|
7月
2008/7/26
中落合の家コンクリート打設。朝6時過ぎに事務所を出て現場に向かうと、現場にはすでにポンプ車、土間屋さん、型枠大工さん達が待ち受けていた。少々遅れて松本工務店の松本さんや職人さんたちが登場。これで、一通り全員そろった。9時からのコンクリート打設に向けてそれぞれの準備作業に取り掛かっている。型枠の補強や点検をしている大工さん、水撒きをして型枠を湿らせている職人さん、ポンプのホースの準備をしているポンプ屋さん、毎日慣れ親しんだ作業などで手際がよいがこの暑さではさすがにみんなきつそうだ。
9時過ぎ打設開始。スラブの上と下に分かれて指示を出し合いながら、作業を行っていく。スラブの上にはポンプ屋さん、バイブレーターを持っている松本さん、飛散防止のシートを持つ田村、土間屋さんがいる。下には3人の職人さんと私、そして型枠大工さんだ。私達は木槌を持ちながらコンクリートの打ち込みがスムーズになるように型枠の表面をたたいているのだが、これがまた暑い中でやると体力を消耗する。11時過ぎまで作業を続けて終了。さすがに疲れたが、久しぶりの現場作業に妙な充実感を感じた。
私達は職人ではないので現場に出て作業をすることは基本的には仕事ではない。しかし、打ち放しのコンクリートなどの現場や、セルフビルドの施工などの際には管理者として、現場作業に加わる意味というものもある。設計のあの人たちもやってるのだからしっかりやらないと、そう職人さん達が思ってくれたらしめたものなのである。

14時30分、浦和にて家を建てたいというKさん相談。盆休み明けにご連絡するとのお約束をして終了。
夕方再度中落合の家の現場。コンクリートはすでに表面が硬化し、その硬化反応の熱気が現場に立ち込めている。表面からの急激な水分の蒸発を防ぐために約20分間散水。十分水をまいた後事務所に戻った。20時過ぎ、田村と中村と一緒に打ち上げ。11時帰宅。
2008/7/21
海の日。ますいいは祭日も営業しているのであまり実感がない。海の日というのは1996年より国民の祭日として指定されたそうである。国民の祝日に仕事をしてしまうことは本当はよくないことなのだろうか。
以前ますいいでスタッフをしていた山田という男が、近々義理の弟になることになった。妻の妹と結婚することになったのだが、その山田は今ノルウェーで働いている。ちょうど1ヶ月のバカンスということで日本に帰国しているのだが、ノルウェーでは1ヶ月しっかりと休みを取るということを言っていた。
先日、フィンランドの話を施主のN氏より伺い、興味を持って堀内 都喜子氏による「フィンランド豊かさのメソッド」を読んでみた。N氏に聞いた話とほぼ同じようなことが書いてあったのだが、休日についてはそれにまつわるさまざまな制度を法律で決めていかないと、今の日本の社会において北欧と同じような体制を作ることは難しいような気がする。日本でも労働基準法には第32条において、「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。」と書いてある。
フィンランドやノルウェーの話を聞いていると基本的にこのようなルールが守られているという感じがする。失業率の高さ、定職につくことの難しさなどの社会問題は存在するようだが、社会保障が整っていることがセーフティーネットとなって、安心感を持ちながら勉学に励み、仕事面での経験もつんでいくことができるようである。若くして定職につくことが難しくても、30歳を超えてようやく教師になれるというようなこともあるということだ。
建築の社会は大学を卒業した後も経験をつまなければならない。建築設計の実務をつみ、4年目くらいになるとようやく仕事をできるようになる。設計事務所に大企業はほとんどないので、特に住宅の設計をやりたい場合などは、中小の設計事務所で修行を積まなければならない。修行中の苦労はよい。しかし、一人前になった後の身の振り方に不安を覚える世の中はよくない。それでは修行に身が入らない。結果、優秀な設計者も育たなくなる。年収200万円に満たないワーキングプアという言葉を耳にする機会が多いが、修行中のみであればワーキングプアではなく、スタディーングプアだ。4年目以降のスタッフをワーキングプアにしてはならない。ますいいでも、より豊かな心を持って仕事をできるように環境を整えていかなければいけないことを強く感じる。
