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ますいいリビングカンパニーは埼玉県川口市にある注文住宅を作るデザイン設計事務所です。
ローコスト・セルフビルドでよい素材を上手に使い家族が幸せになる、そんな建築を目指しています。

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増井真也日記

2012年9月アーカイブ

2012/09/29

朝礼終了後10時ごろより埼玉県志木市にて住宅を計画中のAさんご夫妻打ち合わせ。今回は2回目のプレゼンテーションということで、1回目とは異なる吹き抜けをもつプランのご提案を行った。

設計の初期段階、つまり敷地条件や家族構成、ライフスタイルから予算までの様々な世条件の中からプランを生み出す段階のことを基本設計と読んでいる。この段階では建物の配置計画も決まっていなければ、構造や階数なども未定であり、まさに無の状態からその家族にあった計画を生み出す段階である。そこでは、通常のNLDKの概念の中にあるプランを作ることも可能であるし、ワンルーム方に近い大空間を持つプランを生み出したり、中庭型などの特殊解を導くことも可能だ。通常の建売住宅などでは、万人がまあまあ満足できる形を提案せざるを得ないので、3LDK程の誰でも使える形を作るしかないのだが、ますいいのような完全なる注文住宅の場合にはクライアントの嗜好にあった最適解を探ることが出来る、逆に言えば探ることができるまでは諦めてはいけない非常に重要なフェーズということになろう。

この作業には通常、2ヶ月ほどの時間をかける様にしている。作り上げるプランは10を越えることがほとんどである。それも多少の部屋の位置を変える程度ではなく、先に述べたような中庭型や離れを持つタイプ、吹き抜けがあったり、リビングの位置を1階や2階に変えてみたりと、大規模な変更をあえて試みて提案を進めることが多い。なぜこのようなことをするかといえば、想像もしていなかったプランの中に身を置いてみることで、実際の生活を思い描いていただき、どのような暮らし方が理想であるかの検討を進めてもらうためである。

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写真は三角形の敷地に、三角形のプランを持つ住宅を建てた例である。始めてこの敷地を見たとき、この敷地には古くから建っていた通常の四角形の住宅があった。私道のドンつきにあるこの敷地は、なんとなく暗いイメージであった。でも基本設計を進める段階で浮かんできた三角形のプラン、このアイデアが浮かんだ後には左上の写真のような頂点部分に配置されたコンクリート製の浴槽や、左下の写真のようなかわいらしい外観イメージ、右側の写真のような中央部分を吹きぬけとするプランニングが次々と生み出され、敷地周辺の環境イメージをも変えるような建築を作ることにつなげることが出来たのである。事例ではかなりの特殊解を示したものの、通常の建築においてでも同じように基本設計の段階を大切にしたい。それこそが建築家が工務店として家造りを行う一番の理由だと感じている。

夕方、埼玉県蕨市にて建築を検討しているNさんご夫妻打ち合わせ。約1時間ほどのお話の後終了。今回は概算の予算構成書に基づく鉄骨構造と木造の場合のコスト比較についての打ち合わせを行った。近所の物件だけに是非鉄骨像のすばらしい建築を手がけたいと思っている。

2012/09/27

朝礼終了後、埼玉県川口市に建てたIさんの家メンテナンス打ち合わせ。約1時間ほどの打ち合わせを終えて12時過ぎ事務所に帰る。

続いてスタッフの鈴木君と東京ガスで主催している「住まいの環境デザインアワード」出品作品についての打ち合わせ。

建築の素材についてふと考えてみた。ますいいではなるべく自然素材を利用するようにしている。これは、もちろん調湿性やらホルムアルデヒドなどといった化学的なメリットを考えてのことである。でも、感覚的な問題、つまり心が感じるところのメリット、心地よさ、そんなものも手に入れたいという思いも強く存在している。

自然素材というとまず最初に思いつくのが、木である。木とくれば次に出てくるのが木が生える大地を構成する土だろうか。木造の住宅においては、古くはこの二つの素材が建築の主体を占めていた。木の骨組みに土の壁、さらに付け加えるのであればそれに萱の屋根というところであろう。身の回りで採取できる自然界に生息する材料を組み合わせて生活の場を作り上げたもの、それが住宅の原型である。現代の住宅でも木造の骨組みはそのまま受け継がれている。さすがに土の壁はめったに作ることは無くなってしまったが、それでも石膏ボードを貼った上に仕上げで漆喰を塗るという工法はまだまだ主流だ。そしてこの漆喰塗りの壁こそが、最も室内にいる人に対しての心地よさにつながるのではないかと私は思っている。

