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ますいいリビングカンパニーは埼玉県川口市にある注文住宅を作るデザイン設計事務所です。
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増井真也日記
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増井真也日記

2013年11月アーカイブ

2013/11/30

HPを更新して、契約サーバーを変えたら写真のアップロードが出来ないという困った症状が出るようになってしまった。ここ数日は常にエラーメッセージが出続けている。これはどうしようもない。

12時、京都より事務所に戻る。道中の新幹線で久しぶりにゆっくりと読書を楽しむことが出来た。村上春樹訳・レイモンドチャンドラー「ロンググッドバイ」読了。最近の僕の読書は村上春樹氏の著書とその翻訳本を順番に読むパターンに固定されている。数年前には途中で挫折してしまって読みきることが出来なかった村上氏の本も、その著者が大切にしている翻訳本を読むことで、著者の文章構成の要素や思考の道筋が理解できるような気がしてきて、そうするとすらすらと最後まで楽しむことができるようになってくる。文中に出てくるジャズの曲名なども、その曲が頭に浮かんでくるようになるとまるで映画のようにBGM付きの場面を想像できるようになってくる。この楽しみ方、たぶん読み尽きるまではあと1年はかかると思うからもうしばらくは続けることが出来るであろう。

16時ごろ、埼玉県蕨市にて住宅の建築を検討しているSさんご夫妻打ち合わせ。小さな土地を購入して3階建ての25坪程度の住宅を1350万円ほどで建てたいという計画である。現在の計画を伺ったところ少々無理を感じたので、土地探しからの再考とアドバイスをさせていただいた。

このようなローコストでの計画の場合でも2階建てであれば何とかなる場合が多いのだが、3階建てになるととたんに厳しくなる。2階建てと3階建ての費用の変化というのは、まずは構造計算が必要になるという点だ。これにより構造計算費用と検査費用が2階建てより20万円ほどは余計にかかる。また準防火地域の場合には、準耐火構造にしなければいけなくなってしまうことによるコストアップが40万円ほど上乗せされることになる。僕の経験では、同じくらいの広さの場合には2階建てで、総2階、つまり1階と2階の平面形状がそろっているというプランがもっとも安価で造ることができる。平屋にしてしまうと基礎面積や屋根面積の増加によるコストアップの要素が強くなってしまうからだ。究極のローコスト住宅を目指す場合には、このようなところにも注意を払う必要があるのである。

2013/11/29

今日は一泊で京都に出かけた。この仕事を始めてから毎年何回かは京都に出かけるのだが、今年は3回目の訪問である。もともと戸田建設時代には大阪支店での勤務だったので、何かのイベントがあると京都には足を運んでいた。大文字焼きを間近で見たこともあるし、友人達と朝まで飲み歩いたこともある。20代独身時代の良き思い出もたくさん詰まっている町である。妻の実家は滋賀県の蒲生町である。今は東近江市と呼ばれている町だが、ここから京都へは車で1時間ほどだ。盆・正月には必ず滋賀県を訪問するのだがこの際にも京都に行くことは多い。

私が京都を好きな理由は他の多くの人がそうである理由と同じである。文化が根付いている、それに触れたいというだけである。建築は文化となることを目指している。日本の多くの建築がスクラップ&ビルドでその姿を失っていく中、この町ではかろうじて保存、改修なる意識が町に根付いているように思える。東京駅はかろうじてその姿をとどめたが、ここ関東では街並みとしての保存をしている場所はあまりない。

今回の小旅行では石塀小路なる場所を歩いた。八坂神社の正門である南楼門を出て下河原通りを南に下がりちょっと行ったところを左手に折れる小さな路地へ入る道がある。路地の両側に並ぶ町屋の基礎部分の石垣がまるで石塀のように見える。少し行くと、板塀に囲まれた細い路地の両側に料亭やらバーやらの明かりがともっている。これまでに何度も京都に訪れたことがあったが、この場所は初めてだ。少々の散歩の跡に足を踏み入れたのは、THE SODOH HIGASIYAMAなるバーである。木造の古びた建物の中は隠れ家的な落ち着きのあるバーでなかなかのものであった。連れて行っていただいた京都の方に聞いたところ、なんでもまだ出来たばかりで地元の方でもあまり来たことがないという。もしご旅行される方がいたら是非足を運んでみてはいかがかと思う。

http://www.thesodoh.com/bar/
(お店のHPです)

