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11月
2008/11/29
いよいよ、赤塚の家の工事が開始された。ここ板橋区の赤塚周辺では三角の家、4コハウス、そして赤塚の家と3件目の当社による住宅が建てられようとしている。板橋区へは、荒川沿いに戸田市を通過して15分というところ。川口からでも30分程度で到着できるので、都内の中では北区についで近い部類に入るわけだ。

板橋区にはいるとどうしても三角の家を思い出す。それほど今となっても印象深い現場であった。
ある日、一通のメールが送られてきた。そのメールには1500万円で板橋区に土地と住宅を手に入れたいというような内容が書かれていた。その値段では土地すら買うことは出来ないだろう、私のところにはこのような無理難題を言ってくる困ったヒトからたまにメールが送られてくる。今回もまた、そういう連絡が来たな、と無視していると再び連絡があった。今度は気に入った土地が見つかったので、一緒に見に来て欲しいというのである。
気に入った土地が見つかったということは、ちょっとは現実的なコスト感覚で話が出来るのかなと思い、だめもとで出かけてみることにした。ちょっとヤバそうな感覚はした。でも当たって砕けろ、これが私の精神だ。いや、精神などという高尚なものではなく、たいした能力も無いのだから、何事にもあたってみなければ始まらないのである。そんなこんなで、待ち合わせ土地を見てみる。一つ目の土地は正直言っていまいちであった。なんともいえないうらぶれた雰囲気。ここに住むのかと思うとちょっと気がめいる。そんな土地であった。そして二つ目、その土地は見事なまでの直角三角形。小学校で習う30度と60度のあるあの直角三角形に限りなく近い。1対2対√3でいうと、√3の部分で2mの道路に接し、2の辺が車の通れない緑道に接している。古い建売住宅のような家が建っているので決してきれいに見える土地では無かったが、なんとなく建築の力によって周辺の環境も含めて様変わり出来るかもしれないなという可能性を感じる土地であった。土地との出会いというのは運命的な直感であると思う。その土地が良いかどうかは出会って1分あればわかるものだ。女性との出会いだってそうだろう。長く眺めていれば良いというものではない。私は即座にこの土地を気に入った。そして購入を勧めることにした。
ここまで進んでくると、施主と私の関係はかなり接近してくる。施主は30代女性、そしてもう一人、3年生のお嬢さんである。いろいろな事情があり、予算は出来るだけ抑えたい。銀行ローンも組めることは組めるが、なんと金利は4%を越えるという。この御時勢にそれだけ高い住宅ローン金利は聞いたことが無いが、銀行というのは本当にお金が必要な人にはなかなか良い条件でお金を貸してはくれないところである。さんかく形の土地にはすでに1600万円ほどをつぎ込んでしまった。手持ちの資金と合計しても建築工事費に掛けられる予算は1500万円程度しかない。しかし、これだけあれば何とかなるだろう。これまで住んでいたマンションの売却も迫る中、早速建築の打ち合わせが始められた。
さんかく形の土地ということで、通常のプランを配置すると非常に無駄が生じることになる。そこで、直角三角形の土地をそのまま少しだけ小さくした直角三角形の住宅を建てることにした。お母さんと娘さん二人だけの住まいということで、開口部は最小限にとどめられている。外部とはわずかな開口部で連結しているに過ぎないが、その代わりに、内部の開放感を高めようということでさんかく形の端から端まで見渡せるような間仕切りの無いプランとなった。中央部には屋上に出ることの出来る棟屋を持つ吹き抜けが1階から3階までズドンと突き抜けていて、やわらかい光が屋上からふりそそぐ。さんかく形の壁で守られた、母と子のための秘密基地。そんなイメージでこの住宅は作られた。
いま、この住宅のクライアントのTさんは「家の時間」というサイトを運営している。もともと住宅の専門家だったわけではない。でも相当住宅のことが好きだったのは確かだ。私もこのサイトではコラムを書かせていただいているので、ぜひ一度ごらんいただきたい。
http://www.ienojikan.com/


