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ますいいリビングカンパニーは埼玉県川口市にある注文住宅を作るデザイン設計事務所です。
ローコスト・セルフビルドでよい素材を上手に使い家族が幸せになる、そんな建築を目指しています。

ますいいリビングカンパニー|埼玉県川口市

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増井真也日記

2013年6月アーカイブ

2013/06/30

日曜日。特に仕事は入っていない。というわけで息子と一緒に東京武道館で行われていた東京都の20歳以下の選手達による全国大会の予選を観戦しにいってきた。東京都の強豪校というと思い浮かぶのは、日大や東海大学、国士舘や日体大というところを中心としているわけだが、試合中や会場での様子を見ていると各校にそれぞれの特徴があって面白い。

なんとなく気になったのでとある大学を見ている時に感じたのだが、その大学の選手達が試合中に何度も指導者の方を見ていたり、なんとなく自由な柔道が出来ていなかったりの違和感が現れていた様であった。もちろん昔から関心があったわけではないので、その様子の変化というのはわからないのだが、こういった状況は、その組織に歴史や伝統があり、過去の栄光とそれにしがみつく先輩と呼ばれる支配者達がそろい、新しい変革が取り入れられていない時に典型的に現れる現象であるように感じる。かつ早稲田大学のラグビー部の低迷を止めた清宮監督は、何時間も続く長い練習という伝統や、先輩後輩の寮での古き伝統を取り払い、このポジションだったら50mを何秒で走ることなどの現代的・科学的な思想を取り入れチームを日本一に導いたという話を聞いたことがある。

巷では柔道の印象が悪くなるようなニュースが後を絶たないのだが、受け継ぐべきものを選定し、なるべく早く良い改革を遂げて欲しいものだと思う。会場では偶然、中学・高校時代の体育の恩師に出会った。選手達の中に混じる恩師の姿は、20年前よりも大分小さくなっていはいたが、ビール瓶を握りつぶせると豪語していた漫画のキャラクターのような鬼教師の風貌はまったく変わっていなかった。今は早稲田大学の柔道部の監督をしているということであったのだが、こんな出会いがあるのもナントモ嬉しい限りである。人と人との出会い以上に価値のあるものなんて何も無いのだ。

2013/06/27

今日は埼玉県幸手市にて進行中のバレエスタジオ兼住宅の地鎮祭を執り行った。天気予報では雨が60%ということだったのでテントを建てての地鎮祭かと覚悟をしていたのであるが、なんとも良いお天気で、終わった頃には日焼けで肌がひりひりするくらいであった。天候のことなのでなんともしがたいのではあるものの、やっぱりこういうめでたいことは晴れ晴れしたお天気の中で行う方が良いものである。20130627.jpg

2013/06/24

午前中は、先月HPで告知した設計の出来る大工スタッフ養成プロジェクトに応募してきた青島君の面接。告知分は以下の通り。

「昨今の建築業界の職人さんの高齢化は大変問題となっています。特に大工さんにそのような傾向があります。これは大工技術の習得に長い時間がかかること、また本来大変人気のある職業であり、魅力のあるはずの大工さんという職業でも、大工技術を身につけるだけでは、工務店として独立が出来ないという現状が要因のように思います。

昔の大工さんは、その地域に数多く建つその地域ならではの技術を身につければ、間取りの打ち合わせだけをして、家を作ることが出来ました。そこには建築家などという存在は無く、施主と大工の直接的な関係がありました。でも今は違います。施主の求める多種多様な設計の要求に答える設計力を持たなければ、家造りを通して施主に満足してもらうことは出来ません。

そこで、ますいいでは従来の設計および現場管理に加えて、大工工事もできるスタッフの養成を行います。人にもよると思いますが、新卒の場合一人前になるにはおそらく10年はかかると思います。それでもやる気のある方を募集いたします。興味のある方はぜひご連絡ください。」

面接の途中、このプロジェクトを共同で進めようとしている大工の草間さんを呼ぶ。つまり大工さんの技術指導は草間さんにお願いし、設計や現場の管理についての指導はますいいで行うという流れを考えている。はじめの数年間は大工さんの下で徹底して大工技術を身につけてもらう予定だ。そのあとはますいいで設計を行いながら、担当物件の大工工事に係るという流れを繰りかえし技術の習得につなげていくことを考えている。

と、書いてしまえば簡単なことなのだがそう簡単に出来るとは考えていない。そもそも大工さんと建築家では、デザインというものに対する価値観が違う。職人さんというと、ある伝統的な価値観に裏づけされたデザインを生み出す技術力に対して価値を感じたりのことは、非常に直感的に得意とする場合が多いのだが、モダン・ポストモダン・ミニマリズム・・・の近代以降生まれた多様化するデザインに柔軟に対応することはえてして不得意である。そもそもこうしたデザインに対する価値観は、伝統・風土的に日本の歴史に根付いているというよりは、言語的・視覚的に理解されるものであり、それには相応の勉強が必要となる。このプロジェクトで難しいのは、その思考のバランスをいかに取るかの部分であり、それには個人のバランス感覚もかなり大きな要因となるであろう。