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2013/11/28

午前中は神奈川県の横浜で住宅を取得したいというAさん来社。神奈川県の仕事は川口市の事務所では対応が出来ないので、町田分室の田村君も同席しての打ち合わせとなった。

ますいいリビングカンパニーは、住宅を中心とする小規模の建築を設計する設計事務所として、工務店機能を兼ね備えることでコストを抑え、効率的な建設を行うというコンセプトで活動している。ということは、設計者はそのまま現場が始まると同時に現場監督になるわけであり、そこでは職人さんたちに図面を指示したり、工程を管理したり、現場の清掃をしたり、材料を運搬・発注したりの雑務も必要となる。当然現場に足を運ぶ回数も普通の設計事務所が週に1回程度だとしたら、僕達は週に3回は行くわけであり、事務所から現場までの距離というのは重要な問題となってくるのである。

これまでも横浜方面や鎌倉などからのお問い合わせは数多く頂いてきたのだが上記の理由からすべてのお仕事をお断りしてきた。しかし数年前より町田に分室を開設してからは、それらの仕事に対応できるようになっている。今年は横浜で2件の新築住宅が出来るし、現在は鎌倉でもリフォーム工事が進行中だ。Aさんの住宅、まずは土地探しからではあるが良い家が建つことを願っている。

13時、埼玉県さいたま市にて英会話の教室を建設したいというADAMさん来社。4.5m*6.5mというとても小さな土地の上に、子供たちにパワーを伝えることが出来るような教室を造りたいとのことである。小さな土地に建つ、おそらく3階建てのせいたかのっぽの塔だ。僕はこれを「学びの塔」と名づけてみることにした。子供たちがわくわくするような風貌が良い。思わず入りたくなるような顔をしていてほしい。打ち合わせ終了後いくつかのスケッチを始めてみた。塔のスケッチである。なんだかそれだけでもわくわくするのである。

2013/11/27

午前中、川口市内で保育の事業を営むKさんより、認定保育園についてのご相談。近年中に保育園を開業する為の準備などについて。何でも自民党政権、消費税値上げという社会情勢の中で、ここ数年が待機児童対策の山場だそうである。そしてそれにともなう新規の立ち上げもピークを迎えるというのがKさんの考えだそうだ。必要とされている地域に、必要とされている規模の施設を作ることが参入の条件であるそうだが、出来うる限りの協力はしていきたいと考えている。なんせKさんは僕の従兄弟である。

夜、埼玉県さいたま市にて設計中のWさんの家の打ち合わせ。Wさんは奥様の実家の空き地に住宅を建てようという計画をしているのだが、この土地には高さが約2m弱の崖が存在している。そしてそれを支えるよう壁はすでにとても古くなっている。ここ数ヶ月でよう壁の見積もり・検討を何物件か行ったのだが、よう壁の価格を決定する要件としてはその高さ自体のほかに、地盤の状況が大きいということがわかった。2m程度のよう壁の場合はその上にのっかて来る土の重さも考慮すると、よう壁の下にある地盤面が、㎡当たり10トン程度の荷重を支えなければならないことになる。これは普通の木造住宅が2トン程度であることと比較すると、とても重たいということがわかる。だからこそ軟弱地盤ではそれなりのコストが必要になるわけだ。

今回のWさんのようにすでにある、親族が所有しているような土地の造成という場合には、土地の購入価格が0、つまり他の土地を購入することに比べたら安価なわけなので多少のコスト負担があったとしても良い。でも新規に土地を購入する場合には注意しなければならない。一見安い土地だからといって安易に手を出すと、その跡に数百万円の造成費用がかかるなんていう落とし穴もあるのである。

そもそもここ川口市の人口でさえ、20年後には今よりも4万人減少すると予想されている。土地は確実に余ってくる。町田分室のある横浜の方などでは20mもあろうかというような崖の上に住宅を建てているケースを見かけることがあるが、これからの時代にそのような無理をしてまで土地を造成する必要性は薄れてくるであろう。さいたま県内におおい2m程度の低い崖なら問題はないが、住宅という個人資産のために10mをこえるような造成を行うのは考え物だと思う。それを数十年後に転売するなどの場合における構造的な問題は、要するコストがあまりにも大きい為に、個人間の売買ではおそらく解決されることはないだろう。つまり土地の塩漬けが予想される。どうしても売りたいとなれば、造成費用を減額して売却するしかないことになる。このようなケース、実はすでに各地で起きている現象であると思われる。