今日は14時より船橋駿河台の家の打ち合わせを行った。いよいよ大詰めの打ち合わせとなったのだが、大体の方向性は決めることができた。続いて確認申請作業に移るわけであるが、2階建ての木造建築ということでそれほどの苦労はしないだろう。9月には工事に移ることができそうである。
2008/7/20
今日から宮崎駿監督の「崖のうえのポニョ」がスタートした。人魚と少年の物語で、一緒に見ていた息子と娘も大変喜んでいたようだ。アンデルセン童話の物語なのに、日本の日常の風景とうまくマッチしており仏教色まで感じるような壮大な表現に大人の私でも感動してしまった。

2008/7/17
午前中越谷の家打ち合わせ。約300万円ほどの減額打ち合わせとなったが、もともとの設計と比べてもそれほど大きく変わったわけでもなく逆に程よく無駄が省かれたような気がする。
コストダウンの打ち合わせをしているといつもそう感じるのだが、限られた予算の中で家作りをするにあたって、一度は希望通りに作り上げられた図面の中のさまざまな要素に対し、それぞれを一つ一つ本当に必要かどうか考えながら取捨選択していくことは、出来上がる住宅にとってたいていの場合はよい方向に向かっていくことが多いようだ。作業的には非常に厳しい作業ではあるのだが、やっぱり避けては通れないものである。
夕方、ますいいで販売している里の土地にて草刈。スタッフの鈴木と一緒に50坪ほどの土地に生える人の背丈ほどの草を刈ったのだが、虫に刺されるは、かぶれるはで散々な目にあってしまった。しかも、最近の運動不測がたたったようで終わるころには足腰が痛くなる始末。まったくこれでは仕方がない。
2008/7/16
朝10時、所沢の家の改修工事打ち合わせ。今回のプランで大体の方向性は決まりそうだが、問題はやはり予算。どの程度の金額になるか概算見積もりを行ってみることになった。
ところで、所沢で工事をするのは2回目である。以前工事をしたときは463号線がいつも渋滞をしていて片道2時間ほどかかることも珍しくはなかった。それが、最近では原油価格の高等の影響を受けてか1時間ちょっとで現場までついてしまうことが多い。よくニュースなどで道路の渋滞が減少したという話を耳にするが、これほど身近に実感したのは始めてであった。積極的な政策ではない原油価格の高騰によって、結果的に環境問題にとって解決の糸口となるような現象が起きていることには大変違和感を感じる。
たしかに、経済には大きな影響を与えていることは理解できる。知人の運送業者さんの話を聞いても、これまでと同じ仕事をしているのに2年前と比べると年間の支払いが2000万円も増えたといっていた。これでは赤字になってしまうともいっていた。このままでは、中小企業を皮切りに社会のシステム事態が混乱してしまうのは明白である。しかし、環境問題を考えてみてもこのままでは環境システム自体が破綻してしまうこともまた明白であるわけだから、環境と経済が共存できるような社会の創造をしなければ人間社会にとって未来がないということになる。
さてこの話を住宅に戻してみると、やはり住宅一つ一つのエネルギー効率の向上が非常に重要な話であろう。また、エネルギーの自給ということも考えなければいけない。ソーラーの技術というのはすでに普及している。助成金制度が自治体単位でしか行われず、またその金額もわずかであることからなかなか思うように普及しない状況が続いているが、この技術は利用しない手はないはずである。東京電力のHPによると家庭での電力利用の6割は暖房と給湯によるものらしい。エコキュートとソーラの組み合わせでこの利用エネルギーの大部分を自給できるとしたら画期的なことだと思う。普及できる状態になっている技術が普及するためには、経済的なメリットがないとだめなのかもしれない。もしそうだとするならば、今はまさに普及できるときのような気もする。
15時より、蓮田の家のうちあわせ。銀行ローン等の手続きも終わりいよいよ本格的な家作りの打ち合わせに移行することができそうである。
以降事務所にて雑務。
2008/7/14
最近、ますいいでは改修工事の依頼が続いている。これまでは長年住んできた古い家のリフォームが多かった。しかしここ最近依頼されるケースは、古い住宅を購入しリノベーションして住むという新しいスタイルが多いようだ。