東工大出身の青島君がどこまでのバランス感覚の持ち主なのかはわからないが、少なくとも定期的なコミュニケーションをとりながらその調整に寄与していきたい。私が作りたいのは昔の大工さんでは無いのだ。私たちと同様の設計が出来る大工さんなのである。これは非常に欲張りなこと。でも出来たらすばらしいことだと信じている。

2013/06/23

日曜日。今日は東京都新宿区にあるリビングデザインセンターオゾンにてセミナーの講師を勤めた。聞きに来てくれたのは20名くらいだろうか?普段はクライアントと相対してお話をするが、こういう風にたくさんの人を前にして話すのはなかなか難しいものだ。大体人を楽しませながら面白おかしく話をするなどということにそんなに慣れてはいない。まあお笑い芸人ではないから、大爆笑を期待してくる人もいないだろうが、多少のこねた位はもっていた方が良い。そういえば大学時代も人気のある先生の授業は面白かった。などと、セミナー中に自己分析などしながらお話をするも、こういったことは次回に採っておくとしよう。お話の内容は、先日の日記にも書いたとおり下記内容である。

・工務店機能を持つ設計事務所の意味
ますいいリビングカンパニーは2001年の事務所建設を期に本格的に活動をスタートしたが、その前の1999年からの早稲田大学理工学部建築学科の教授である石山修武先生による指導の下でその運営形態を決定した。当時の工務店の世間による認識は、ちょうど高度成長期に建てられた欠陥住宅などが社会問題化していたことなどから、非常に低いものであった。

逆に建築家はといえば、敷居が高い、先生の思い通りにコントロールされてしまいそう、などというネガティブなイメージがあったし、建築家の側も大規模建築の設計を任されるまでの足がかりとして小規模住宅の設計に係るという認識の方が多いという状況だった。

そんな中で工務店機能を持つ建築家、つまり設計だけでなくコンストラクションマネジメントからコストマネジメントまでを一人の人間が一貫して行うというスタイルの有用性を説いていたのが石山氏だったのである。この手法を採用すると、まずコスト的メリットとして設計事務所に支払う設計料と工務店に支払う現場管理費をひとつにまとめることが出来るので、小住宅を限られたコストで建てようとしているクライアントにとっては大きな利益につながる。

この考え方はもちろん大規模建築にまで応用出来る物ではなく、小規模住宅の現場の状況に限って力を発揮するものである。通常の住宅の現場においては大工さん一人が約2ヶ月ほど工事に入る。その前には基礎工事、そのあとには仕上げ工事が入るのだが、それとて大勢の職人さんがやってくるのではなく、せいぜい3人ほどの左官屋さんやら電気屋、はたまたペンキ屋さんが仕上げ工事をしているというような程度だ。その職人さんたちに指示を出し、必要な資材を購入し、現場の整理整頓を管理し、といった程度の仕事であればわざわざ建設会社の監督さんがいなくとも、設計者が現場の設計の監理をする傍らに行うことで済ませられるであろうということである。

ますいいではこの規模の限界を1億円と決めている。だからそれ以上の工事に関しては請け負わないことにしている。過去にその規模の住宅の依頼を受けたときには設計のみに特化し、工事は他社の建設会社と手を組んで行った。戸田建設に勤めていた私には、100億円の現場の監督をした経験もあるが、ある規模を超えた瞬間から建設現場という隔離された社会における規範を作り行動を管理するといった、建築以外の要素に対する責務が生じ、それにはベテランの監督さんの存在が不可欠となることを知っているからである。

・ローコストとセルフビルドについて
ますいいリビングカンパニーの考えるローコストとは、自分の家を自分で考えることで、本当に必要なものだけにコストをかけるというということである。すべてを求めてさらに金額を安く抑えようということになると、それを実現できる方法は建売住宅になってしまう。なぜなら建売住宅というのは、万人が困ることの無い満足を得ることができる状態を、万人が購入することが出来る金額で作るために、同じ資材を大量に購入し、同じパターンで大量に作り、仕入れコストと製造コストを抑えるという工夫をしているのであり、住宅にまつわるすべてを梱包したサービスパッケージとしてはひとつの答えとなっているのである。しかしながら住宅は個人の暮らす場所であり、こうしたサービスパッケージ的な場を望む人ばかりではない。というより誰も望んでいないけれど、みんな諦めているというのが現状であると思う。その理想を実現する為の手段としてますいいが普段からやっていることを事例をもとにご説明しよう。

下の写真は埼玉県川島町で作ったカフェ兼住宅である。施主はサラリーマンを退職し、東京を離れたちょっと田舎でのスローライフを送ることを描いていた。カフェの収入に頼るのも危険だからお金はそんなに使いたくない。だから、予算は1200万円くらいで抑えて欲しいというのがはじめの希望であった。この家造りの詳しい話は担当の佐野君が書いたページがあるのでリンクさせておこう。
20130623-1.jpgまたこのページに戻ってきてくれた方には、次の事例をご紹介する。下の事例は埼玉県川口市に作った住宅である。ここでは1500万円というローコストでの予算を実現したのだが、川島町のカフェ兼住宅と同様にセルフビルド等の工夫をしている。下の写真はクライアントが天井のラワン合板に柿渋を塗っている様子である。天井に張ってある状態に塗装をするのはなかなか大変なことであるが、こうして床においてある状態に塗装をすることは簡単だし危険もともなわない。下の玄関ドアは地元川口市の製造業ネットワークを生かして作られたものである。こうしたものもメーカーに依頼してしまえば純粋な製造コストに大きな利益がのっかた形で見積もられるであろうが、材料購入から加工取り付けまでを、それを行う職人さんと直接行うことで、おそらく半分くらいのコストで抑えることに成功している。
20130623-2.jpgまだまだ事例を挙げればきりがないが、とにかくローコストだからといって諦めるのではなく、ローコストだからこその魅力を生み出すことが大切なことだと思う。住宅など必要以上のコストをかけてはいけない、なぜならそのクライアントにとって必要以上のコストをかけて、それで普段の暮らしにしわ寄せが出てしまうのでは本末転倒だからである。それに何よりも自分の家を自分で作ることによって、家造り自体が良い思い出になる。それが愛着になる。そしてその家は長く使われることになるのだと思う。