2013/11/25

朝礼終了後、埼玉県幸手市にて進行中のスタジオ兼住宅に向かう。途中、壁塗りの漆喰を攪拌する為の機械を川口市榛松の現場で借りてからの、移動である。現場に着くと、クロス屋さんが一人、キッチンと玄関部分の壁のクロス工事をしていた。作業の指示を出すと、早速漆喰の色付け作業を行う。セルフビルドの工事なので本来は施主自身が行う工事なのだが、多少のお手伝いをしてあげるのもますいいのセルフビルドの良いところだ。まずは色をつけるための土を溶かした液体を、秤で適量にわける。それを白い漆喰の中に流し込んだら、攪拌機で混ぜるのであるが、この作業が一苦労だ。11缶もあるので最後のほうにはいい加減手が痛くなるのだが、なんだかんだの達成感である。体もだいぶ汗ばんできた。作業が終わって帰ろうとしているとちょうど施主のお母さんと出合った。少々の打ち合わせの後帰社。

2013/11/23

午前中、埼玉県さいたま市にて設計中のTさんの家のプレゼンテーション。先日の日記にもあるように、設計がだいぶ進んだところでの仕切りなおしである。プレゼンする側にも自然と力が入るし、なんだか僕の考えたプランVS鈴木君が考えたプランの、まるで設計コンペのような様相を呈してきたわけであるが、果たして結果はどうなることやら。でもひとつ言えることは、Tさんが自由な設計を再考する機会を与えてくれたことに対する感謝である。私としては前述のようなこれまで考えたことのないような建築を考えるきっかけにもなったわけだし、今回のプレゼンの為のプランとして、ひとつの成果を残すことが出来たわけである。それもこれも機会を作っていただいたおかげと思っている。

14時より、千葉県松戸市にてご両親の住む土地の一角に小さな住宅の新築を検討されているMさんご夫妻ご相談。まだゆっくりと考えながら将来の暮らしの姿を決めていきたいという段階であるが、ますいいの近年の成果である川島町のカフェ兼住宅をスタートとした一連のローコスト住宅のあり方に共感していただいているようだ。

これまで多くのローコスト住宅を手がける中で、このカフェ兼住宅はひとつの答えを示すことが出来たと考えている。ローコスト住宅を手がけるということは、設計や施工管理を進める上でもとてもパワーを使う。そしてそれに対する報酬は低い。つまりは会社にとってローコスト建築はあまり良い仕事ではないわけである。でもそれでもやり続けるからには、それなりにそれに対するロマンというか、やりがいというか、そういうものを感じるからなのである。

ここで言うロマンとはいかなるものか?この答えが川島町のカフェ兼住宅の中から見えてきたように感じている。このロマンはつまり、クライアントと一緒に造るロマンである。ここでは建築は設計者から与えられるものではなく、設計者が作ったある程度の箱に、クライアントの手によってそのクライアントのオリジナルの建築になるような味付けがされていくのである。ある程度の箱とは、求める構造的な性能を発揮し、求める用途を行うことが出来る空間を確保することが出来る程度の箱である。建築はクライアントの理想になるように日々クライアント自身によって手を加えられ変化し続ける。そこには何者にも縛られない自由があり、人の手の跡がある。そして何よりも僕達の予想を超えるほどに建築が一人歩きし始めるのである。きれいに作られた建築が数年で汚れ始めていくような現象はそこにはない。いつも作られている、いつも変化している、まさに「今という時間を生きている建築」が生まれるロマンなのである。

クライアントと僕達は理想の箱、つまり「今という時間を生きている建築」を作り上げる為の工事範囲を区分し、協働して、限られた予算の中で、「ある程度の箱」を作り上げる。これがいわゆる僕が考えるますいいのローコスト住宅のあり方である。22坪で1250万円のカフェ兼住宅、60坪で3000万円強のスタジオ兼住宅、18坪で1100万円ほどの住宅、30坪で1600万円ほどの整骨院兼住宅と続くこのローコスト建築のお仕事なのだが、また一人お仲間が増えそうな気配だ。

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2013/11/21

今日は木曜日だけれど、先生が振り替えの機会をくれたということでお茶のお稽古に参加した。仕事をしながらの習い事では、突然参加できなくなることもしばしばあるわけであるが、こういう配慮をしてくれるのにはとても助けられる。

11月からは炉が開かれるという話は先日書いた。今日も炉の薄茶と濃茶のお手前をしたが、私が昨年作らせていただいたお茶室が大活躍している。これまで私の通っている社中では、コンクリートのスラブのすぐ上に作られているマンションの1階ということで、本格的な炉を切ることが出来なかった。先生も本当の炉がないということをいつも残念がっていたし、それを作るということがひとつの夢であった。昨年ようやくその念願がかなって、ひとつの部屋の床を30センチメートルほどかさ上げして、新しい床と古い床の隙間の空間を利用して、炉を設置することが出来る様になったのである。

