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ますいいリビングカンパニーは埼玉県川口市にある注文住宅を作るデザイン設計事務所です。
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増井真也日記
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増井真也日記

2015年11月アーカイブ

2015/11/28

朝礼終了後、図面の確認など。

10時、埼玉県川口市にて所有している鉄筋コンクリート4階建ての住宅をリフォームしたいというTさん宅にて打ち合わせ。Tさんは10年ほど前にこの100坪ほどある大邸宅を購入したということである。住宅自体は築35年ほど、新耐震基準になる少し前に作られた。子育てが大体終わりを迎えつつある今、この広い住宅を一部人に貸しながら住み続けることはできないか、、、はたまた半分くらいの面積だけを少ない予算でリフォームして快適に暮らすことができるようにできないものか、、、方針が定まらない中でのご相談ということでいろいろと頭を悩ますひと時であった。

数年前に、大手ハウスメーカーで作られた広いご自宅のリビング部分だけを改修して、隠れ家のような会員制のカフェを作ったことがある。月に一度ほど、口コミで広がった会員だけに営業日の情報が通知されて来店することができるという本当に隠れ家のようなカフェだ。場所は埼玉県川口市、僕の会社から車で20分ほどのところに位置している。クライアントにはこういうものを作ってほしいという割と明確なビジョンがあった。僕たちはそのビジョンが実現するように図面を描き、職人さんと打ち合わせを行い、写真のような空間を作り上げたというわけである。

今は建築のストックが大量にある時代である。人口の減少に伴い、それを従来の形利用する人は自然に減少するわけだから、新たな使い方のイメージを持った人が、余剰の空間をうまく利用するとか、大きな空間を持った人と持たない人がそれをシェアするとかの行為が一般的になってくることが予想される。建築家がそれにどのように貢献できるか、まだまだ可能性のある分野だと思う。

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2015/11/26

朝礼終了後、事務所掃除。その後図面チェックなど。

夕方、スタッフ全員が集まってのミーティング。来年5月に予定されている、ますいい20周年の企画展での展示内容について各担当者よりプレゼンをした。

まずは町田分室で考えている埼玉県飯能市を舞台とした飯能プロジェクトについて。飯能市では人口減少に対抗するために比較的価格の安い農地に家を建てられる農家の規定を緩やかにすることを計画している。家庭菜園程度の農作業しか行わない人でも、調整区域の農地に家を建てられるようにするというからたとえばアーティストや、僕たちの様に建築の設計などを仕事としているような人でも、広々とした農地に住宅を建設し、自給自足型の農家を営むというようなライフスタイルを手に入れることができる可能性が出るわけである。ここでは、舞台となる飯能市にふさわしい、つまり木や土、石といった天然資源をを最大限に利用した建築や暮らしの在り方について検討を進めている。例えば、製材して建築資材となる木だけではなく、その時に発生するウッドチップを利用したストーブや、ガーデニング、また従来の建材のサイズにはならないような小さな材料の組み合わせによる建築の可能性などを提案する予定である。

これに合わせて、川口本社ではハンノウはハンノウでも、半分農家の半農生活についての検討を進めている。この分野については、僕自身が約2反の畑作業を1年間続けてきたデータがあるので、実体験に基づくプレゼンができる。どれくらいの面積を耕すためにどれくらいの時間を必要とするのか、そこからどれくらいの野菜がとれて、そうすると何人くらいの人が実際の食料として野菜を手に入れることができるのかなどの具体的なプレゼンとなる予定である。この発想は、ソローの森の生活から着想を得た。ソローは当時の産業革命の中、森の中に単身自給自足の生活空間を確保しそこでの実験的な生活の様子を一冊の本とした。このデータは現在でも森の生活の中に読むことができるのだけれど、その都市近郊バージョンを川口市の畑で実現しているわけである。

続いて、柳沢君と和順君、そして渡辺君のチームで検討している小屋について。こちらは小屋を構成する部材の出所を明らかにし、寸法と価格を提示できる形で展示を行う予定である。小屋自体は茶室となるか、はたまた用途不明のデザインされたものとなるか、検討中であるのだけれど、建築の作り方に影響を与えるような、つまりは既存の建築の作り方を改革することにつながるような作品としたい。

最後は町田分室提案のウェブサイト・ホームレシピ。こちらはDIYのための情報共有サイトである。ますいいらしい楽しいサイトとなる予感がするものだ。いずれも年末から年初にかけて内容を詰めていくところ。こういうことはとても楽しいもので、なんとなくわくわくする時間を過ごしている。