・設計から現場までの仕事の流れ
こちらの項目については、あらためて書くまでも無く日ごろの日記を読んでいただければ良いだろう。

2013/06/22

10時、埼玉県さいたま市にて住宅の新築を計画しているTさんご家族打ち合わせ。今回ははじめてのプレゼンテーションということで、二つのパターンをご提案することに。敷地は南浦和の駅近くの閑静な住宅街である。周辺のきれいに整備された状況を取り入れて、快適な住宅を作ることが出来そうだが、土地の持つ開放的な視線の抜けるラインを上手に設計に生かすことが求められそうだ。
20130622.jpg夕方、川口市の稲門会30周年記念式典に参加。参加というより司会者である。地元でのつながりの中での成り行きで、司会などを務めることになってしまったのだが、こういう人と人との縁も大切なことである。今回の祝宴では、20年ぶりに中学・高校の同級生と出合った。一人ぽつんと椅子に座っている彼を見かけたときにはすぐにはわからなかったのだが、数秒の沈黙のあと思いがけない再会に驚き、談笑した。そのあとの2次会でも色々と話をすることができたが、彼も僕もいつの間にやら39歳である。そう、おじさんと呼ばれるとしになってしまったのだ。でも不思議なことに、大体こういうケースの場合にいつも思うことなのだが、今回の場合も彼の顔は中学時代のそれとまったく変わっていないのである。多少老けたと言えば老けたのかもしれないけれど、でも記憶の中にある笑顔とまったく変わらないのだ。人間の骨格は中学生くらいで決まるのかもしれないな、若しくは人格のようなものが決まるのかもしれない、とにかく同級生と会った時にいつも驚くのはその点で、僕はいつも驚かされる気がする。

2013/06/21

午前中、埼玉県川口市にて設計中の古民家に寄り添うスタジオ兼カフェのプレゼンテーション。今回のプロジェクトは、古くからこの地に住むおばあさんが住む古民家の隣の土地に、今回のクライアントであるSさんがバレエをしたりサムタイムカフェを催したりする為のコミュニティースペースを作ろうというものである。古民家の周りには右側の写真のようなすばらしい庭がある。新しく作られるカフェも、もちろんこの庭の眺めを生かした設計となる予定だ。今回は2回目のプレゼンテーションということで、設計条件に基づくプランニングに応じる形の、3つの空間構成をご説明した。まだ2回目ということでどれかに決めるというわけではないが、それぞれの持つ魅力と考えなたなどについてのお話をさせていただいたわけである。これからの進展が楽しみだ。20130621.jpg

2013/06/19

午前中はパソコン関係の整備の相談に小林さん来社。いつの間にか10台以上のパソコンがネットワークでつながっているというような状況になっているのだが、自分自身でメンテナンスを行うのも面倒になってきたのでお願いすることにした。思えば時代の変化と共にこの建築業界の仕事場の様子も一変したものである。昔は図面を書くときには平行定規やドラフターと呼ばれる製図板の出番であった。平行定規はいまだに私の机の上にドンと陣取っているが、要するに板に平行移動することの出来る定規が付いているというものである。水平線を楽にひくことが出来るし、そこに三角定規を当てれば垂直線だって簡単に引くことが出来るということで皆それを利用していたのだが、最近では、なぜかいまだに手書きで行われる建築士の試験のときくらいしか使わなくなってしまった。

ますいいでもほとんどの図面はCADで作成するようになった。もちろん昔は手書きだったが、今では基本構想時のスケッチや詳細部の検討のときくらいしか手書きでは書かない。でも、手書きの方が良い場合もある。その代表格が装飾的なディテールを描きたいときであろう。下の写真は東京都調布市に2010年に建てたコンクリート造のアパート併用住宅の外交に使った門扉である。この門扉の製作は妹が運営しているRDRギャラリーで知り合ったローとアイアンの作家、中沢さんにやってもらった。もちろん打ち合わせから発注にいたるまでの資料はすべて手書きである。こんなくるくる渦巻きの絵はスケッチでは描けても、CADでは描けない。描けないということは無いのだが描く気持ちになれないのである。だってパソコンで自由曲線を描くのは意外と大変なのだ。利便性を手に入れれば必ず逆の縛りも生じるものである。それをわかっているからこそ平行定規は手放せないのだ。20130619.jpg