深さ30センチほどの炉の中には、五徳が置かれ、灰が敷かれて、その上に炭を起こす。釜のふたが畳よりも少しだけあがっているくらいがちょうど良いのであるが、これは実際に使ってみてはじめて感じることが出来るちょうど良さである。ちょうど良いというからには、ちょうど良いなりの理由があるのだが、こればかりは使ってみないことにはその理由を理解することが出来ない。

しかしこの改修工事には後悔の念も残っている。もともとあった壁などを壊すことなく40万円ほどの限られた予算で行った工事なので、部屋の広さという絶対的な制限があった。本来であれば京間の広い畳を使用したいところであるが、そんなに大きい畳は、このスペースにはまったく入らない。それどころかなんとなく見た目は4畳半の畳敷きになっているけれど、実際は踏み込みの畳の巾が60センチ程度しかなかったりの、つまり何とかお点前をする畳だけは大きさを確保することが出来ているというだけで、それ以外の部分では一つ一つの寸法がめちゃくちゃなのである。この件は先生とも何度も相談して、制限の中で最も使い勝手の良い形を探し出した。でも足の運びなどまで気を使い真剣に稽古をしていると、本来の歩数を歩むことが出来ないストレスを感じると同時に、その畳の本来の大きさを確保できるように、「やっぱり壁を壊しちゃえば良かったかな・・・」と後悔の念が浮かび上がってくるのである。

2013/11/20

朝一番から川越市にて中古住宅のリフォームを検討されているOさんと打ち合わせする為に、池上君と一緒に現地に向かう。現地では販売担当の不動産会社さんとOさんご夫妻がすでに到着されていて、早速どのような改修をご希望されているかの打ち合わせを始めた。住宅は平成7年に建てられたものでまだそれほど古くはない。競売物件だったということで、引越しの際には色々とばたばたしていたのであろう。つい最近まで人が住んでいたということが信じられないような汚れ様であった。まあこれは表面的な汚れなのでどうにでもなるであろう。

中古住宅の購入から、自由にリフォームをするという事例は最近増えているように思う。特に平成になってから建てられたような建築は、構造的にも信用出来る物が多いし、その造り方も耐久性に配慮した造りになっている場合が多い。家造りの傾向は、近年ますます強固で長期の使用に耐えうる建築になっている事を考えると、中古住宅の再利用という事例はますます増えていくことが予想される。

そもそもこれまでの住宅市場においては、木造住宅の場合、新築から20年も経てばまったく価値がないとされてしまうような状態だったわけで、その方が無理がある話しなのだ。経済的にもとんでもない話であるし、環境的にもまったく良くない。100万円のダイヤモンドはやっぱり100万円のダイヤモンドなのに、何で家は20年使うと2000万円がタダになってしまうのだろう。どう考えてもおかしな話だし、何とか出来るものならしなければいけない。

構造的な劣化などの問題は現在の基準で建築することで50年以上にわたって解決できると考えられる。設備に関してはどうしても寿命があるので20年単位程度のリニューアルを前提にしておかなければいけない。でもそれ以上に重要なのは、使い勝手や素材の経年変化といった意匠的な問題である。

人は、仮に構造が信用できて、若しくは信用できる状態に補強することが出来て、設備がリニューアルできたとしても、その使い勝手や素材の劣化などにどうしても我慢が出来なければやはりその家を壊してしまうものだ。私もこれまで、え!解体しちゃうの?というような家を壊す姿を何度も見てきた。

例えば床にマンションで利用されているような突き板という表面数ミリだけが本物の木で中身はベニヤといったフロアリングを貼ったとしよう。そういう家では大概窓枠や建具枠もそうした材料で作られているし、作り付けの家具だって同様の材料で作られている。天井の周り縁やら床と壁の取り合いの巾木やらも同様であり、とにかくそういうものが全部一緒に経年変化で劣化していくと目も当てられないような状況になってしまうのである。そしてそれを大金をかけてリフォームするくらいなら壊しちゃえ、と来るわけなのだ。

「あなたは普段どんな建築に心を惹かれるのですか?」と聞かれたとしよう。京都の街並み、古いお寺、西欧の教会、街を歩いているときにふと見つけた古くてもかわいらしい住宅、色々な答えがあるであろうがどれも時間の変化をその建築の魅力に変える事が出来ているものばかりである。古いお寺などに使われている材料はどれも先に述べたような特殊な加工の産物ではなく、自然の木から作られた無垢材である。ハウスメーカーでは「狂うから」、という理由であまり使われない無垢材だが、自然素材なのだからこそ、伸びたり縮んだりして当然なのであり、光を浴びて色が濃く待ったりの変化が起こり、それが味となるのである。