2015/11/25

朝礼終了後各プロジェクト打ち合わせ。年末に向けて進行中の現場もきりの良いところまで調整しながら進めている。計画中のものも年内最後となるであろう打ち合わせに向けての準備が進む。何が変わるわけでもないのに、やっぱり正月を間に挟むとなんとなく心の切り替えというものがあることが面白い。夏のお盆休みもそういう傾向があるけれど、やっぱりお正月にはかなわない。新年という区切りに向けて、約1か月の準備を進めるそんな時期に差し掛かってきたのであろう。

埼玉県川口市にて進行中の絵画アトリエの新築工事の様子である。このアトリエは息子がまだ小学校低学年のころに通っていたという、とっても思い出のあるアトリエで、先生は壁画のスペシャリストだ。若いころにはアメリカでディズニーの壁画を描いていたという。アメリカでは壁画は立派なビジネスとして成立していて、数人のグループで短時間の中で大面積を描き上げるという手法が確立しているそうだ。以前先生にスケッチの様子を見せていただいたことがあるが、物の形をとらえる正確さとスピードには本当に感服したことを記憶している。

写真は2階のアトリエの様子である。壁画にも対応できるように、写真右側には長さ10mほどの壁が造られている。この上には大空間の無柱空間を作るための化粧の登り梁があり、梁と梁の間にはルーバーのような天井が貼られる予定だ。非住宅ならではの大空間といった特殊な要望を解決するために行っているさまざまな工夫が、結果的に建築の魅力に生かされていることがとても楽しみである。

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2015/11/23

朝礼終了後、事務所3階大掃除。仕事が忙しいとなんとなく事務所が荒れてくる。あちらこちらに模型が散乱したり、材料のサンプルが散乱したり、まあとにかく設計や現場管理の中で必要となるいろいろなものたちが整理されることなく部屋からあふれ出してくるのである。こうなるともう誰かが陣頭指揮を執って大掃除を始めるしかない。ということで約30分間の整理整頓作業の開始である。適度に様々な情報が散乱している状況は心地よく感じることもある。でも行き過ぎはダメ。何が何だか分からなくなってしまう。やっぱり何でもバランスが大切なのである。

11時、戸田市文化会館にて子寄席の茶会に参加。客が6名という、僕が今まで経験した中では一番小さな規模の茶会である。でもこれが本質なのではないかと思えるような素敵な茶会であった。亭主が招待状を出した数名が集まり、亭主の思いが伝わる場としての茶会、こういうものもあったのかというとても新鮮な思いである。

14時、ところ変わって秩父宮ラグビー場。今日は一年に一度の早大理工ラグビー部の同期会ということで、早慶戦を観戦。試合はロスタイムでの逆転勝利。内容は何となく早稲田らしさのないつまらない試合であったのだけれど、ワールドカップでも活躍したジャパンの藤田が戻り、どうにかこうにか勝利をもぎ取ったという印象であった。終了後、家族ぐるみで和民で会食。皆41歳前後ということで、小さな子供を抱えた子育て世代である。一様に家庭的になり、それぞれの父親をやっている。少なくともこの集団では人口は減少していない。やっぱりラグビーっていいなと、こんなところでも感じるのである。楽しい時間を過ごすことができた。

そういえば今日は雨が降っていたということで、メインスタンドの右側にある屋根つきのスペースで観戦をしたのだけれど、その屋根を支えるための柱が邪魔で、まともに試合を見ることができないというストレスを感じた。もし今設計をするとしたら間違いなく柱をなくし、跳ねだしの屋根を支える構造を採用するのだろうけれど、何十年も前に作られた競技場だから仕方がないのであろう。次のワールドカップを日本で開催するということで、一時期は建て替えの議論が行われたと聞くが、今はそれもなくなってしまった。でもこういう部分改修については再度見直す必要もあると思うし、結果的にそれが全体を長く使うことにもつながると思う。100か0かの議論ではなく、今のものをさらに使いやすくするというような中間の議論も欲しいものである。

2015/11/22

10時過ぎ、埼玉県富士見市にて設計中のTさんの家の打ち合わせ。今日は1/50の模型を作製し、ご覧いただくという機会である。これまでの基本設計は1/100のスケールで進めてきたが、実施設計に入るとそのスケールが倍になる。倍のスケールになれば、これまで見えなかった細かな部分も見えてくる。図面もより具体的になってくるわけである。こういう時は僕たちもとても緊張する。よくできたと思っていても、それをクライアントに気に入っていただけるだろうかのドキドキ感は、何件設計しても変わるものではない。気に入っていただけなければ、設計は永遠に続く。気に一致ただければ、自分が理想と思い進めてきたものが実現する。果たして今回は・・・、とても気に入っていただけたようで、このまま進めてください、の一言を頂戴することができた。とても満足な打ち合わせであった。