2013/06/18

午前中は事務所にて各プロジェクト打ち合わせ。

13時、お茶のお稽古。今日から地元の知人である砂沢さんが正式に社中に入り二人でのお稽古となった。少しずつではあるがこういう風に仲間が増えていくことは良いことだと思う。最近の同世代の人たちは皆、「本質的な何か」、を基軸としたつながりを求めている気がする。お茶の作法を修練することが本質とは思わない。千家の集金システムに同調することが本質とも思わない。こういったことは逆に最低限やっていれば良いことだと考えているし、必要以上に浸かりこむ必要もない。でもなんとなく何かはある気がする。日常の生活の中では気がつきにくくなっている何かと出会うことの出来る時間と空間がそこにはあるのだ。

今日のお稽古も先週と同じで薄茶と濃茶を棚のお手前で点てた。茶入れは中継を使用。はじめて使った薄器だが、たまたま利休道歌のテーマが中継だったから、先生が用意してくれたものである。お茶の点て具合は日によって違う。今日はおいしく点てることができた。きっと気持ちが落ち着いていたのだろう。

夕方、森脇君と日曜日にOZONで行うセミナーについての打ち合わせ。約1時間ほどのセミナーだが、

・工務店機能を持つ設計事務所の意味
・ローコストとセルフビルドについて
・設計から現場までの仕事の流れ

といったテーマでお話させていただこうと考えている。内容的にはいつもクライアントにお話させていただいていることなのだが、外部で行う為の資料の準備だけはしておかないといけない。

2013/06/17

朝10時ごろ、埼玉県川口市にて耐震改修工事を検討されているKさん宅にて現地調査。今日は近所の矢口工務店、矢口社長とそのお父さんである会長さんと一緒に現場に行った。現場は築数十年の平屋の住宅である。すでに行われている耐震診断の結果によると、「倒壊の恐れがある」という判定結果が出ている。まあ、古い住宅だけに当たり前といえば当たり前なのだが、明らかに倒壊しますよ、と改めて言われてしまえば住んでいる人としては気持ちが良いはずはない。でも考えてみれば、昔の住宅建築の基準と今の基準に大きな開きがあるのだから、今の基準に基づいて診断を行えばNGが出るに決まっているのである。

状況を簡単に説明すれば、基礎は無筋コンクリート、筋交いはほとんど存在しない、壁はコマイを編んだ土壁、屋根は十年ほど前に葺き替えられた瓦である。大きな不同沈下などは無いようだが、床はところどころ大きく沈んでいる。この状況を普通に聞くととんでもない!と思ってしまうが、これが当たり前の作り方であるのだ。

同行してくれた矢口会長は70歳をこえる元大工さんである。この状況で評点1を目指す、つまり現行の基準に基づく耐震補強をあちらこちらにしたところで、あまり意味が無いのではないかの私の予想通り、やっぱり大工さんならではの補強方法を考えてくれた。その名もずばりバットレス工法だ。この工法は建物の周囲にバットレス、つまりゴシック建築などにおける控え壁のようなものを作り、地震時の動きを抑えようというものである。これなら既存のコマイ壁を壊して筋交いを入れるなどという大変な工事を行う必要なく、建物の動きを制御できる。確かに現行法通りの補強を行えば強くなること間違いなしということは言えるのであるが、この手法だと家のあちらこちらの壁を掻き落とすことが必要となり、それはつまり内側からバールで土壁を叩き落すという、とてもとても住みながらの工事を想定できなくなるような状況をともなう。しかも壁を強くするということはその下の基礎も作らなければいけないということとなるので、その点でも住みながらの工事はとても難しい。でもバットレス工法なら、ほとんどの作業は家の外で行われることになるのでその点がクリアされるというわけであるのだ。

この工法は認定工法でもなんでもない。大工さんのカンである。でも、そもそももともとも建物がカンに基づいて建てられた建物なのに、急に基準が出来たからといってその基準にがんじがらめに当てはめようということ自体に大きな無理があるのも事実なのである。最小限の負担で、リスクを軽減する今回の提案には大変賛成だ。今後に期待したい。20130617.jpg

2013/06/15

今日は何も予定が無いので家族を連れてどこかに行こうと考えていたのだが、天気予報もころころ変わりどうやら雨も降らない様なので3時からのディズニーランドに出かけることにした。中学生になる息子の部活が終わったころあいを見計らって武道館に迎えに行き、そのまま浦安に向けて出発。現地に着くと予想していたよりもずっと空いていて快適に過ごすことができた。たまにはこういう遊びも楽しいものである。特に建築的にどうこうということはないのだが、会場内のサインなどは見ていて楽しいものがたくさんあった。皆さんも実際にいって驚くと思うが、いかにも木に見えるサインや構造物は実は多くの場合は偽木、つまり偽者の木である。コンクリートに塗装をしたり、FRPと呼ばれるプラスチックに塗装をしたりしてそれなりに作り上げたものである。以前戸田建設に努めていたときに、この手の仕事をする職人さんと一緒に現場をやったことがあるのだが、そのほとんどが美大などを卒業しているアーティストさんたちであった。ディズニーランドの建築や装飾のテーマを賛美する気にはなれないのだけれど、でもアーティストさんたち、つまり昔でいうところの職業美術家さんたちと一緒に仕事をして、ある環境を作り上げる仕事には大変関心がある。大好物のターキーレッグを食べながらそんなことを考えてみた。
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2013/06/14

