木組みの家

このプロジェクトでわれわれはモダンデザインを要求されなかった。施主はそれらのデザインメソッドによって造られた家を倉庫のようだと言いはなった。外壁にはサイディングを使ってほしい、内装はクロスを張ってほしいといわれたときにわれわれに何が出来るか。洋館のような住宅がほしいという漠然とした希望と、非常に具体的なデザインの制約の中でわれわれは木組みの家を作ることを選択した。デザインのルールという観点ではこの選択は間違っているかもしれない。建築学的な建築の価値という観点からも間違っているだろう。しかし、住宅の価値というものは十人十色。施主それぞれの価値観によってはアカデミズムの評価などどうでもよいことは明白である。木組みの家の樹種の選定では地元秩父の西川材を選んだ。そして秩父まで実際に足を運び使用する材料を選定した。置き場に横たわる丸太を見たときにはわずかに持っていた疑問はすぐに吹き飛びほほには笑みがこぼれた。これが生の木という材料の持つ力だということを思い知った。上棟作業で現場に6寸角の大黒柱が立てられたときの存在感、屋根を支える小屋組みに使われている太鼓梁、それら一つ一つがデザインという言葉では表すことの出来ない住宅を構成する要素であり価値である。現在まだこの工事は進行中で、ケヤキの一枚板による式台が取り付けられすぎの集成材による造作家具などが取り付けられる予定である。それらの工事が終わったときにこの家の持つ価値ははっきりと形になるだろう。

ここは秩父の製材所。
6寸角の柱と6寸巾の梁、そして丸太から削りだす太鼓梁の材料を購入するためにやってきました

製材所には巾6寸高さ1尺の大梁が用意されていました。柔らかな杉の木目がきれいに出ています。


6寸角の大黒柱が丸太から少しずつ角材へと加工されていきます。結局この材は途中で腐食部が出てしまい、利用することはできませんでした。

 

太鼓梁に使用する丸太を選んでいます。杉ではなかなか大きな曲がりはできにくいので、なかなか気に入ったものがありません。結局この日は決めることができませんでした。


丸太の皮むき作業です。都会ではなかなか見ることはできません。

たくさんあるのは大梁のつなぎに使う小梁です

材木を乾燥させるための乾燥釜。このなかで、材木の中に含まれる水分を取り除きます。

いよいよ、上棟作業。6寸角の大黒柱が立てられました。(上)
大黒柱の上に6寸×1尺の梁がのせられます。(下)

太鼓梁を掛けているところです。(上)





作業が終わるころ、少々雨に降られてしまいましたが順調に進行しました。
垂木、破風板が取り付けられ和小屋組みのきれいな架構が出来上がりました。

 

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