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2月
2010/2/26
午前中、東京都にある足立区の家の打ち合わせ。歩道の切り下げやら地盤改良やらの住宅にまつわる付帯工事の予算について。工務店が住宅を作る作業に入るまでには、このような付帯工事と呼ばれる工事がいくつかある。水道の引き込み、ガス、下水、電柱が近くに無い場合は電気の引き込みなどがそれにあたる。無料で出来る工事もあれば、有料のものもある。通常の区画された分譲地を購入した場合はそれらの工事がすでに終わらされていることが多いわけだが、そうでない場合はクライアントの負担で行わなければいけないことなり、それが意外と費用を要したりするので注意が必要だ。工務店が使うことの出来る住宅のコストというのは、クライアントの総予算から土地の価格とこれらの付帯工事費を差し引いた金額である。当然これらの付帯工事がどれくらい必要かによって、住宅の規模や構造にも影響するわけで、詳細な調査を早い時期に行う必要があるというわけである。
2010/2/24
埼玉県にあるさいたま市見沼区の家では、大きな本棚を製作をしている。写真のような壁面を兼ねた大きな家具を製作する場合、家具工事にするか建具屋さんに作らせるかで悩むところだ。今回の計画では家具屋さんが二つに分かれた製作済みの本棚を現場に持ち込んで、つなぎ合わせるという方法を採用したのだが、これは大きさ、作業効率などを考えた結果である。家具屋さんの場合、工場製作となるので、精度の高い家具を作ることができる。板のカットひとつとってみても、自動に機械的にカットすることが出来る家具屋さんに対して、大工さんの場合は現場でのカットとなるため、正確に90度を出すことが難しい。とはいえ大工さんもプロであるので、例えばカットをするための定規を造ったりの工夫をして、ほぼ90度には出来るわけだが、ここまで大きなものになると、現場での施工誤差が大きなひずみになってしまう可能性もあるわけで、なかなか難しいというわけである。
それにしてもこの本棚、今までますいいで製作したものの中でも最大級といえるだろう。本やCD、ビデオなどを収納する、そういう要求は人が暮らす家である以上は当然に存在するし、そういう要求にこたえられてこその工務店で作るデザイン住宅の意味であると思う。普通の要求でないものが現れたときこそ、力を発揮することが出来るというものだ。

2010/2/23
午前中、神奈川県にある鎌倉の家の打ち合わせ。今日はクライアントの奥様が20代で設計して立てたという埼玉県川口市の住宅を拝見させていただいた。大変すばらしい工務店と設計事務所のコラボレーションが行われたのであろうということが非常に良くわかるすばらしいデザインの住宅で、住まなくなってだいぶたつ傷みを取り除いて、きれいにリフォームすれば、賃貸住宅としても十分魅力的な建築であろうことが容易に想像できるものであった。

ちなみにこの照明器具は貝殻で出来ているものらしい。私は始めてみたので普通のガラスなのかと思ったら、ガラスとは違う微妙な曇り具合できっとやわかい光が出るのだろう。
2010/2/20
午前中各プロジェクト打ち合わせ。
夕方、東京都にある調布市の集合住宅併用住宅のクライアントのYさんと一緒に新宿「どん底」にて待ち合わせ。建築カメラマンさんのYさんと、工務店の効果的な広報の手段としての建築写真の可能性、というようなテーマでお話をした。リーマンショック以降の不景気において大手、中小問わず多くの出版会社が広告収入を得ることができずにその雑誌の発行を減らしたりの調整をせざるを得ない状況が続いている。私のお付き合いのある出版社でも同じような状況だということである。そもそもこのような状況はリーマンショック以降に始まったものでもなく、本が売れない時代に突入したところからスタートしていた。WEBの発展に伴い、情報発信の場が格段に増えることとなった一方、その情報発信の場を利用する広告の分散もおきた。人が生業として行う活動だけに、何らかの形で収入を得る必要があり、その収入源の広告費が集まらなければ活動すら出来なくなってしまう。下の表は2006年の広告費の割合を示したもの。