2015/11/21

朝礼終了後、各プロジェクト打ち合わせ。

10時、近所のマンションにお住いのTさんご夫妻来社。築40年、僕の年齢とほぼ同じマンションにお住まいで、そのリノベーションを検討されているということであった。古いマンションだから間取りはいわゆる公団住宅のような形となっている。このスペースをこれからも心地よく暮らしていける場所にリノベーションしてほしいとのご要望である。

公団にスタイリッシュに暮らす、こういう要望はこれからますます増えていくと思う。そして今は公団のようなイメージからは外れているもう少し新しい築年数が30年ほどのマンション群も、あと10年もすればこの公団というイメージで表されるようなちょっと古いマンションというのもも仲間入りをするであろうし、20年たてば築20年くらいの超高層マンション群だって、一昔前の様相を帯びてくるわけである。つまりは40年くらいの一つの世代が使い終わったけれどまだまだ使い続けることができそうな、でもそのままではちょっと使いにくい集合住宅というものの新たな暮らしへの再利用というのはとても大きなテーマとして扱うべき問題なのだと思うのである。

まずはこういうことを考えてリノベーションが行われた事例を調査し、リノベーションにおけるルールと、手に入れられるであろう快適性の分類を行ってみよう。近所のハイツに対する一つのリノベーションの指針のようなものを考えることができればとても良いと思っている。

2015/11/20

朝礼終了後、事務所にて雑務。

10時過ぎ、埼玉県寄居町にて設計中のMさんの家の打ち合わせ。今回は実施設計に入って初めての打ち合わせということで、1/50の平面図、断面図、立面図を描き進めていたのであるが、途中でMさんからの変更以来が2回ほど届いた。変更以来に対しての対応を進めていたところでなんとなくの違和感。設計を進めていて、何度も変更を聞いているうちに、こういう違和感を感じ始める時が偶にあるのだけれど、そんなときはちょっと一息、全く別のプランを考えてみたりする余裕が大切だと思う。ということで、この土地に建つ住宅として本当にふさわしいであろう形態について、もう一度考え直してみることにした。

山を背景に抱える、広い畑の一角に建てる住宅である。なぜに2階建てを計画しているかの疑問をまずは感じたので、平屋の案を思い浮かべる。するとフランク・ロイド・ライトがアメリカの中産階級のために設計した住宅群のうちの一つであるジェイコブス邸が頭をよぎった。なぜよぎったかはわからない。不定期で開催している若手建築士の勉強会で、和順君が選択したのがこの住宅であった。それ以来なんとなく頭に残っていた、それだけのことである。そこでためしにこのジェイコブス邸のプランを落とし込んでみることを指示。もちろんそのままというわけにはいかないのだけれど、ジェイコブス邸の中にある魅力を生かしながら、今回の計画地に合うように配置してみたところ、これがなかなか良い。何とも言えない伸びやかな空間が広がる住宅ができそうな気配が感じられる、そんなプランが出来上がった。

今回はこの再考が功を奏し、結果としてクライアントに受け入れていただくことができた。もちろんこの再考が毎回有効であるわけではないのであるが、違和感を感じた時はこういうことも必要であるというということなのであろう。何十回も変更を重ねて練り上げる名案もある。でも初めに考えた魅力がわかりやすく完成したときまで残っているときのほうが、やっぱりよい住宅ができているような気がするのである。

2015/11/16

朝礼終了後各プロジェクト打ち合わせ。土間とガレージについて。ますいいではこれまで土間のある家をたくさん作ってきた。土間といっても昔の住宅の様に本当に土のままになっているわけではなくて、多くの場合はコンクリートの仕上げを採用しているスペースということなのだけれど、この土間には暮らしを豊かにしてくれるさまざまな可能性がある。

たとえば伊奈の家では、バイクをいじったりの作業が好きなクライアントが、暮らしの中に無理なくその作業を取り込むことができるのではないかということを考えて土間を作った。この住宅では、1階にL字型の土間を配置して、その中央部分に昔の農家の住宅にあるような小上がりの居間を作っている。土間の部分でバイクや自転車の作業の続きをしたりしながら、その中央部分で家族のだんらんの場があるという様相をイメージしたように、今でもこの土間は多様な暮らしのスタイルを寛容に受け入れてくれる中間地点となっている。

この住宅、実は土間から隣にある大きなガレージに移動できる。このガレージには数台のバイクが置かれていて、まさに大人の遊び場のスペースとして利用されている。所さんの〇〇ベースなどという遊び場のような住処がテレビで紹介されていたことがあるが、まさにクライアントの基地のような場所なのだ。