Oさんのリフォーム、現状はいわゆる工業製品の仕上げ材が十数年の使用でだいぶ汚れてしまっているという状況である。そこに適した素材、仕上げの方法を施すことで、これから何十年もの利用に耐えうる、魅力を増すような住宅にしたいものだと思う。

2013/11/18

朝礼終了後、鈴木君と一緒に埼玉県さいたま市にて進行中の1000万円住宅の現場に現場管理に出かける。約18坪で1000万円という工事費を目指したこのプロジェクトは、現在大工さんの工事が進行中、あと1ヶ月ほどで内装工事に入るという段階だ。

このプロジェクトは本当はもっとたくさんの住宅ローンを組むことが出来る公務員さんが、そんなに多額のお金をかけて住宅ローンに縛られるのは嫌だし、人生の中で3回くらいは家を建てたいという思いからはじまった。大宮駅まで歩いて20分ほどの好立地に、450万円という低価格の土地を購入し、そこに1000万円で家を建てる。総額が1500万円ほどのプロジェクトというなんとも信じられないような家造りが始まったのである。

内装は写真のような構造現しの状態である。柱と柱の間に見えるのはタイベストウッドという面材の裏側で、いわゆるMDFというものだ。この材料は外壁に使用するサイディングとあわせて防火認定を取得できており、しかも定められた本数の釘を使用することで構造壁として認められるし、それでいて裏側を仕上げ材料として用いることが出来る優れものである。断熱層はこの外側に外断熱として設けられるので、柱と柱の間はセルフビルドで作る棚などに利用することが出来る。

天井は写真に見えている梁の上端で、舟底型の勾配でラワン合板を貼る予定だ。ワンルーム方の小さな空間を少しでも広く感じることが出来るように工夫している。写真正面の階段との境にある柱と柱の間には、後々セルフビルドで利用できるような大まかな棚が作られることになっている。ローコスト住宅の設計では作りすぎないことが重要である。コストをかけないのに中途半端に造ってしまえばろくなものは出来ない。後々壊したくなるかもしれないようなものを作っても仕方がないし、それならば限られた予算を構造や空間の構成にかけた方がよっぽど良い。この住宅を造っている構造材は、埼玉県の飯能市にある西川材を利用している。大量に外材を利用している大手のプレカット材料と比べると1割程度の割高となるが、土台はヒノキを利用することが出来るし、それに何よりも自分の家の材料がどこで育ったかわかるというものは気持ちの良いものだ。

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2013/11/17

今日は朝から息子の柔道部の送迎で千葉県浦安市にある東海大学付属浦安高校に。全国大会優勝選手が二人もいるような強豪校の練習風景はいかなるものかと思ってみると、そこにはまるで会社のような縦社会が。全国レベルの選手だけが靴下をはき、コートを着て、あたかも会社の社長さんのような待遇であるのに対し、そのほかの選手達は自分の実力を出そうと必至に稽古に励んでいる。この手の強豪工に招かれた選手はまさに学校の看板であり、成績を残すことを義務付けられた労働者である。そこには文武両道などという意識は微塵も感じられないし、脱落者にあるのはなんともいえない惨めさだ。教育の一環として行う武道がこれで良いのかの疑問を大いに感じるが、それが日本のスポーツ界の現状なのは間違いなかろう。野球だってサッカーだって同じことである。

学校説明会で説明をしている生徒会の子供たちのひ弱でまじめそうな様子との対照的な様子が少々異様さを感じた。進学率の向上と、スポーツの成績を別人格で達成し、それをまとめて学校の価値とするような教育に何の意味があるのであろうか。それは同じ人格のもとにあって始めて意味があるのであり、同じ人格のもとにそれを醸成させることこそ真の教育ではないかと感じる。

だいたい、高校のことをちょっと調べてみると昔はなかったアルファコースだの特進コースだののいわゆる勉強チームみたいな入試枠があることにも驚きを感じる。ある学校ではそのチームの生徒は体育会の部活動をやらせてもらえないそうである。人との関係を絶たれ、合格実績の向上のために勉強だけやらされる、それでは予備校と変わりないではないかと思う。勉強だけ、スポーツだけ、そんな限定された中での達成を求めてしまう親のエゴや、そういう教育機関をつくろうとする学校の過ち、なんだか知れば知るほど教育のビジネス化に疑問を感じるし、その中で翻弄される子供たちの将来に不安を感じるのである。

2013/11/15

午前中は事務所にて雑務。スタッフの鈴木君と埼玉県さいたま市にて設計中のTさんの家について打ち合わせ。要望通りに設計を進めていたのであるが、もう少しデザイン性の高い設計をしてほしいという大変嬉しいお言葉を頂いたので、再度やり直すことにしたわけであるが、僕達設計者はこういう言葉にとても弱い。

