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ますいいリビングカンパニーは埼玉県川口市にある注文住宅を作るデザイン設計事務所です。
ローコスト・セルフビルドでよい素材を上手に使い家族が幸せになる、そんな建築を目指しています。

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増井真也日記
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増井真也日記

2015年3月アーカイブ

2015/03/31

午前中、川口市役所の方々来社。何でも町の中の寂れかけてしまったとあるポイントを選び出し、町おこし的な事業を考えたいとのこと。計画地はいくつか候補があるそうだが、まだこれからのプロジェクトということで、今回はそのプロジェクトの委員になってほしいとの依頼をお受けした次第である。

この手のプロジェクトが動き出すきっかけは、市民グループの発案か役所のプロジェクトのどちらかなわけだけれど、僕はこれまでどちらかというと市民グループ側に立って参加することが多かった。今回のプロジェクトでは役所側からの参加ということである。故にいろいろとしがらみも多いであろうし、気を使うことも多いであろう。どこまで自由に飛び回ることができるのか・・・まあやってみなければわからない。3年間の事業ということでまずは様子を見てみようと思う。

13時過ぎ、東京都杉並区の桜上水駅近くにある築70年ほどの住宅の建て替え相談。とても古い住宅で傷みも激しいようで、さすがに改修工事を薦めることは出来そうもない。新築当時の品の良さ、作りの良さがしのばれる建築だけにもったいないと思うのだけれど、こればかりはどうしようもない。

これは4人家族に、ご両親やご兄弟も同居する大家族の計画である。もしも完成すれば9名ほどが住むことになる。集まって住む、これはとても合理的であり現代的な解であると思う。これまで何度も書いてきたが、震災以降、家族の結びつきを大切に考えこのように集まって住む方々がとても増えているように思える。そもそも核家族化が招いた問題はとても多く、今の保育所の不足やら、介護の問題やら、振り込め詐欺に至るまで、バラバラになってしまった「住み方」を変えることで解決できる問題はたくさんあるのである。ぜひとも進めてみたいプロジェクトである。

2015/03/29

埼玉県さいたま市にて進行中のWさんの家の外壁、内装工事の様子である。上野写真にある外壁にはガルバリウム鋼板の縦ハゼ葺きを採用し、メンテナンスの不要な仕様としている。下地は耐水ボードを張っており、その下には通気胴縁と透湿防水シートを施している。施工に際してはハゼの位置の割り付けに特に注意を払っている。

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天井にはオスモを塗装したラワン合板を張っている。オスモ塗料の塗装はクライアントによるセルフビルドである。色合いもクライアントが決めた。目地はチドリで配置されている。これもまた施主のこだわりである。全体的な構成は、中庭を中心としてほぼ同じボリュームが左右対称に配置されており、一つはリビング、一つは寝室という機能が与えられている。今後の開口部などの工事で、この構成を明確に表現しながら木製建具などの取り付けを行っていくこととなる。今後の進行が楽しみな住宅である。

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2015/03/28

埼玉県川口市にて設計中のカフェ兼住宅のスタディーが進んでいる。この住宅は1階をカフェとして利用し、2階を水回りとリビング、3階を寝室として利用することとなっている。敷地は車の良く通る幹線道路に面した角地ということで、背の高い塔のような建築とすることを計画している。決して奇抜な建物というわけではなく、かといって通りがかる人の印象に残るようなたたずまいを目指した。

計画地は住宅やら店舗やらの混在する街並み。その雑然とした街並みの中にある様々な人や車といった自分とは直接関係のないものの動きを目で追うことができる空間。無目的にカフェにいる時間でも、街中の人々の動きをなんとなく知覚できるようなパノラマの開口部を設けることで、この場所に建つカフェの特徴を作った。現在は、実施設計の作業中。外部に面する開口部についての検討を行っている。1階のカフェにの中に施される仕上げや造作の様相も考えなければいけない。良い店になればよいと思っている。


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2015/03/27

先日、藤森照信先生から頂いた茶室の試作作業。1800×2700という小さなサイズ、つまりは利休の待庵とほぼ同じサイズの極小茶室である。ベニヤ板の下地に穴をあけて、そこに曲げた鉄筋を差し込んでいく。R型に曲げられた鉄筋の形状は、まゆをイメージして作られていく。一つ一つの鉄筋がバラバラにならないように、横方向にも鉄筋を入れていく。最後の仕上げは床面を麻のじゅうたんで覆い、鉄筋同士を白いロープでつなぎ合わせる予定である。今回は鉄筋の曲がり具合の確認と、全体のサイズの確認のための作業ということで、大方の方向性は見えて来た。次の段階でまたご報告したい。

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埼玉県さいたま市にて設計中のTさんの家スタディー。ボリューム検討をしながら建物全体のイメージを作り上げていく。長いアプローチから見える正面のファサードのボリュームの大きさをどのように見せるかのアイデアが固まってきた。今回のプレゼンに向けては1・100のボリューム模型とそれに基づく基本図面を仕上げる予定である。来週の本格的な作業に向けて進めていきたい。

2015/03/24

今日は娘の卒業式。6年間通った小学校を卒業するのはとても大きな出来事だと思う。幸いにして仲の良い友達は皆、地元の同じ中学校に通うことになるようであるが、でも人生の中の一つの区切りとしては本当に記念すべき日。一生の思い出になることであろう。とはいえ僕は参加はしない。こういうことは妻に任せている。終わってから、どうだった?と会話することができればそれでよい。