こういう遊びの空間は意外とありそうでないもので、わざわざ作らないことには手に入らない。でも人間の生活にはこういう遊びがとても大切なのだと思う。ただただ決まりきった何LDKという住宅にはこのスペースは存在しえない。だからこそクライアントに適したフレキシブルな空間を住宅の中に作ることはとても効果的な操作だと思うのである。

そして、こういう操作は住宅の寿命を延ばすことにも貢献してくれるのだ。何十年も暮らす中で、年齢とともに人の嗜好は変化する。子供が巣立ったり、また戻ってきたりといった家族構成の変化だってありうる。こういう変化を受け入れることができる住宅、つまり使い方を変えたいと思った時に、構造体と分離された変換可能な空間がいかに存在しているかということが、結果的に住宅の寿命を延ばしてくれることにつながると思うのである。

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2015/11/14

朝礼終了後、埼玉県さいたま市にて作ったWさんの家の取材立ち合い。Wさんは大学の建築学科を卒業後、再開発事業などを手掛ける設計事務所に勤務している。今回ご自宅を作るにあたって、自分自身で設計をしながらその設計を補助し、作り上げてくれる会社を探していたということで、ますいいリビングカンパニーに依頼してくれた。

僕たちが現場に着くと、ちょうど扶桑社の渡辺さんとカメラマンの五十嵐さんも歩いてくるところであった。家の裏側にあるセルフビルドで作られた段々畑のような花壇を見つつ、表玄関に回り取材をスタート。家ではWさんと奥様が準備をしていてくれたのでスムーズに始めることができた。

まずは家全体を歩きながらの取材である。この建築は中心部に中庭を配置して、玄関を入ると右側にLDK、左側に寝室ゾーン、奥側に水回りが配置されている。水周りの上にだけ2階があって、そこは床の一部がすのこ状になっているので左右のスペースをつなぐ廊下と一体の空間となっている。水回り部分に配置された風呂の中からも中庭に向けた窓を設けており、ふろに入りながらも中庭を眺めることができるようになっている。ゆえにとても明快な建築なのである。

クライアントが基本設計を行った建築を雑誌で紹介する・・・何とも風変わりな状況であるが、これもまたますいいの提唱している「自分の家は自分で作る」の一つの形ではないかと思っている。水道屋さんの家もつくったし、板金屋さんの家もつくった。基礎屋さんの家もつくったし、大手のハウスメーカーで働く人の家もつくってきた。そして当然のことながらそれらの家ではクライアントが自分でできることは自分でやってきた。木造を手掛けていない大手の設計事務所で働く人の家を、木造に慣れている僕たちが補助しながら設計して作り上げるということもまたとてもますいいらしい成果ではないかと考えたのである。雑誌の発行がとても楽しみな取材であった。

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2015/11/12

朝礼終了後、埼玉県さいたま市にて進行中のTさんの家の現場へ。上棟工事を終え、屋根の下地も出来上がりつつある。少々複雑な形状の屋根工事ということで大工さんもだいぶ苦労をしてくれたようだったが、きれいに仕上げることができたようで何よりである。

今日はすべての窓の位置や大きさのチェックをしたのだけれど、その中でキッチン廻りと水回り、そして子供室の窓について変更を指示した。例えば子供室の窓、椅子に座ったところからの眺めが予定されている窓の向こうには隣の家のベランダがある。そこには洗濯物やらの雑然とした様相が広がっている。毎日毎日隣の家の洗濯物を眺めていても仕方がないから、少しばかり上にスライドすることにした。そうすると隣の家の屋根と空が見える何とも気持ちの良い窓となるのである。

現場には現場でしか気が付かないこともある。定期的に足を運んでその状況を微調整することはやっぱりとても大切なことだ。図面の上だけではなかなか完璧にはできないのである。

夕方、CACICAの柳川さんが来社。年に一度の靴の買い物は柳川さんに作ってもらうことにしている。今回は茶のプレーントゥというスタンダードなラインが出来上がってきた。お値段は少々高い。でも結果的にはよいものを安く長く使うことができるようになったのではないかと思っている。というのも、柳川さんに作ってもらうようになってから僕の靴に対する対応はちょっと変わった。それまではリーガルあたりの靴を吐きつぶしては買うということを繰り返していたのだけれど、丁寧に手作りで作ってもらうようになってからは、減ってきた靴底を交換して何年も大切に履き続ける習慣がついたのである。

柳川さんの靴はちょっとレトロなデザインで、僕はこの雰囲気がとても気に入っている。飽きが来ないで、長く履けるデザインだとも思う。愛着を感じながら、手直しをしながら、長く長く使い続けるこの感覚、家づくりもこんな風にしていきたいなと思うのである。