住宅の設計をしているときには、吹き抜けを造る=冷暖房効率の低下、などという現実的な暮らしやすさとデザイン性とのバランスの中でいつも頭を悩ましているのであるが、そういうことを理解していただいたうえでなお手に入れたいデザインというものを要望されたときには、とても力がはいるものである。

この機会に僕達は二つの提案をすることにした。

ひとつはLDKのどれにも当てはまることのない、家族団らんのための部屋を作ることである。僕がこのような部屋を作ろうと思いついたのは、こういう部屋をちょっと前に夢の中で見たからだ。そこにはこれまで行った旅行の思い出の品々や大好きな本、家族との思い出の写真などがぎっしりと飾られており、日常の生活から少しはなれて、まるで家の中のギャラリーのように好きなときに好きな人が落ち着いた時間を過ごすことができる場として機能していた。夢から覚めたときに、今住んでいる家を改修して本当にそんな部屋を作ろうかと真剣に考えたほどである。今回は、そのスペースを1階と2階をつなぐ動線上の中間階に配置し、2階のあるリビングに行くときには必ず通る場所とした。その下には、子供室が配置されている。きっと家の中の核のような場所として利用されることになると思う。

もうひとつは、敷地の特徴である南側を最大限に取り込むプランである。すべての部屋を南側に面するように配置し、まるで長屋のようなプランを構成した。どちらもとても面白い建築になるだろう。来週の打ち合わせまでにもう少々設計を進める予定だが、見ていただくのが今から楽しみだ。

夕方、新宿パークタワーにあるオゾンにて登録業者を集めての説明会及びパーティーに参加。総勢170名ほどの方々が賛同しての懇親会は大変にぎやかである。顔見知りの方と一通りご挨拶を交わし、1時間ほどで会場を後にした。田村君と一緒に参加したのだが、せっかく新宿で会ったのだからと食事に向かう。

ちょうど息子の同級生のお父さんがやっている「はく田」という寿司屋さんが西新宿にあるということで初めて足を運んでみた。行ってみてわかったのだが、そこは高校生の頃に通っていたSEGという塾のすぐ前だった。

なんでもSEGの先生達も常連さんだということである。なんだか人生がまわりまわって元に戻ったようで、変な気持ちになる。だってそこは22年ほど前、勉強に明け暮れていた高校生のときに週に3日は通ったビル街であり、今では信州大学で歯学部の教授をやっている友達と二人で隠れてタバコを吸っていたビル街であり、初めて好きになった女の子と始めて食事をしたビル街でもあるのだ。だんだんお酒が回ってくると、色々なことを思い出す。もう何年も会っていない友達の顔が次々に浮かんでくる。お店には僕達以外にお客さんはいなかったので、板前さんとお話をしながら楽しいひとときをすごすことが出来た。このお店にはまた来ようと思う。息子同級生のお父さんがやっているからではなくて、なんとなく僕に縁がある、そんな気がしたからだ。「うに」「いくら」と好き放題注文したのに会計は一人1万円!会計と同時に現実に戻ったけれど、なんだか逆に気を使わせてしまったようで申し訳なくなってしまった。

2013/11/13

たまたまテレビを見ていたらフィリピンを襲った台風による被害の状況を、外国人の記者が解説している映像に出会った。風速は正確にはわからないけれど、計算すると秒速90mというような説明もしていたから、これは竜巻のような風とものすごい雨、そして高潮が重なったことによる被害だと考えられる。被害の状況は良くわからないけれど、1万人をこえる死者がいそうだというから、津波の被害状況と変わらないようなものになるのであろう。

気象予報の将来予測のような話を聞いていると、今後の海水温の上昇によってますますこうした強い台風などが発生する可能性は高まっているということである。こんなことは誰もがわかっているのだけれど、人間はその危機が目の前に起こるまでは、起こらないかもしれないという可能性を信じてしまう傾向があるから、なかなか普段の行動を変化させようとはしない。建築の作り方も同じことだと思う。

かつて屋久島で住宅を造ったのだけれど、土地の大工さんは台風に対する強化策にだけは絶対に妥協をしてくれなかった。写真にあるように、外部に大きく出た庇を支える柱は15センチ角の太い柱を利用しているし、この屋根は荷重を支えるというよりも吹き飛ばされることがないようにしっかりと柱を介して基礎に筋欠されている。窓もあまり大きな窓をつけようとすると、そんなものは危ないという理由で小さくされてしまう。それほどに島を襲う台風の強さを理解しているからこそのアドバイスであるのだが、聞いているこちらとしてはどうしてもピンとこないのである。