塗る、という行為は作業の中でも最も簡単、つまり誰でも出来る行為であろう。もちろん平滑なお寺のような仕上げは難しい。でも、自分なりの塗り斑を愉しむような仕上げであれば本当に誰でもできるものだ。下の写真はアフリカのマリにあるイスラム教のモスクである。この建築は実は泥で出来ている。構造材を兼ねる材木が泥の壁から突き出ているこの印象的な姿は、誰でも一度は目にしたことがあるであろう。この建築実は雨季の前に毎年壁を塗り替えられる。雨で崩壊してしまうのを防ぐ為なのだが、その作業は一部の職人と村人が協力して行うのである。もちろん宗教建築であるので、年に一度の宗教的な儀式をかねて、祭りのようにみなで行う作業なのだが、こういうことはセルフビルドの原型であるように思える。(こんな建築を作ってほしいといわれても、さすがに日本で泥構造の建築は作れないのであらかじめお断りしておく。)

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話はそれたが、心地よさを作り上げる要素を考えるとき、上の写真の建築が持つ意味は大きいように思える。いくら自然の素材を組み合わせたといっても無機質なつめたい空間からは心地よさは生まれない。洗練されたデザインは感じられても、それはマッタリトシタ心地よさとは異質なものだ。塗るという行為で出来上がるものは目地を持たない。物と物がぶつかるとき必ずそこには目地が出来るものだが、こうして塗られたものには塗りあがってくっついてしまった後には目地が無くなる。そこには連続した、ぬめっとした、そんな塊のようなものが生まれるのである。もちろん上の泥の建築は構造上、必然的にこのような丸みを帯びた形になったものである。でも現在作られる木造の建築でも、漆喰などを塗っていくにつれて大きさこそ小さいけれど同じような丸みを帯びる。そしてそんなところに無限の広がり、奥行きを感じる感覚が人間には染み付いているのではないかとも思う。

左の写真は千利休が作ったといわれる茶室「待庵」である。この床の間の壁も同じように左官に夜丸みを帯びた仕上げとなっている。たった2畳しかない狭い空間に、広がりを感じさせる効果をうみだすこの仕上げも塗りという作業の可能性を感じさせる。心地よさと素材の関係、そんなことをなんとなく考えてみたのだが、漆喰をはじめとする塗りの材料は、素人でも扱える自由、固定観念にとらわれない造詣、何度でも塗り重ねられる可変性、そんなところが面白いと思う。

2012/09/26

今日は朝から埼玉県さいたま市にて進行中のUさんの家にてセルフビルドお手伝い。ウッドデッキに使用するレッドシダーなる材料に、オスモの外部用保護塗料を塗装した。レッドシダー、日本名「米杉」は北米で採れるヒノキ科のネズコの一種と類似した材料で、いわゆる日本の杉とは異なるのだが、この材料の特徴はなんと言っても耐久性。たいしたメンテナンスを行わなくても外部のウッドデッキなどの材料として10年ほどは持つという、非常に優れた特性を持つ。例えば国産の杉などを利用した場合、メンテナンスを行わなければ5年程度で腐りはじめてしまい、ひどい場合には床の板が抜け落ちたりの危険もあるのだ。

約60本ほどのツーバイフォーの材料に塗装を施すのに要する時間は、参加する人数にもよるが、大体丸一日といったところであろう。人工で言えば約2人工=50000円程度といったところか。もちろん塗装屋さんに請負で発注すれば、そこに塗装会社の利益ものっかってくる訳であるから、実際のコストダウン効果というのはそれ以上に大きい。もちろん塗装屋さんでなければ行うことの出来ない専門技術を要する塗装や、吹き付けなどの機械の必要な塗装は行うことは出来ないが、今回のような「誰でもできること」であれば、体力と気力がある人であれば自分でやれば良いと思っている。はじめてのことなので不慣れな点は、作業初めの段取りの部分においてますいいのスタッフがフォローすれば良い。作業が進むにつれて、慣れてくれば作業はますます進むようになる。はじめの一歩、この点さえしっかりとお手伝いしてあげることで、誰でもできるのである。

そもそも自分自身が住む為の家なのに、家造りに実際に参加することは難しいという現在の社会の仕組みに疑問を感じる。確かに保証の問題などを考えれば難しい点もあるかもしれないが、でも自分でやった塗装が多少ムラがあったりの問題があったとしても、それに対して保証も何も無いのではないかの至極人間的な考えをなぜ持つ事ができないのであろう。どんどんと複雑化する社会ではあるが、家なるもの、何百年も前からその作られ方も使われ方もたいして変わっていないのである。社会の仕組みの進化にともなって、生活が便利になったりの恩恵を受けていることは確かであるが、でも経済活動から離れた家族の暮らしという、人間の尊厳のようなものまでをも画一化するのはどうかと思うのだ。

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私自身が塗装している様子です。やりだすと結構楽しめますよ。