写真1は3年ほど前に改修工事をした千歳烏山の家である。施主は30代のサラリーマン夫婦。少しでも安くこの世田谷の地に住もうということで鉄骨造築4年の倉庫兼事務所を購入した。コストを抑えるためにこのプロジェクトではセルフビルドを大々的に取り入れた。コンクリートのスラブに穴を開け鉄骨階段を作ったり、大工工事で大型のキッチンを作ったりの素人には無理な部分は当社で請け負った。ここまでの費用、全部で700万円弱である。そのほかの部分は全てセルフビルドで行った。既存の解体工事も塗装工事も石膏ボード貼りもかなりの部分を普通のサラリーマンのOさんが施工した。

写真2は先日完成したばかりの三鷹の家である。築30年ほどの再建築不可の物件を購入し、夫婦二人ですむために改修した。基本的な構造は手をつけずに、細かい間仕切壁を取り払い、キッチン、リビングなどを新たに作った。また急すぎる階段を取り払い新たに緩やかな階段を設置した。そして、この家でも壁の塗装工事や屋根の塗装工事はすべてSさんによるセルフビルドで行った。
都市に住むことを考えたとき、土地を購入して新築を建てるにはそれなりのコストがかかる。中古住宅をリノベーションしてすむという選択肢はコスト削減の手段としてとても効果的だと思う。特に築年数のあさい建築は構造的にしっかりとしたものが多く、基礎、柱や梁、屋根、サッシ等ほとんどのものを再利用して、表層のお色直しだけですむ場合が多い。そしてその作業の多くがセルフビルドでも出来るのである。
スクラップアンドビルドの時代はすでに終わった。ゆったりと流れる時間の中でセルフビルドを取り入れながら無理せずこだわりの家を手に入れる、そんな選択肢もあるということを知っていただきたい。
2008/7/11
午前中は事務所にて雑務。昼過ぎより船橋駿河台の家の打ち合わせ。今回もまた減額案についての打ち合わせなのだが少々金額的に厳しいところにある。減額というと、
・業者さんへの単純な値引き交渉
・同等品でもより安価な仕様の提案
・造作家具などの取りやめ
・建物の面積調整
・・・・・・・・・・・・・・・
などなど、いろいろなことを考えながらコストをコントロールしなければならない。今回の減額提案においては、建築的なもの、つまり柱や壁、そして屋根など後から改修することの困難なものには手をつけず、そうでないものをぎりぎりまで削減していく方針で進めることにした。打ち合わせを終え後一歩のところまできたのだが、もう少々減額の必要がありそうだ。
それにしても今回の予算オーバーの大きな原因となっているのは、地盤の弱さを補うための鋼管杭工事である。土地を購入する際に地盤改良の平均的な工事予算は木造2階建て程度の軽い建築物の場合は50から70万円程度とアドバイスをしたのだが、調査の結果、セメントミルクを利用した柱状改良工事だけでは心もとないということで鋼管杭工法を採用することになり、結果的には140万円と大きく増額となることになってしまったのである。さあてどうしようか。
2008/7/9
午前中、蓮田の家の第1回打ち合わせ。これまではヨウヘキ工事のための開発許可申請作業を行ってきていたのだがここに来てようやくその申請も下り、建築の打ち合わせに入ることができた。この蓮田の土地は約90坪ほどある。敷地は東側で大きなグランドに面していて、北側には小さな小道をはさんで幼稚園がある。南側は4m道路がありその向こう側には今回分譲される住宅地が並ぶ。そして西側は住宅地という構成だ。今回は第1回目のプランということで、東側の眺めのよいグランドに面した平屋のような一部2階建てのご提案をした。
このように90坪もの広さの土地に建物を建てられることは都会ではなかなかないことである。せっかく広い土地だからと思うと自然と平屋のようなプランを作りたくなるものだなどと考えていたら、実は施主のSさんもそのように考えていたらしい。まあ今回はまだ1回目、最終的にどのようになるかはまだわからないが、のどかな住宅になればよいと考えている。

土地から見たグランドの眺め
2008/7/5