2008/11/26
午前中、前川の家のメンテナンス打ち合わせなど。
午後より各プロジェクト見積もり打ち合わせほか。
今週は中落合の家、市川の家が竣工に向けて大詰めの作業に入ってきた。仕上げ工事、清掃、と進んでくると現場では必ずといってよいほど傷が現れる。床には硬いボードを敷きテープを周囲にはりめぐらし、ごみが隙間に入らないように対策をとる。柱や化粧部分にはスポンジ状のものを巻きつけたりする。そういうことをやったとしてもやっぱり傷がつく。そして、そういった傷は大体最後まで気付かれることなく、ここぞというときになって現れるのである。
今まさに現場はここぞというとき。そして、今まさにそれらの傷を補修しようとしている。こういったものには必ず原因がある。しかし、その原因を追究することはなかなか容易ではない。多くの職人さんが出入りする中で、無意識に何かをぶつけたりしてしまい傷をつけたことにも気がつかないこともあるからだ。
私はもともとゼネコンにいたのだが、ゼネコンの現場ではこういった補修だけで最後の1ヶ月ほどを費やしていた監督もいた。幸いにしてますいいの現場では一日か二日の補修程度以上のものは無い。自分達の作る作品を、そして何よりも施主の一緒の住処となる住宅をしっかりとした状態で引き渡すためにも現場の管理は徹底していかなければならない。
下の写真は市川の家内観。徐々に完成が近づいてきた。ロフトをはさんでの大窓がたくさんの光を受けている様子は圧巻である。

2008/11/25
朝7時30分、左官屋さんと事務所に展示する左官仕上げの見本についての打ち合わせ。30センチ角くらいの小さな見本を8個ほど作成してきてくれたのだが、そのうち6個を実際に作成してもらうことにした。砂漆喰仕上げ、黄土入り仕上げについてはどことなく、想像していたテクスチャーと違っていたのでもう一度作ってもらうことに。このように職人さんの感覚によって表現されるテクスチャーというのは、いわゆる既成品の混ぜるだけといったものとは違い、土の混ぜ方、砂の混ぜ方、使用する土や砂の種類によってまったくその仕上がりの感じが変わってしまう。これがいいな!、と言ったってなかなかその通りにできるものでもない。だから当然、現場でこのような仕上げを採用するには、それなりの理解をしてくれるクライアントが必要になる。「あんた気に入ったから、この壁仕上げを任せるよ」くらいのことを言ってもらわないとなかなかできるものではないのである。完成した見本を見て、これらの仕上げを採用してくれるクライアントが現れることを期待する。
11時、役所にて会合に出席。
14時、赤塚の家縄張り作業。池上と一緒に1時間ほど作業を行った。
2008/11/22
船橋の家現場管理。現場では石膏ボードが張り始められ、いよいよ階段などの造作工事に入ろうとしている。電気配線のチェックが終わるまでは完全に壁をふさぐことはできないが、それも来週半ばにはできるとのこと。年内には何とか下地工事までの形は整いそうである。この現場にも大量のセルフビルドが待ち構えている。石灰クリーム、柿渋の塗装などなど。何かと大変な年明けになりそうだが、もう一息といったところだ。

10時30分、Hさん打ち合わせ。鳩ヶ谷で家を建てたいとのことで1200万円からのローコスト住宅である。なかなか厳しいご相談ではあるが、まずは銀行提出用の資料を作ることに。
午後、前川の家メンテナンスの打ち合わせなど。
2008/11/18
越谷の家の現場の屋根作業が進んでいる。中庭のあるこの住宅では、中庭に向かってコの字型に屋根がかけられている。これは、中庭からの住宅の見つけ高さを少しでも抑えることで、少しでも視覚的な圧迫感がなくなるようにとの配慮からの設計だ。屋根の高いほうと低いほうの高さの差は、2寸勾配のこの住宅では910mm。3方を囲まれるので、この910mmの差はかなり大きい。中庭を眺めると、思った以上に広々とした気持ちよい庭になりそうだった。出来上がるのが楽しみである。
2008/11/17
朝一番、新規のPタイル屋さん面接。今回初めての顔合わせということであったが、親子でやっている職人さん兼経営者という理想的な方であった。職人さん兼経営者ということは、余分な経費がかからないということである。同じお金を払うのならば、実際に作業をしてくれる職人さんに一円でも多く払いたい。そのほうが当然気持ちよく作業をしてもらうことができる。材料だって、その職人さんから買ってあげれば、その分で多少なりとも利益を出すことができる。よく多くの職人さんを抱え、材料と職人さんの手配を専門とするような会社もあるが、私はなるべくであれば職人さんが親方として経営をしているような会社に頼むようにしている。今後の付き合いが楽しみだ。
10時、武蔵野銀行打ち合わせ。
午後事務所にて雑務。
2008/11/14
船橋の家現場管理。船橋の家ではいよいよ屋根のガルバリウム鋼板が葺き上がった。外壁には、合板下地にラス網が張られそこにモルタルが塗られている。内部では大工さんの工事がいよいよ終盤を迎えようとしているが気を抜かずに管理していこう。