(電通HPより)
雑誌の占める割合が以下に少ないかが良くわかる。では雑誌は必要ないのか?この問いに対する答えもまた非常に微妙なものであろう。すべての雑誌が必要であるわけではないというのが多くの人が答える共通した認識ではないだろうか。そもそも、この選択の結果みんなが残したいと思うようなメディアは広告収入では運営することが出来ないのではないかとも思う。ではどのように運営するか・・・。これが分かればみんなやるんだろうな。
2010/2/19
午前中各プロジェクト打ち合わせ。埼玉県にあるさいたま市緑区の家がまもなく完成を迎えようとしている。最後のセルフビルドのデッキ材の塗装などについて鈴木との調整を行う。セルフビルド作業というのは基本的にクライアントが自分の手で行うものであるのだが、そうは言っても、ハイどうぞだけではなかなか作業を進めることは出来ない。丁寧な準備と、説明、そして若干のお手伝いがあってこそのセルフビルドなのである。家作りとは一生に一度の一大作業だ。だからこそ、初めての経験なのであり、だからこそお手伝いが必要。そのための調整はなかなか重要なのである。
夕方、国立能楽堂にて狂言「鶯」、能「藤戸」鑑賞。私にとって初めての鑑賞だったのだが、狂言のほうは今で言うと日本昔話みたいなもので、あるエピソードを面白おかしく演じるという感想を持った。それに対して能は、過去のエピソードを伝える中から、人間の生と死、死生観のようなものを伝えているのだと思う。今回の能の中のせりふで、「人の世は仮の宿なり・・・・」というようなものがあった。こんなところが儚さや矛盾に満ちた昔の世の中を、あらわしていると同時に、そういう中でも貫き通した日本人的な美学というようなものを支えるための道具としての能の存在につながるのかな等の感想を持った。
2010/2/17
午前中、スタッフの田山と東京都にある練馬区の家打ち合わせ。主に進行状況などについて。予算も大体予想通りに収まりそうとのことだが、若干のオーバーについては各施工者との価格交渉で対応しなければならない。何はともあれ、ようやくここまでこれたというのが大きな成果。あと一息で確認申請まで進めることが出来るだろう。
続いて池上と緑区の家の打ち合わせ。最後の詰めということで職人さんの手配状況と工程確認。
続いて佐野と埼玉県にある川口市の家の地鎮祭の打ち合わせ。今週の日曜日開催ということで、準備をしなければいけないことについて最終確認を行った。
夕方、所用で永田町にある北海道倶楽部さんにお邪魔した。この団体は北海道のためにさまざまな活動をしているということで、東京におけるその活動拠点がここ、北海道倶楽部東京事務所である。1時間ほどのお話をして終了。
18時、六本木ヒルズ森美術館にて「医学と芸術・生命と愛の未来を探る」を鑑賞。大学時代の同級生と出会ったりの偶然に驚く。この展示会は医学と芸術、科学と美を総合的にとらえ、人間の生と死、また愛の意味をもう一度問い直そうという展覧会とのこと。会場には解剖図や、解剖の作業をしている風景を描いた絵画、さまざまな医療器具など時代を超えて展示されており、非常に興味深いものであった。
私は高校時代に医学を目指そうと考えた時期がある。人の生命をコントロールするというよりは、人の命を救うという職業のイメージに惹かれたからだ。一見残酷に見える解剖の風景ひとつとってみても、医学の進歩には欠かせない過程であり、その恩恵をわれわれ現代人はたぶんに受けて生きている。人類の探究心と、技術の進化、そして現代。展示の最終章にスーパーマンなどのアメリカンヒーローが老いている姿があった。行き過ぎのアンチエイジングなどに対する批判だと記載されていたが、倫理と技術進歩の心象的な相反はいつの時代もあったものに違いない。遺伝子工学を用いてつくられた緑のウサギの展示も、そういうことを考えさせるに十分なものであった。おそらく人類は技術の進歩を止めることは出来ない生き物である。そんなことが出来るくらいなら、もうとっくに必要条件がそろった時点でやめているはずであり、そうでないからこそ今があるのだろう。止まらない進歩があるのであるとすれば、それをどのように使うかが倫理観であり、そういう良質な精神を育むことこそが必要なんだろうな。