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2015/11/10

午前中は各プロジェクト打ち合わせ。

午後より茶道稽古。今日は口切の茶事と濃茶出前。口切の茶事というのは壺に入ったお茶の葉を壺から出す一連の動作のことで、この時期は新しいお茶をいただくということから茶人にとって正月のごとく扱われることとなる。それに11月からは炉のお点前に代わるので、これまでとは少々異なる雰囲気の中でのお点前となるわけだ。夏の間に入門した人にとっては初めての炉のお点前ということで、何が何だかわからないままに進んでいるようでもあった。

秋というと茶葉の収穫だけではなく全般的に収穫の秋である。(この文章については、「茶葉は初夏に収穫して、秋まで保管して口を切ります」とのご指摘を筑波大学の石塚先生より頂きました。ご指導ありがとうございました。)畑を初めてからそういうことを意識できるようになった。10月にはたくさんのサツマイモやサトイモがとれたし、今の時期は大根が育ってきて食べごろを迎えつつある。白菜もだいぶ大きくなってきて、先日は今年初めての白菜の鍋を食すことができた。他にも、ホウレンソウや春菊、小松菜といった青物がとてもよく育つし、特にこの時期のホウレンソウは夏場のものよりもやわらかくておいしく食すことができる。もう少したつとレタスなども大きく育つし、キャベツも食べごろを迎えるであろう。日本の気候が温かくなったせいであろうか、霜に気を付けなければならないはずの野菜たちがそれほど気を付けなくとも元気に育ってくれるようである。関東地方も温暖地の時期に合わせて種をまいたりの作業をできるようなので、畑にとっては楽になった面もあるのかもしれない。
隣の畑はよく見えるとはよく言ったもので、僕の畑のお隣さんも僕の野菜の1.5倍くらいの大きさの元気な野菜を育てていて、とってもよく見える。そちらは本職の農家さんだから、良いのは当たり前なのだけれど、やっぱりこういうことは聞かなければ成長もないので質問してみると、種をまく時期やら肥料の種類やらをとても親切に教えてくれた。おまけに種までくれるというから、やっぱり何でも聞いてみるものである。きっと僕たちの野菜があまりもに自分のものと比べて小さいことに同情してくれたのであろう。

畑を初めてちょうど1年がたった。茶道を初めて5年であろうか。なぜが秋は僕が新しいことを始める時期でもある。ますいいの中で建築部門を始めたのも秋、今からちょうど15年ほど前の事である。その頃はまだ26歳であった。時のたつのは早いものである。

2015/11/09

埼玉県川口市にてSさんの家の建築工事が進んでいる。この敷地は周辺が住宅に囲まれ、1階のリビングに南面からの採光だけでは十分な明るさが確保できる環境では無かった。

これを解決するため、2階に大きな開口を作ることとした。この開口は日中、周辺の環境に干渉せず多くの光を取り込む。また、1階の真ん中に当たる場所に、そり立つ谷の裂け目のような、南極のクレパスのような、薄く高い吹き抜けをつくり、2階の大開口に対して開くよう配置した。この裂け目は光で満たされ、反射し、1階の真ん中まで光を届けることとなるであろう。今はまだ、ベニヤの下地の状態だから光の跳ね返りが悪い状況だけれど、それでもなんとなく光を届けリビング周辺を明るく照らすという状況は出来上がっている。吹き抜けが仕上げにより白く仕上がれば、きっと優しい明るさに包まれたリビングになるであろう。

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2015/11/06

朝礼終了後事務所にて雑務。

10時、埼玉県戸田市にて飲食店を作りたいというYさん来社。Yさんは炉端焼き屋さんのようなお店を作りたいということなのだけれど、こういう設計は完成形をお互いにイメージしながらすり合わせていく作業がとても大切になる。以前アスタリスクカフェを作った時も、そのあとに東川口の会員制のカフェを作った時も、設計作業がすなわちお店のイメージをデザインすることにつながるわけなので、つまりはこの段階でこのようなお店が出来上がるかの決定をしなければいけないということなのである。

こういう仕事は正直言って、とてもわくわくする。だって、もし完成すれば僕にとっても、家のすぐ近くの行きつけのお店になるかもしれないわけだし、そのお店が地域の人からとても喜ばれたり流行っている様子を見れば、当然のことながら自分のことのようにうれしく思うからだ。