2012/09/24

午前中、事務所にて各プロジェクト打ち合わせ。

昼過ぎより、スタッフの池上君と東京都足立区に建てた美容室兼住宅のメンテナンス立会い。約30分ほどの現場作業の後終了。

建築の設計をしていると、収納をなるべく多く作って欲しいとの要望を伺うことが多い。一人残らずほとんどのクライアントがそう言うのは、これまで生活してきた集合住宅における収納計画が非常にずさんで、不便さを味わってきたからであろう。しかしながら、都会での狭小住宅において、出来るだけ多くのスペースをとるようにしてみても、限界があるのも事実である。田舎の農村風景に見られるような倉を建てるわけにもいかず、せいぜい玄関の脇に納戸を作ったりの工夫をすることしか出来ないわけで、そもそも物の量を調整することもまた、限られたスペースで豊かな生活を営む為の知恵であると思う。

md-20120924.jpg埼玉県北本市に建てた上の写真の住宅では、階段下のスペースを利用して冷蔵庫スペースや小物の収納などをうまく配置している。

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埼玉県川口市に建てたIさんの家では、写真の1階部分に見える納戸をキッチン脇に配置することで、外からも中からも利用できる大容量の収納スペースを実現している。

最終的にはクライアントのライフスタイルに合わせて求められる収納スペースを、効率よく、しかも建築のデザインとうまく融合する形で実現することが有効だ。1件の住宅に必要な収納量を画一的に定めることが困難であるのには、物がいわゆるものであるだけでなく、=思い出だったり、=趣味だったりの、個人による差異があるからである。その辺まで理解したうえでの設計こそが、最終的に答えを生み出すのである。

2012/09/22

午前中、東京都世田谷区にて進行中のFさんの家打ち合わせ。今回は予算に合わせた建築を進めるための減額案についてのプレゼンテーション。約30分ほどの説明の後、大方の同意を得ることができ終了。その後はクライアント夫妻の若いころのヨーロッパでの生活談などを聞きながら、楽しいひとときを過ごさせていただいた。何でもご主人が一度会社にお勤めになられてから、もう一度イタリアにある大学に通い、学生としての数年間を御夫婦で過ごされたとのこと。車が崖から転落し九死に一生を得た話やら、スキーをしながらイタリアとフランスの国境を越えた話などなど、普通では聞くことの出来ない生の声を聞くことが出来た。

昼過ぎに事務所に戻る。つづいて埼玉県蕨市にて計画中のNさんの家について、岸田君と打ち合わせ。鉄骨造で進めることを考えていたNさんの家ではあるのだが、求められる住宅の性能と延べ床面積、そしてコストのバランスを考えると、木造での計画が有効との考えに行き着き、両者での概算見積書を作成してみた。37坪程度の3階建て住宅の場合、木造と鉄骨造の差額は約500万円ほどになる。このコストの差は構造体はもちろんのこと、それを支える基礎や地盤改良工事費、そして設計にまつわる構造計算費などの差額の積み上げによって構成される。1階部分に大きな開口が必要とされるプランや、大空間があって壁を設けることが困難であるなどの理由があれば、もちろん鉄骨造に行かざるを得ないのであるが、今回の場合は木造でも十分に建てることが出来るプランであるので、コスト等の条件から決定すれば良いであろう。

2012/09/21

今日は朝から急がしい時間を過ごした。

主な作業は、スタッフの岸田が担当している、東京都世田谷区成城にて計画中のFさんの家についての、コスト調整作業。この住宅は現在庭として利用している敷地の一部に、木造2階建ての25坪ほどのほとんど新築住宅という建築物を、既存の住宅に対して増築するという計画である。だいぶオーバーしてしまったコストをあらかじめ決められた予算の中に納めるために、これまでも様々な工夫を施してきたのだが、明日の打ち合わせを前にして、ほぼ満足のいく状況までもってくることができたようである。

建築家の作る住宅をローコストで提供する、これがますいいが目指すことである。家に必要以上にお金をかけることは出来るだけ避けるべきだし、それで家族の生活が阻害されてしまうのではまったく意味が無い。でも、建売のような画一的なスタイルでは、またハウスメーカーのように作り手の合理性の追求を優先するあまり住まい手を完全に無視した住宅では、人として豊かな生活が送れるとも思えない。もちろん高度成長期のような、豊かさよりも経済を、合理性を追求することに人々の多くが何の疑問も感じないような年代はそれでよかったのであろう。しかし、現代社会のように、多くの人々が経済成長や合理性の追求というものから本当の豊かさとは何かを真剣に考えることが出来るようになった成熟した社会においては、そのような先進的な成熟した人々の求める住宅を作り出すための、大量生産大量消費とは違った仕組みが必要となるのである。

コストダウンを図る上ではどこから手を付けるべきで、どこは守らなければいけないという決まりは無いのだが、次のようなことは常に注意していることなので記載してみる。

・建築の規模を小さくする減額案はなるべく後回しに。
・キッチンなどは15年もすれば取り替えるので、減額の対象にしても良い。
・セルフビルドは積極的に取り入れる。
・今すぐに使わない部屋の仕上げは、後回しでも良い。
・断熱性のなどの基本性能はあまり下げない。
・壁よりも床を優先。
・・・・・