朝礼終了後事務所にて雑務。

19時より茶道稽古。今日は5人で花月を行う。慣れない者同士だったけれど何とか前に進めることはできた。21時ごろ帰宅。

2015/03/23

朝礼終了後、各プロジェクト打ち合わせ。

埼玉県坂戸市にて設計中のYさんの家の敷地についてのスタディー。この敷地は区画整理地内ということで、住宅の建て替えは基本的にできないことになっている。でも自分の土地に相当する区画の工事が完成すると、換地という新しい家を建ててよい土地と交換することになる。今回はもうじき換地が完成する土地に対する計画ということで、周辺がまだ道路工事などの最中での設計となるわけである。

敷地はパチンコ屋さんの目の前、ちょうど駐車場に面している。ということは多数の人の目にさらされる土地ということである。Yさんが初めて事務所を訪れた時にこの話を聞いていたのだけれど、やっぱりそういう現実を目の前にすると、この土地での設計の一つの大きなポイントであることがわかってくる。Yさんご夫妻は70歳のご主人と66歳の奥様ということ、つまりはご高齢の方のお住まいを設計するという仕事である。普通は1階にリビングを配置する。だけどこの土地ではリビングは2階のほうがよい。Yさんご夫妻もそれを希望しているのだけれど、やっぱりパチンコ屋さんの駐車場の目の前に南側の大きな窓を作ったとしても、それはいつもカーテンが閉められている開かずの窓となってしまうであろうことが予想されるからである。

住宅の設計は、敷地の条件によって大きく結果を左右されるものである。たとえ形が同じだとしても、今回の様に人がたくさん集まる場所が目の前にあるような場合や、逆にとても良い景色が目の前に広がっている場合など、様々な条件によって変化する。

下の写真は、敷地の北側を、とある大学の農地に面する住宅である。北側の眺望を取り込むために北側に大きく開き、南側の光を取り込むために南側に作ったロフトに開口部を設けた。上の写真はそのロフトからの光、下の写真は外観である。隣の家は南側に大きな窓をたくさん作っているけれど、ますいいの家は南側には最小限の窓しか作っていない。でも、ロフトに設置した窓からの光などを取り込むことで、北側の借景を取り込みながらとても居心地の良いリビングを実現することができた例である。このように敷地条件によってどのような設計をするか、ということはとても重要な検討であるのだ。

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2015/03/22

ますいいリビングカンパニーは工務店機能を兼ね備えた設計事務所である。会社の体制についてこんな風にわざわざ書く人はあんまりいないし、だからなんだと言われるかもしれないけれど、でも僕がわざわざ書くのにはそれなりの理由があって、それはつまり結構大変なことを、とある考えに基づいてやっているからだ。
 
これまでの建築業界における建設工事においては、クライアントと交わした設計契約に基づいて設計業務を設計事務所が行い、クライアントとの工事請負契約を交わした建設会社がそれを作り、設計事務所は建設会社が工事を図面通り適正に行なっているかの監理を行う。公共工事などの大規模建築では、このように設計と施工を分業してことにあたる方式が一般的だ。

しかし、このやりかたを住宅規模の現場にそのまま持ち込もうとすると、実はいろいろと問題がある。だから、僕の会社では設計事務所が工務店機能を兼ね備えることにした。具体的に言うと、スタッフ全員が建築家として模型を作ったり図面を書いたりの設計を行い、現場が始まるとそのまま職人さんへの指示や材料の注文、現場の清掃から、ご近所さんへの心遣いなどなど、つまり現場監督さんの業務もやってしまうということである。

それでは例を挙げてご説明したい。

例えば一つの問題は、設計料の安さだ。通常、業界の慣習として、設計料は建築工事費の10%程度であることが多い。例えば2000万円の工事費が見込まれる住宅の場合、設計料の金額は200万円となる。しかし、建築家が住宅を設計する場合、基本設計に始まり、実施設計の詳細を手掛け、現場が始まってからは現場監理に携わる。図面を引くだけで済む話ではなく、家づくりのために費やす期間は少なくとも1年は必要とする。その間、模型を作ったり、プレゼンをしたりの作業も行う。

こうした1年がかりの仕事への対価として支払われる設計料としては、この200万円という金額は少なすぎるのである。設計作業というものは、住宅の面積が小さいから簡単になるわけではない。コストが安いから楽になるわけでもない。むしろ少ないコストで、しかも狭い土地の面積の中で、あらゆる工夫を施しながら住宅を作る場合など、普通の40坪程度の住宅を設計するよりも多くの手間を要するものである。

だから小規模住宅しか扱うことができない設計事務所は、その苦しい経営状況のなかで事務所を借りることもできないし、スタッフを雇うこともできずに、奥さんと二人で何とか業務をこなすというような状態に陥ってしまうこととが多い。運よくその厳しい状況を脱することが出来た事務所が、大きな規模の住宅やその他の用途の建築の設計を依頼されるようになると、小規模住宅にまではとうてい手が回らなくなる。というより、設計料の安い小規模住宅など手を付ける理由がなくなってしまう。そして、結果的には小規模住宅の設計を断るという事態に陥ってしまうのが現実だ。