小さな建築の積み重ねでも、地域は確実に変化していくと思う。僕は大きな再開発などが行われて町が一変してきれいになっていく様子よりも、いろいろな人が絡み合って地域が少しずつ変化していく様子のほうがむしろ魅力的であると思う。例えば恵比寿ガーデンプレイスにしても、六本木のミッドタウンにしても、あのような大きな再開発が行われた後にいつも思うのは、実際の人のスケールとあっていないということである。例えば店から店に歩くだけでもとんでもない距離を歩かされたり、階段でフロアーを移動するだけでも何メートルも登らなければいけなかったりする。それに対して魅力的な商店街というのは、人が歩いて移動するのが無理ない距離で店と店が隣接していたりして、スケール感がとても身近に感じられるのである。

個人商店の設計ではこのスケール感がとても大切であると思う。視覚的なスケール感がその地域にあるべき建築の姿から外れてしまうと、どれだけ丁寧に設計してもその地域の人にとってはそれほど魅力的に映らなかったりもする。今回の敷地は区画整理地の中にある。道が拡張され、新たに生み出される駅前の住宅街にどんな姿が合うのであろうか、検討を進めていきたい。

18時、早稲田大学 創造理工学部 建築学科の渡邊研究室を訪問。今日は2回目の会合である。会合の内容はリンク先のHPにも記載されているが、以下のごときである。
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工務店機能を兼ね備えた設計事務所「ますいいリビングカンパニー」の20周年展覧会が、来春5月に催される。ますいさんの工務店としての特徴は、生半可な建築家がやるような小洒落たデザインはアッという間に自分たちでできてしまうし、それを施工する能力を兼ね備えている点にある。 つまり、ますいさんには建築家は不要だし、ますいさんの家を買う人たちも、ますいさんの設計者としての側面に十分満足している。
その反面、ますいさん自身は日本の特殊な住宅生産事情に板挟みになっている。 つまり、設計施工という日本古来の大工制度からくる業態と、建築家という西洋からきたデザインfeeを対価として受け取ることの矛盾である。
その結果、多くの日本の工務店はデザインは営業努力であり、対価を受け取らない。もちろんそのデザインは私のように設計料だけで生きている生業の人間からはケチをつけたくなる類のものが多いが、ますいさんはその世界でもある程度の質を保つ能力を有しているのである。その場合、住宅をデザインしつつ年20軒~中量程度供給するますいさんの明確な立ち位置が日本の近代には用意されていないことに気付く。
そこで本展覧会では中量生産中量消費の自立した設計施工と流通システムを「MASUI式」と名付け、それによってつくられる日本の住宅生産の地図を呈示する。その点において渡邊大志研究室はますいいリビングカンパニーと協同することにした。
昨今の建築業界において既存の物流体制ではコストコントロールに限界があり、中小工務店が良質なものを安くつくっていくには改革が必要であると言われて久しい。また職人の高齢化も深刻な社会問題となっており、ますいいリビングカンパニーも例外ではない。「MASUI式」を具体的に考えるにあたり、剣持昤・規格構成材理論を民間の中小資本で実現していくことが最初の指針になる。その上で、独自の流通経路として今は比較的弱い勢力となった河川運搬業に目をつけている。
2015.11.09
渡邊大志

物流と職人集団を持つ、工務店機能を兼ね備えた設計事務所に向けて

近年の問題点
これまで15年間工務店機能を兼ね備えた設計事務所を運営してきたが、職人の高齢化による人材不足の問題を強く感じるようになってきた。また、既存の物流体制の中ではコストのコントロールにも限界があり、良いものを安く提供するには更なる改革が必要となる。そこで、今後10年間の目標として、物流と職人集団を持つ、工務店機能を兼ね備えた設計事務所への飛躍を目指すものとする。
1. コストダウンにつながる新たな物流の可能性
① 木材市場との直接取引
→必要条件
・大量購入を義務付けられる。(材木の場合はパレット単位など、その場合材料の変形も問題となる。)
・倉庫の整備・在庫管理。
・小口運搬体制の確保とその経費。
→取り組み方
弊社は建売業者のように画一化された住宅を大量生産しているわけではないので、上記の条件を鑑みても部材調達のコストダウンにつながる項目のみを抽出して行う必要がある。
② ノーブランドの生産者から直接購入する造作材
・群馬県の唐松15㎜にて実施済み。市場価格の半額程度で仕入れ・販売。
③ 照明器具(個単位),クロス材(ロール単位),電気配線材,水道配管材を商社から購入。
④ 建材の輸入・・・石材・タイル等の仕上げ材。東南アジア、アフリカ製の建具。照明器具など。