とまあ記載すればきりがない。要するに、後からどうにもならないであろうことは、なるべく妥協しないということである。

今の日本の住宅はとても寿命が長いように作っているし、今の日本の経済状況では一生のうちに3回も家を建てるという人はそうそういないであろう。一度建てたら子の世代まで50年以上住む、そんなスタイルが当たり前になるのだ。だからこそ後から交換することが難しい部分やそのためには大きな費用を要する部分については、安易に妥協するべきではないと考えている。逆に、まだ使わない子供室の仕上げ工事が5年後になってしまったとしても、そんなことは欧米のスタイルのように住まい手が時間をかけて行ってもぜんぜん構わないと思うし、キッチン設備のグレードが多少落ちてしまっても、それは車を買い替えるようにいずれ取り替えるときに高価なものにすれば良いと思うのである。大体において設備器具はどうせ15年程度しかもたないのだ。

写真は数年前に埼玉県川口市にて建てたTさんの家である。記憶に残るバランスの良いローコスト住宅なので、掲載してみた。

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2012/09/19

朝礼後事務所にて各プロジェクト打ち合わせ。今日は一日事務所にて過ごす。

夜、妻の誕生日ということで家族と共にささやかな誕生パーティー。テレビでは、また中国との問題を取り上げている。最近は中国との尖閣諸島をめぐる争いがメディアをにぎわしているが、なんだかだんだんとエスカレートしてくる中国の態度を見ていると、本当に実効支配されてしまうかもしれないという危機感を覚える。経済界への影響も出ているようだが、日本国内では余り過激な反応は示さないほうが良いのであろう。息子に聞くと、小学校にも中国人の友人がいるらしい。いじめなどが起きないようにと注意したが、そういう心配は無いということである。

11時過ぎ早めの就寝。我が家では今のところ6年生になる息子と4年生と幼稚園の娘二人を含めた家族5人で雑魚寝のスタイルが続いている。みながそろって布団に入ることはなかなか無いのだが、今日は久しぶりにそうなった。

2012/09/17

朝礼終了後、埼玉県さいたま市にて進行中のUさんの家、現場管理。

スタッフの佐野と一緒に現場に行くと、大工さんと板金屋さんが作業を行っていた。この住宅では外部に面する大きな開口部に、左側の写真のような木製の建具を採用している。木製建具の最大の利点はその意匠性にあるのだが、断熱性能などを考えてもアルミの500倍程度の断熱性能を持つというメリットがある。右側の写真は玄関庇。なんとも変わった形をしているが、後でつけられるウッドデッキと合わさると、一体感のあるデザインになるように作られた。もちろんこんな変な形の既製品などがあるわけも無いので、こういった部材は鉄工所で手作りで作ってもらっているのだが、このような自由な家造りが出来ることも注文住宅の面白いところだと思う。

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夕方19時より、恒例のスタッフ晩餐会。今日は天候が余り良くないということで、事務所1階にて手巻き寿司パーティー。板金屋さんの山内君も加わり、楽しいひとときを過ごすことができた。11時ごろ帰宅。

2012/09/16

午前中埼玉県富士見市にて新築住宅を検討中のKさん打ち合わせ。今回は中庭型のプランを2種類プレゼンさせていただいた。

一つ目のプランはリビングから一度外に出て、離れになっている和室へと導かれるプランである。このプランでは、中庭の部分を玄関スペースのように、生活の一部に積極的に取り入れることを考えている。外部とは木製ルーバーなどを用いて柔らかく遮られ、プライバシーや安全性を確保し、光や風は通り抜ける、そんな空間をイメージしている。生活動線の一部となることを想定しているので屋根をかけて雨を遮る。玄関や和室への動線としてだけではなく、第2のリビングとして用いられるような、そんな空間に仕上げられたら良いと思う。

二つ目のプランはコの字型に中庭を囲むプランである。おそらく最もオーソドックスなプランであるのだが、これはこれで非常に魅力的に仕上がっていると思う。スタディースペースやキッチンやリビングの各所から、中庭を通して互いに視線を交わすことが出来る。家の中から家の中を見るというのは、最も簡単に行うことが出来る家族間のコミュニケーションであろう。

今回は中庭型のプランだけを考えてみた。先ほども書いたが中庭型のプランというのは、生活の中で中庭を通してお互いに視線を交わすことができるというメリットがある。自然なコミュニケーションが生まれるのである。住宅というのは人生を最も長く過ごすところだ。だからきっとこの住宅のプランというのは家族の状態に影響を及ぼすと私は考えている。特に子供の場合などは、小さなころから家族間のコミュニケーションが盛んな状態でいるのか、はたまた個室にこもっていしまうような状態でいるのかによって、成長の中で身につけるコミュニケーション能力にも差が出てくるのではないだろうか。

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埼玉県越谷市に建てた中庭のある家

2012/09/14

今日はスタッフの鈴木君と、我が家の温熱環境についての測定を行った。我が家は木造3階建て、外壁はラムダを使用し、屋根にはガルバリウム鋼板を用いている。そんな我が家の温熱環境測定を皮切りに、今後いくつかの住宅の測定を行うことで、基本設計段階での住みやすさの判定に利用するデータを採取しようと試みている。