(森美術館HPより)
2010/2/16
午前昼八潮のリフォーム工事についての打ち合わせ。セルフビルドの範囲などについての話をしたのだが、広いベランダ上に造る木製デッキと手すりについては完全なるセルフビルドは困難なのではないかの意見をした。広さや、作業場所によりセルフビルドの困難さは変化するわけだが、2階ベランダでの作業となるとそこまでの材料の荷揚げやら、防水の水勾配面と木製デッキの根太との調整作業など何かと面倒くさい作業が多く、それを素人が出来るかについては一抹の不安を覚える。とはいえそれくらい朝飯前というくらいにやってしまうクライアントがいるのも事実であり、最終的にはクライアントのその作業にかける意気込み次第という面も強いので良く話をするように指示をした。
夜18時ごろより、川口飯塚町で家を建てたいというOさんミーティング。今回はいつもお忙しい御主人を交えての打ち合わせということで、これまで奥様にしてきたお話を繰り返し御主人にお伝えした。人生に一回のおおきな買い物だけに、やっぱり御主人が聞いていないことにははじまらない。忙しいのはわかりますが、少々お時間をいただけるようお願いいたします。
2010/2/13
午前中、足立で家を建てたいというKさん打ち合わせ。いまだ土地の購入前ということで、その購入を検討している土地について少少の御説明をした。
土地購入前に御相談に来ていただくことは非常に重要と考える。家作りにかけることが出来るコストは収入とのバランスによって大体決まっており、その土地によってどのような住宅がどれくらいの価格でたてることが出来るのかの基本情報をわれわれ設計士であればすぐに判別することが出来るからである。住宅の価格を大きく左右する土地の条件としてはまず防火関係の規定が挙げられる。特にまれにある防火地域においての木造建築の設計の際には注意が必要であり、その制限によるさまざまな仕様のアップがかなりのコスト増につながることもある。そういうことを土地購入前に判別し、予算にあった土地購入を出来ることが後々の進行を非常にスムーズにするわけだし、大きな計画を進める上で安心感も得ることができる。まあ、とにかく土地購入前に御相談ください。
夕方、渋谷にて高校時代の友人と会う。CSテレビ局に勤める友人と、フジテレビの番組制作を仕事をしている友人ということで、今日はテレビ業界に関する話をたくさん聞くことが出来た。情報網が発達し、個人の自由に得ることが出来る情報が大量にあるとはいえ、まだまだ民放テレビ局の世論に対する影響は非常に強い。見る意思の無い人に垂れ流しの情報を流すことが出来るという意味においては、YAHOOのトップページのバナー広告以上の効果があるだろう。それに比べて有料で見たい人だけに良質な番組を提供するCSのスタンスも対照的で面白い。どちらが時代の主流になっていくのか、なんとなく廉価版のCSみたいな広告に頼らない局の運営、つまりはNHKみたいなイメージが見えるような気がする。少なくとも拝金主義からの情報の脱却を目指すならそうだろうし、そうでなければくだらないバラエティー番組の集合体以上に意味を持つことも無いんだろうなと思う。
2010/2/12
今日も大変寒い朝を迎えた。ここのところ冷え込みが厳しい日が続いているが、これが終わると春が来る。私は花粉症ではないのでうれしい季節がやってくる。でも花粉症の人には大変なんだろうな。
9時過ぎ、川口市飯塚で家を建てる予定のOさんと打ち合わせ。コストについてがメインの打ち合わせであった。次回は御主人も同席して打ち合わせをすることをお約束して終了。
緑区の家もだいぶ出来上がってきた。写真は2階にあるリビングに面した木製建具の枠を取り付けている様子。なんだかたくさんの溝があるが、建具と網戸とそのすべてが引き込まれるようにしたい場合、このように多くの溝が並ぶことになってしまう。この枠加工、簡単そうに見えて実はいろいろ大変なことが多い。そもそもこれだけ幅の広い無垢材を加工するわけだから、木の狂いやら何やらで気を使うことが多いのである。それに最近の木製建具はガラスが2重構造になることが多いので、とにかく重いのも大変な原因のひとつである。シングルガラスとペアガラス、持ち比べたことのある方はそうそういないだろうが、ペアガラスの大きな建具は大人の男性でも持ち上がるのがつらいくらい重い。そんなものがごろごろごろごろ毎日転がるのだから、作るのはもっと大変なのである。