そもそも、日本社会においては、デザインに費用を支払うという感覚がまだまだ育っていない。だから200万円に対するとらえ方も立場が変わると全く異なる。当たり前のことだけれど、この200万円、建て主の側にとってはとても大きな金額なのだ。だって図面という紙っぺらに対して支払うのである。デザインとそれを実現するための図面に対する価値観が醸成されている国ならそうではないのであろうが、日本ではまだまだ図面がただの紙であるという認識が根強いのだ。

実際には、長い時間をかけて検討した結果の、建築を作るうえで必要な工夫や知恵が詰まった紙なのであるが、それをそのまま理解してもらえることはとても少ないと思う。そして仮に十分理解して設計料を支払うことに納得していただけた珍しい建て主から全額を気持ちよく支払っていただいたとしても、建築家がまともに事務所を運営していくためには少なすぎるというのが実態なのである。だからこそ日本では、建築家がいわゆるデザイン業務を行うだけではなく、作る手法、つまりコンストラクションマネジメントを行い、さらにはコストマネジメントまでもを行うことが求められているのである。現場において作ることと、コストを管理するという目に見えやすい二つを行うことで、個人住宅という小規模現場における建築家の価値は格段に高まるのだ。

僕たちは工業化という幻想に目がくらんで、あたかもそれが現代社会の標準仕様で正しいもののように思いこまされながらも、その一方で時間の流れを感じる過去から受け継がれた素晴らしいものたちを求めて旅行に行ったりするではないか。
そもそも住宅とは工業化から取り残された唯一の産物なのだ。それなのに、あたかも車や飛行機のように工業化というベールで包まれてしまった結果のブラックボックス感が実現してしまい、今ではハウスメーカーで働く技術者も、さらには施主までもが、木造住宅の原始的な構造の単純さ、自由さを忘れてしまっているのである。

でも、今の時代に規格品にとらわれない自由な建築を作ろうとすると、設計者も施主もあまりにもカタログから物を探すという行動に慣れてしまっているため、カタログに載っていないモノ達、つまり過去の自由なモノづくりの中で生まれたようなものを、いったいどこで手に入れたらよいか、いったい誰に作ってもらったらよいかの検討をつけることもできなくなってしまっているという問題もある。先の工業化病である。
 
特にCADを利用して設計をすることに慣れている世代の建築家には、自由な曲線を引くことはとてつもなく難しい作業であると同時に、それをしてしまえば建築コストがとてつもなく上がってしまうとの恐怖感すら感じることだ。僕はそういう環境を少しでも何とかしたいと思っている。だからこそ、分業化が当たり前の合理化社会において、非合理的かもしれないけれど一人の人間が設計も現場管理も出来る両方の能力を身に着ける努力をし、一人の人間が設計から現場までを一貫して行うべきだと考えている。さらには、手仕事を大切にしている作家さん達とも交流しているし、川口の街工場の社長さん達とも交流している。実は、モノづくりの精神を持った人たちは身近にいるのだ。

住宅という現場は、モノづくりの精神をもつ個人が入り込む余地が残されている唯一の楽園なのである。先も述べたように住宅づくりの現場で求められる精度はせいぜい何ミリなのである。僕たちはただただ線を引くだけではなく、現場を見て、感じて、モノを作る人々との交流をし、唯一残された楽園の中で、施主が自分らしく生きるための空間づくりに貢献しなければならないのであり、そのためにも、建築家が工務店機能を兼ね備えることが有効だと考えている。

2015/03/20

朝礼終了後、プロジェクト打ち合わせ。

10時過ぎ、久しぶりの畑作業。3月の半ばを過ぎるとだんだんと暖かい日も増えてくる。そんな気候の変化に合わせて畑の様相も日々変化を始める。枯れていた雑草は次第に緑色に色づき始め、見る見るうちに成長しだす。テントウムシなどの昆虫も急に増えだすし、鳥たちまでもが活発になったように感じる。都会での生活ではなかなか感じることができない変化が、実は僕の家から建った車で20分ほどの距離にあるのである。要はその変化を見る必要があるかどうか、その変化の中で生活をしているかどうかなのであろう。

お彼岸を境に急にいろいろな作業をやらなければいかなくなるのだけれど、今日のメイン作業はじゃがいもの種芋の植え付けである。あらかじめ作っておいた畝に穴を掘り、肥料を入れて、種芋を植える。簡単な作業だけれど数が多いととにかく腰が痛くなる。今日は約100個の種芋を植えた。11月ごろまいた法蓮草の種が、長い冬越しの末にようやく食べごろに育った。レタスもしかり。長い冬の間にゆっくりと育った野菜は独特の甘みとやわらかさがある。これはサラダにしたらとてもおいしいだろう。

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16時、お茶のお稽古仲間のご自宅にて、茶室を兼ねた和室を作りたいとのご相談。築16年ほどのMホームの既存住宅を改造するということで、Mホームの担当者さんにも来ていただいての打ち合わせだったのだが、その説明の形式的な様子に思わず声を荒げてしまう。どうしてクライアントの意向を理解し、クライアントがやりたいことを実現してあげるための努力をしないのであろうかの疑問がふつふつとわいてくる、そんな時間であった。

木造住宅の1階に茶室の空間を作る場合、その床下空間を利用して炉をきることくらい誰にでも想像がつく。その際に床を支えている大引きと干渉すれば、その大引きを少し横にずらせばよい。パネル構造の床材の裏側にある防蟻シートを破ってしまうのであれば、新たなシートとつなぎ合わせて補修すればよい。それくらいのことは建築に携わるものであればだれでも思いつくはずなのに、「床下に穴をあけることはできません。」「大引きが当たるので開けられるとしてもこの位置です。(別の担当者がこう説明したときに使った図面には、まったく畳の割り付けに関係ないところに〇印が付けられている!!畳の真ん中に穴が開いた茶室など世界中探してもないであろう。)」などの、まるで施主を馬鹿にしたような発言を繰り返すのである。