2. 生産体制の整備
2-1.職人集団の育成
戦前まで、我が国の建築はすべて大工が建てていた。その子孫がゼネコンで、いまだに大林組のように「組」を名乗っている会社もあるほどである。東京大学の建築学科はもともと造家学科と称していたのだけれど、そこでは日本建築の授業は無く、後に建築学科と呼ばれるようになった。ここの出身者たちはもっぱら「官」の仕事ばかりをして、民間事業にはほとんど手を出さなかった。ましては住宅にはほとんど関知しなかった状態で、突然戦後の住宅ラッシュに突入したのである。
その後、世の中に建築家が大量に放出された。今では正直言って余っているほどである。しかしたくさんいたはずの大工さんが不足するようになってしまった。大工には学校が無い。これは徒弟制度が完備されていたからであり、教育制度を作る必要が無かったからである。大学の建築学科を出たものは現場の監督にはなっても職人にはならない。これが失敗だったのかもしれない。もしも早稲田大学大工学科なるものがあれば、きっと今でもたくさんの大工さんがいたであろう。
小学生・中学生に聞くと、大工さんになりたいという子は意外と多いということである。しかしながら、成長するにしたがって、建築職人になることなど選択肢の中から無くなっていく傾向がある。雨が降ったら仕事ができない、社会保険などが完備されていない、一人親方になるので生活の保障が無い、・・・こうした現実的な理由が成長と共にわかってくると、大工になりたいという気持ちも失せてしまうのであろう。それに上記のとおり、偏差値の高い学校に入ることが美徳とされる今の社会に、その欲求を満たす大工の学校は無いのである。これでは大工の数が増えるはずはない。ましてや少子化の時代である。名前を書ければ入れる大学がたくさんある時代に、好き好んでイメージの悪い職人の道を目指すはずなど無いのである。
僕はこういう状況を何とかしたいと思っている。大工さんでも、きちんとした会社で、生活も保証されて、しかもただの職人ではなくて現代の家づくりに必要な他の職種の技能を習得して、出来れば設計の分野までできてしまうようなスーパーな大工さんの会社を組織したい。こういうことは目標を定めないといつまでたっても先に進まないから5年くらいの目標にしていきたいと思っている。
2015.11.06
ますいいリビングカンパニー
増井真也

RIVER TO RIVER / The original housing supply MAP for Masuii Living Company

The project aims to create a map depicting the future endeavours of the Masui Living Company - a company that creates an interesting field between pre-fabricated houses and architectural influences.
New ways should be explored in the company's future and so the title „RIVER TO RIVER" reflects the take on old Japanese river-shipping methods, incorporated into the prospective ways of Masui Living Company's idea under the umbrella-title: '100 houses for 1 year'.
The old idea of rice shipping will be the basis for a company map, using the network of wood as explanation of its unique style and method. In this sense, the river is not only the idea of a certain infrastructure but becomes also core element of the the company's future. From the very origin of the wood, its extraction, its transportation - the creation of the Masui houses are traced and shown in its very own „Masui Method", following the idea of a prospective Union group, which will include wood producing companies, transportation companies and craftsman alike.
Based on an extensive research in the development of maps during the last centuries both in Europe and Japan, the map will also serve as a display for the company's method - the „Masui Method" - and will inherit a manual for each part of the houses, built in the unique Masui Living Company style - keeping in mind, that the traditional Japanese craftsmanship needs to be maintained and passed on to future generations.
The map research is centred around the various ways of depicting dynamic infrastructures and should set up a toolbox to exploit the way corporate dynamics can be displayed in different ways.

2015/11/04

朝礼終了後、事務所にて雑務。

11時、東京芸術大学、陶芸家の工房訪問。今日は陶芸家の正親さんに芸大の中を案内していただきながら作品をお譲り頂くということでお邪魔したわけであるが、まるで職人の工房のような施設の充実ぶりに驚くばかりであった。ろくろのスペースは一人に一つ、約3畳ほどの作業スペースが小上がりの上に作られている。釜も大きな窯が3つと、小さな窯が一つ、土は各地の土を自由に取り寄せ、配合して使用することができるということであった。工房がある環境は上野動物園のトラのスペースの裏である。トラの鳴き声を聞きながらろくろと向き合う、何とも風変わりな空間なのだ。

この芸大の陶芸過程は、彫刻科に入学した生徒が2年生の時にその先の進路を選択して入ってくるらしい。1学年5名程度、全体でも二十数名という少人数でこれだけの施設を利用できるのだから、さすが日本一の芸術系大学である。これがもし私学だったら、2~3倍以上の人数で交代しながらの利用となるであろう。何ともうらやましい限りであった。