2008/11/13
午前中事務所にて雑務。15時ごろ、川口市内のKさんの家の建て替え計画、敷地調査。2件の超小規模建売集宅を取り壊し、その二つを合わせた土地に庭付きの住宅を建て替えたいという計画である。敷地は合わせて35坪ほど。位置指定道路の再奥に位置するので道路側は奥まった土地なのだが、敷地の裏側にはお寺の敷地が広々と広がっている。これを生かさぬ手は無いだろう。2週間後の再開を約束して打ち合わせ終了。
19時、越谷駅にて越谷の家のTさんと待ち合わせ。田村も交えて打ち合わせを兼ねた会食に。始めて越谷で食事をしたが、なかなかに美味な焼き鳥屋さんであった。Tさんの話によるとこの越谷駅周辺の町並みも西川口駅周辺の町並みと同じように、違法の風俗店が摘発されて新たな入居者のいないゴーストタウン状態になりつつあるということだった。西川口駅も同じだが、歴史の中で根付いてきた町の独自性というものは法律で規制したからといって突然変われるものであるはずも無く、そこに無理な変化を与えればこれまで微妙なバランスのもとに築き上げられてきた秩序が狂い始めてしまうものである。職人さんの町として栄えた川口市には公営ギャンブルや風俗街などの息抜きが必要であった。その一部を無理やり取り除いた弊害は、何とか埋めなければならないだろう。町の再生にはおそらく10年はかかる。良い町に成長していってほしい。
2008/11/11
10時、以前リフォームした高井戸の家の雑誌取材立会い。築35年くらいの古い住宅の1階部分をリフォームしたこの現場ではコストをぎりぎりまで抑えるために塗装工事はすべてセルフビルドで行った。
クライアントはしばらくこの家に住み続けた後はできれば建て替えを検討しているという。土地の値段が高いのでとりあえずこのまま住みたいが、お金をかけすぎるのはもったいない。でも、ライフスタイルに合うような内装にしてほしい。そのような考えは中古住宅に住む方には割りと共通のものではないかと思う。
そこで、今回は最低限の設備器具を新しいものに交換し床を張替え、壁を自然素材の石灰クリームで塗装して、全体を白を基調としたシンプルなイメージにあわせることで、いわゆる古い建売のイメージを払拭することを試みた。下の写真がその様子。家具が入り、生活観が現れてくるとまた一段と良い雰囲気に包まれていた。

高井戸の家
続いて、三鷹の家の現場取材立会い。こちらは再建築不可のエリアに建つ古い住宅のリフォームの現場である。再建築不可であるので今建っている建築をできる限り延命させなければならない。解体してしまえばもう二度とこの土地に建物を建てることはできないからである。そこで、まずは外壁を中心に雨風から守るということを意識した工事を行うことに。外壁はガルバリウム鋼板ですべて覆い、屋根はセルフビルドですべて塗装しなおした。床下には調湿作用のあるセオドライトをこれまたセルフビルドで敷き詰め土台や柱の耐久性を向上させた。
この現場、とにかくセルフビルドをたくさんやった。クライアントのパワーにはわれわれも圧倒されるほどであったのだが、さらに驚いたことには今でもいろいろと工事を続けているということであった。
楽しんで自由に家を作りこみながら、楽しんで暮らす。今の社会普通の土地というのはとにかく値段が高い。建築費に回す分がなくなるくらい土地の値段が高すぎる。多くの人が高すぎる家のローンに苦しむ中で、再建築不可という安い土地を購入し、少ない負担の中で楽しみながら暮らす。このような感覚の住宅をあり方というのも確実に選択肢の一つとしてありうるんだなと改めて感じた。

三鷹の家
2008/11/8
朝6時、事務所出発。船橋駿河台の家の現場にて8時ごろより打ち合わせ。今日は左官屋さん、屋根屋さんの職人さんたちが作業を始めるところだが、あいにく朝方から早速雨がちらついてきてしまった。冬の雨はとにかく寒い。特に外部での作業を行う場合は厳しい状況になってしまう。まあそれほどの本降りにはならなかったが、職人さんたちにとっては災難としか言いようが無い。