2010/2/10〜11
今日は二日間の予定で家族とともに山梨県河口湖へ。朝7時ごろ車を走らせ始めると、都内の道が思ったよりこんでいて、山梨県に着いたのは結局11時ごろになってしまった。
今日の宿泊先は、河口湖の近くにあるペンション。ペンションに宿泊するのはかれこれ15年ぶりくらいである。昔大学生だったころは何度か行ったことがあるが、ここ最近は温泉やら民宿やらを利用することのほうが多く、いわゆるペンションというところには泊まったことがなかった。20数年前のペンションブームのときに脱サラし、多くの人がこの形態での宿泊施設を開設したわけであるが、今では昔あったようなそういう新しさやわざとらしさはまったく残っていない。逆に民宿のごとき風格まで備えているものまであるのを見ると、年月の経つのを感じるばかりである。
左の写真は風穴の内部にある氷の像。なんだか良くわからない写真になってしまったが、実際の姿は非常に美しいものであった。
都会の喧騒ばかりに浸っているとたまに田舎で過ごしたくなるものだ。帰ってくると少し昔の自分に戻ったような気がするし、変にあくせくした気持ちになっていたことを反省したりもする。まだまだ田舎に永住したいとまでは思わないが、こういう時間はやはりありがたい。
 
2010/2/9
朝9時30分より、川口市飯塚にて家を建てたいというOさん打ち合わせ。この飯塚町というのは川口駅西口から歩いてすぐのところにあるのであるが、周りを超高層マンションに囲まれている独特の住宅街である。おそらく最近になってこういう風景に見慣れてきてはいるものの、ここまで超高層マンションが乱立している地域というのもほかにはそれほどないだろう。川口市に昔からあった鋳物屋さん(キューポラ)がある時期に次々とマンションに建て替えられたのであるが、その結果このような特徴的な風景が出来上がった。以前御自宅を立てさせていただいた鋳物屋さんに聞いたところ、いまではわずか500件ほどの鋳物工場しかないということであった。まあ鋳物屋さんのようなきつい労働に耐えられる都会人も少ないわけであるし、そもそも土地の値段が高い都会において、騒音や粉塵が発生してしまう工場を経営していくこと事態に無理があるのだろう。
打ち合わせ終了後、早速土地を見に行った。20坪ほどの小さな土地であったが10時過ぎの時間帯から良く日が当たるようで、なかなかよさそうな環境だ。何よりも駅までの距離が非常に近い。電車通勤のご夫妻にとってはこれは何よりの条件だろう。水道が入っていないようだったので早速見積もりを指示。
夕方17時、足立の家の打ち合わせ。今日は御主人もお休みということで、家作りの全体的な流れについてお話をした。防火地域のさまざまな条件に左右されにくい鉄骨構造にするか、それとも100平米2階建て以下に抑えて木造で建てるか、防火地域に建てる住宅ということでここの選択が大きな分かれ目となる。歩道の切り下げや地盤改良などさまざまな条件によってかかるコストも変化するため、不確定要素をひとつずつ確定させていきながら構造の方針を決めていきたい。
2010/2/5
午前中、川口市安行あたりに家を建てたいという方の御相談。何でも一人暮らしで、ピアノを弾くための部屋があればほかには何もいらないという特徴的な建物を御希望されているということで、設計者としては創造を膨らませてしまう。とはいえまずは土地探しからということであるので、じっくりと御希望にかなう土地を探していきたい。
夜、少少熱っぽいようすだったので早めの帰宅。本当は西新井の家のクライアントに招かれていたのだが、残念。
2010/2/4
ここのところ急激に冷え込みが厳しくなったようで、昨日の夜もまた雪が降った。朝家を出てみると、薄っすらと雪化粧されている町並みを目にすることが出来た。いつも歩いている道も風景も、白く色が変わっただけでなんとなく雰囲気が変わる。色が持つもののイメージが失われて、形だけが認識されるようになることで、見るものの感覚も変わるのであろう。この操作は意図的に建築の中で行われることもある。例えばあるはずの窓枠や扉、そういった建築の要素が白く変わることによって、なんとなく空間の構成が強調されるような雰囲気を味わったことがあると思うが、ギャラリーなどの建築では良くこのような風景を見かける。