収納の壁を30センチほどずらすだけで、京間の4畳半が入ることがわかり、この壁をずらすことはできますか?と質問してみれば、できませんの一言。壁の下に基礎がないことを指摘し、耐力壁ではないのではと聞いてみたら、「確かにおっしゃる通りです。構造の検討をすれば動かせるかもしれません。」と見解を変更。挙句の果てに先の炉の話も、「床下収納があるのだから同じように弊社の防蟻シートで補強すれば大丈夫です、シートは支給しますのでご利用ください。」とこちらも見解を変更する始末。「大引きと干渉したときはこのようにかわしてくれれば大丈夫です。」の丁寧な説明まで付け加えてくれた。だったら最初からそう言ってくれればよいのに・・・。日本のトップリーダーである企業の担当者のこのご様子を目の当たりにして、本当に残念な気持ちになった。早稲田大学の先輩である創業者のMさんも、きっと嘆いていることであろう。

夜、事務所にて町田分室の田村君とミーティング。約2時間にわたって諸々のお話。20時過ぎ帰宅。

2015/03/18

朝一番で済生会病院。40歳を境に少々体調を崩していたが、飲酒を週1回に控えるようになってからは少しずつ回復。ようやく血液検査のすべての数値が正常値に入ってくれたので一安心というところ。現在は3か月ごとの定期診察を受けているのだが、このような予防的な診察を受けることは自分の行動を節制するためにはとても有効だと思う。体調が悪いくらいの状態で生活リズムを改善し、薬を使わずに治すほうがよいに決まっているのであるが、なかなか意志の弱い僕には一人でそれを行うことができない。でも、定期的に医師の言葉を聞かざるを得ないルールができると、やはりそれなりに節制は続くもの。そして体はとても正直に変化してくれるものなのだ。

午後、事務所にて雑務。

夕方、靴屋さんのCACICAさん来社。4年ぶりのオーダーメイド靴の注文である。MASUII RDR ギャラリーでの展示をきっかけにお知り合いになったのであるが、本当に久しぶりの注文となった。写真は試作の靴である。以前採った足型に合わせて試作品を作り、ためし履きをして足にフィットするように合わせてくれる。とても丁寧な靴づくりである。靴の内張りの色を決めたり、靴底の色を決めたりしながらの楽しいひと時は、ますいいの家づくりになんとなく似ている、そんなお話をしながらの楽しい時間となった。

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2015/03/17

朝礼終了後事務所にて雑務。

13時より茶道稽古。今日は一緒にお稽古をしているYさんが茶通箱のお点前をしているところを見学し、僕は濃茶のお点前をするという順番でお稽古をした。茶通箱のお点前というのは、まずはこちらで用意した茶を点て、それが終わった後にお客様が用意したお茶を点てるというもので、2回続きのお点前となる。ゆえに時間も2倍、つまり足のしびれも2倍ということ。本当は僕もやらなければいけなかったのだけれど、すでに限界に達した状態だったので濃茶のお点前としたのである。

東京都練馬区にて進行中のOさんの家が完成に近づいている。ご両親の敷地にあったアパートを取り壊し、そこに住宅を作るということで、母屋との関係性に配慮しながら設計をした建築である。上の写真は、もともと敷地に生えていたさわらの木からとれた丸太を、天井との境界に使用した様子である。これまでも古い家の古材を利用したりの経験はあったのだが、庭に生えていた樹木を製材して利用したことは初めての経験。記憶の継承、そんな言葉が連想されるとても良い事例だと思う。

下の写真は、音楽室の施工状況。6畳ほどの音楽室を作るために、壁・窓は2重にして、床や天井には振動を伝えにくいかなものを使用し、吸排気のダクトは壁や床下を通して距離を長くするなどの工夫を施している。結果、中でピアノを弾いても外にはほとんど聞こえない部屋となるわけであるが、そこに要するコストもなかなかのもの。もう少し安くできればなお良いのであるが、なかなかそうはいかないのが現状である。音を扱う工事は本当に難しいものである。

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2015/03/14

午前中、埼玉県さいたま市にて設計中のTさんの家の打ち合わせ。この住宅の設計では、なんとなくご夫婦とお話をしていて頭に浮かんできた理想的な風景を図面化して、初期の提案としてプレゼンするところから始まり、いくつかの変更を経て、二つのパターンのどちらにするかというところまで進めてきた。この二つのパターンというのは、今の初期のプランと、変更を重ねた結果たどり着いた最終案の二つである。今回はそれぞれの提案の良いところを再度確認し、また概算見積りに基づいて今後の建築の姿をある程度予想できるところまで説明させていただくという内容の打ち合わせを行った。

今回の様に、基本設計の段階で、ぐるぐる回って、初期のころの提案に戻るというケースは意外と多い。住宅の設計というのは意外と難しくて、何が難しいかというと、初期のころに描いたイメージを保ち続けることがなかなか難しいのである。イメージはさまざまな要素によって成り立つのだけれど、たとえば古い古民家を改修して暮らしているような生活をイメージして設計を始めても、そこに温熱環境とかのいろいろな要素が加わることによって、いつの間にやら古民家のような・・・というイメージが薄れていくようなことが多いのである。

僕は最近トヨタが再販したランクルの70を購入した。この車は30年も前の車を当時のままで、エンジンだけは排ガス規制に抵触しない現行のプラドのエンジンをのせて作っているわけだけれど、あとは本当に当時のままだから、たとえばドリンクホルダーも一つしかついていないし、じゃあ増設しようと思っても、オートバックスに売っているどのタイプも取り付けることができないという不便さがある。(いまどき丸い吹き出し口なのである!!)