モノづくりの教育ということでここで実践されていることは、経験者から未経験者への指導といういたって古臭い体系の中での技術の伝承であるということであった。大学なので、職人の世界のごとき師匠の価値観に絶対に服従しなければいけないという縛りはないとのことだが、経験から得られる技術や知識はしっかりと伝えてゆくということである。自由な思想と、技術の伝承、こういう形はモノづくりの教育の理想であると思う。

こういうことはますいいの家作りの中でも大切にしていきたいことである。20代スタッフが持っている価値観と40代の僕の価値観はやっぱり微妙に異なるだろうし、子供をもつ僕と独身のスタッフの価値観も微妙に異なるであろう。でも価値観なるものが統一されてしまってはとても気持ちが悪い世界が作り出されてしまうわけで、そもそも多様性が認められるからこその魅力的な社会なのである。僕たちの仕事でもしっかりと伝えなければいけない技術もあるけれど、自由な思想、自由な家づくりの可能性はどんどんと高めていきたいものだと思うのである。

2015/11/03

朝礼終了後、各プロジェクト打ち合わせ。

埼玉県さいたま市の現場では、Yさんの家の建築工事が進んでいる。この住宅は、閑静な住宅街に建つご夫婦と小さな女の子のための住宅だ。敷地は北向きの雛壇状造成地であるため、北側の良好な眺望を活かすことと、南側からの採光を確保することが最大のテーマであった。建築工事に先立って、擁壁の作り変えの工事も行われたのだけれど、この擁壁の工事は今年に入って2回目である。以前の日記にも書いたことだが、戦後の住宅建設ラッシュの中で作られた擁壁が今寿命を迎えつつある中で、この造り替えの工事は今後ますます増えてゆくであろうものだ。こういうことに適切に配慮し、なるべくコストを抑えながら進めていくことが求められるであろう。

模型を作成し様々なボリューム検討を行い、最終的には3つの異なるプロポーションのボックスが重なりあいながら、眺望、採光等の条件を満足させる不思議な魅力をもつ建物外観となった。内部空間も、各居室の性格に合わせ天井高さ床高さを変化させることで、場所によって様々な空間の見え方を体験でき、床面積以上に広がりを感じることのできる豊かな空間となるよう設計した。2.7mの天井高さを確保した1階のリビングルームに設置した全開口引込みサッシを開放すると、遮る建物のない広々とした眺望が広がることであろう。

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2015/11/02

朝礼終了後、各プロジェクト打ち合わせ。

埼玉県さいたま市にて進行中の建物に取り囲まれた旗竿敷地の奥に建つ、築40年の木造住宅のリフォームの現場がもうすぐ完成を迎えようとしている。古い建物だが、建物の建て替えに必要な「前面道路への2m接道」の要件を満たしていない「既存不適格住宅」であったため、新築ではなく構造躯体と屋根、外壁を残してのフルリフォームを行うこととした。

まずは安全性と居住環境を現在の基準に合わせるため、耐震診断による構造補強、断熱材の施工、設備器具・設備配管の更新など、基礎的な部分についてしっかりと対策をとった。間取りについては、日中でも薄暗く、細かく間仕切られた閉鎖的な空間を、現代の生活に合わせた明るく開放的なワンルームスペースにすることとした。

上階からの採光を確保し、1階のリビングルームに十分な光を届けるため、2階の床を撤去し、新たに吹き抜けを設けている。これにより、1階が見違えるように明るい居室になっただけでなく、2階とのつながりも生まれ、広々とした開放的な空間となった。

また、吹き抜け部の解体によって露出した梁や柱はそのままアラワシとし、あたらしい空間の中に古い既存部分が溶け込んだ魅力的な雰囲気となっている。この住宅は賃貸として人に貸し出すためにリフォームをしているのだけれど、古い構造体に刻まれたさまざまな跡が、若い人には魅力的な空間と感じていただけることであろうと思う。比較的広めのこの住宅を丁寧に、そして楽しみながら使ってくれるような人が現れることを祈っている。

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2015/11/01

日曜日。10時ごろより、埼玉県寄居市にて設計中のMさんの家打ち合わせ。今回は1/50の大きな模型を作製し、これまでの打ち合わせの中で進めてきた建築のイメージを共有する打ち合わせとなった。これからはいよいよ実施設計の部分を進めていくことになる。

午後、畑に行こうかとも思ったけれど今日はやめておくことに。なんだか背中が筋肉痛で、思ったように作業ができそうもない。今日で41歳となった。うーん。40歳を超えると早いとかって誰かが言っていたような気がするけれど、ついに41歳になってしまった。昔は2日ほどで直った筋肉痛の類も、1週間ほど続いたりの怪奇現象が起こるようになってきている。毎日毎日を大切に生きていかなければいけないなの感が日に日に強くなる40代から50代への一歩を踏み出したのである。

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