午前中は各プロジェクト打ち合わせ。10時、新しく購入したハイエース納車。長らく乗った愛車のフォルクスワーゲンGTIだったのだが、5人家族の大家族の移動と、会社での研修会などのときのスタッフ全員の大移動での利便性を考えてしばらくはハイエースワゴンに乗ることにした。最初はあまりの大きさにちょっと戸惑い気味だったが、まあ慣れればどうってことは無い。機敏に走ることは出来ないけれど、しばらくはこれで我慢することにしよう。

午後、東京都北区にて設計中のMさんの家の模型打ち合わせ。夜のプレゼンに向けて制作していた模型も大分姿がまとまってきた。小さな土地に建つ一人暮らしのための小さな家だが、食事をする場所、趣味の茶道などを楽しむ場所、寝る場所とそれぞれの場所の質感を変えた魅力的な住宅にしたいと考えている。下の写真は外観と寝室の様子である。まだまだこれから意匠をつめていく段階だが、今日のところはこの模型をお見せしてご意見を伺う予定である。建築の打ち合わせ、特に新築における模型の意義はとても大きい。その空間の様子が図面より格段にわかりやすく、また設計している方にとってもそれを作る過程で様々な思考が整理される。通常の設計ではこの模型を1/100スケールから作り始め、最終的には1/50~30程度までスケールアップしていくのだが、今回は初めての大きな模型を作ったところ。クライアントのMさんも喜んでくれるであろう。20130614.jpg

2013/06/13

最近の雨のおかげで現場の進行は難航しているのだけれど、庭のハーブの育ちはすこぶる良い。こういう様子を見ていると雨はやっぱり天の恵みなんだなあという気もしてくる。物事はすべて悪いことばかりではないのだ。

というわけで大きく育ったクレソンやチャイブ、バジルなどを採って今日の夜ご飯に使ってみることにした。メインのメニューはクレソンスープである。先日購入したベニシアさんの本に出ていたのだが、ちょっとつんとするハーブ独特の香がなんともいえない。中学生の息子にはちょっと合わなかったようだが私と妻はおいしく頂くことができた。バジルはトマトにのせてサラダに、チャイブはニラの変わりに厚揚げに載せて頂いた。自給自足とまではいかないけれど、仕事の合間の楽しみである。
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2013/06/12

今日は第3回ますいい建築塾。本当は町田分室の近くのある武相荘(白洲次郎の住宅)を見学する予定だったのだが、12時に事務所を出発することが出来ずに18時からのバーベキューのみに参加した。僕が付いた頃にはすでに川口市のスタッフや町田でお世話になっている大工さんや材木屋さんが参加して、バーベキューがスタートしていた。はじめてお会いする職人さんたちとのしばしの会話を楽しんだ後、町田分室の田村君をはじめ堤君や中村君が用意してくれた料理をいただいた。堤君は、ますいいに来る前にはホテルの調理人をやっていた。そういうスタッフがいるとやはり出される料理もなかなかのもので、おいしく頂くことができた。

今回は始めてこの準備をスタッフに任せることにしてみた。いつもは僕と妻でやっているのだが、10人以上の料理を作るのはなかなか大変なものである。何を食べさせようかを考えながら買い物に行き、料理をして、・・・の過程は家造りにも大いに役立つ気遣いだと思う。NHKにさらめしなる番組があって、好きでよく見るのだが、料理くらいまともに考えられない人にはどんな仕事もまともに出来ないということが良くわかる。つまりは人を笑顔にさせる最初の手法が料理なのであり、人をもてなす基本なのであろう。

10時ごろ分室を出て川口に向けて出発。小田急線・埼京線・京浜東北線と乗り継ぎ12時前に自宅に到着した。

2013/06/11

午前中は事務所にて打ち合わせ。これまで進めてきた1000万円住宅プロジェクトの概要がほぼ固まってきた。平面は9坪×2階建てで、屋根は切り妻となる。もちろん最も効率の良い片流れの屋根も検討しているが、これは勾配天井による天井高さの高い部分をどこにあてるべきかという空間の魅力との兼ね合いで決まるべきと考えている。平面形状は正方形になるべく近づけるように工夫している。これはもちろん構造体や仕上げの最も合理的な形状だからである。基本的な工法としては外断熱工法を採用し、内部の壁は柱や間柱がそのままむき出しの状態で仕上げる予定だ。もちろん石膏ボードを張ることも出来るのだが、暮らし始めたあとの自由なカスタマイズを考えるとこの方法のほうが適していると判断した。柱や間柱の隙間を利用して棚を作ったりの工夫で、自由に利用できる方がただ単に石膏ボードの壁を仕上げてしまうよりも小住宅にはふさわしいということは、下の写真にある埼玉県川島町のカフェ兼住宅でもわかる。