今、日本のインフラは作り変えの時期に到達している。これは物事があるべき姿に戻す最後のチャンスかもしれない。人が住むべき場所に住み、移動するに適した場所にその道を通し、自然に戻すべき場所は自然に帰す、こうした自然に沿った人の暮らしの在り方を都市計画に取り入れるのは至難の業であろうが、でも支配することだけを考えてもそれが不可能であるとわかってしまっているのであるから、その困難に向かっていかずしてどこに向かうのかという気もするのである。

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2013/11/12

朝10時、埼玉県川口市にて進行中のOさんの家の現場見学にいらしたIさんと一緒に現場に向かう。住宅は一度引き渡してしまうとクライアントの生活がそこで営まれるわけなので、なかなか見学会を開催することは出来ないのだが、工事中であればクライアントの許可を取ってご案内することが出来る。今回も見学の申し出を快諾していただいたOさんの計らいで、Iさんの見学会を行うことが出来た。

現場に着くと、Iさんは設計担当者の田部井からの詳しい説明を熱心に聞いてくれていた。説明するほうも、自分の設計した建築だからこその熱い話が次々に出てくるようで、その時間は1時間超にも及んだ。売る為に飾られたショールーではないからこその説得力もあるし、そこでの設計者の工夫は聞いていてとても楽しいものだと思う。

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住宅は土地、クライアントの志向、家族構成、予算といった設計条件のどれを取っても一律なものではなく、だからこそ枠を設けることのない自由な設計が適している。例えば断熱性能ひとつ取ったって、グラスウールを用いて通常の等級3程度で良いと思う人もいれば、外断熱や自然素材の断熱材を使用して欲しいという人もいるだろう。そこには本質的な価値だけではなく、クライアントの思い入れのようなものも決定様子として入ってくる。僕の住んでいる自宅ではグラスウールの断熱材を普通に使用しているけれど、もしもその住宅のクライアントがグラスウールに嫌悪感を示すようであればその時は使うべきではない、というのが僕の考え方である。つまりはすべて住まい手によるのである。当然コストも重要な決定要因となる。等級をひとつあげようと思えば、高性能な断熱材の購入のために30万円から50万円程度のコスト差が出てくる。限られたお金を何に使うかは、クライアントの意向をしっかりと受け止めなければ決めることは出来ない。

日曜日、家族で夕食をしようと近所のマーケットに買い物に出かけたとき、焼き肉が食べたいという息子のために100グラム600円の肉を奮発して買ったとしよう。予算が5000円だとしたら、この肉を500グラム買えば3000円がなくなってしまうので、鶏肉を200グラム混ぜてみる。脂肪が付きにくいからこっちの方が良いよって言う理由を言いながら、100グラム70円の鳥のムネ肉を買えば、300グラムで1800円の牛肉と200グラムで140円の鶏肉を購入した結果、まだ3060円の予算を残すことが出来る。これだけあれば、付け合せの野菜を買ってもまだ余裕はあるから、デザートにケーキでも買ってあげようなんてことも出来るわけである。

夕食の買い物だと5000円の使い道を自分の頭で考えて、十円単位で色々考えるはずなのに、人生で最も大きな買い物の住宅となると、もうわけがわからないから坪いくらで契約してしまう、というのではいかんせんもったいない。柱一本、杉なら3000円、ヒノキなら5500円、細分化してみれば肉の値段とそれほど変わらない。フロアリングだって、厚みやら節の程度やら樹種やらを選べば、坪当たり10000円の無垢材もあれば50000円の無垢材もある。12枚で一坪だとすれば、一枚当たりの価格は数百円からあるのである。

要するに自分で考えて決定する、これが大切なことだと思う。人生をかけて支払い続ける住宅ローンの金利にはすごく頭を使うのに、勧進の住宅はこれでいいや、なんて考えは捨てた方が良いのだ。

13時、久しぶりのお茶のお稽古。今月からは炉開きということで炭手前を教えてもらった。お茶の世界では11月に茶壷の口切を行う。要するに新しいお茶を飲み始める月ということで、まるでお正月のような様相を呈する。竹の装具は青竹で作りかえられたり、茶室の畳は表替えをされたりの、つまりは心機一転ここから新たなスタートを切ろうという月なのである。

2013/11/11

午前中は埼玉県さいたま市にて設計中の整骨院兼住宅について鈴木君と打ち合わせ。実施設計を進めている最中ということで、外壁やら内部の床や壁やらの詳細部分の仕上げまで検討を進めている段階である。このプロジェクトは、懐かしさを感じるような温かみのある整骨院を造りたいというクライアントの熱い思いでスタートした。