ちょっとネットで検索すると同じ悩みを抱えている人は意外といるもので、そういう人たちは自分で独自のドリンクホルダーを作って設置していたりするから、どうにもならないわけではないのだけれど、でも不便は不便である。僕は車のデザインは昔のほうがよかったと思っている人だからこの車を購入したのだけれど、でも購入前にもしもいろいろと考えてしまったら、つまり現行のランクル200のような豪華な内装や利便性を求めてしまったら、きっとこの70の再販バージョンを購入することはできなかったのではないかと思う。

話はドリンクホルダーだけではなくて、たとえばドアミラーだって自動では締まらない。さすがに窓はパワーウインドウだったけれど、鍵だって差し込んで回さないとエンジンはかからない。とにかく30年前の再現なんだから当たり前のことなんだけれど、逆に新鮮に感じるから面白い。すべてが僕が10歳のころと同じなのである。

さてさて、建築は?車の衝突安全性能が耐震性、車の燃費が省エネ基準というところだろうか?風呂も自動で温度を管理してくれるようになったし、車と同じようにいろんなことが進化してきているわけである。火災を知らせる報知器も義務化されている。シックハウスを防ぐための換気扇だって義務化された。2020年ごろには低炭素住宅の基準も義務になる。とにかくいろいろあるのだ。

一つ一つひも解いてみれば、例えば日本は地震の多い国だからやっぱり耐震性能は必要で、こういうことは時代の変化に遅れないように進化させていくべきであるということになる。省エネ基準については、個人差があると思うけれど、いつでも魔法瓶の様に暖かい家が必ずしも必要というわけでもないように思う反面、でも暖房をガンガンかけてエネルギーを無駄に消費できる国でもないことは確かでもある。お風呂の温度がすぐに冷めてしまうなんて我慢できない、という人もいるだろう。でも、こういう性能とおんなじくらい大切なこと、それは自分がどんな暮らし方をしたいのかということと、それを実現するための住宅を作ること。つまり結局はバランスなのだと思う。このバランス感覚、行ったり来たりの中で感じるそのクライアントに最適な最終地点を掴み取るバランスなのである。極論はダメ、ヨーク考えたうえでのバランス良い選択が結局は一番良い結果を生み出してくれるのだと思う。

2015/03/12

午前中、埼玉県坂戸市にて新築住宅を検討中のYさんご夫妻打ち合わせ。70歳になるYさんと65歳の奥様が暮らすための住宅である。区画整理事業の関係で建て替えを余儀なくされてしまったということであるが、とても前向きに家づくりを楽しんでいるご様子が何だかとても良い。これまでにいくつものハウスメーカーを廻り、いろいろなプランを見てきた結果の独自のプランも完成している。2階にリビングがあり、中庭型のプラン配置を採用したとても暮らしやすそうな住宅であった。これまで暮らしてきた住宅と別荘、そして今回の計画と人生3回目の建築となる。さすがにベテランだけあって、自分自身で考えたプランも完成度が高いということなのであろうか。

2015/03/11

埼玉県川口市にて進行中のMさんの家のリフォーム工事。いよいよ解体工事が始まり、建物の全容が見えてきたところである。この住宅は築30年程度の鉄骨ALC住宅である。今回のMさんご夫妻が中古で購入し、使用する前にリフォームを施している。この手の工事の場合は、まず外部側のメンテナンスを行う必要がある。外壁の塗装、屋上の防水、バルコニーの手すりの補修など、長年の使用で傷んだ部分をすべて新しくする。

内部側の解体を進めてみると、なんと断熱層がない。通常はALCに何らかの断熱を施して住居として利用するものであるが、昔はそうではなかったということである。というわけで今回の工事では、壁を付加して新たに断熱層を設けることとした。外壁のメンテナンスで雨水の流入も止まり、さらに断熱性能が向上すれば、住み心地も相当改善されるであろう。

今回の工事では鉄骨の階段をオープンにして使用する予定であるのだが、この普通の鉄骨階段をどうすればデザインできるのか、悩ましいところである。またこのような工事をしていると、既存の下地をどこまで再利用するかについても悩ましいことが多い。たとえば天井の野淵などは再利用したり、使用できるドアは再利用したり、はたまたできなかったり、とにかくやってみないとわからないことが結構あるのである。リフォームの工事はこのような状況に合わせた臨機応変な設計が求められる。でも臨機応変に変化するかなで、初期のイメージを見失わないこと、これが大切だと思う。

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2015/03/10

朝礼終了後事務所にて雑務。

11時ごろ事務所を出発して、藤森照信先生打ち合わせ。12時過ぎに国分寺駅に着いたので、駅ビルの中の和菓子屋さんで手土産を買い、先生のアトリエのあるマンションの手前の喫茶店にてブレンドコーヒーを飲みながら時間をつぶした。