ローコスト住宅を作る場合に勘違いしてはいけないことは、貧しさを感じさせるようなものにはしてはいけないということである。すべてを普通に仕上げようと思えば、建売になる。しかし、自分に必要なものだけをローコストで手に入れたあと、そこに自分だけのこだわりのカスタマイズを加えていくことで、それは魅力となる。それは貧しさではなく、むしろ普通の住宅では手に入れることのできない豊かさとなる。川島町の家はそれを教えてくれている。経済という大きな力からちょっとだけ自由になれる生き方を示してくれているようにも思えるのである。
20130611.jpg午後はお茶のお稽古。今日からまた地元の会合の先輩である砂沢さん(41歳)という新しい仲間が加わった。はじめての割り稽古ということで、袱紗のたたみ方などの基本的なことを教えていると、なんとなく自分も3年もやっていたんだなあと実感する。薄茶、濃茶を点てて差し上げるも、顔見知りを相手だとなんとなく緊張感を感じてしまう。文化は守ろうという意思がなければ、利便性や日常の雑多なことに埋もれ、いずれは消えゆくしかない。しかし、そこに価値を感じるのであれば何らかの形でかかわり、それを守り育てる側になるほうが良いと思う。そうしないといずれ人の住む世界は映画「マトリックス」のタワー式の培養器になってしまう気がするのだ。川口駅前の超高層マンション郡を見ていると、特にそう感じるのである。

2013/06/10

月曜日の朝礼はその週の設計作業や現場の進行状況などについてのミーティングを行うので、いつもより少々長い。リーダーがお題を決めて、ひとつのテーマについて4人がスピーチをするという毎日の恒例行事の内容も、今年度の現場が徐々にスタートしてきているので、現場運営に関することになってきた。今日のテーマは雨の中での現場管理。四季のある日本では、この梅雨の時期とだ台風の多い夏場の雨養生というのが非常に問題になる。そもそも家というのは外部で作るわけだから、天候の影響を受けざるを得ないわけであり、愚痴をこぼしていてもはじまらないので、結局はうまく付き合わなければいけないのである。

突然の雨と聞いて、建築現場が最も困るのはなんといってもコンクリート工事の場面である。特にコンクリートの土間を金ゴテで仕上げなければいけない場合には、雨にたたかれることは致命傷となるので注意が必要だ。どうしても雨の中でやらなければいけない場合は、ブルーシートに頼るしかない。10メートル角の大きなシートを何とかして固定して、中央付近にたまる大量の雨水と格闘するのはなんとも大変な作業であり、そして多くの場合あまり報われない結果が待っている。だからコンクリート打設の日はやっぱり晴れてもらいたいのである。

次は上棟してから屋根・外壁下地が終わるまでの間に降る雨である。この段階の工事期間は約2週間ほどだろうか。2週間ほどあれば屋根や外壁の下地も一通り作り上げることができるので、雨養生作業は格段にやりやすくなるのだが、それまでは中途半端な状態に、しかもそれ自体を作っているところにシートをかけるなどをするわけなので厄介だ。木の場合は雨に濡れるのが絶対にだめかといえばそうでもない。でも濡れた状態で放置するのはよくないし、湿気がこもる状態はもっと悪い。要は腐らせてしまうことは絶対に避けなければならないということだから、濡れたものはしっかりと乾燥させることが重要だ。

戸田建設に努めていた時代、滋賀県の現場をやっていたときには冬の雪に悩まされた。雪が降ると足場や鉄骨の上を歩くことが出来なくなる。そういえば地下10メートルほどの駐車場工事を行っていたときには、雨が降るとその次の日くらいから大量に噴出してくる地下水にも悩まされた記憶がある。防水工法なので出てくるはずの無い地下水が、地下室の外壁からどこからとも無く噴出してくると、もう本当に困りものなのだ。そもそも建築とはそういった大自然の驚異から身を守るためのものであり、それを作る段階でも様々な自然のいたずらと闘いながら完成させていくのであるから、そういった困難は避けられないのである。方程式はあるようでない。水は高いところから低いところに流れるというような当たり前の事実を、要するにこの世界の原理のようなものを感じながら、それにあまり逆らうことなくすべての手順を進めていくことが重要なのだ。

2013/06/09

今日は裏千家の全国茶道同好会の集まりで京都に向けて出発。毎年この時期になると何らかの行事で京都に行くが、今年は全国にある青年会議所の茶道同好会が集められることになった。京都駅についてからしばらく時間があったので、2006年以来訪れる大徳寺高桐院に。このお寺は戦国時代に活躍し、茶人としては利休七哲の1人として知られる細川三斎が父、幽斎のために慶長7年(1602年)建立した寺である。竹と苔の庭で有名であるが、あいにく法要のために中に入ることはかなわなかった。書院の西北には三斎好みの茶室、「松向庵」がある。二畳台目、床(とこ)は下座床、炉は台目切のこじんまりとした茶室なのだが、私の好きな場所のひとつである。
20130609-1.jpg13時、裏千家事務所にて会議に参加。15時、平成の茶室なる新しい会館にて呈茶。これまでのこのような行事に使用されていた今日庵とその周りの茶室郡は大改修工事に入るということでしばらくは利用できなくなってしまった。というわけでその代わりに用意されたのがこの新しい会館なのだが、何せ出来たばかりの新品であるので、いわゆる趣というような代物は微塵も存在しない。早く改修工事が終了することを祈るばかりである。18時より、東急ホテルにてお家元の講話、そして懇親会。23時ごろ終了しホテルに戻る。