朝一番より田村と一緒に事務所を出発。所沢のリフォームの現場へ。今日は第1回目のプラン打ち合わせ。耐震改修工事とリフォームをあわせて行う計画なのでまずはある程度のプランニングを行った後に、耐震的に可能かどうかの判断を行うという流れになる。途中現場調査をはさんで、梁のかけ方や筋交いの有無などを調べることになる予定だが、大変良いつくりの家なのでそれほど問題なく進みそうだ。
近年作られている住宅の寿命は格段に延びた。昔の住宅は25年から30年ほどで寿命といわれ、取り壊されて更地にした形でしかその建物が建っている土地の売買はされないのが普通であった。しかし、今では程度の良い中古住宅を改修して済むという形がひとつの選択肢として次第に大きくなってきている。ますいいでも三鷹の家など古い住宅の改修工事の依頼が非常に増えてきている。
古い中古住宅を購入する場合には、本当は事前に耐震性や雨漏りなどの診断を行ったほうがよい。しかし、購入者がそれを自身のお金で行うことは困難であると思われるので、売り手についている不動産業者が設計事務所に依頼するという形で行うべきものなのだろう。まずもって検査しておきたいのが以下のような項目であると思われる。
・基礎の鉄筋ピッチ、コンクリート強度
・土台の腐食
・柱の傾き
・雨漏りの有無
・筋交いの量
・金物の設置状況
木造2階建ての住宅であればこのくらい調査してあればまず問題ないだろう。そしてこのような事項が証明できれば中古住宅はもっと価値を認められるようになるだろう。来週よりサミットが開かれる。古いものを丁寧に長く使うことはすでに求められている。そしてそれをきちんと手助けすることは設計事務所にとって重要な仕事になりつつあると考える。
2008/7/4
10時、朝霞で家を建てたいというAさん、住宅のご相談。何でも都内で飲食店を営んでいるということで、いろいろなお話を聞いているうちに4時間もたってしまった。中国や台湾に精通しているということで、これまで聞いたこともなかったお話を聞くことができた。
住宅の仕事というのは、施主とじかに話をすることができるというのが一番面白いところだと思う。ゼネコンにいたころには、誰のために建物を作っているのかがわからないことのほうが多かった。企業の設備投資などの現場はわかりやすいのであるが、公共事業の場合などは明らかに税金の無駄遣いにしか映らないような現場もあった。ある現場では、大阪市の同和地区への助成金打ち切りのために、助成金と同等のお金をかけた施設を作らなければいけないという理由で温泉施設に100億円もの税金を投入していた。
この現場の管理をしていた設計者は、イタリアまでタイルのサンプルを見学に行っていた。その渡航費用も税金だろう。そして現場にはイタリア人のタイル職人が連れられてきた。これはもはや笑い話である。不景気で日本人の職人さんにまともに仕事がない時代になぜ税金を使ってわざわざイタリアから職人さんを呼ばなければいけないのか。あの大阪市にこのようなお金があったとはと疑うが、住宅ではこのようなことはありえない。
住宅は自分が暮らすために作る施設であって、なんらほかに目的はない。もちろん収益を生むこともない。自分と家族が精神的に豊かに、まさに「暮らす」こと、それだけが目的である。住宅には豊かに暮らすために必要最低限のものがあればよい。もちろん、お金を使おうと思えばいくらでも使うことはできる。床材ひとつとってみても、坪5000円程度の合板フロアリングから坪12000円程度の杉板までさまざまだ。また同じ杉の無垢材でも節のないものになれば坪当たり30000円程度になるし、それがヒノキや松になればさらに高価になる。通常の住宅が35坪程度であるので、その床面積をかけてみると、床だけでもすぐに何十万円も高くなってしまうのだ。
であるならば、「どの床材を使えば自分にとって大変心地がよいか」、選択の基準はこれに尽きるのではないだろうか。住宅というもの、このぎりぎりの選択をする場面が最も楽しいところだと思う。この部分の作業を楽しみながらじっくり行い設計者と施主との間で大切なもののみきわめをするからこそ、誰もが大体満足できる形に標準化された建売とは違った、ローコストでよい住宅ができるのだろう。