上の写真は屋久島の家の近くの海岸から取った朝焼けの写真。そして下の写真は、その色を飛ばしたものだ。たまに見るから美しい雪化粧も、いつもこんなだったらいやですね。やっぱり色は大切であって、真っ白白けの空間に人が暮らすというのはちょっとバード過ぎるのかもしれません。

2010/2/2
午前中は事務所にて各プロジェクトの打ち合わせ。川口の家の確認申請の訂正指示も終わり、いよいよ工事着工という流れになる。越谷の住宅も確認申請準備に取り掛かり、もうじき着工となるだろう。ますいいでは常に4棟の現場を進行させることが人数のバランス上望ましい状態となる。設計作業というのはなかなかそのように順調に計画通り進むものでもないが、それぞれの現場を無理なく管理するためにもなるべくであればこの状態を守ることを心がけなければいけない。
15時、大嫌いな歯医者へ。親知らずを痛くもないのに抜くことにどうしても納得がいかなかったので結局延期することにした。先週、奥富電気の社長さんから親知らずを抜いた後のいたーい話を聞かされてしまったので、怖気づいただけなのだが・・・。結局前歯に小さな虫歯が発見され、治療した。鏡で見せてもらったが、虫歯を削り取った後の歯は、根元がえぐりとられてしまいかろうじて立っているかのような状態であった。これでもう何年かは持つからね、そういわれてひと安心。作業を冷静に見ていると歯医者の仕事はわれわれの建築のリフォームの作業と似ているな。悪いところを見つけ出し、金物で補強し、壊れてしまいそうな部分を補強する。発想がわかってくると、これまで大嫌いだった歯科医の話を聞くのもなんとなく楽しくなってくる。
2010/2/1
今年も始まったばかりだと思っていたらもう月が替わってしまった。2月らしく厳しい冷え込みで夜には雪が降ったのをみると、温暖化でおかしくなった地球が元に戻ったのかと少少うれしいような気持ちになる。
建築士会の会報を呼んでいたら薬師寺の東塔の様子が掲載されていた。私は3年ほど前に訪れたことがあるのだがこの薬師寺の東塔は正真正銘の古建築である。法相宗の大本山である薬師寺は、元明天皇のときの平城京遷都に伴って、718年に現在の右京六条二坊に移建されている。何よりもすごいのは、718年から今まで木造の建物が建ち続けているということ。もちろん数々のメンテナンスを施している結果であろうが、1300年も建ち続けているということにやっぱり畏敬の念を感じざるを得ない。

先日鎌倉の家の打ち合わせをした。この家は築60年余り。川口の改修計画もやっぱり60年余りの古建築である。たかだた60年、薬師寺に比べればどうってことない。しかし現在の耐震基準に当てはめようとするとこれは相当難儀な工事が予想されるし、作り直したほうが早くて安いという結論が出てきてしまう。
でも、時間とともに築きあげられた価値だけは新築ではどうしても作ることはできない。思いでも、刻み込まれ染み付いたその色も、やっぱり新築では作ることはできない。それを蘇らせるとは何というすばらしい仕事だろうか。薬師寺に多くの見物人が群がる写真を見て、再度蘇る家の仕事の大切さを思い知らされた。
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