つまり、クライアント主体で選択型の、建築工事にまつわる、材料から設計図から職人までをも手に入れることができるフィールドをイメージしている。

この構築には現在早稲田大学創造理工学部建築学科の渡辺先生にお力を頂戴しているところであるが、詳しくは5月に予定されているますいい展示において示す予定なので楽しみにしていてほしい。

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2016/02/02

朝礼終了後、埼玉県寄居町にて計画中のMさんの上のスタディー。今回は実施設計に入って初めての打ち合わせということで、1/50での図面を作成中である。この建築は平屋のL字型プランの建築で、玄関を入ったところには大きな土間が配置されている。土間の向こう側には、床の間を持つ8畳の和室があり、この部屋は茶室として利用でるように炉が切られている。今回は、この和室のデザインをどのようにするのかを中心にスタディーを行い、和室部分だけを抽出した1/30模型を作製することとした。

夕方、ますいい大工募集に応募いただいた中さん面接。大工歴のある44歳、頼りになりそうな人材である。僕が書いた大工さん募集の記事を読んできていただいたというからうれしい限りである。かつて大工さんは家づくりの中心にいた。大工さんが間取りの打ち合わせを行い、材料を決め、デザインをして、家を作ったのである。でも今は違う。なぜか・・・。

少なくとも住宅産業においては大量生産大量消費の時代の終わりを迎えようとしている今、もう一度有能な職人が丁寧に一軒一軒の家づくりを行うような仕組みを作りたいという思いを書かせていただいたわけであるけれど、その志に共感していただいたことだけでも感謝である。

かつて衆議院議員の平将明さんから聞いた、大切にしている言葉がある。
「良質な志には、良質な人材と資金が集まる。」規制緩和の時代に、銀行を立ち上げた人だから言える中身のある言葉として僕の胸に刻み込んでるのだけれど、今回の中さんとの出会いをスタートとして良質な組織を作り上げていきたいと思う。

2016/02/01

朝礼終了後、群馬県中之条市にあるI製材所へ。この製材所からは唐松のフロアリングを仕入れさせていただいている。唐松というのは群馬県に大量にある木で、なんでも昔は松杭にしようという目的で植樹されたそうであるが、時代は変わり杭としての利用をすることはめったになくなってしまった。その唐松がちょうど建築資材として利用されるべき樹齢になったということで、10年ほど前からフロアリングや集成材の梁に加工して利用するというアイデアを取り入れたということである。

軽井沢の別荘の外壁などに貼られている姿はよく見かけるのだけれど、さすがに都会の家づくりであそこまで大々的に木製外壁を採用することもないのであるが、ますいいの家づくりのお中では自然素材の温かみのある床材としてとても活躍してくれている。

今日は一年ぶりに社長のIさんにご挨拶をさせていただく。挨拶だけではもったいないので、ほかにも良い材料はないのかの物色も兼ねている。聞いてみると吉野の桧の上小節のフロアリングを坪当たり13000円ほどで分けてくれるとのこと。これはなかなかの出ものである。吉野の桧の柱を取った後の端材から、木裏を表面にしてフロアを取ることでのコストダウンを図っているという、何とも製材屋さんらしい木の有効利用をしているのであるけれど、それゆえのローコストと素材の良さは利用する価値があると思った。

I社長と一緒にそばを食した後は、工場の横にある材木の貯蔵地を案内していただいた。貯蔵地にはたくさんの丸太が置かれている。樹種は桧と杉と唐松である。この3種は日本を代表する針葉樹である。

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こちらの写真は桧のフロアリングになる前の板材を乾燥機に入れるところである。

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これはフロアリングの抜け節を補修するための埋め木材。これを穴に埋めると、フロアリングの抜け節がまるで本当の節のごとくに見える。木を余すところなく利用するための工夫と言える。こういう風に産地を見て、直接材料を購入するという行為は、まるで料理人が漁師さんや農家さんから直接食材を仕入れる行為と似ている。つまり生産者の顔を見て、だれがどんな気持ちで作っている商品であるかを理解したうえで、ますいいの家づくりに取り入れるというとても大切なことであると思うのである。建築は空間と素材で作られる。両輪の一方を占める素材を探す旅、そんな風に言うととてもロマンチックだけれど、とても楽しい旅なのである。

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