ちなみに藤森先生について僕が説明をするのもなんとなくおこがましいので、紹介は他のサイトを掲載する。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%97%A4%E6%A3%AE%E7%85%A7%E4%BF%A1

13時藤森事務所来訪。事務所につくと秘書さんが出迎えてくれ、先生のいるアトリエに通される。先生と二人で約1時間ほどの建築談義、至極幸福な時間を過ごさせていただいた。今日の訪問は、6月に川口市で開催される裏千家の行事の講演会を依頼するという目的である。この目的は、あらかじめ準備をしておいた詳細を記載してある依頼書によって短時間で済ませることが出来たので、僕としては「もし直接お話をすることが出来たら聞いてみたいと思っていた、たくさんのこと」を次々と質問する、つまりは仏教でいうところの問答のような時間を過ごさせていただくことが出来た。

以下、藤森先生との問答

近代建築は間違った方向に進んできました。何を間違えてしまったかというと、モダンという方向にすべての建築を向けてしまったんですね。でも住宅と非住宅には決定的な差があるんです。オフィスのような空間は、その人がビジネスを行う、つまりとても気合を入れて過ごす空間ですね。8時間、力を入れて一生懸命過ごす空間、そこでは少しでも多くの成果を上げなければいけないんです。でも住宅だけはだらっとできなければいけない、ゆったりとくつろぐことを求められる空間です。なのにあるときを境にして、建築家たちはすべての建築をモダンという方向にしてしまったから、その頃に作られた住宅は、だらっとする空間として適したものにはならなかった。住宅を好きな建築家は住宅以外の設計が下手な人が多いですよ。それは当たり前なんです。

・先日藤井厚二先生の聴竹居を見てきました。あれは、間違える前の建築ですよね。

藤井先生は新しいものを、竹中工務店の時なんかバンバン作っていたわけなんですが、住宅については本当に特別なものとして作っていた人なんです。だから、素材にはとても気を使っていました。でも新しいこともやりたい。だから形態については、様々な挑戦もしていますね。オランダのデ・ステイルの形態をそのまま使ったりもしています。でも難しいのは数寄屋の範疇でそれをやらなければいけな
いということです。聴竹居はその辺をとてもうまく収めています。だから名作なんですね。

・先生の作る形態は新しさを感じるものでもあって、なつかしさも感じるんだけれど、でも伝統でもない。先生の建築はスタジオジブリの建築にも似ていますね。先生がSDレビューで特別賞に選んだ作品も、ハウルの動く城にそっくりだったという記憶があります。先生はそのような形態についてどのようにお考えなのでしょうか?

僕は未来に向かおうとはしていないんです。そういうことは他の建築家たちに任せておけばよいと思っています。でも既存になった瞬間に、それをやろうともしません。既存にはなりたくないんです。それからね、建築は形態と素材できまります。そこから得られる印象がすべてなんです。だから僕は形態と素材にはかなりのパワーを注ぎ込んでいます。「伝統でもない、でも未来でもない何か」を創り上げようとしているんです。ジブリに関しては、もともと意識していたわけではないんですけれど、でもあるとき宮崎駿さんから連絡があって、建築の話を相談された時に、似ているなとは思いました。

・近年建築が過去に持っていたような力を失っているわけだけれど、でも今、こんな時代に建築家が建築を作るとしたらどんな意味があるのでしょうか?

様々な業種がある中で、自動車でも電気製品でも飛行機でも、その製造工程に素人が介在する余地は残されていませんよね。もしもビス一本が落ちていただけで、これらの工場だったら大問題になってしまうんですよ。でも建築は違います。超高層ビルだって、いまだにおじいちゃんが養生をして、若い職人がペンキを塗っているよね。そこには様々なレベルで素人が入り込む余地が残されているんです。僕はこれこそが建築を作る世界が、他とは絶対的に異なる点だと考えているんです。だから建築家という個人が入り込む余地があるわけですし、そこに個人が入り込むことによってさまざまな魅力は創り上げられる可能性があると思います。素人によるセルフビルドが可能なのも建築だけですよね。住宅の場合なんか、素人の施主がペンキもぬれれば、家具だって作れる。こういうことをコントロールするにも建築家の必要性はあるわけです。

・伝統や既存を否定しながら茶室をつくるのにはどんな意味があるのですか?

茶室の設計はとても面白いですね。機能が無い、あんなもん何にも求められていないんです。最少空間でしょ。だって2畳で建築を作れなんて、本当は何にもできるわけがないんです。でもその中で何かをやるから面白いんですね。

・最後に、当日先生のスケッチをもとに僕が簡単な茶室を造ろうと思うのですが、・・・ということでスケッチを描いていただいた。下がそのスケッチである。さてさて、どう作ろうか。楽しみがまた一つ増えた。

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2015/03/09

東京都豊島区にて進行中のお寺の改修工事。今回のご依頼は、約20畳の広間の畳の入れ替えと、部屋の中心部で間仕切りの様に存在していた欄間の撤去工事である。一つの大きな空間として使用することが多いということで、目障りな欄間を取り払うことにしたというわけである。撤去した欄間は、以前建て替える前のお寺の時代から使用している思い出の品である。そのまま捨ててしまうわけにはいかないので、ほかの部屋の欄間部分に額の様に飾ることで再利用した。今回はほかの部屋の畳の取り換えや表替えも行っている。40枚の新設に20枚の表替え、畳の注文枚数としては僕の中では新記録である。しばらく破られることはないであろう。