ちなみに今回のデータは下記のようになっている。

測定環境
外気温:34.4度 風:微風 湿度:41.2% 天気:晴れ

1階和室窓を閉めた状態 (床:畳 壁天井:石灰クリーム 北西の角に配置)
室温:33.4度 湿度:47.5% 
西側外壁に面する壁の放射温度:31.7度 内壁に面する壁の放射温度:31.0度
天井放射温度:31.6度
北側ガラス面放射温度:34.6度

3階寝室 窓を開けた状態 微風 (床:フロアリング 壁天井:ビニルクロス 東南の角に配置)
室温:34.2度 湿度:49.7%
南側外壁に面する壁の放射温度:35.6度 内壁に面する壁の放射温度:34.6度
天井放射温度:35.5度
南側ガラス面放射温度:37.0度
天井裏温度:34.4度 天井裏湿度:62.3% ネオマフォーム裏面放射温度:36.3度

3階子供室 窓を閉めた状態 (床:フロアリング 壁天井:ビニルクロス 南西の角に配置)
室温:34.8度 湿度52.7%
西側外壁に面する壁の放射温度:36.1.度 内壁に面する壁の放射温度:35.2度
西側ガラス面放射温度:38.0度
天井放射温度:36.0度

測定結果に影響する断熱性能については下記のようになっている。

壁構造
石膏ボード15ミリ 断熱材高性能グラスウール16K厚み100ミリ 透湿防水紙 通気胴縁 ラムダサイディング
屋根構造
天井石膏ボード15ミリ 天井断熱材高性能グラスウール16K厚み100ミリ ネオマフォーム60ミリ 通気層 野地板の上ガルバリウム鋼板葺
(小屋裏には換気設備なし)

考察
1階と3階の温度差は窓を閉めた状態で1.4度、実際には階段を昇るにつ入れてムッとする感覚が少しある程度であった。各データを見ると、3階西側外壁面の放射温度が1階と比べて4.4度も高いことや、3階西側のガラス面の放射温度が1階北面と比べて3.4度も高いことが分る。逆にネオマフォーム断熱材裏面の温度は思ったより低く、天井裏の温度も換気設備が無いにもかかわらず、窓を閉めた状態の子供室より低い状態であった。
このことから、屋根断熱材を効果的に利用すれば、屋根からの熱伝導はほぼ防ぐことが出来るが、採光や通風のために配慮して設けた開口部、特に西側と南側に設けたものからの影響が非常に室内の温熱環境を左右するこということがわかった。
この温度差を完全に無くすことは出来無いが、緩和する方法を考えることは3階建て住宅の快適性の向上につながる。そこで、効果的と思われる手法を列挙してみよう。
・南西面の外壁透湿防水紙を遮熱性能タイプに変更。
・南西面の開口部に対し、外部ルーバーなどの日射調整機能を設ける。
・南西面開口部のガラスを遮熱性能のあるものに変更する。
これらの性能向上をすべてに均一に採用することはコストの大幅な上昇につながるが、例えば遮熱性能のある防水紙を1巻きだけ購入し、3階の南西面のガラスのみを遮熱性能の高いものに入れ替えるだけであれば、普通の住宅であれば20万円程度のコストアップというところだろう。コストとのバランスを考慮しながらも、居心地の良さにつながる事項だけに、出来るだけ採用していきたいと考えている。

2012/09/13

午前中は事務所にて各プロジェクト打ち合わせ。

12時、埼玉県さいたま市にて進行中のKさんの家にて上棟式に参加。スタッフの鈴木君と柳沢君、大工さんの草間さんと田村さんの総勢5名で出席させていただいた。乾杯の挨拶の後、様々な話題で盛り上がり、日本酒もすすみ始めて酩酊。19時ごろ、記憶も曖昧な状態で帰宅。なんだかよく覚えていないが、一生忘れられない上棟式になった。

家造りに係る中で、このように忘れられない思い出を綴っていくことはなんともいえない喜びである。クライアントにとってみても、一生に一度の家造りで、こういうエピソードを持つことはやはりとても価値のあることだと思うし、私たちにとってはこういうことが楽しくて、家造りの仕事を選んだといえるくらいの出来事なのだ。誰に聞いてもきっと同じことを言うと思うが、家造りを仕事として選んだ人のその選択の理由は、仕事をしている相手が目の前にいて、喜んでくれる顔が直接見えること、これに尽きるのである。

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2012/09/10

今日は変わった材料の紹介をしたい。写真はシナ合板に柿渋という塗料を塗っている様子である。もちろん塗っているのはクライアント、つまりセルフビルドだ。この材料は聞いたことがある人もいるかもしれないが、防虫効果や補強効果がある染料として古くから利用されてきたもので、基本的には柿を原料としたワインのようなものを想像していただければ良い。塗ったときは良くわからないのだが、次第に紫外線を浴びて柿色に濃くなってくる。素材自体が柿色の赤みを帯びるので、どこと無く懐かしいような印象に仕上がる、そんな優しい塗料である。