翌、日曜日はせっかく京都に来たのだからとまずは龍安寺に。何度も京都に来ていたものの、かの有名な石庭をもつ龍安寺には実ははじめての拝観である。下の写真は石庭とそれを取り囲む土塀。禅宗の枯山水の庭に敷き詰められた白砂は大海を表し、そこに置かれた15個の石は島を表すというが、これは古くより連想の中の楽園というものが、いつも海のかなたにあるということを示している。白砂が大海を表すなどという話は聞いたことがなければにわかに想像しがたい事であるが、古くより日本の庭はこの手の見立ての手法を活用しているのだ。

この庭の実測平面図を見ると、石組みが黄金分割線上に置かれていることが知られている。そういう技術的なことではないものとしても、須弥山をめぐる九山八海であるとか、七五三の石組みといった寓話が色々とある。そうした寓話が語られるのも、この庭が方丈のふすま同様に、方丈を装飾する一種の寓話画であるという認識があるからであろう。襖絵が平面を駆使しているのに対し、庭は奥行きがある。特にこの庭では右側の土塀を敷地の傾斜に沿って傾けることで意図的に奥行きを創造しているのだが、そのような工夫を施してまであるイメージを喚起するための場を設えたということなのであろう。
20130609-2.jpg続いて少々小腹が減ったので最近の会社の庭造りの参考にしているベニシアさんのご主人が経営するカレー屋さん「DIDI」に行ってみた。場所は元田中というところにあり、ちょうどこれから向かう曼殊院への途中ということで寄ってみたのだが、ベニシアさんのご主人だからというわけではなく本当においしいカレーを食べさせてくれた。セルフビルドで住居を作り上げたというご主人のイメージどおりお店も素人さんの手作りといった内装で雰囲気も良い。駅を出てすぐの場所なので、是非機会があればいってみていただきたい。

最後に訪れたのが、これまた2006年に来た曼殊院である。曼殊院がこの地に移されたのは桂宮智仁親王の次男である良尚法親王の時であるから、当然桂離宮との関連性が深いと言われている。交通の便の悪さからか、すでに大部分を失っているからか、ほとんど手入れをされていない様子に驚くが、その分一般拝観の者が普通に内部を歩き回ることが出来るという状況に、良いのか悪いのか複雑な心境になる。今日の目的はこの曼殊院にある「八窓の茶室」だ。作りは桂の松琴亭茶室に似たつくりとなっており、名前の通り八つの窓を持つ。この八つの窓は仏教の八相を表すといわれているが、この手の話の詳細はいまだ勉強不足で詳しくは知らない。遠州の作とかの逸話もあるが、詳細は不明という説明を受けた。内部の撮影は禁止ということで写真を掲載することは出来ないが、江戸時代初期の当時から塗り替えられていないイカ墨を利用した黒壁や、白紙を貼った腰壁、赤松やコブシといった材木の持つ深みは見事であった。いづれ大改修が施され厳重に保存される日が来るのであろうが、それまでの間にこれ以上の破壊がすすまないことを祈るばかりである。
20130609-3.jpg最後の写真はその曼殊院で見た木製の雨樋と渡り廊下の隅木である。こうした何気ない意匠もいざ作ろうと思うと大変なもの。特にプレカットが普及した現代の社会において、このような木製の造作をやれる大工も少なくなった。やはり文化の伝承には、それを作ることのできる職人の伝承も不可欠である。材料を育てる山も必要だし、加工する人も必要だ。そしてそのすべては大量消費大量生産社会における経済原理とはかけ離れている。ゆえに何か大きな力でそれを保存しようとしない限り、自然になくなってゆく運命にある。経済的繁栄と自由を謳歌する代わりに失うものの大きさを思う、でもそれがこの人間社会の現実であるのも事実だ。理想を語るといっても何が理想なのかも曖昧だし、時に理想と思えることでも、違う時にはそう思えないこともある。経済だけが悪なはずも無いのが明白な理由に、その昔でも力による支配の証に重要な建造物が次々に藻屑と消えたのである。そう考えれば、この建築とも、今このときにたまたま出会えたということこそが価値であり、ありがたいということなのであろう。
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2013/06/03

朝7時過ぎ、スタッフの森脇君と一緒に茨城県古河市にて進行中のMさんの家現場管理。現場ではすでに基礎の型枠が外され、その周辺では水道屋さんが配管工事を行っていた。以前建っていた住宅と比べるとだいぶ大きく感じるが、実際には1.5mほど手前に出している。たかが1.5mだが、されど1.5mであり人間の感覚にとっては大きな変化である。このさき人を包み込む空間としての構造体が立ち上がってくるとさらに大きく感じることだろう。
20130603.jpg現場の隣の借家に住むお父さんとお母さんにご挨拶をした後、帰りがけに埼玉県さいたま市の岩槻にあるKさんの接骨院へ。このたび診療所兼住宅の建築を予定されているのであるが、現在のテナントで営業しているご様子を拝見する目的で訪れたのである。昼休み前の営業時間中ということで、ベッドにお一人、待合にお二人と大変忙しそうだった。中に入って良いものかどうか迷っていると、Kさんが快く招いてくれたので短い時間で一通り拝見した。敷地の隣には古い蔵と民家が建っている。今回の計画地はその蔵のある地主さんから分けていただいたものなのだが、工事に際しては解体される蔵や民家から発生する古材を分けていただくことになっている。以前の日記にも書いたが、こういう長い年月の記憶の染み付いた材料を利用したりの工夫をすることでKさんの言う。「何よりも大切なのは、地域の患者さんにとって親しみやすい、落ち着く場所、実家に帰ってきたような、生まれた家のような雰囲気のある建物にしたいなということです。最近流行のホテルのロビーのような病院、歯科などとはまったく違う、自分の呼吸を取り戻せる場所、建物にしたいということです。」に近づけられれば何よりである。