広間の畳は椅子での使用ということで縁をなくした。畳表も丈夫なものを使用するなど、用途に合わせた工夫を施している。ちなみにこの取り替えた畳についていた畳表はつなぎ合わせてござとして再利用することを検討している。傷み具合にもよるが、こんな再利用ができることも畳の面白いところである。

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2015/03/08

所要のため、日帰りにて軽井沢。せっかくここまで来たのだからということで、今日は内村鑑三記念堂がある石の教会を訪れた。この建物は、自然の中に溶け込むように作られており、有機的な形態が石とガラスによって構成されている。設計をしたのはケンドリック・ケロッグという建築家で、フランクロイドライトのお弟子さんとのこと。師匠があの落水荘を設計したライトということであるので、このような意匠に精通していたのであろう。現在は教会として利用されつつ、結婚式を執り行う場として利用されているようである。横から見るとなんだか不安になるような部分もあったが、大変すばらしい建築であった。

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2015/03/06

朝礼終了後、日刊建設通信新聞、中村さん取材。ますいいリビングカンパニーの工務店機能を兼ね備えた設計事務所という体制についてのお話をさせていただく。

2001年にこの組織をスタートする前に、当時早稲田大学建築学科の教授をされていた石山修武先生との協議の中で生まれた体制が、この工務店機能を兼ね備える設計事務所という体制である。先生は昔から、「建築家がローコスト住宅を設計する」のであれば、工務店機能を兼ね備えるべきであるという持論を展開されていた。その理由としては、下記のようなことがあげられる。
・若手建築家の売名行為的な設計により、住みにくい住宅を作られてしまう施主がいること。
・無責任な設計だけをして、雨漏りなどのクレームを起こしても、竣工後の面倒を見ない建築家がいること。
・設計者と現場管理者が分かれることで、経費が2倍かかってしまうこと。

通常の規模の住宅の現場では、大工さんが1人でこつこつと木工事を進めているところに、偶に電気屋さんや水道屋さん、左官屋さんといった専門業者さんが顔を出して工事をしていくというのが普通である。数人の職人さんと打ち合わせをするだけなのだから、一人の設計者が工務店機能としての現場管理能力とコスト管理能力を兼ね備えることで、現場に出向いて職人さんと打ち合わせをして、材木屋さんに材料を頼んで、帰り際に現場の掃除をちょっとして、という一人二役を兼ね備えることは容易にできるであろうというわけなのである。

もちろん僕も元々は戸田建設という大きなゼネコンにいたことがあるから、大きな現場における専業の監督さんの意味も十分に分かっているつもりである。大きな現場では、現場という仮囲いに囲まれた小さな社会を作り上げるための法律家であり、警察であり、時には裁判官である監督さんの存在が絶対必要だし、そういうものがなくては安全に作業を進めることなんてできないだろう。だって現場の仮設エレベーターで資材を何時にだれがどこに楊重するか、そんなこと一つとっても前日のミーティングで細かく決定されるし、そうしなければパニックが起きてしまうのである。だからますいいの仕組みは、あくまで住宅規模での世界でのみ必要とされる仕組みなのである。

ますいいでは1億円を超える工事は請け負合わないことにしている。こういう時は専業の監督さんがいる建設会社さんと組んで仕事をするほうがよいという判断である。大体そんなに大きな工事はやりたい建設会社がたくさんいるのだ。大きな会社がやりたがらない小さな仕事を、丁寧にコツコツと作り上げるからこその小規模組織の存在意義なのである。~12時取材終了。小さな新聞記事のために延々と2時間もしゃべり続けてしまった。反省。

2015/03/05

午前中面接など。

夕方より、埼玉県川口市にて住宅の建て替えを検討中のSさん打ち合わせ。お母さんと二人暮らしのSさんの家を設計するに当たり、僕は次のようなことを大切にしようと考えている。

・小さくて維持管理が簡単なこと。(もちろんあまりお金がかからないということも含めて。)
住宅のコストは大きくなれば当然高くなる。これは使用する部材量も増えるし、当然のことなのだけれど、気を付けて設計をしていないとやっぱりだんだんと大きくしてしまいがちであるということもまた事実である。もちろん生活をまともに送ることができないような広さでは意味がない。暮らしていくうえでの光熱費や、3つ目の項目の家じゅうの温度差をなくしてあげることなども含めて、あくまで適正な広さであるべきだということである。

・廻りを住宅に囲まれているので、設計の工夫で明るい家にしてあげること。
都会の住宅地はどうしても周囲を囲まれてしまうことが多い。この土地は私道の奥に位置しているので、余計にその傾向が強いのだけれど、こういう土地に建てる時でも吹き抜けを設けたり、トップライトを設けたりすることで光をうまく取り入れることはできる。昼間でも電気をつけないと暮らすことができないような住宅はあまりにも貧相だ。今回の設計ではあまり関係ないけれど、道路に面している土地でも注意は必要である。いくら南側に道路があっても、そこに掃出し窓をどーんとつけてしまったがためにいつもカーテンが閉めっぱなしという住宅を偶に見かけることがあるけれど、これはこれで設計者の配慮がたらなすぎるのである。やはり土地の状況を見定めたうえでの適正な設計が行われなければいけないのである。