もちろん、この材料は自然素材だ。値段もそれほど高くは無い。HPで検索してもらえば、京都あたりの柿渋屋さんでいくらでも売ってくれる。それを買って、刷毛や雑巾で塗るだけのことだ。もちろんプロのようにきれいに塗ることは出来ない。でもその塗りムラが味に見える、そんな材料なのだ。

こういう材料は建売や他ハウスメーカーの家造りには絶対に登場しない材料である。なぜかは分らないが、工業製品化した家造りには、メーカーがカタログに品番をつけている材料しか登場しないのである。漆喰のような自然素材でさえも、シコクのような大手メーカーの材料しか使わない。なぜだか分らないが、これは一つの工業化病であろう。人間が生活するところに用いるものなのだから、出来るだけ工業化していないものの法が良いに決まっている。漆喰はしょせん石灰から作り出された粉だし、柿渋は柿を発酵させた液体だし、普段食べる野菜などは、そんなもの存在しないけれど旭化成のきゅうりじゃなきゃ食べない人はいないのに、家造りとなるとメーカーの都合で品番のある材料しか使われないという、この世の摩訶不思議に縛られてしまう、そんなところから逃れるのも家造りの一つの楽しみである。

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2012/09/08

朝9時30分より、埼玉県富士見市にて住宅の新築を検討中のKさんご夫妻打ち合わせ。学校の先生の奥様と会社員のご主人、そしてお子様の住む専用住宅の設計とあって、これまで2回にわたるプレゼンテーションをしてきたのだが、今回は中庭形のプランについてのお話をするための打ち合わせとなった。打ち合わせの最後のころには、同じお子様を持つ親同士ということで、なんだか子育て談義のようになってしまったが、こんなお話をしたくなってしまうのも、相手が学校の先生というなかなかない状況だからであろう。11時過ぎ、終了。

昼過ぎ、川口市の密蔵院にて開催される華道の体験会に参加。花を生けるなどの行為は生まれてはじめてのことなのだが、なかなかに面白いことであった。

17時ごろより、埼玉県志木市にて住宅を検討中のAさんご夫妻打ち合わせ。今回は初めてのプレゼンテーションということであらかじめ伺っておいた詳細なご要望に基づくプランのプレゼンを行った。次回はもう少しバリエーションを広げて、その土地における住宅のもつさまざまな可能性について探ってみようということになった。

設計のスタート段階から、大方の建築の概要が決まるまでの段階を基本設計と呼ぶ。この段階の検討によって、その建築物のすべてが決まるといっても過言ではない。ある土地が条件として提示され、そこに住む家族の構成や予算、法規制など様々な与条件によって建築の形を思い浮かべるのだが、その形は決して一定ではなくかなり大きな範囲で揺れ動く可能性を持っている。例えばリビングの配置。1階に配置するか、2階に配置するかによって生活のリズムは大きく異なるし、それぞれの持つメリットもぜんぜん違う。1階にリビングがあれば、地面に近い分外と関係する動線は非常に楽になるし、庭があればその庭を生活の中に取り込むような設計も可能であろう。1階のリビングを通らなければ子供部屋のある2階に行くことができないというような、家族間のコミュニケーションを生み出す設計も可能である。それに対して2階にリビングがあれば、まず採光に対して非常に有利になる。特に密集した都市部の住宅地の場合に、この点は重要だ。屋根の形を利用した勾配天井などの空間の工夫や、トップライトなどを用いた空とのつながりも作り上げることが出来る。このようにどちらをとってもそれが絶対的に良いというわけではなく、あくまでそこで生活する様子を思い描いたときに、クライアントにとってどちらがふさわしいかという判断が必要となると私は考えている。だからこそ度重なる基本設計が重要なのである。

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埼玉県所沢市に建てた2階リビングの住宅。玄関は外階段を利用して2階に配置されている。

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埼玉県蓮田市に建てた1階リビングの住宅。庭の緑を生活に取り込んでいる。

2012/09/07

事務所に照度計が届いた。照度計とは、その部屋の明るさを測る道具である。早速夜が来るのを待って事務所の明るさを測ってみたところ、節電のために蛍光灯を半分しか使っていない状況でも350ルクス程度(普通の作業をするのに適している)あるということが分った。ちなみに、ますいいの事務所には、蛍光灯のほかに白熱灯もついている。なぜついているのかは良くわからないのだが、こういう光もあったほうが良いかも知れぬと、工事段階でなんとなくつけてみたのである。

ためしに、蛍光灯を消して、高さ3mの天井についている5個の白熱灯を点灯してみた。果たして明るさはどれくらいか?なんと30ルクスしかない。これは照度としては、まったく使い物にならない明るさである。でも居心地はどうかといえば、もし仕事を終えてゆっくりとスタッフと話をしているというような場面であれば、先ほどの蛍光灯よりも、この白熱灯の光の方が気持ちよい。