夜、趣味の小屋を建てたいというKさん打ち合わせ。この方の小屋の場合はまさにぎりぎりの選択の中でしかできないくらいのローコストである。20坪の面積に対して、工事費の予算は350万円程度。普通にやればできるわけがない。幸い住宅ではないので、小屋として必要最低限のものを作ればよいのであるが、それにしてもぎりぎりである。でも考えてほしい。クラウンを買うお金で、ガーデニングを楽しむための道具を収納し、疲れたら紅茶を沸かすことのできる小さなキッチンがあり、鳩を飼うことができる、そんな小屋を購入できたらどれだけ生活が豊かになることだろう。クラウンは乗っている間に古くなり、やがては鉄の塊と化す。でもこの小屋は、趣味の一環として作られ続けていくことだろう。こういう人の生活に根付いた感覚の中に身をおくことができることこそ、住宅にかかわる魅力であるのだ。
2008/7/3
午前中、船橋駿河台の家の打ち合わせ。今回は見積書の提示をしたのだがこれからの減額案の作成が大変そうだ。もっとも予算から増額してしまった項目は、地盤改良である。通常の土地であれば多少地盤が悪くてもセメントミルクを土と攪拌しながら流し込んでいく柱状改良工事でよい場合が多いのだが、今回の現場では鋼管杭での施工を勧める考察結果が出てしまった。ほかにも数社同じ検討をしてもらうことにしたのだが、よい結果が出ればよいのだが。
12時ごろ打ち合わせを終了。所沢のリフォーム計画など打ち合わせ。
2008/7/1
いよいよ7月、一年の半分が終わってしまった。ちょうど昨年の今頃は、確認申請の変更で世の中が急にばたばたしだした頃だった。あれから一年、多くの建設会社が倒産したりの混乱が私の周りにもあった。私が造っている木造を中心とした住宅に関して言えば、ここにきてようやく混乱は収まりつつあるようだ。木造2階建てに関しては、今ではだいたい2週間程度で確認申請が下りるようだ。変更前の1日申請とまではいかないものの、きちんと中身を確認して許可を出す期間としては適正な期間のように思える。3階建ては一時申請が下ろせないと断られたものだ。それも、今では1ヶ月あれば確認が下りる。
この混乱が生じた理由としては、運用規定を詳細に定めないまま法改正に踏み切ったことがあげられるだろう。昨年の法改正があった6月20日以降、民間審査機関においては、また一部の役所でも、木造3階建ての申請をどのように許可してよいかわからないという理由で、申請の受理を断られるか、もしくはいつ下りるかわからないと脅されたものだ。
最近の日本の社会は何かひとつ大きな社会的問題が起きるとその可能性のすべてをつぶすためにすべての事象を規制する嫌いがあるようである。すると結果的に意味のわからない検査が増えたり、書類が増えたりのばかばかしい結果になるのだ。たとえば中落合の家の現場では性能保証制度という保険制度に加入している。これは設計基準をクリアしている建築の工事を工事段階で厳しく検査し、完成後の10年にわたって建物の性能を保証しようという制度であるからして、そもそもこの検査を受けていれば建築としては非常に程度の良い安全なものであるというお墨付きをいただいたようなものだ。しかし確認申請審査機関のグッドアイズというところは杓子定規にこの住宅性能保障期間の検査日と同じ日に確認申請機関としての検査をしに来るのである。そして、「この建物は性能保証を取っているから大丈夫ですね」などと適当なことを言って帰ってしまう。
そしてさらに言うと来秋よりの引渡し物件については、この性能保証制度への加入がすべての建築物件について義務図けられることになる。これまで工務店の施主の信頼関係によって、必要のなかった制度がついに法律によって義務付けられてしまうのだ。人と人の信頼関係は何処へ!これでアネハ事件以降の建築に関する法改正はほぼ終了した。あとは木造2階建ての構造計算の義務化を行うのみである。しかしすべてを法でがんじがらめにするのが本当に正解なのであろうか。
下の写真は三鷹の家の完成写真である。築30年以上の古い木造2階建て住宅をリフォームしたわけだが、まさによみがえる家だ。天井のラワン合板の塗装から壁の漆喰塗料の塗装まで内装工事に関してはほとんどすべて施主によるセルフビルドを取り入れた。部屋の中央にある壁はべつにミースを意識したわけでもなく、たまたまそこに柱があったから残したまでである。部屋の中でよいアクセントになっている。サッシなどは変えていない。外壁はがるばりうむ鋼板で古い板壁を覆った。占めて700万円弱でよみがえった事例である。

|