続いて埼玉県さいたま市の南浦和駅近くにて新築住宅を検討されているTさんの土地の下見へ。新しいマンションが立ち並ぶきれいな住宅街でそこに数区画の分譲地が作られている。まだ建築が始まっている土地は無かったが、きっとますいいが工事を始める頃にはすでに新しい住宅が出来上がっていることだろう。敷地を眺めながらなんとなくのイメージがわきあがってくるまでの時を過ごして事務所に戻る。

夜10時ごろ、参加した会合が終わり、友人と二人でキッチンキングというカレー屋さんに行った。僕は昔からカレーが好きだ。家で作る素朴なカレーも良いし、このお店のようにインドから来た人が作る本格的なカレーも良い。
このお店を切り盛りする御夫婦は奥様がネパール人で旦那さんがインド人である。数年前にお子さんが日本で生まれ、生活にも大分なじんできたようだ。そもそもこのお店を出す前に日本にあるインド料理専門のレストランで修行をしていたというからすでに日本の生活は長いのである。
ネパールという国にはいったことはないが、話を聞いていると日本に来る動機のようなものが伝わってくる。今ではそれほど危険ではなくなったということなのだが、数年前は王政に反対する勢力がテロ行為を繰りかえし、その結果多くの民間人も犠牲になったそうだ。2008年に王政が終わり、今ではそういう危険は感じなくなったというが、そういう国と比べれば日本の生活は雲泥の差だろう。
僕がこのお店に来ると必ず注文するのは、チキンティッカである。チキンティッカはビールセットで注文すると生ビールと一緒に二つ付いてくるのでちょうど良い。それだけで物足りない、さらにお肉を食べたい時の定番といえばシシカバブだ。マトンのつくねのこの料理にはなんとなく鼻に付く香があるが、僕はその香も含めて楽しんでいる。最後にはだいたいいつもナンとマトンのカレーを食べる。このカレーの味にはお店によって大分差があるようだけれど、僕の住んでいる川口市ではこのお店のカレーが一番コクがあり美味しいと思う。
そういえば昔大学生の頃にも、早稲田駅の近くにあるカレー屋さんに通っていた。そのお店の激辛カレーを食べるといつもお腹を壊すのに、でもいつも激辛を注文していた。何のための挑戦なのかわからないけれど、これは数年前まで続いていた。今ではもうそういうことはしない。40歳でそれをやっていたらまずいという気持ちからである。
カレーのどこが好きなのだろうと考えると、ことことと煮込むことで何の変哲も無いものが深い味を持つ、スパイスを上手に組み合わせることでその味が色々と変化する、そういうところが好きなところなのかもしれない。そしてそれは僕の建築にもなんとなくつながっているように感じる。

2013/06/01

午前中は会合に参加する為朝霞市役所へ。

14時ごろより橋本君、池上君と共に埼玉県幸手市にて設計中のバレエスタジオ兼住宅の見積もり調整作業に着手。60坪の建築に対する建築工事費の調整をほぼ目標金額まで進めることが出来たのだが、この建物を成立させる為の構造体はまさに研ぎ澄まされた建築といえる。9m×9mの大空間無柱工法を成立させる為に、外周部には120角のホワイトウッドの集成材の柱が所狭しと立てられている。場所によってはその柱を4本を並べてボルトで縫い合わせることで、風圧力に対抗する力を持たせている。屋根を支えるのは450ミリピッチで掛けられるトラスであり、そのトラスの上端部分を構造用合板で面として筋結することにより、先ほどの壁と一体化した箱としての強度を発現する。1階部分には上階で子供たちが跳ねたりする振動を受け止めるための柱が、1間ほどの間隔で林立している。コストダウンのために装飾と呼べるようなものは正面のパネル形式の窓くらいになってしまったが、まさにアスリートのような建築にすることができたことに満足している。
20130601-1.jpg夕方、村上龍「歌うクジラ」読了。近未来の日本の姿を描いた小説なのだが、多少無理のある、かつだらだらとしたストーリーはともかくとして、自治が許されたエネルギー製造施設やら、特権階級の人だけが脳だけの体になって百年以上の年月を過ごしている宇宙船の中やら、はたまた下層階級(この小説の中では日本人はいくつかの階級に分けられそれぞれの階級間の移動や情報の伝達は禁止されているという想定である。)が住む為のまるでキャンプサイトのような住宅施設やらの、現実にはありえないけれどもしかしたら世界のどこかにありそうな空間の描き方が面白い。もちろんそれは言葉でイメージされた空間であり、ビジュアルとして見えるものではないのであるが、ある状況に適していると思われる様子を考え、表現することは、建築の設計でいうところのクライアントの要望やら土地の条件やらの数々の建築条件から、建築のイメージを生み出していく作業に似たものであり、その創造力の深さに興味を引かれるのである。とはいうものの、すべては何らかの映画で見たことのあるような、そんな空間であることも否めないのであり、あえてお勧めする本ではないのかなというのが私の感想であった。
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