30坪で1500万円を目標とする厳しい予算の中で何が出来るかの挑戦に対して、その土地にもともと建っていた蔵を解体するときに発生した梁材などの古材を新しい建物の梁に用いるなどの工夫をしている。お金をかけずに土地の持つ記憶、懐かしさを建物に付加する為にはどのような可能性が在るのかの検討の結果であるのだが、これはなかなか良い結果が得られると思っている。

カフェをはじめとして、バレエスタジオ、美容室、整体、整骨院、はたまたビストロなどなどいくつかの個人事業主さんの開業をお手伝いしてきた。当然のことではあるがこのような場合には、クライアントに余分なお金などあるわけがない。かといって、そこで求められる建築はこれから先の事業、つまり商売を行う箱であり、それぞれの事業のお客様たちが入ってみようと思ってくれるようなものでなければ造る意味もなくなってしまう。お金をかけずに、人に魅力を伝えることが出来るようなものを作らなければいけないというのは大変なプレッシャーであるが、その大切さは僕自身も同じように13年前に開業したからこそ身にしみて理解することが出来るのである。

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2013/11/09

朝礼終了後、10時より埼玉県川口市の芝富士にて新築の住宅を検討されているOさん打ち合わせ。男性の単身者のOさんは、今後のおそらく独り身という前提での家造りを検討されているのであるが、このようなケースは私にとって2回目となる。前回は東武動物公園のある埼玉県の宮代町というところに男性の単身者の為の小さな家を作った。このときは同居する犬が一匹いた。一昨年には女性の単身者の為の住宅を作ったこともある。このときは猫が一匹いた。今回は犬も猫もいないが、お気に入りのバイクが一台ある。果たしてどんな家になることであろうか?

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今日で新入社員の小高君の試用期間が終了する。夕方の空いた時間で今後も仕事を続ける意思があるかどうかの確認をしたところ、その意思は面接の時と変わっていないということであった。担当していた橋本からの評判も良い。当人の意思と周囲の評判が問題ないということなので採用を決める旨を伝える。

2013/11/07

午前中事務所にて雑務。各プロジェクト打ち合わせなど。

午後一番より川口市役所へ。今日は聖火台のデザイン案を市役所に提出するということで、川口鋳物組合、矢野さんと鋳物屋さんのモリチュウ、森さんと一緒に出向いたというわけである。市長が東京都に対して川口市の鋳物や産業をPRするという今回の企画、果たしてうまくいくかどうか。

実は前回の東京オリンピックの聖火台というのは川口市で製作している。そのレプリカは川口市の青木公園なるところに保存展示されているのであるがこれが地元ではなかなかに有名なエピソードなのである。

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2013/11/05

朝7時30分、橋本君と一緒に埼玉県幸手市にて進行中のスタジオ併用住宅の現場管理に向かう。現場では大工さんが1階の居室部分の内装工事をしている最中。写真は天井のラワン合板を貼っているところだ。緑色のボツボツは仮釘という細いピンのようなもので、ボンドで貼った合板が剥がれ落ちないように一時的に固定する為の釘である。

外部ではゲーテハウスから来た左官屋さんが外装の仕上げ塗りを施している。二人の職人さんで結構広い外壁の一面を塗り上げる様子は見ていて爽快だ。途中橋本君と二人で巻かれていた養生シートを戻す。最後に大工さんと打ち合わせをして10時30分帰社。

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13時30分、東京都豊島区にて住宅の建て替えを計画中のSさん打ち合わせ。16時ごろ終了。

2013/11/02

昨日の誕生日の夜は地元の会合で家を留守にしていたのだが、おとといの夜には家族を上げての誕生日会を催してもらった。さてこんなことは何年ぶりだろうか。年末の近づくこの時期に、家でゆっくりと夜を過ごすことはとても珍しいことだ。でもこれからはなるべく家でゆっくりと過ごす時間を増やしたいと思っている。30代はなるべく外に出ようと心がけて生きてきたが、40代が近づくにつれて少しだけ落ち着いたというところなのであろう。

午前中、埼玉県さいたま市にて家の建て替えを検討されているIさん打ち合わせ。3年後くらいまでには建て替えをしたいというゆっくりとした流れの中で、家造りを依頼する会社の検討をしているということである。まずは2階のプレゼンをさせていただくお約束をした。

夜、妻と二人で丸の内にあるコットンクラブへ。誕生日ということでケニー・ギャレットのステージに招待していただいた。なぜだかわからないけれどコットンクラブさんありがとう。ステージは最終回ということもあって、ラスト30分は観客総立ちの大変な盛り上がりであった。妻は少々飲みすぎたようで帰りの電車で酩酊。11時ごろ要約家にたどり着いた。

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