この感覚は、大切にしなければいけないと思う。そもそも、現代の夜は明るすぎる。会社も自宅もそして外までもがコウコウと照らされているのはいかがなものか。埼玉では、夜空を見上げても星が見えない。でも滋賀県では、きれいな天の川も一つ一つの星まで感じられるほどにはっきりと見える。震災後の節電のときに街がいつもより暗くなったことがあった。でもそのときの町並みは、どこと無く寂しさもあったものの、本来の夜の姿を思い出させてくれたような懐かしさも感じたものだ。

もともと、夜と昼間の繰り返しの中で、日の出と共に働き、日が暮れると暗い安らぎの時間が訪れるという環境の中で生物は進化してきたのだ。今のような夜も当たり前に明るい時代というもののほうがむしろ不自然であり、そのような世界にいるからこその現代人の様々な問題も起きているように思えるのである。せめて、家くらいは、ゆったりとくつろぐことの出来るそんな明かりを備えたいものだ。

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埼玉県川口市 中庭のある家 照明の様子

2012/09/06

nLDKという家造りはなるべく避けるべきである。と書くと、語弊があるようにも思えるが、サスティナブルな建築、つまりこれからの時代を生き延びるための建築を考えるとき、長期的な使用に耐えうる建築であること、つまりは家族構成やその他の条件の変化に柔軟に対応しうる建築であることが非常に重要であると思うのである。

この問題を考えるときに、必ず考慮しなければいけないことが子供部屋の問題だ。一般的に考えれば子供部屋は最低4畳半、出来れば6畳は確保したいというのが子を持つ親の愛情というものであろう。子供の自立の為には個室が必要であるということも、久しく言われてきた考えである。しかしながら、この子供の自立と個室の確保の問題には疑問を感じることも多い。

大体において自分の過去を振り返れば明白だが、中学生くらいになると個室にこもって家族と触れ合うことを避けるようになる時期などがあったものだし、完全なる個室というのは家族間でのルールというものまでが除外されてしまい逆に社会のルールに適応できない人間を育てることにもつながるような気がするのである。

近年行き過ぎの個人主義なるものが語られることも多いが、この個室主義もそれに一躍買っているのではないかと感じるくらいである。やはり子は親に養育されている間は、家族間における柔らかいルールの中に身をおきながら、かつ自然な視線に身をさらしながら、家族というはじめて体験する最小限の社会の中で他者との適応力を身につけることが必要だ。その関係は、そこにいる親をも変化させるように思える。大家族というものが解体され、核家族化していく今の社会のなかで、せめてその家族が一体感を持って互いに影響しあいながら心地よく暮らすことが出来る住宅を造りたいものだ。

下の写真は数年前に埼玉県の伊奈町に建てた住宅である。左上の写真にあるように子供達は6畳ほどのスタディースペースで勉強をしている。子供部屋は存在しない。スペースだけが左下の写真のようにあるだけである。1階のリビングは、趣味が多彩なご夫妻とお子さん達がすごすことのできる土間をもつ空間に仕上げられている。その土間は、右下の写真の大きなガレージにつながる。右上の写真のような吹き抜けを持つ一体空間の住宅であるが、この住宅であれば簡易的な間仕切りなどを用いながら少しずつ姿を変え、家族の条件の変化に対応しながら長く使われることであろう。

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2012/09/05

巷では総選挙後の首相になるであろう候補者選びの話題でもちきりになっている。これまでなりを潜めていたやからが、もぞもぞと出馬の意向を示し、世間の評判を伺ってはまた引っ込むというようなことを繰り返しているようだ。自民党も民主党も今の日本の政治の世界には、リーダーと呼べるような人物は存在しない。そもそも日ごろ政治に感心のない人たちが、選挙中のポピュリズムに満ち溢れるマニュフェストにだまされ、聞こえの良い政党に勝利を与えるというようなことを繰り返しているのであるから、強いリーダーが育つはずも無いのである。

写真は先日完成を迎えた、埼玉県川口市にあるIさんの家である。この住宅では心地よい暮らしの確保のために数々の工夫がなされている。構造などの安全性に関する部位はひとまず置いておくとして、「心地よい暮らしとは」の問いに答える要素として挙げられることは、室内の温熱環境(湿度や風量も含む)のコントロールをいかに行うかということであろう。それもエアコンだけに頼るのではなく、建築のつくりの中でどのように行うかの工夫が非常に重要な要素になってくる。

順番に話しをしていくと、まずは屋根面の暑さ対策である。この屋根面の暑さというのは、屋根に入れる断熱材の性能、垂木で確保された通気層、屋根面の遮熱対策棟によって左右される。この住宅では高性能断熱材の採用及び、屋根垂木による通気層の確保によって屋根面の暑さ対策を採っている。

次に挙げられるのが、小屋裏換気、つまり屋根で暖められた空気を外部に排出することによる対策である。この住宅の場合、小屋裏が表しになっているので2階天井部にたまった熱気をいかに外部に放出するかということになるであろう。これに対しては、西側の高所に開口部を設けることで対応している。