船橋の現場を出ると、次はそのまま市川の家の現場に回った。市川の家ではいよいよセルフビルドの仕上げ工事が始まろうとしている。まずは恒例のパテ処理ということで、現場に着くと私と池上とで早速作業に取り掛かった。ジョイントテープを貼り、池上がパテを塗っていく。職人さん並みのチームワークで1時間ほどで大方の段取りを終えることができた。クライアントのMさんに作業方法を説明し、スタッフの鈴木を残して一足先に帰社。
セルフビルドのコツはときかれることが良くあるのだが、まずは自分ができることだと私は思う。自分がやったことが無ければ人に教えることはできない。作業方法を教えるにはやっぱり目の前で見せるしかない。その作業の大変さ、難しさを知った上で教えてあげる。作業を一緒にしてあげる。これが一番のコツ。一度はじめてしまえばみんな職人さんになる。クライアントも作業が終わるころには手馴れてくる。それが良いのだと私は思う。ちょっと壁が汚れたくらいでいちいち工務店を呼んでいたのではメンテナンス代がいくらあっても足りない。マンションには管理費を払って管理人さんがいる。でも住宅には管理人さんはいないのだ。困ったときは自分でやらなければならないことはたくさんある。そういうときこそお父さんの腕の見せ所。セルフビルドで身に着けた技術は、家に住み続ける限りずーっト役にたつのである。

2008/11/6
朝9時、新宿にある富沢建材にて打ち合わせ。ますいい事務所内に作成する左官仕上げ標本壁に関する件。話し合いの結果、漆喰仕上げ、漆喰磨き仕上げとその色違い、わら入り漆喰仕上げ、土壁仕上げ、荒土仕上げ、黒漆喰仕上げ、など8種類程度の標本を作製することになった。

富沢建材にある左官壁標本
左官壁と一言で言ってもその仕上げの方法はさまざまである。まずは大きく分けて漆喰系の仕上げと土壁系の仕上げに分けることができる。
漆喰系の仕上げを行う場合のもっともオーソドックスな工法は、「石膏ボード下地+プラスター下塗り+漆喰中塗り+漆喰上塗り仕上げ」となる。厚みは8ミリ程度。中塗りの漆喰を塗らずにコストを抑えることもできるが、できればこれくらいの厚みをつけたほうがひび割れしにくいしっかりとした壁が出来上がる。
色をつける場合はこの最後に塗る上塗り仕上げの部分で行う。たとえば黒漆喰の場合は墨を混ぜ塗ることになる。黒といっても自然素材の黒なので、ペンキのように真っ黒にすることは非常に難しく、施工時期、墨の量の調整を念入りに行っても多少のむらは生じてしまう。
漆喰形の仕上げでさらに手をかける工法に磨き仕上げというものがある。丁寧に施工された漆喰壁を手などで磨く。場合によっては二日間にわたって磨き続ける。するとただ平滑に塗られた漆喰仕上げがまるでタイルや石のように光出す。光沢があるとまではいかないなんとも上品な光かただ。
ほかにも藁すさを混ぜ、こてで押さえ込んだり、淡い青色の色粉を混ぜたりなどのバリエーションまで考えると仕上げの方法は無限大に広がっていく。
土壁となるとさらに難しくなる。通常の住宅に土壁仕上げを用いる場合は「石膏ボード下地+プラスター下塗り+土壁中塗り+土壁上塗り仕上げ」となる。厚みはやはり8ミリ程度が一般的だ。土壁というと何のことやらという感じではあるが、皆さんが最も聞き慣れたものはやはりじゅらく壁だろう。京都の聚楽第周辺で取れる土を使用した仕上げということでこれほど聞きなれた左官仕上げはない。産地により、その土の性質にはさまざまな違いがある。決めの細かい状態のもの、荒土、また色にも大きな違いがあるようだ。使用方法によっては埼玉で取れる荒木田土を利用して荒々しい土壁仕上げにするというのもまたひとつの方法である。とにかく、制限がなく自由な発想で仕上げていくことができるというのがこの土壁仕上げの良いところである。
左官仕上げというのは天然の素材を利用して、職人さんの手をかけることで無限の可能性を表現することができる。一度平滑に均した面を再度掻き落とせば、「掻き落とし仕上げ」となる。刷毛で引けば「刷毛引き仕上げ」となる。パターンをつけたり、上の写真のように花びらを散らしたりの域まで来るとこれはもうひとつの芸術作品だ。
しかしこうした仕上げを採用するとなるとどうしても人件費がかかることは避けられない。たとえば一部屋40平米の壁を仕上げようとした場合、タナクリーム一日仕上げであれば
ジョイントテープ、パテ処理 1日
タナクリーム一日仕上げ 半日
で作業終了である。
それに対し、もし先ほどのような土壁仕上げにする場合は4〜6日間ほどの手間を要することになる。材料代は数万円増えるだけだとしても、そこに人件費を加算すると全部でやはり15万円くらいは増えてしまう。平米数で割ると一平米当たり3750円増える。タナクリーム一日仕上げが2500円ほどであるので合計6250円となる。まあ非常に大雑把な計算をしてみたが要するにこういう仕上げを行うとなると平米いくらというよりは何日分のお給料と材料代をくださいという感じになるわけである。
もちろんこのような贅沢な仕上げを一軒の住宅のすべての壁に施すというのは到底無理な話であろう。いくらかかるかわからない、まったくもって恐ろしい話だ。大きな壁にクロスの代わりにというのであれば、これまでますいいでも数多くの現場で取り入れてきたタナクリーム一日仕上げがもっともふさわしいと思う。しかし、ここだけはという部分、たとえばお客様を招く書斎兼茶室のような部屋やリビングのメインの壁などに施す仕上げとしてはこれほどふさわしいものは無いと思う。確かに石やタイルというもの良い。しかし、日本の大地の中から取り出された漆喰や土を職人さんの手でじっくりと塗りこめるというその過程には石やタイルには無い価値があるのではないだろうか。魂のこもった仕上げ、そんな言葉がふさわしい、それが左官仕上げであろう。
午後、越谷の家の現場にて上棟式。11月だというのに寒さを感じないちょうど良いお天気の中楽しい時間をすごすことができた。それにしても70過ぎのお父さんの元気には圧倒された。あれくらいのパワーがある若者は最近少なくなっている気がするが、やっぱりパワフルなおじいさんと飲むお酒はおいしいな。クライアントのTさんとは、この続きは来週とのお約束をして散会。