・家のどこにいても暖かく過ごすことができること。(ヒートショックが起きないように。)
冬場の温度差は命に係わる。だからこそ家のどこにいても暖かく過ごすことができるような設計をしてあげたいものである。Sさんの様に高齢のお母さんが同居するような場合には特に注意したいことである。

上記のような考察の結果、今回は将来義務付けられることが決まっている低炭素住宅の仕様を採用することが望ましいと思っている。この仕様基準は断熱性能が高いというだけでなく、そこで使用する器具の省エネ性能なども向上されるので、結果的には光熱費の節約にも通じることとなる。外壁部分などには、なるべくメンテナンスの楽なガルバリウムなどの素材を利用することで、年を取った後の出費を抑えることができるであろう。今日のプランである程度の方向性は固めることができた。上記のことに配慮しながら今後の設計を進めていきたい。

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ホテルオークラが建て替えられるという記事を読んだ。谷口吉郎の設計による本館メインロビーは、日本はもとより世界でも有数の美しさと静粛な雰囲気をたたえているのにもったいない。戦後の公職追放により帝国ホテルを追われた大倉財閥の二代目大倉喜七郎が「帝国ホテルを超えるホテル」との執念で建設したのがホテルもまた、いとも簡単に壊されてしまうのである。帝国ホテルといいホテルオークラといい、日本の名建築はオリンピックなどのイベントのたびに姿を消してしまう。まったく残念な限りである。


2015/03/04

午前中は事務所にて雑務。埼玉県さいたま市にて設計中のTさんの家のプランの巻き戻しを検討。初期の、本当に最初に僕が書いたスケッチまで巻き戻すことをTさんにご希望されたことがきっかけとなったわけだけれど、少々調整をしないと予算がオーバーしてしまいそうだから、その調整をしてみての検討である。今回の様にプランを巻き戻すことはたまにあることだ。どういう時にこれが起きるかというと、僕たちも設計をしていてふと思うことがある、「最初のプランがよかったな」の心境に、クライアント自身も気が付いてくれた時である。

設計の初期の段階のことを基本設計と呼ぶ。基本設計では土地の持つ様々な条件を読み解き、クライアントのご希望を伺い、どんな家を建ててあげようかのイメージを膨らませて、プランを練る。この段階で、僕はあんまりプランを作る意識を強く持つのではなくて、そこで繰り広げられる生活をイメージしたり、そこでの会話やしぐさ、それこそクライアントの来ている服装やら、咲いている花まで、とにかくいろんなことを想像するようにしている。そんな想像をしていると、だんだんと建物が浮かび上がっていくる。人が座っている姿、料理をしていたり食事をしていたりする風景の中に自然に溶け込む建物が浮かび上がる。木の色も決まり、そこにある明りの色も決まって、・・・。そしてプランができるのである。

「庭でハーブを育てて、ちょっとした野菜を育てて、それでキッチンでみんなで料理しながら、楽しい会話ができるようなキッチン。夜にはピアノを弾いて、子供たちは絵本を読んで、そんな落ち付くことができるリビング。南の光、西の景色、そういうものが、周辺の状況が変わっても変わらずに感じることができる家。そんな家を作ってあげたい。」
こんなことを考えながら初めに書いたプランには、自然と薪ストーブの絵が描かれていた。あの時のプランに自然に描かれていた畳ももしかしたら大切な要素なのかもしれない。また次の打ち合わせが楽しみなところである。

夕方、埼玉県川口市にて昭和56年に建てられた鉄筋コンクリートの住宅を改修したいと考えているTさん来社。まずは新耐震基準ができる前の古い建物ということで、耐震診断や耐震改修工事を行った場合のコストのかかり方などなどについてお話。続いてリフォームを行う際の優先順位、最後にどこでどのよな生活を行うかのイメージについてのお話をした。

この建物、床面積が78坪もある。4階建てでこれだけの面積があると、半分くらいは使わない部屋になってしまう。だからどこでどのような生活を送るか?の想定がクライアント自身でもあんまり上手にできていない。今は4階のLDK、3階の寝室、そんな生活を送っているそうだけれど、エレベーターなしでその生活はちょっときついと思う。だから何とかしたいのだけれど、なかなかうまくことが進まない、そんな状況みたいである。20時ごろ打ち合わせ終了。22時帰宅。

2015/03/02

朝5時、城崎温泉に向けて出発。体調は万全とまではいかないもののほぼ復調。

9時過ぎ、大阪伊丹空港で、裏千家の道具を取り仕切るお仕事をされているYさんと合流。川口から一緒に来た仲間とともに車で一路城崎温泉へ向かった。今の時期の日本海では、松葉ガニがうまい。この松葉ガニというのはズワイガニの成長したオスのこと。身がぎっしりと詰まったとても甘いカニである。今回はYさんのご厚意で城崎の名店「西村屋」さんに宿泊。ちょっと愛嬌のあるかにの顔、気になったので撮影してみた。

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この温泉は平安時代から続くとのこと、道智上人が千日の就業をしたときに掘り当てたのが始まりとされている。昔から多くの人の傷や疲れをいやしてきたというわけである。この街には外湯なる大きな銭湯のようなものが点在しているのだけれど、もともとはその外湯をめぐるのがこの地の温泉流儀の中ではメインであり、各宿にある内湯は最近になって普及したものであるそうだ。兵庫県の日本海側、都会から遠く離れたこんな場所に来て、日常の肩書を捨て、浴衣でで外湯をめぐるなんでとても風情があるではないか。ぜひまた足を運びたいものである。

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