次は開口部の遮熱・断熱による暑さ対策である。右側の写真のようなデザインのファサードを持つこの建築では、ペアガラスの断熱性能だけでなく、軒を出すことによる日射量のコントロールを意識したデザインを採用することで、夏場の日差しによる温熱効果を削減するよう工夫している。また枠材は木製とすることで、枠材の断熱性能もアルミに比べ格段に向上している。

外壁にも、高性能断熱材の使用及び通気層の確保の2重の対策を施こした。また、建築内部の温度差の緩和対策として、1階の冷たい空気を2階に送風するパイプの設置を行った。

最後に居心地の良さを左右する表面仕上げ材の話をしたい。左の写真は、吹き抜けを持つ1階の内観だが、床には沖縄県で採取される琉球石灰岩なる石を貼った。壁には石灰クリームを採用している。屋根面には勾配に沿って流れる垂木が表しになっており、また吹き抜けにも多くの木材が表されている。通常のフロアリングの床板にはもちろん無垢材を使用し、一部には畳も採用した。こうした自然素材を表面に仕上げ材として施すことは、室内空気の調湿作用を実現する為に非常に効果的である。分りやすい例を示せば、漆喰の壁に結露はほとんどしないが、ビニルクロスの壁には結露している様子を見たことがあるだろう。これも、その物質がどれだけ水分を内部に保つことが出来るかと、その物質がどれだけ断熱性能を持っているかによるわけである。

近年の過酷な気象条件の中での住まいを考えるに当たって、昔の日本住宅を懐かしむような発想では通用しないことは明確である。新しい技術と昔ながらの素材の持つよさをうまく融合し、かつコストをイかに抑えながら実現するかに力を注ぐことが求められている。居心地の良さを実現する為の工夫、しばらくこのテーマに沿って研究を勧めたいと考えている。できるだけのことは数値化し、コストも合わせて提示することで、採用の有無をクライアントと一緒に決断できるようにしていきたいと思う。

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2012/09/04

朝、朝礼終了後メールチェックをしてみると、町田分室のクライアントのSさんより木桶のおふろの写真が送られてきた。いまどき珍しい桶のおふろではあるが、こんなおふろが家にあったら気持ち良いだろうななどと思いながら眺めていた。

実はこの木桶のおふろ、木の性質をうまく利用している代表格のような製品である。木は水にぬらすとその水を吸い込んで膨張する。そのときに横に広がろうとするのだけれど、たが(写真の金属の部分)で締め付けられている上に、横には別の材料があるので、幅の方向には自由に広がることが出来ない。そこでその木は厚さの方向に広がる、つまりちょっとだけ厚くなるのである。水を抜くと今度は木が乾燥して収縮をする。この収縮をするときには、あまり広がらなかった幅の方向に対しても収縮してしまう。だから放っておくと、この桶からは水が漏るようになる。そこで部材同士をくっつける為にたがを上に上げて締めつける。するとまた桶はもとのように水が漏らなくなるわけだ。

日本人は昔からこのような木性質をうまく利用し、悪い部分はうまく受け流しながら生活の中に取り入れてきた。その典型的な例は桐の箪笥などであろう。桐という材料は比重が非常に軽く、内部に大量の空気を含んでいるので断熱性能が非常に良い。だから外の温度が変化しても、内部の温度はあまり変化せず、しかも湿度の調整までしてくれる。そもそも、木材の熱還流率は同じ厚さであれば鉄の1/15で、熱の伝わりやすさを示す熱伝導率に関して言うと鉄は木の500倍、アルミだと1700倍にもなるのである。だから最近よく見るプラスチックの衣装ケースなどはあまり利用しない方が洋服には優しいのだ。

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2012/09/01

今日は朝の朝礼時に木材の収縮率についての講習会を行った。材木がその含水率の変化にともなって寸法が変わるのは誰でも知っている事実ではあるのだが、ではどのくらいの水分量の変化で何ミリ程度の変化が起こるかという具体的な数値を知っている方は少ないだろう。実はこの変形量の目安、樹種ごとに数値化されていて、これを知っていればある程度の予想は出来るのである。例えば米松の梁の場合、その板目方向の平均収縮率は0.23である。この数値は含水率が1%変化するとその材の何パーセントの寸法が変化しますよということを現している。25%の含水率の梁を利用した場合最終的な含水率の落ち着きどころが大体15%程度であるのでその変化は10%だ。梁の高さが30センチだとすると30*10/100*0.23=0.69なので約7ミリ変化しますよ、ということになるわけである。

下の写真は、2005年に埼玉県に建てた鳩ヶ谷本町の家の様子である。ここでは高さ約36センチの杉の梁を利用している。この杉の変形率も大体米松と同じ程度であるので、その変形量は8ミリ程度である。そういうことを予想しながら住宅を作ることが、木造ならではの面白いところであろう。

md-20120901.jpg朝礼終了後、9時過ぎより埼玉県蕨市にて住宅を計画しているNさんの家打ち合わせ。今回は2回目のプレゼンテーションということで1回目のプランに対しての要望を取り入れつつ、開放感と温熱環境に対する配慮を中心にご説明を行った。

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