2008/11/4
よみがえる家に思わぬ依頼が飛び込んできた。20年ほど前に作られた横河健氏の「COSMOS」という住宅をそのまま使い続けてくれる方を探してほしいというのである。都内の狭小地に立つRC4層住宅。20年の歳月を感じさせないほどに当時の意匠をそのまま使い続けてきたオーナーには敬意の一言だ。今日、スタッフの渡辺が撮影してきた写真を掲載するのでごらんいただきたい。ご興味のある方はご一報を。

内観

外観
2008/11/2
今日は一年に一度の荒川ふれあい祭りである。荒川の河川敷でいろんなイベントなどをやっているのだが、何を隠そうこの祭りには関係者として参加しなければならない。家族5人を連れて参加したが、なかなかの散歩日和ということで一日中楽しむことができたようだ。夕方までの予定が、思わぬ盛り上がりをみせ結局遅くなってしまった。ほどほどにしないと体を壊すな、の反省。
2008/11/1
先日、清家清氏の私の家を拝見する機会に恵まれた。50平米ほどの小さな住宅であったが、その屋根を支えるRCの壁は見たことも無いような表情をしていたので妙に印象に残っている。下がその写真なのだが、すでに固まったコンクリートの表面をのみではつって削り取るという仕上げだそうだ。一見、何かを塗ってあるような色をしている。テクスチャーはまるで布か何かを張ってあるような柔らかさだ。実際に手で触ってみた感触も普通のコンクリートの表面よりもちょっと暖かいような気がするので不思議だ。

この住宅の床は鉄平石で仕上げられている。本当は大理石にしたかったということだがコストなどの問題で鉄平石が採用されたそうだ。ちなみに一部白く見える部分は大理石。この石で仕上げられた部分には床暖房が組み込まれているそうで、家にいた猫はいつも大理石のほうに寝転んでいたそうである。何でも鉄平石より幾分か温かいということだった。

敷地内には、時期をずらして3棟の建築が建てられている。いずれも住宅として利用されていたものだが、その渡り廊下のようなものが目に付いたのでごらんいただきたい。おそらくデッキプレートを一枚、中に浮かせただけのつくりだ。手すりも鉄の丸棒に穴を開けてロープを通した簡単なものであった。本当に歩けるのかの不安を感じてしまうような逸物である。

さて、古い建築は見ていて非常に楽しめる。そこで繰り広げられたであろう家族の営みや、その建築を作るときに設計者が何を考え、それが結果的にこんな風になったのかなど、とにかく新築を見るときとは違った楽しみがあるものだ。この私の家は清家氏という主をすでに失ったわけだが、今でも大切に守られ使いづけられている。見学の対象となるような名建築だが、普通に住宅として利用されているということに驚きを覚える。
ところで、今日は当社山崎の結婚式。私と同級生ということですでに34歳、もう新婚さんともてはやす年齢でもない。会場では山崎がこれまで生きた人生の中でであったさまざまな方々に出会った。建築家の矢板氏、大学・高校時代の友人、アトリエ時代の先輩後輩、奥様のご親戚、とにかくいろいろな方にご挨拶する中で感じたこと、それは人間の人生も「私の家」のようでありたいものだと。時とともに継ぎ足され、古いものも大切にされ、それぞれが尊厳を持ち、時代を経て味わいがある、そんな人生を送れたらよいなとの思いを感じた。
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